フィンガーフォロワーロッカーアームとは?|4つの効果とデメリット

最近バイク雑誌を見ているとフィンガーフォロワーロッカーアームってなんなの!? MotoGPでも使ってるって書いてあるけどナニ??  R1とかGSXとか10Rとか使ってるらしいじゃん!!  めっちゃ気になる!! ってライダー向けですww

こんにちは!MOTO-ACE-BLOG erのAndyです。

ZX-10RR、GSX-R1000の新型マシンのエンジンで相次いで発表されたフィンガーフォロワーロッカーアーム。「Moto-GPマシン直結の技術!!」とか「Moto-GPマシンの技術をフィードバック!!」なんて言葉が一緒に添えられていますよね!?

え? MotoGPマシンで使ってる技術なの? それって美味しいの? 甘いの? 一体何がいいの? って疑問が浮かぶライダーも多いのではないでしょうか。

今回はフィンガーフォロワーロッカーアームのメリットは何か!? ここにフォーカスを当てたいと思います。

 

1. フィンガーフォロワーロッカーアームってどの部品?

この部品名称を効いてピンを来るライダーは多くないと思います。 エンジンの中にある部品なので滅多に表に出てくる事はありません。  まずはこのフィンガーフォロワーロッカーアームとはどの部品なの?? を知って下さい。

フィンガーフォロワーロッカーアーム

 

緑色の部品がフィンガーフォロワーロッカーアームです。 バルブ1本につき1個使用するので、4気筒で4バルブの場合は16個使用されています。

カムシャフトが回転→ カム山→ フィンガーフォロワーを押す→ シム→ バルブが押されて開く。 といった順番で力が作用します。

2002年HONDA F1エンジン
F1エンジンのフィンガーフォロワー黒色の部品がフィンガーフォロワー
フィンガーフォロワー 単品図
フィンガーフォロワーロッカーアームスイングアームのように動きます。(揺動)

つまりカムシャフトと、バルブの間に挟まれる事で効果を発揮する部品です。 今まではフィンガーフォロワーは無く俗に言う「直打式」と呼ばれるタイプが使用されていました。

 

今までの直打式はコレ

直打式のカムシャフト

カムシャフトの回転によって、バルブを直接押し下げます。(リフタ、シムは割愛します) つい最近までは高性能エンジンと言えばこの「直打式」のバルブ駆動方式が主流でした。

カムシャフトが回転→ カム山→ バルブリフターが下がる→ シム→ バルブが押されて開く。

 

フィンガーフォロワーと直打式の動力伝達比較

フィンガーフォロワーの順序
フィンガーフォロワーロッカーアーム
  1. カム山
  2. フィンガーフォロワー
  3. シム
  4. バルブ
直打式の順序

直打式のカムシャフト

  1. カム山
  2. バルブリフター(タペット)
  3. シム
  4. バルブ

このような順序で力が働き、カムシャフトの回転運動をバルブの往復運動へ変換しています。

つまりバルブリフターと呼ばれる部品の代わりに、フィンガーフォロワーに置き換わったとも言えます。

なぜ置き換わったか? それは4つのメリットが存在する事が大きな理由なのですが、これから順を追って紐解いていきます。

 

DOHCエンジンの動きをおさらい

AISIN精機が作ったエンジンの動作アニメーションです。 VVT(Variable Valve Timing)の動作解説も入っていますがバルブの動き方が簡単に理解できます。

ちなみに、SUZUKIのGSX-R1000はこのVVT機構を搭載しています。 VVTは低回転域と高回転域でそれぞれ最適なバルブタイミングにする為のデバイスです。 このデバイスのおかげで低回転でも力強く発進して、高回転でもモリモリパワーを出す事ができるようになります。

バイクも全てがDOHCエンジンと言う訳ではなく、OHCやOHVなどもバリバリ新車で販売されています。但し運動性能重視のカテゴリーはほぼ全てがDOHCと呼ばれる方式を採用しています。

※ハーレー・ダビッドソンはOHVのみです。 昔ポルシェ製のDOHCエンジンを搭載したV-RODと言うモデルがありましたが現在は生産されていません。

 

フィンガーフォロワーロッカーアームの4つのメリット

  1. カムに凹Rプロフィールを使用できる
  2. バルブリフトを拡大できる
  3. カムプロフィールの設計自由度UP
  4. フリクションを低減できる

この4つのメリットのおかげでエンジンの出力アップを図る事ができるので近年のSS車を筆頭に採用が拡大しています。最も、レーシングエンジンではHONDA F1マシンで2002年に初めて採用されました。

近年ではクルマでも燃費向上、出力向上の両立を図れる事から一般的になりつつある技術です。 今後バイクも採用されるモデルがどんどん増えて行く事は間違いありません。

 

メリット1. コンケーブカム(凹面)シャフトを使用できる

凹面カム(ヘコメンカム)などと一般的に呼ばれます。 今までのカムシャフトと大きく異な点があります。

直打式カムシャフト
一般的なカムシャフトカムの「山」は卵のような左右対称若しくは左右対称に近い形状をしている。
コンケーブカムシャフト
コンケーブカムシャフトカム面の一部に「凹み」が存在する事が大きな特徴である。

 

直打式カムシャフト

直打式のカムシャフトはバルブリフタ(タペット)とカムシャフトが接触します。 バブルリフタはバルブスプリングの伸縮に伴う回転反力を受けるので、往復運動をしながら自分(バルブリフタ)が自転しています。

自転している事でカムシャフトの面とバルブリフタの面は常に同じ位置で接触するわけでは無いので、バルブリフタは必ず平面である事が条件となります。

つまり直打式のバルブの動きは、カムプロフィールのみで決まります。

 

フィンガーフォロワー式

凹Rカムシャフトフィンガーフォロワー式の場合は、カムシャフトはフィンガーフォロワーと接触します。 フォンガーロフォワーは揺動(スイング)運動しながらカムシャフトを接触するので自転しません。

よってカム山に対してどこの面(線)が接触するか設計段階で把握する事ができます。 フィンガーフォロワー側の面を凸R形状とすれば、カム側の面を凹形状として動きを相殺する事も可能です。

つまりフィンガーフォロワー式のバルブの動きは、カムプロフィール+フィンガープロフィールの2つで決まります。

 

メリット2. バルブリフトを拡大できる

フィンガーフォロワー仕様のお蔭でバルブが押し下げられる距離(バルブリフト量と言う)を長くする事ができます。SS車のエンジンではだいたい8〜9mm程度のリフト量を持っていますが、フィンガーフォロワーとする事で+1mm程度のリフト量アップが期待できます。

SS車などの性能重視のエンジンではバルブリフト量はそのままピークパワーUPに直結します。(ストレートは速くなる)

 

バルブリフト量を拡大に必要な要素

バルブリフト量

バルブリフト量をUPさせるにはカム山を高くします。

するとバルブの押し下げられる量が大きくなり通路の面積が増える事でパワーアップに直結します。

しかしデメリットも・・・

カムシャフトのとんがった部分(一般的にカム山、クラウン、頂点などと言います)をもっとトンがらす事でバルブをたくさん押す事ができます。 ここまでは何となく想像できますよね。 でも山を高くすると良くないこともたくさん起こるんです。

 

リフトアップすると起こる弊害の代表例

  • 反力の高いバルブスプリングが必要で馬力をロスする
  • バルブが開くスピードが速くなり慣性力が高まる
  • バルブが閉じるスピードが速くなりバウンドする(バウンス)
  • バルブスプリングがビ〜ン!!と振動してしまう(サージング)
  • 直打式の場合リフタ径UPが必要になる

こんな事が起こってしまいます。 ただただリフトだけをUPさせるとエンジン破壊へ直結してしまうのでエンジニアはメリットを教授できるようにデメリットとのバランスを図って動弁系を創り上げています。

 

フィンガーフォロワーでバルブバウンスを解決!!

フィンガーフォロワー式では、バルブの動きはカムプロフィール + フィンガープロフィールの2つで決まっています。  リフトを拡大すると閉じるスピードも速くしないとピストンとバルブが当たってしまいます。

なのでカムプロフィールも急激な動きとなり、干渉曲線が小さくなってしまうのです。するとバルブが閉じる瞬間に「バチンッッ!!!」と衝撃的に当たり、エネルギーが大きいと跳ね返ってもう一度勝手にバルブが開いてしまいます。 この現象をバルブバウンスと言います。

例えば引き戸を勢い良く「バンッ!!」と締めて扉が跳ね返ってもう一度開いてしまうのと似ています。 (扉バウンスと命名ww)  扉バウンスを防ぐには、最後締まり切る直前だけゆっくり丁寧に締めてあげれば跳ね返りませんよね。

これと同じ事を閉じようとするバルブにもやってあげればOK。

 

直打式カムの場合、カムプロフィールの山が高くなると、バルブが閉じきる付近は直線的にならざるを得ません。フィンガー式の場合は、フィンガー側のプロフィールによって衝撃を和らげる事ができます。

 

これでリフトアップ可能!!

端的にまとめるとフィンガーフォロワー式は、このような理由でバルブリフトを拡大させる事ができるようになります。

フィンガーフォロワー式
  1. バルブリフトUPさせたい!!
  2. バルブスプリング強化
  3. バルブバウンス発生確率UP(エンジン破壊)
  4. カム&フィンガープロフィール最適化で着地衝撃を回避
  5. バルブリフトアップ達成〜!!
直打式
  1. バルブリフトUPさせたい!!
  2. バルブスプリング強化
  3. バルブバウンス発生するかも!!(エンジン破壊)
  4. 対処法無し!!
  5. バルブリフトUPは不可能!!

 

カムプロフィール+フィンガープロフィールを適切に組み合わせる事で、直打式では不可能だったバルブの動きが可能になり設計自由度が向上。 結果、バルブバウンスのみを低減できる形状となりリフトアップが可能になります。

 

また、直打式でリフト量UPを図ると、バルブリフタ―径もリフト量UPに伴って大きくなる宿命を持っています。リフタ径が大きくなるとリフタが収まるスリーブ径も大きくなり設計自由度がどんどん少なくなってしまいコンパクトにできません。

フィンガー式はリフタが必要ないので設計自由度が高い事も大きなメリットとなります。

 

メリット3. バルブ開口面積時間を拡大できる

ちょっと小難しい言葉が並んでいますが端的に言うと「バルブが開いている時間を長くできる」って事です。

直打式の場合でバルブリフトが9mmと仮定します。 ギリギリのバルブリフトなので、バルブが閉じた時に起こる衝撃を緩和する為、リフト量が9mmに達したら直ぐに閉じ始めてしまいます。 最大リフト量付近で開く時間が短いのが直打式の避けられないウィークポイントです。

 

フィンガーフォロワー式でバルブリフトが9mmと仮定します。 バルブが閉じた時の衝撃をカム、フィンガープロフィールを組み合わせる事で簡単且つ確実に衝撃を短時間で和らげる事ができます。  なのでバルブリフトが最大の9mmに達してもすぐに閉じ始める必要がありません。 ある程度の時間開いてから一気に閉じる事ができます。

(直打式が9mmリフトした時の時間が1秒とすると、フィンガーフォロワー式は3秒になるイメージです。※あくまでイメージ)

当然、直打式とフィンガー式の両者リフト量は同じですが長い間バルブが開いているフィンガー式の方が沢山の混合気(ガソリンと空気)をエンジンが吸う事ができ出力UPに繋がります。

つまりまとめると

  1. コンケーブ(凹R)カムシャフトのお蔭でバルブを一気に開く事が可能になった。
  2. バルブを短時間で開けられる為、長い時間バルブを開く事が可能になった。
  3. 結果、沢山の混合気を吸う事が可能になり出力アップにつながる

このようになります。 バルブを高く&長く開く事のできるデバイス=フィンガーフォロワー式と言えます。

 

メリット4. フリクションロスを低減できる

フリクションフロス(摩擦損失)もフィンガー式によって低減させる事ができます。

 

主な摩擦損失の比較

フィンガー式
  • フィンガープロフィール面
  • フィンガーのピボット
直打式
  • リフターのクラウン面
  • リフターの壁面
  • リフタの自転摩擦

直打式はカムシャフトとの接触面と、壁面(リフタポケット)の両方が強く擦れます。 またリフターはカムロブの接触位置によってモーメント荷重も発生します。 (リフタは垂直に下がるが、斜めになりたがっている状態)

またリフタはバルブスプリングの反力を受けるので、リフタ自身が自転しています。自転量は少ないので大きな摩擦ではありませんが高回転では時間当たりのロスが増加します。

バルブリフターの摩擦

 

 

対してフィンガー式はカムロブとの接触面と、フィンガーフォロワーのピボットのみで摩擦箇所が少なくなります。(バルブ接触部の摩擦は微小) リフターのように壁面に強くモーメントが掛かり摩擦が増える事もありません。 フリクションロスは圧倒的に少なくする事ができます。


フィンガーフォロワーのデメリット

ここまではフィンガーフォロワ−はいいぞ!!オジサンになっていましたが、デメリットもあります。

デメリット
  • コストが高い
  • 重量増

やっぱりコストが高いんです。 特にフィンガーフォロワーよりもカムシャフトの方が値段が格段にあがってしまいます。 その理由とは・・・?

 

デメリット1. カムシャフトのコストが高い

それはズバリ凹Rを設ける為の製造工程が1つ増える事で、製造コストが高くなる事が理由です。

量産仕様に用いられるカムシャフトは、鉄を溶かす→ 型に流し込む→ 機械加工→ 焼入れ→ 研削加工→ 検査→ 出荷と言った流れで製造されます。

特に研削加工が1工程かならず増えるのです。 では一体ナゼ1工程増えるのかと言うと・・・?

先ずは通常のカムシャフトの製造工程をご覧ください。

カムシャフトを研磨して正確な寸法精度に仕上げる行程です。 この時「研削砥石」と言って研磨する為の砥石(といし)をカムシャフトに接触させる事で少しづつ研磨し、この研磨行程で1000分台の寸法精度に仕上げます。

量産仕様のカムシャフトは大量生産する必要があるので、上動画のような「合鍵を作る方法と同じような手法」で製造されます。

つまり、凹みを設けるには、「研削砥石径」より小さなRの凹みは製造できない事になります。研削砥石径が200Rの場合、最も小さい凹Rの半径も200Rになります。

高性能を発揮する為の凹Rが仮に20Rとしたら、半径20mmの研削砥石が必要になる訳です。

よって、今までは一つの研削砥石で磨けばOK! だったのが、2つの研削砥石で磨く事が必須となります。 その為の精度出しや段取り、時間、消耗品費などが全てコストアップに直結。 複雑な曲線を精度高く製造する為の必要経費としてユーザーへ負担がのし掛かります。

 

但し、現在はクルマもほとんどが凹Rカムシャフトを使用していますので今後コストダウンの技術が進むと考えられます。

対してレースなどに使われるカムシャフトは研磨工程もNC化された性能優先の機械で製造されるので全く異なります。

 

デメリット2. 重くなる

フィンガーフォロワーの重量は、バルブスプリングが支えます。 支える重量が重くなるほど高回転での慣性力が大きくなるので不利に働きます。(回転数が上げられない、バルブ動作不良など)

MotoGPエンジンはコイルスプリングではなく、エアスプリングを使用しているので軽量にできています。(詳しくはMotoGPエンジンはなぜV4なのか?をご覧ください)

直打式に比べ重量増は避けられないので、信頼性の高いバルブスプリングが必要になります。 反力を高めるとロスも大きくなるのでなるべく材料で解決したいところ。 フィンガーも肉を抜き軽くする事でバルブリフタ―と同等レベルの重量に抑える事ができています。

今後は重量がほぼ変わらないくらいのレベルまで進む事でしょう。 (そう遠くない未来、64チタンフィンガーフォロワーが出てくる!!(と思う))

 

デメリットまとめ

どちらのデメリットも材料置換、製造コストアップなどコストアップで解決する事ができます。 近年のバイクの価格がどんどん上がっている背景の要因の一つにフィンガーフォロワーも含まれています。

今後更なる高性能エンジンの開発合戦が続けば、材料はどんどんチタンに変わり、高い製造方法でしか作れない部品が並びSS車の新車価格は300万円が当たり前時代がもうすぐ来るかもしれませんね!! (バイクも格差社会!? (・.・;) )

 

フィンガーフォロワーとF1

アイディアや技術としてはもっと昔からあったと考えられますが、日の目を見たのは2002年のHONDA F1エンジンです。この時期は3リッターV10エンジンで最高回転数が19000回転に迫ろうとしている時でした。

2001年は直打式のバルブ駆動でしたが、2002年にさらなる高回転化と出力アップを目指してフィンガーフォロワーを初投入。 信頼性と高出力化の両立を達成できたと文献に記載されています。

16年後の現在はF1、MotoGPの全エンジンでフィンガーフォロワーが採用されています。

またクルマでも採用するモデルが大幅に増加。 製造コストが高くてもメリットの方が大きいと判断しているメーカーがほとんどですね。  バルブリフタ―式はやがて過去の技術になるような気がしますね!(^^)!

 

まとめ

フィンガーフォロワーの4つのメリットをおさらい

  1. カムに凹Rプロフィールを使用できる
  2. バルブリフトを拡大できる
  3. カムプロフィールの設計自由度UP
  4. フリクションを低減できる

基本的にバルブの動きでエンジンの高出力化を図る為のデバイスがフィンガーフォロワー式ロッカーアームと言う訳です。 またバイク用は高価な事もあって高性能が必要なSS車系エンジンにしかまだ採用されていません。

しかしフィンガーフォロワーはレバー比を持たせ、ローラーベアリング仕様とする事ができるのでクルマでは世界のメーカーが採用する車種を増やしています。

コストは製品数が増えれば下がってくるので、低コスト化の技術も確立されバイクもどの車種でもSTDになっていくと思います。

都民の森や海老名SA下りでのダベリングネタとして使ってもらえたらこんなに嬉しい事はありません。 フィンガーフォロワーってナニ!? と疑問に思うライダーの参考になれば幸いです☆

Let's Fun! Ride! Run!
Andy 

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