バイクのリアタイヤを太くするとグリップが上がる!と言う勘違い。

 

バイクのタイヤ交換時期が近づいてくると、用品店や世話になっているバイク屋へタイヤ交換の為に行く事になると思います。沢山のタイヤメーカーがあり、沢山の種類があり、沢山のサイズがある中でBESTなタイヤを決める事はなかなか難しいのではないでしょうか? 今回は、「Rrタイヤサイズ」に焦点を絞って情報をシェアしたいと思います。 特にリアタイヤのサイズを大きくしたいな・・・? と考えているライダーの方にメリットとデメリットを理解してもらいタイヤ選択が更に楽しくなってもらえれば本望です。

1. タイヤサイズ表記を100%理解する

 

タイヤ表記①.  全体表記を理解する。

サイズ表記は全タイヤメーカー共通です。

タイヤのサイドウォールに記載されています。

バイク用タイヤのサイズ表記表記内容の意味合いはこのようになっています。

 

次にこの数字の意味を分解するとこのようになります。

タイヤ表記の意味

・『190』=タイヤ幅が190mm

・『55』=扁平率55% (タイヤ高さ=幅190mmx0.55=104.5mm)

・ZR=速度記号。最高速240km/h以上のラジアルタイヤと言う意味になる

・17=タイヤ内径(ホイール径)が17インチである。

・M/C=Motor Cycleの略で二輪用タイヤと言う意味。

・(75W)=75はロードインデックスで、387kgの荷重に耐えうる。

・(75W)=wは速度記号で、最高速270kmまでと言う意味。

・(75W)=( )表記がある場合は270kmを超えるという意味に変わる。

 

 

 最高速度が270km/hを超えるタイヤの場合は構造を示す部分に“ZR”、荷重指数と速度記号の部分に。かっこ付“W”を適用します。(例:(73W) かっこを付けると、“そのスピードを超える”という意味になります。この例の場合はタイヤの最大速度はW=270km/h、を超える、という意味です。)

この中の数字の、「タイヤ幅」と「偏平率」に絞って理解を深めたいと思います。 近年のリッターバイクのリアタイヤサイズは、このサイズの中にあります。ハーレーなどのアメリカンバイクも同じサイズがありますが、今回はスポーツバイクに限って話をしたいと思います。

 ・180/55ZR17MC (73W)・・・600ccのSS車、Bigネイキッド系に多いサイズ

・190/50ZR17MC (73W)・・・ハヤブサ、R1000、CBR1000RRの純正サイズ

・195/55ZR17MC (75W)・・・近年の1000ccスーパースポーツに多いサイズ

・200/55ZR17MC (78W)・・・R1-M、Ducatiなど少数のスパルタンマシンサイズ

 

・ZRX1200Rのようにリッタークラスのネイキッドオーナーならきっと190サイズを入れたいな~・・・。

・CBR1000RRのオーナーなら50→55偏平ってどうなの??

・R1や’2017のR1000、10Rのオーナーなら200/55ってどうなのよ!!??

ってライダー全員1ランク大きいタイヤサイズの事が気になって気になってしょうがない!!  とのリサーチ結果が出ております。 *Andy調べ

サイズ変更にともなう、メリットとデメリットをしっかりと理解した上でタイヤサイズを選べば走りやツーリングそれぞれの世界が広がりライディングも楽しくなるとは間違いありません。 今回はこの4種のタイヤに絞って話を進めていきます。

タイヤ表記②.  偏平率について理解を深める

50偏平、55偏平、最近は180/60なんて偏平率も登場してきました。 この偏平率をおさらいしておきます。 偏平率を制すれば、車高計算もできるようになります!

扁平率の求め方
偏平率 = タイヤ高さ ÷ タイヤ幅 × 100

バイク用タイヤのサイズ表記

上記の式で求める事ができます。

仮にタイヤ高さが60mm、タイヤ幅が150mmのタイヤがあった場合、60÷150×100=40となり、扁平率は40です。

日本語にすると、扁平率とはタイヤ幅に対する高さの割合です
190/50(%)の場合、タイヤ高さは横幅190mmの50%(半分)ですよ!となります。

高さは190mmの半分で95mm(190×0.5)となります。

 

 

タイヤ高さ早見表

 

タイヤサイズ計算式高さ(mm)
180/55180x0.5599
190/50190x0.5095
190/55190x0.55105
200/55200x0.55110

この「タイヤ高さ」に、「ホイール径の1/2」を足すと、タイヤ半径(Rrアクスル高さになります。) この高さが様々な運動性能や、取り回しに影響してきます。 17インチホイールの場合、半径は17x2.54=43.18cm。 半径は43.18÷2=21.59cm

この21.59cmという数値にタイヤ高さを足せば、Rrタイヤのアクスル高さを求める事ができます。

21.59mmと言う数値は非常に便利なので覚えておいてください。

これで、タイヤ表記の数字から、幅、高さ、アクスル高さまで求めるスキルが身につきました☆

2. タイヤの各部名称を知る

タイヤの名称はこのようになっています

この画像はピレリより引用させて頂きました。 タイヤは大きく3つの部位に分ける事ができます。

タイヤ各部の名称

トレッド・・・アスファルトと接触する面。

サイドウォール・・・タイヤサイズ、メーカーなどの表記があり、アスファルトと接触しない部位。

ビード・・・タイヤをホイールリムに密着させる為のワイヤーが入った部分。

 現在のラジアルタイヤの特徴とは!?

・トレッドは、旋回性を高めるために高剛性です。

・サイドウォールは、接地感を出すために柔らかく潰れます。

ラジアルタイヤの大きな特徴は、トレッドとサイドウォールの剛性を個別に作り分けられる事です。

 

バイアスタイヤは、なんといってもコストパフォーマンスの高さにあります。 同じサイズであれば、バイアスはラジアルの半値近いのが一般的です。 その理由はトレッドと、サイドウォールの剛性が同じ事にあります。(剛性に変化を持たせる事ができません。) トレッドと、サイドウォールは同じ構造、同じゴムで製造されています。(一部特殊モデル除く) なので製造工程が簡略化でき安価につくる事が可能なのです。

3. 自分のバイクのリム幅を知る

 

実はタイヤサイズを決める重要な要素にリム幅があります。 クルマのタイヤ選びをする方なら、オフセット、扁平率、リム幅の3つのバランスを考えないとボディにタイヤが当たってしまうので、一般的ですが、バイクの場合、愛機のリム幅を把握している方は少ないと思います。  *実はとても簡単。

ホイールの各部の名称。オフロード用は部品が分かれていて理解しやすい。

オフロード用ホイールが部品名称を理解する上で分かり易いので例にとります。

  • リム・・・黒いリング状の部品で、タイヤが装着されます。
  • スポーク・リムと、ハブを連結します。
  • ハブ・・・スプロケットやブレーキディスクが装着される中心の部品

余談ですが、たまにニュースで言われる「ハブ空港」とは、この部品のハブの見た目が語源になっています。様々な航空路線が1ヶ所の空港に集まる様子が、沢山のスポークが1つのハブに繋がっている様子と同じと言う訳です。

・純正タイヤサイズが180/55の場合、リム幅は5.5インチ。

・純正タイヤサイズが190/50以上の場合、リム幅は6.0インチ

 

この2種類しかありません。*一部例外を除く

リム幅①  5.5インチの適正タイヤ幅は180mm

CBR600RR、YZF-R6、GSX-R600、ZX-6Rなどの600ccスーパースポーツバイクは全てリム幅5.5インチです。

ZRX1200、CB1300、XJR1300などのリッターネイキッドもリム幅は5.5インチです。ここでタイヤメーカーのカタログを見て下さい。

リム幅5.5-6.0と表記してあります。

幅180のタイヤの適用リム幅は5.50~6.00インチと記してあります。 ?? ならリム幅6.00ののホイールにも装着可能って事でしょ!?  と勘違いしそうですが、そうではありません。 もちろん、6.00のホイールに180タイヤを装着することは問題ありません。

問題無いと言うのは、チェーンとタイヤが干渉したり、強度的に不具合がありませんとかそう言う事を意味します。

 

私個人としてはNGです。 その理由は・・・??  180/55タイヤの開発は、リム幅5.50インチのホイールを使用して開発している。 これに尽きます。

昨今の高性能ラジアルタイヤは、各メーカー力を入れて開発合戦を繰り広げています。 このメーカーは極端にグリップしない! なんて事はありません。タイヤメーカはグリップをキープしたまま、良いフィーリングを得る。とか、グリップをキープしたままライフを伸ばす。などグリップ+αを開発しています。 そこでフィーリングの大きな要素となるのが、タイヤプロファイル。言い換えると、適正空気圧の時の、タイヤのカタチです。

ブリヂストン RS10のプロファイル

タイヤプロファイルのイメージ

当たり前ですが、タイヤを設計するにあたっては、図面が存在します。 タイヤメーカーは、自社以外のタイヤも静的、動的なテスト、データ取りなど様々な比較テストを実施します。 設計 ⇆ テストを繰り返す中でタイヤの性能を向上させていきます。

その中で、リム幅が変わってしまうと、タイヤのプロファイル(タイヤの形)が大きく変わってしまいます。 ブリヂストンのRS10のプロファイルイメージは、狙いのリム幅において微妙に変化させています。  もし、リム幅を5.50→6.00へ変更した場合、リアタイヤは高さが低くなって横に広がり、ペッタンこな形に変形してしまいます。 設計 ⇆ テストを繰り返し開発された理想のタイヤ形状を自ら崩す事になってしまいます。

 

リム幅②  5.5インチに190サイズを入れるとどうなる?

CBR600RR、YZF-6R、ZRX1200やCB1300オーナーの方は純正サイズが180/55です。 Rrを太くして見た目をゴツく見せたい! と思っているライダーは多数居らっしゃいます。 結論から言うと、メチャ乗りにくくなるのでNGです。 なぜか?

乗りにくくなる理由

・タイヤが、狙い(設計値)より狭い幅になり、理想のプロファイルにならない。

・エッジ部(フルバンク)付近の形状が廻り込む事になり、フルバンク付近が安定せず怖い

・タイヤ重量が増加し、ハンドリング悪化

・タイヤ重量が増加し、燃費悪化

 

 

190幅のタイヤは、リム幅6.00インチのホイールで開発されています。 5.5インチ幅のホイールへ物理的に装着する事は問題ありません。(不具合は無し)

しかし、上に記したようにタイヤのプロファイル(形)が狙いの形より狭いホイールへ装着されるので、タイヤの幅が狭くなってしまい、エッジ部分が回り込んだような形になってしまいます。

更にはサイドウォール部の角度が狙いの数値から外れてしまい、良いフィーリングも得られません。具体的には、バンク角が深くなるにつれて倒れ込むようなフィーリングになります。 一般公道においてバンク角が深いのに倒れ込むなんて怖くて走れません。

タイヤ本体の重量も増加しますからストレートスピードもロスします。コーナーは怖い。ストレート遅い。でも見た目はほんの少〜〜し太い事が良い。   メリットに対するデメリットが多すぎてトータルのバランスで考えた時には「ナシ」です。

 

リム幅③.  ネイキッドバイクはワイドリムを選択する

ネイキッドオーナーの方で、ど〜〜してもRrタイヤを太くしたい!! と言う方は大多数の意見です。 その時は、ホイールをカスタムホイールにし、リム幅を5.50→6.00へ変更する事をオススメします。(いや絶対。) カスタムホイールで有名なゲイルスピードや、マルケジーニ、OZなど、リム幅6.00がラインナップされています。

こうすれば、タイヤの性能をスポイルする事なくサイズアップが可能で、見た目&性能ともにバランスさせる事ができます。 注意点として、タイヤが太くなるとチェーンラインとの干渉する可能性が出てきます。 実力のあるショップと相談する事が得策です。

但し、エンジンパワーを上げる必要があります。 社外ホイールを入れて軽量になる分を、サイズアップしたタイヤ重量の増加でほとんど変わらない重量になります。 回転中心から最も遠いタイヤの重量が増えますから、同じ重量だったとしても慣性モーメントが増加してしまいます。 それに打ち勝つには排気系の変更などでエンジン出力増加を図る必要があります。

3. 190/50 →190/55に変更するとどうなるか?

この場合、どちらもリム幅6.00インチで開発されているので、タイヤのプロファイル的には全く問題ありません。 特にCBR1000RRと、GSX-R1000は純正が190/50なので、気になるところだと思います。

メリット

・寝かしこみが軽くなる。

・Rrタイヤの旋回性が高まり、全体の旋回力が強まる

・Rrタイヤが半径10mm大きくなる為、キャスター角が立って旋回力が高まる

 

デメリット

・直進安定性が劣り、2人乗りしづらい。

・タイヤ重量増加により、実重量及びジャイロモーメント増。切り返し等で重い

・タイヤ高低差が大きくなる為、(トンがりタイヤになる)バンクスピードが速く慣れが必要

・チェーンリンク数を変更すると、タイヤ外径が大きい為干渉する可能性がある。

・足つき性が悪くなる。車高10mmUP(タイヤによって変わります)

・タイヤ外径が大きくなる為、メーター表示が狂う

上記からわかるように、走行性能に関する性能が大きく向上します。 しかしそれに伴って足つきや燃費などの性能をスポイルしてしまいます。 高速道路でのレーンチェンジは楽にできますが、マシンが敏感に反応するので長距離走行は疲れやすくなります。

190/50 → 190/55 へのサイズ変更は、走行するシチュエーションと、性能向上させたい目的を良く照らしあわせて考えると良いと思います。

見た目だけを重視する事ももちろんOKですが、それに伴って失う性能も併せて検討してみて下さい。因みに、我が愛機のレプ男は、現在190/55を入れています。 空気圧はRr指定-0.2のRr2.7k、Fr指定+0.1の2.6kに合わせて、簡易的な車高補正を行っています。

4. 200/55ってどんなタイヤ?

YZF-R1M、S1000RR、Ducati SBKマシンなど、一部のハイエンドモデルで標準装備される事が多くなってきたタイヤサイズです。 このサイズは標準リム幅6.00-6.50となっていますからモンスター級です。 このサイズを開発しているリム幅は6.00です。 なので、CBR1000RRに装着する事も可能です。

ズバリ! バイクの運動性能を極限まで追及したタイヤであると断言できます。なので各メーカーハイエンドモデルしかこのサイズを標準設定していません。STDモデルのYZF-R1は190/55サイズですから、更に太くでデカいなんて!!

峠道やサーキット走行では、バチバチに乗りやすいです。 クルっと曲がってくれます。 しかしそこにたどり着く道中はとても乗りづらいです。 元が軽い車体がタイヤでも軽さを出す訳ですから、タイヤが冷えた秋の早朝、近所の交差点はとても怖い事は容易に想像がつきます。

イメージ画像からしてサーキットなDucati SBKマシン

伊豆スカイラインや、ビーナスライン、龍神や六甲など、ワインディングではノーマルでも十分過ぎる程の戦闘力がります。 しかしこのマシンで長距離ツーリングしているライダーを見かけた事がないのは自分だけ・・・??

以前、Ducatiのデスモセディッチで伊豆スカイラインを走った事があります。 マシンのセッティングと仕様、作り込みがすべてサーキット向けと言っていいほどスパルタンなマシンでした。伊豆スカでは気持ち悪い程に良く曲がりますし、トラクションも掛かる。軽い車体でブレーキも良く利くのですが、伊豆スカまでの道中は問題です。 シートのアンコ(お肉)が無くてオケツがちょーイタイ! サスが硬くてオケツがちょーイタイ!! 振動がすごくて(環八の低速)テクビがちょーイタイ!!! 二度とツーリングには乗りたくないバイクです。(誰かが伊豆スカまでトランポで運んでくれるなら喜んで乗る)

CBR1000RR等の純正サイズが190/50のマシンに200/55を入れると、Rr車高が15mmも上がってしまいます。 タイヤプロファイル的には全く問題ありません。 が、そのままではキャスター角が立ちすぎてしまいます。 キャスター角を適正値に保つにはRr車高をクッション長で4~7㎜程度下げなければなりません。 更にフロントフォークの突き戻しも必要です。  これらを実行できる知識と作業環境、マシン仕様が整った上級者であれば、TRYする価値は大いにあります。 運動性能以外は全てスポイルですから色んな意味で覚悟が必要ですw

5. タイヤが太いとグリップが上がるのか?

やっとここまで辿りつきました。(結論がおせーんだよ!と言われているのは知っているつもりです・・。)

もう一度、タイヤサイズの表を見てください。今度はバイクでなくENG出力を入れてみました。法則めいたなにかが見つかりますか?

 ・180/55ZR17MC (73W)・・・600ccのSS車、100~130馬力

・190/50ZR17MC (73W)・・・CBR1000RR等、180~190馬力

・195/55ZR17MC (75W)・・・190~200馬力

・200/55ZR17MC (78W)・・・200馬力オーバー

エンジン出力が高くなるにつれて、タイヤサイズも大きくなっています。実はタイヤサイズはエンジン出力と密接な関係があるんです。

結論=タイヤを太くするだけではグリップ力は上がらない

いままで、「太くすると接地面積が増えるからグリップ力が増すのだ!」と言っているライダーを何人も見てきました。 高校の時、物理の授業を寝ずに学習していれば、それが間違いである事はすぐに分かりますよねw

この黄色い荷物は同じ物です。 横倒しの状態と立てた状態ではどちらが軽く運べるでしょうか? という問題ですが、結論は動かす為に必要な力はどちらも全く同じです。 教科書にはこうあります。

物体と物体の摩擦力は、その接触面積にはよらず、荷重に比例する。
そして、摩擦力(F)=摩擦係数(μ)×荷重(P)である。

 

グリップ力は摩擦力の事です。上の式を見れば分かる通り面積はグリップ力を変化させる要素ではないのです。 つまり、タイヤを太くして面積を増やしても、掛かる荷重が同じであれば、単位面積当たりの荷重が減る為、グリップ力は変わらないのです。

 *実際のタイヤは、弾性体なので、上記公式はピッタリ当てはまりません。摩擦係数μは、同じ荷重なら接地面積が広いほど高くなります。(つまり一定ではない)しかし、モーターサイクルの場合、面積を広げμが高くなった分グリップが向上するかと言えばそうはなりません。

もし計算式の通りになるとすると、タイヤの太いRrタイヤからスリップダウンする事は、あり得ない事になってしまいます。

 

コーナリング

コーナリングの時の荷重は、重心に働く遠心力です。をれを受け止めているのがタイヤです。 遠心力は車重で決まりますから、人間は何もコントロールできません。 設置面積が増えてもグリップ力は全くかわりません。

 

コーナー立ち上がりでアクセルON

この時はアクセルでタイヤへ与える荷重をコントロールできます。接地面積が増えた分アクセルで荷重を与えてやればグリップを増加させる事ができます。

上の図は、細いタイヤは350Kgの荷重をかけた辺りから、グリップがリニアに上がってくれなくなります。
太いタイヤでは、400Kgの荷重をかけた辺りまで、グリップがリニアに立上がっています。
400Kgの荷重をかけた時には、太いタイヤの方が摩擦力(グリップ)が大きくなりますが、350Kg以下の場合はどちらも変わらないことになります。

つまり最大荷重に対して、図の線形に近いグリップを発揮してさえくれれば、それ以上太くしてもメリットはありません。むしろ転がり抵抗や重量増、などのロスの方が増えてしまいます。簡単に言うと、エンジンの貴重なパワーが喰われるわけです。レースにおいては貴重な燃料を捨てている事になります。

グリップ限界が荷重の増加によって、わずかに上昇します。この時はタイヤが太い方がグリップするのです。

しかし、バイクの場合グリップが増加するのは限られたごく一部の車体姿勢の時です。フルバンクしているような状態ではグリップは増加しません。 ストレートなどバイクが直立してしまうと、こんどはウィリー限界が先にきてしまいグリップ増加させたところで意味がありません。

ちょうどこの写真のようなバンク角の時は、バイクがウィリーせず、フルバンクでもなくグリップを増大させる事のできる瞬間と言えるでしょう。

なので、タイヤメーカーはこの一瞬を狙ってタイヤ接触面を一時的に増加させグリップを増す事はできないか? と言う事の研究を日々重ねています。 だからこそタイヤ空気圧は、狙いの性能を発揮する意味でも適正な値(圧力)が絶対必要なのです。

サーキットの空気圧記事

鈴鹿サーキットでCBR1000RRでレースをする場合、デグナー2コ目、ヘアピン立ち上がりでギヤ1速アクセル全開になります。 この駆動力と車重と遠心力の合力でタイヤへの荷重が決まります。もちろん、物理の法則ですから計算値から求める事ができます。 その法則をキッチリ計算して導き出された答えの一つにリム幅があります。

サーキットでは、おいしい領域をキープできる、最も細いタイヤが一番速く走れるのです。 ですから純正サイズは本当に良く考えられている事は間違いありません。

6. まとめ

タイヤを太くしただけでは、グリップは上がらない。

・リム幅によって、最適タイヤ幅が異なる

・5.50インチ→180幅のタイヤがベストマッチ。

・6.00インチ→190、200幅のタイヤがベストマッチ

・グリップよりも、タイヤ形状によるメリットとデメリットの方が大きい

・190/50→200/55はディメンション変化が多き過ぎる為、前後の車高調整がMUST

 

ガチンコレースを走るマシンはタイヤは市販車より大きなタイヤです。 それは路面μが高く、グリップ力の高いタイヤ、パワーのあるエンジンを考慮した中で、最も細い物を選んでいるのです。 更に、フレームは市販車から変更できませんから、ディメンションが狂わないよう、前後車高調整が可能で、それを理解するメカニックに支えられています。

レーサーRrタイヤの太さだけを真似ても、性能やグリップ力を高める事はできません。

ワインディングを気持ちよく走って、かつツーリングも辛うじてイける(ツライけど)のは190/55がBESTと考えます。 (できればRr車高を調整してキャスター角をキープしたい)

同じように600ccで180/55→180/60へサイズアップするのはワインディング走行向を楽しめる変化量なので「アリ」です。

タイヤサイズで迷っているライダーのお役に立てれば幸いです。 何かご質問があればお気軽にコメント欄または、問い合わせへご連絡下さい。

 

Let's Fun! Ride! Run!
Andy

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--コメント--
  1. にわけん より:

    このエントリーもメリット/デメリットが併記され分かりやすかったです。有難うございました!
    1000㏄クラスだと純正190/50より190/55をお勧めするタイヤショップがありますが、最後は乗るライダー側の判断ですね…。

    • Andy より:

      にわけんさん コメントありがとうございます!
      タイヤショップからどんなシチュエーションで走るか? を把握していれば問題ありませんが、ただただ1000ccクラスはコレがイチバン! と言うような凝り固まった考えなら違う人からアドバイスをもらった方が良いですね♪ 見た目が大きい方がゴツく見える事は確かですが、その裏に隠された性能を本来は見なければいけません。 目的と性能を比べた上で選択したタイヤがBESTです! 太いとイイ訳ではありません♪♪ またにわけんさんのお役に立てる記事を書けるようガンバリマス!

  2. さーやん より:

    ご無沙汰してます。
    いつも記事の更新楽しみにしております。
    私も190/50R17から190/55R17に変更したところハンドリングの変化には驚いた経験が有り、なるほどなと思いました。
    そして、タイヤの太さは立ち上がりの一定条件での効果の為との事で「そういうことか!」と納得させられました。
    そこで、お伺いしたいのですが、タイヤの太さは馬力によって決まる事が多いとの事で理解したのですが、私のバイク(VTR1000SP2)は130馬力少々で190/50R17というのは、馬力を上げること前提に設計されているのでしょうか??
    お時間がある時にでもご教授願えればと思います。
    よろしくお願いします。

    • Andy より:

      さーやんさん  コメントありがとうございます!
      あれ? 私どこかでお会いしてましたっけ!?  (忘れてたらゴメンナサイ!)

      もうバリっバリにパワーアップ前提で設計されています! たんてったって当時はレギュレーションがスーパーバイク仕様でしたから、ピストンやコンロッドまでレース専用のKit設定がありましたからね!
      当時は4気筒は750cc、2気筒は1000ccと言うレギュレーションでしたから、量産開発とレーサー開発と同じチームが行っていましたね。

      開発メンバーもカリカリにトンガッてるコワーーーイ先輩ばかりでした・・・。(ナイショ!w)

  3. ななし より:

    接地面積が異なる場合の摩擦係数μが同じ前提で書かれてますが。何故でしょうか。
    いわゆる高校物理(接触面が磨き上げられている状態)なら通用するのかもしれませんが。

    • Andy より:

      ななしさん コメントありがとうございます。

      そこまでの翻訳を必要とする解説では無い事が理由です。 例えば摩擦に関しても正確にはヒステリシス摩擦、粘着摩擦、凝集摩擦、などがありますが全てを詳しく解説していません。
      プロへ向けた記事であれば、そこまで書く必要があると思いますが、アマ&セミ向けに翻訳し書いているつもりです。

      分かり難ければ、私の文章能力、表現力が低い事の裏返しですので、もっと理解して頂けるよう改善致します。

  4. hiroshi より:

    はじめまして。なにげなくタイヤについて検索してお会いする事出来ました。突然のぶしつけ恐縮ではございますが、数年のブランクで、R6(08)のフロントタイヤのエッジまでなかなか使えない状態に陥りました・・・。推奨値1.9だったと記憶していますが純正サイズ(前後)には変更なく、BS10R。タイヤ表面はリアがボロボロで、フロントは綺麗なくらいのほぼ溶けましたレベル。エッジまでの約5mm(溶けてない部分)。曲がっているときは寝込んだ気でも、進入時の方向が決まらずだらだら寝ながら、肝心のアクセルポイントで終了。何だこれの連続です。低レベルな書込みに申し訳なく思いつつも、打ち明ける場所なく書いてしまいました。勿論サーキットでの事。この状態を抜け出すには時間が掛かりそうです。何かアドバイス頂ければ幸いです。リム変更なく、フロント突出し、イニシャル共に基準値。ステダン(8/20)なのでステアへの影響は小と感じ、身長に合わせ、ハンドルたれ角変更。グリップ感あるものの、結果曲がらず・・・あれって毎日です。

    • Andy より:

      hiroshiさん コメントありがとうございます。

      「フロントタイヤのエッジ残り5mmを使いきる」為にはどうすべきか?という形で書きたいと思います。

      まず最初にすべきは、[marker]「残り5mmの事を完全に忘れる」[/marker]事が必要です。 残り5mmが無くなる事は、安定してライディングできた”結果”になるからです。 5mmを無くす事を分解して整理する必要があります。

      今後の課題としは、「冷静な状態を保ってコーナリングスピードを上昇させる事」が必要です。
      *目的は5mmを減らす事ではありません。ラップタイムを短縮が目的です。

      やはりブランクがあると、今までと全く同じスピードで走る事は難しいです。 すこしづつ感覚を取り戻しながら徐々にスピードを上げていくと思います。 しかしあるタイムになるとそれ以上短縮できません。「アレ?今までよりも〇秒も遅い!!」おっかし~な~。。。 もっとイケたのに。。となってしまいます。

      しかしそれはその日その時の限界なんですよね。 仮にベストタイムより4秒遅いタイムで安定してしまった場合、その日に4秒縮めようとすると必ず転倒します。

      ライダーの敏感なセンサーが働いてそれ以上いかないようにしているんですね。つい焦ってしまうのですが焦っても何も良い事はないので、冷静にならなければいけません。

      次に、なんで〇秒もおそいんだろ?? 前と何が違う?? との疑問が湧きます。 ここが理解できないのでなんでこんなに遅いの????  と分からなくなってしう理由です。

      その理由は「コーナリングスピードが遅い」事に尽きます。 

      コーナリングスピードが遅いので、最高速が低下する。(初速が低いので当然)
      コーナリングスピードが遅いので、長いブレーキングが必要。(ブレーキポイントが手前になる)
      コーナリングスピードが遅いので、平均時速がガッツリ下がる。(最もタイムを支配する要因)

      コーナリングスピードが遅いだけでサーキットにおいて3つも遅くなる要因を引き連れてしまうのです。しかしライダーは人間ですから、〇秒遅い時も、ベストラップの時も「めっちゃ頑張った!!、メッチャ攻めた!!」と言う気持ちは同じレベルになります。

      この気持ちと、コーナリングスピードの低下のギャップが、「なんでこんなに遅いんだろ??」となって頭に浮かぶ訳です。

      サーキットにおいて最高速の善し悪しがタイムに影響を与える割合はごくわずかです。(ほとんど影響がないと言っても過言ではありません) ラップタイムはサーキット1周の平均時速で決まりますから、最も大きな要因は何と言っても「コーナリングスピード」です。

      では、ブランクがある場合におススメのセッティングは何か?
       →安心感を高める為に、「前上がり、尻下がりのセッティングで練習」走行する事をおすすめします。

      現在はタイム短縮というより、「サーキットへの(スピードへの)慣れ」を養うべき時期と推察しました。であれば、言わばアメリカンバイクのセッティングにする事でバイクは安定方向で安心感が高まります。

      まずは、そのセッティングで練習走行を重ねます。 次第にタイムアップしてくると思いますので「もう慣れたぜ!!」と自信を持てた頃に「標準セッティング」へと戻します。 すると「アメリカンスタイル」→「前下がり&ケツ上がり」に変化する訳ですから、曲がり易いセッティング方向になります。

      この順序で練習すれば、気付いたころには5mmは無くなっていると思います。

      まずは5mmを忘れて「冷静な状態を保ってコーナリングスピードを上昇させる事」を目的に練習方法を構築すると短時間で高い効果を生めると思います。  

      お役に立てれば幸いです    
                                              ANDY

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