バイクのタイヤのグリップとは

「空気圧を下げたらグリップが上がる!」なんて情報、聞いたことありませんか? でもなんで空気圧を下げるとグリップが良くなるのか? ほんとに? 勘違い・ホントにグリップが上がる場合の両方があるので分かりやすく解説します。 こんにちは!@Andyです。 今回はタイヤの空気圧を下げるとグリップが上がる!! と感じるメカニズムについて分かりやすく解説します。  都民の森、スカイポート亀石、どんくりの里、針などでだべリングネタとして披露して頂けたら幸いです☆  

1. よく聞くメカニズム

ライダー界隈のダべリングや雑誌の記事の中で「空気圧を下げるとタイヤがたわんで接地面積が増えるんや~!」と聞いたことがあると思います。 これはイメージしやすいですよね。 空気の抜けたタイヤが潰れることで、地面と接地している面積が増えていることを目視できます。   おじさまは次にこう言います。 「接地面積が増えるからグリップも上がるんやで~!」 と。 しかし、ここが大きな間違いのポイントです。   だけどもだっけっど!! 多くのライダーが「空気圧を下げて走ると、グリップが上がったように感じる」ことは事実なのです。 この二つの事象について深堀りしていきます。  

2. 空気圧を下げてもグリップは上がらない理由

でははぜグリップが上がらないのでしょうか?  その理由を簡単に説明すると以下のようになります。 *詳しく知りたい方は↓

 

理由1. 面積が増えても荷重が低下する

摩擦力の公式はF=μmg [N]です。 F:摩擦力(グリップ) μ:摩擦係数 m:荷重 g:重力 タイヤの空気を抜いて、接地面積を増やすとグリップが良くなることを証明するには、mの荷重を大きくすれば成り立ちます。 μの摩擦係数は一定、mの荷重(ライダー+バイク車重)も一定、gの重力も一定ですよね。 つまり空気圧を下げたとしても、グリップ力Fは空気圧に関係なく同じである。 と言えます。  

理由2. 荷重によって摩擦係数は変化しない

次にちょっと物理を知っている人はこう言います。

エンスー
ゴムは弾粘性体だから、荷重が低くなるとμは上がるんだよ! そんなことも知らねーのか! ケッ"(-""-)"

  確かに、ゴム協会が発表している論文では、摩擦係数は荷重の-1/3乗に比例しているデータがあります。 またタイヤメーカー各社が発表している論文でも、荷重増加に伴って摩擦係数がわずかに低下している傾向が確認できます。 しかし、JAFが出している各車種毎に計測した実際の制動距離は、上記の傾向は全く当てはまらないのです。  むしろF=μmg [N]の公式の方がピッタリ当てはまる始末・・・ もちろん”試験”ですから、特定の条件で行えば冒頭の-1/3乗に比例する結果も得られることでしょう。   仮に上記試験結果がバイクやクルマに当てはまるとしたら、 重い車種ほどどんどん制動距離が長くなることになります。 が、ブレーキ性能キャパを超えていなければ、最短制動距離(フルブレーキ)に車重は全く関係ありません。

荷物20トン満載のトラック、空っぽにしたトラック、どちらも最短制動距離は同じです!! ※但し、ウェット路面、砂利などタイヤと路面の間に介在物が存在するとこの限りではない

 

制動距離を求める公式
  • クルマの運動エネルギー=½mv2=1/2x車両重量x速度の2乗
  • 次にクルマを止めるための、摩擦抵抗による消費エネルギー =μNL=摩擦係数x垂直抗力x距離 =μmgL=摩擦係数x車両重量x重力加速度x制動距離
  • 二つの式が釣り合った所でクルマは停止するので、以下の関係が成り立ちます。 ½mv2=μmgL
  • この式からL(距離)を計算すれば、制動距離を求められます。 L=(½mv2)÷(μmgL) =(½v2)÷/(μgL) =v2/2μg    ←ね!重量mが消えてるでしょ!?

※↑式の内容はともかく、ブレーキ性能のキャパ内且つ、DRY路面なら重さ(車両総重量)に関係なくフルブレーキしたときの最短制動距離は一定と言うことだけ覚えてください。 なんとなく重いほうが止まらないイメージがあると思いますが、それは制動力を必要とする為にブレーキレバーを強く握る(ペダルを踏む)必要があるため、距離も伸びるように感じます。  

3. 空気圧を下げるとグリップ感が増す理由

物理的にもグリップが増すことは無いのに、ライダーは「グリップが増した」ように感じます。  実際こんなことを言っているANDY自身も感じますよ!! 笑 (いや笑じゃないww) そして全国津々浦々に居る我々ライダー仲間のほとんどの方も同じように空気圧を下げるとグリップが増した! と感じていることでしょう。 そう感じるメカニズムの一つにこんな事が言えるんです。  

理由1. 転がり抵抗が増加する

空気圧を下げるとタイヤの転がり抵抗が増加します。 自転車も空気の抜けたタイヤでペダルを漕ぐとすごく重たいですよね?  バイクも同じで空気圧を下げるとタイヤの転がり抵抗が増加します。  

理由2. 抵抗増加によってスロットル開度が大きくなる

・バイクで60㎞巡行するとき、スロットル開度が10%だったとします。 ・タイヤ空気圧を下げると走行抵抗が増えるので、同じスロットル開度10%では55kmの速度しか出なくなります。 もし60㎞で巡行する場合は「10%+α」のスロットル開度が必要になります。 (よって燃費が悪くなる) ↑ココがミソ

理由3. たくさんスロットルが開けれるようになる

そう、空気圧を下げた状態で走行すると=走行抵抗が大きい状態で走行する事と同じなのです。 つまり今までと同じコーナリングスピードだとすると、スロットル開度が大きくなる。 ↓ すると、今までよりたくさんアクセルが開けられているので「空気圧を下げたらグリップが上がった!」と勘違いするメカニズムが成立するのです。  

理由4. グリップが増したように感じるサイクル

  1. タイヤ空気圧を下げる
  2. 走行抵抗が増加する
  3. 同じペースでスロットル開度UP
  4. 今までよりアクセルが開けられる!!(事実)
  5. グリップが上がったように感じる

基本的に上記サイクルでほぼ間違いないでしょう。 また、空気圧を下げるとタイヤがたわみ易くなります。 この事でタイヤの潰れるフィーリングを掴みやすく、安心感UPに寄与する事もメリットの一つと言えます。  

4. バイクに最適な空気圧とはどれだけか?

じゃいったい空気圧はどれがいいんだよ!! となりますが、どんなタイヤでどこを走るのか?で最適値も変わるので、参考にしてみてください。 バイクのレーシングスリックタイヤ

街乗りタイヤで一般公道を走る場合

基本的にバイクメーカー指定の空気圧がベストです。 メーカーはライダーの体重をライディングギヤ込みで約75㎏で設定しています。 もちろん小柄な女性など75㎏にはるか及ばない体重の方も多いでしょう。 その場合のアジャストの目安は体重10㎏に対して0.1kづつ調整してみてください。

  • 体重65㎏の場合は純正指定-0.1k
  • 体重55㎏の場合は純正指定-0.2k
  • 体重85㎏の場合は純正指定+0.1k
  • 体重95㎏の場合は純正指定+0.2k

調整幅は純正指定に対し±0.3です。 この幅を超えて調整したい場合は掛かりつけのバイクショップなどプロに相談して決めるようにしてください。 ※タイヤバーストなど危険な領域に入る場合があります。 お問い合わせページよりANDYに聞いていただいてもOK! ※内容は非公開ですからご安心下さい  

街乗りタイヤでサーキットを走る場合

純正指定から-10%の空気圧がおススメです。 指定が「Fr2.5、Rr2.9」の場合 → 「Fr2.2、Rr2.6」※冷間合わせ この場合は二人乗りは無く、またガチンコタイムアタックでは無いので、タイヤのたわみを多く得られる安心感を重視します。 サーキット走行会で楽しく走るには、高い安心感を重視して上記セッティングがANDYおススメ☆   もしタイムを狙うなら純正指定がおススメです。 参考 → 鈴鹿全開アタック!!スポーツタイヤS21vsRS2を徹底比較  

サーキット専用タイヤでサーキットを走る場合

タイヤメーカーが指定した空気圧で走行が原則です。 サーキット専用タイヤの空気圧責任区は、バイクメーカーでなくタイヤメーカーです。 なので必ずタイヤメーカーがこの空気圧で走行しなさい! との指定があります。 まずは体重に関係なく指定された空気圧で走行を開始し、練習内容、セッティングと共に空気圧を総合的に判断する必要がります。 でも最終的にはタイヤメーカー指定空気圧±0.1kの範囲に収まると言って間違いないでしょう。 このタイヤの場合は、タイヤメーカーのエンジニアがたくさんのデータを持っているので指定圧から0.1を超える場合は必ず相談するようにしてください。 きっと違った視点の参考になる回答を得られると思います。  

5. バイクのタイヤ空気圧のまとめ

空気圧を下げると、たくさんアクセルが開けられる事、タイヤのたわみを感じやすい事を理由に安心感が大きく向上します。 その結果「グリップが増した」と感じる事は間違いではありません。 安心感は増してもタイムが変わらない・・・ と言った結果の場合はこんな事も考えられるのです。   最近では美しい女性がSSバイクに乗る事も珍しくありません。 初めてSSに乗るとシートの肉は薄いしサスは縮まないし「めっちゃカターーイ!!」って感じると思います。 ましてや前傾セパハンなんて恐怖以外の何物でもない!!   そんな時はタイヤの空気圧も低めにセットすることで、足つき性が良くなる安心感、タイヤがたわみやすい安心感を作ってあげると、緊張もほぐれ易いと思います。   多くのライダーはタイム短縮を目的としていないはずです。 空気圧を下げることで安心感が増す事は事実ですから、自分のライディング、走行シチュエーションとセットでメリットを出す事につなげて、楽しさ&面白さ&乗りやすさがアップしたらうれしいです☆

Let's Fun! Ride! Run! Andy

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--コメント--
  1. YZF-VR46 より:

    初めまして、ちょっと前からブログを拝見させていただいているYZF-VR46と申します。
    タイヤ空気圧についてですが、私は2018年式のYZF-R6に乗っていまして、つい先日前後タイヤをミシュランのパワーGPへ交換しました。
    このタイヤはメーカーの説明では公道50%、サーキット50%のタイヤですが、こういったタイヤの空気圧設定はどうすればよいのでしょうか?
    単純に公道ではバイクメーカー指定空気圧、サーキットではタイヤメーカー指定空気圧、でいいのでしょうか?
    ミシュランのホームページではパワーGPのサーキット指定空気圧はFr2.1 Rr1.9となっています。

    • Andy より:

      サーキット走行では、ミシュラン公式発表の指定空気圧がBESTです。

      適正温度に達すればHotでFr2.4、Rr2.2くらいになると思います。

      サーキット専用タイヤに使づくほど低圧になる、
      街乗りほど高圧になる傾向です。

      パワーGPはその中間といった位置づけですね

      公道はバイクメーカー指定空気圧、
      サーキットはタイヤメーカー指定空気圧でOKです☆

  2. 暗黒大魔王 より:

    Andyさん初めまして。
    いつも動画・ブログ記事を興味深く拝見しております。
    今回「バイクのタイヤ空気圧を下げるとグリップが増すマジックの正体とは」の記事を拝見し、ヤマハトリシティを初めとする3輪バイクについて知見をお伺いしたくコメントを送らせて頂きました。

    私は今現在ヤマハのトリシティ125(ABS無しモデル)に乗っています。
    私が大学生当時、ヤマハが国内販売を開始した際に予約して購入したものですが、当時はまだフロント2輪の三輪バイクの特性が周知されておらず私も気になっていたので、納車当時からウェット路面やダート林道等様々な走行条件で走らせ、三輪の特性について体験しておりました。

    ※他に通常の2輪車としてCBR250RR(1990)、GSX-R750(2011)、WR250Rに乗っておりABS無し車両同士で比較体感してました。
    このトリシティは現在3万キロ、フォークオイル目視漏れ無し、ホイールベアリング点検済み問題無し、駆動系や吸排気、制動関係など走行に関わる部分は一切カスタムしておらず、タイヤに関しては2本目まで全輪純正タイヤ、それ以降は社外タイヤで後述の理由からリアのみフロント比でグリップが高くなるよう選択しています。

    巷では三輪だから安定感が増す、コーナーでも安心or速い、雨でも大丈夫など、タイヤが増えた分グリップも増しあらゆる面で好影響がある旨の意見が散見されていましたが、悪路も走行しての私の感想は全く逆のものでした。
    Andyさんが記事内で仰っていた「設地面積が増えればその分荷重が分散されグリップは変わらない」というのと同意見で、雨のコーナーやダート路面ではかえって荷重が抜け滑りやすくなるのではと感じました。(またタイヤが増えたことによる重量増と抵抗増、それを通常のスクーターと同じリア1輪で押さなければいけないことによるダートや雪面でのデメリット&リアタイヤの消耗も感じました。)

    フロントの重量・安定感から無意識にフロント頼りの乗り方になっているのか、ドライの舗装路でもリアが滑ることもありました。(例としては夏場の住宅街で一時停止の交差点にて停止状態からの右折でマンホールに差し掛かり滑った事があります。)

    路面状況の差などで片輪が滑ってももう片輪が耐えていればギリギリ破綻せずに済むという点ではまだ安全に寄与しているのかもしれませんが、上記のような理由から雨などの悪路では直線の場合は通常の2輪より気持ち楽にブレーキを握り込めるものの、カーブ等を走ることは怖く感じています。

    安定感についても、三点接地だから安定するという意見が多いですが、そもそも2輪と同様に傾斜する機構のためそれは間違いのような気がします。
    安定感を感じるのは事実ですが、それは足回りの重量物、傾斜機構(パラレログラムリンクや車輪・フォークの多さ)の慣性によるものでは?と思っています。
    またこの機構はパラレログラムリンクによる左右の動き+フロントフォークの合わせ技で路面のショック吸収をしているので、片輪のみがギャップを踏んだ時と両輪同時にギャップを踏んだ時の衝撃に大きな違いがある点、バンクさせた時と直立時で同じギャップを踏んだとしても角度の違いからパラレログラムリンクの動き幅に大きな違いが生まれ、公道などの路面ギャップが多い環境では危ない状況もあるのではないか、と考えています。

    長文になり申し訳ございません。
    マイナスな考えばかり書きましたが、それでもトリシティは楽しく乗っており今後も降りるつもりは無い良いバイクだと思っています。
    大型三輪のNikenが発売され、トリシティ300の発売も控えておりぜひここでAndyさんの三輪(フロント2輪)に対するご考察を伺えれば幸いです。
    よろしくお願い致します。

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