サーキットで良くあるタイヤトラブルとは?|パターンを知り安全な走行へ繋げる

こんにちは!MOTO-ACE-BLOGERの@Andyです。

いよいよ2018年レースシーズンも動き出しました。 MotoGPではチャーンサーキットでテストも行われ、SBKの開幕戦もあと1ヶ月と、直ぐそこに迫ってきました。Andyも今週末から練習走行スタートさせます。

地方選を戦うライダーは、メカニック兼ライダー兼チーム監督を兼任しているパターンがかなり多いと思います。 Andyが菅生、茂木の地方選を600で回っている時も同じ状況でした。

しかし、レースになると一人では何もできないので、友達にメカニックをお願いしていました。幸いな事にAndyの場合はなんとHRCのワークスメカニックが親友で同期、しかも仕事でも同じチームだったので、これ以上ないめちゃくちゃ贅沢な地方選ライダーでした。 (Kさん&S君ありがとうございます)
レースの時に手伝ってくれる仲間はこれ以上ないほど有り難い存在だと思います。 しかし人間ですから必ずミスを起こします。 そのミスを減らし、無くす為の努力もライダーに必要なライディングスキルです。

「あいつガーーー」とか「普通わかるやローーー」などと他責にし、そのライダーが長くレースを続けられず短命に終わってしまうパターンを数多く見てきました。

手伝ってくれる仲間のパフォーマンスアップもライディングスキルであると考えます。

サーキットでいつの時代も、どんなライダーへも起こり得る代表的なタイヤトラブルをまとめましたので、練習走行や、レース活動の安全確保に繋がれば嬉しいです。

 

1. チームHRCだってミスは起こる!!

HRCと言えば無敵艦隊を率いてスーパーメカニックが揃ってミスなんてあり得ない!! ってイメージがあると思います。  もちろん表立ったミスが無い事は事実ですがそれは小さなミス、トラブルを常に改善し続けている結果に過ぎません。

HRCのレース活動においていつの時代もミスは有ります。 しかしそのミスをしっかりと分析、解析し再発防止策を必ず立案&実行します。 このPDCAサイクルはとても早いです。

一例を上げると、1988年の鈴鹿8耐で、オイル不足によってエンジントラブルを引き起こしリタイアしています。 この年はピットストップ2回につき1回のオイル補給を行っていました。

しかしライバルにトップを先行されている状況で焦りもあったのでしょう。少しでもピット時間を短縮する為に「オイル補給不要」の判断が下され、コースに復帰。 ガードナーが走行中にエンジントラブルを起こしリタイヤとなりました。

このトラブル以降、Hondaのワークスマシンにはピットインした時にオイル量が確認でる仕様を持ち続けています。

一つの失敗から学び、次へ生かす事をずっと続けています。現在、当時のメンバーのほとんどは現場にいませんが、考え方は脈々を受け継がれています。 この事こそ強いチームを作る最も大切な事に違いありません。

 

2. サーキットでよくある人的ミスとトラブル集

誰にでも起こり得るトラブルをまとめてみました。 今後の活動で役立ててもらえれば嬉しいです。

トラブル1. タイヤが温まっていない

Andyの14年のレース経験の中で最も多いミスです。これはワークス&プライベーターに関わらず起こり得るトラブルです。 ん??  タイヤウォーマーがあるのに温まらないってどう言う事??

原因① ピットのブレーカーが落ちていた

レースになると様々なクラスのバイク、ライダーが集まりまり、天候が怪しい時にはレインタイヤも温めますよね。するとピット内の消費電流が多くなりブレーカーが落ちてしまうんですよ。 ほとんどの場合は誰かが気づくのですが、もちろん気付けない場合もあります。  ワークスやトップチームの場合は使用する電力も大きいので自前で発電機を準備し対処します。

原因② 電源プラグがコンセントに刺さっていない

しょっちゅうあるトラブルです。 おいおい!! コンセントに差さずして温められるわけ無いでしょ!! そんな事あるの!?  とお思いでしょうが、しょっちゅうあります!!

その真の原因には「親切心」が関係しています。 じつはサーキットへ手伝いに来てくれる仲間は「何か役に立ちたい」とモチベーションが高い方がとても多いのです。 まだタイヤウォーマーを巻くには早い時間帯であっても、「あとはコンセントを刺すだけの状態にしておこう!!」と思うんですね。(ヤル気に満ちているパターンにとても多い)

タイヤウォーマーが地面に転がっている姿をみて「巻いておいた方がいいよね!?」と思う訳です。 そして、タイヤウォーマーが巻かれている状態を見て、ベテランほど「温まっているように見える」錯覚に陥ります。

いざコースインの時ウォーマーを外したら・・・キンキンに冷えている。。。 って事になるんですね。 きっと経験があるライダーも多いと思います。

 

トラブル2. タイヤ空気圧調整忘れ

全日本トップチームでもたまに起こってしまうトラブルです。 Andyも経験があります。 タイヤ交換を行い、サービスから帰ってきた時、空気圧を合わせる事無くパンパンのままタイヤウォーマーを巻いてしまい、パンパン激熱タイヤの出来上がり。  もう立ち上がりで真横を向くほど滑るのでハイサイドで飛びそうになります。

なぜこのトラブルが起こるのか!? 分解して考えます。

原因① 担当者が決まっていない

レース当日になると、応援してくれる仲間や手伝ってくれる仲間がサーキットまで来てくれます。普段の練習走走行から帯同してくれている訳ではないので、誰が空気圧チェックをするのかが決まっていないまま、全員が「誰かやっているだろう」とお見合いしてしまい、ノーチェックのままコースインしてしまうパターンです。

原因② ライダー自身が調整を忘れる

レースになると所帯が大きくなりライダーも様々な雑務をこなす必要があります。空気圧を前だけ調整してRrを調整しようと思ったらブリーフィングを忘れていた事に気付きダッシュ!!  そのままRrタイヤは誰も調整する事なくレースを迎える・・・

 

トラブル3. タイヤローテーション逆組み

これもまれに見る、めずらしくないトラブルです。全日本などタイヤサービスを利用している場合は少ないですが、それでも逆組み状態で渡される事もあります。 ですから必ず毎回確認します。

 

トラブル4. シール貼りっぱなし

地方選手権のコースインでよく見かけます。シールを剥がすと粘着糊がタイヤに残る事をイヤがり「後で剥がそう!!」と思って忘れるパターン。 これはかなりの頻度で見かけます。

 

3. タイヤトラブルを防ぐ方法

では空気圧調整を忘れたり、温まっているように見えてキンキンに冷えた状態を防ぐ為にはどうするか??

サーキットタイヤの完成形を知ってもらう事で防ぐ。

これに尽きます。 3分で教えられるので手伝いに来てくれた全員にライダーがレクチャーします。

サーキットタイヤの完成形
1. タイヤローテーションの確認
2. タイヤコンパウンドの確認
3. タイヤK点マークの確認
4. タイヤ空気圧の確認
5. タイヤ空気圧を合わせる
6. タイヤウォーマーを掛ける
7. タイヤウォーマーのコンセントを刺す
8. 温間空気圧を確認する

レース用タイヤを走れる状態にするにはこの8つの確認を終えてタイヤが完成です。
ですから、ウォーマーコンセントが刺さってない場合は、もう一度1から8までの確認作業を順に行います。

なぜなら、タイヤ完成形になる前の途中で作業が中断してしまっているからです。
つまりもしピットにいる仲間が「コンセントの刺さってないウォーマー」を見つけたら、正常な状態ではないので、タイヤ担当若しくはライダーまで連絡が欲しい。

と伝えておけば、レース当日初めて来た人でも気付く事ができます。 人数が多いと作業漏れを起こしやすい状況になります。 しかも多ければ多いほど作業漏れは起こりやすくなります。

大人数のリスクを承知した上で、集まってくれた多くの目をトラブル防止に繋げる事のできる方法です。「誰々が空気圧の設定ミスった!!」と言っているライダーは速くなれません。 そのチームに所属している、そのライダーの実力が現れているだけなのです。

これからレースが盛り上がって行くには、サーキットで手伝ってくれる仲間が欠かせません。そしてどんな時も初めて手伝いに来てくれる仲間が居るハズです。

初めてピットに来てくれた仲間はきっとヤル気に満ちていて、でも「サーキット」ってだけでどこかドキドキしてしまって何をしたらいいのか分からない。  そんな仲間にはまず「正常な状態・異常な状態」の差を理解してもらう事からスタートすると、お互いに分かり易いと思います。

4. HRCで実施している工夫の一例を紹介

ディスクインナーの色を変える事で、タイヤ交換の時左右(タイヤローテーション)を間違えずに組付ける事ができます。

なぜ色を分けるのか? それはメカニック以外の第三者が間違いにいち早く気付ける環境にする為です。

もちろん装着するメカニックが間違えないようにする事はもちろんですが、ミスが重なる事も想定します。8耐のタイヤ交換の時、メカニックはタイヤを真上から見ている為ローテーションの確認ができません。

ライダーのピットインまで残り30秒の時には、ピット前でタイヤ交換の準備が完了しています。その時にピット内からセットしたタイヤの向きを確認する事ができます。

そしてタイヤ交換が完了した時、青のインナーが見えていたら「GO!!」サインが出されます。
万が一「赤」のインナーが見えていたら逆であると気付けるので「STOP!!」と判断できます。

ワークスはピットに何人もの目があります。 そのたくさんの目を使ってミスを防ぐ事ができる仕組みを創り上げています。

もし、インナーの色が同じであれば、作業担当者しか間違いに気付く事ができません。 しかしピットに居るメンバー全員に、「正常な状態は青! 間違っていたら赤!」と連絡しておけば、全員が間違いに気付く事ができ、未然にミスを予防する事ができます。

こういった工夫で「ミスゼロ」を目指しています。人間は必ずミスをすると言う前提に立って仕組みやルールで簡単且つ安く解決する方法を模索します。

 

5. サーキットのタイヤトラブルまとめ

やはり、サーキットという環境ならではの確認項目の多さがミスを誘発すると思います。バイク店でタイヤ交換した後にタイヤローテーションや、シールの有無などを確認している街乗りライダーはほとんど居ません。

しかしサーキットの場合はそこまで確認しなければなりません。 いつの時代もチーム内での考え方や、やり方に起因するすれ違いは必ず起こります。

その結果、安全でないマシンが出来上がってしまい怪我に繋がるのではお互い面白くありません。そして安全なマシンが増えれば、その結果は走行するライダー全員の為にもなります。(つまりAndyもありがたいんです。)

怪我をキッカケにしてレースを引退してしまうライダーが多いのもまた事実なんですよね。 せっかくやる気があっても家庭の財務大臣(ヨメさん)からの許可が下りなくなるパターンも多いです。(ヨメは居ませんが、全国のヨメさんがそう思う気持ちは理解できます)

やっぱりそう言う理由でレーシングライダーが減ってしまうのはAndyとしても、とても悲しいんですよ。レース全体が盛り上がるには、地方選やローカルレースの盛り上がりが不可欠ですからね!!

地方選ライダーのお役に立てれば嬉しいです!!

Let's Fun! Ride! Run!
Andy

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