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スパークプラグの熱価とは?意味と選び方を知ればエンジンが変わる!!

スパークプラグの熱価って聞いた事あるけど意味わからん! 冷え型・焼け型とか言うけど熱価との関係とは何なの?熱価を上げると焼ける?冷える? そもそもプラグの熱価を変えるとどうなるの? プラグについて徹底的に解説します。

こんにちは!MOTO-ACE-BLOGERの@Andyです。

現在新車として販売されるバイクのエンジンは全て4ストロークエンジンになってしまったので、一昔前のようにスパークプラグを頻繁に交換する事は少なくなりました。

ユーザーにとってはプラグ交換と言う煩わしい作業が無くなり良い事だと思いますが、未来永劫、ずっと交換しなくて良い訳ではありません。

特に、4ストエンジン&キャブ仕様のバイクはまだまだ走っていますので、”プラグのかぶり”が気になる人、プラグ交換の時期が訪れたライダーの役に立てたら嬉しいです。

 

1. スパークプラグの名称

先ずはスパークプラグの主要な部品名称を覚えます。

スパークプラグの中で特に知っておいて欲しい「部位3つと言葉1つ」があります。

  1. 中心電極・・・火花を発生させる細い電極です。(プラス側)
  2. 接地電極・・・火花を発生させるL字型の電極です。(マイナス側)
  3. 絶縁碍子(ガイシ)・・・高電圧を逃がさず電極に向かわせる役目を持っています。
  4. プラグギャップ・・・中心電極と、接地電極の隙間
  5. ガスケット・・・排気ガスの漏れを防ぐ

プラグの内部にも様々なノウハウが凝縮されており、技術の宝庫なのですが今回は熱価を理解する為に敢えて触れませんのであしからず。

右図のように、中心電極 → 接地電極 へと電気を流す事で人工的に小さなカミナリを発生させています。 そのカミナリ発生部品がスパークプラグです。

一般家庭でも人工的にカミナリを発生させる物が必ずあります。  それは・・・??
ガスコンロです。 ガスコンロに火を点ける時、人工的なカミナリを発生させています。「チッチッチッチ」と音がして、覗き込むと青っぽい光がパチパチと光っていると思います。

ガスコンロの点火

この青い火花を利用してガスに火をつけます。

ガスコンロと全く同じ原理の点火装置がバイクやクルマにも備わっています。 ガスコンロの場合は一度使用すればお役御免ですが、エンジンの場合はアイドリング回転数が1500回転なら、1秒で12.5回も火花を作らないといけません。

しかも狙ったタイミングでズレる事なく火花が発生しないとエンジンストールしてしまいます。  こう考えてもスパークプラグって結構イケてる部品ですよね♪♪

 

2. スパークプラグの持つ機能

スパークプラグには様々な機能を持たせています。 当たり前すぎる機能もありますがここで改めておさらいしておきます。

機能1. 点火機能

先ずは当たり前過ぎますが、混合気(ガソリンと空気を混ぜた気体)に点火(火を点ける)する機能を持っています。 この火花が正しいタイミングで、正しく発生する事でエンジンがスムースに回転する事ができます。 正しく火花が発生しても、タイミングがズレているとエンジンが不調になってしまいます。

強い火花を正しい(適正な)タイミングで飛ばす事が求められます。

 スパークプラグの点火のアニメーション
 スパークプラグの点火のアニメーション

 

機能2. 脱着(交換)機能

スパークプラグは交換できるように作られています。 簡単な工具を使って脱着できる仕様になっていて、バイク側の作りも交換を前提に考えられています。

しかし近年スパークプラグの性能も向上した事から交換頻度が下がり、ひとたび交換作業となれば大きな臓物を外さなければプラグにアクセスできません。

メンテナンス性は良くありませんが、その分コンパクトなレイアウトが可能になりマスを集中させ運動性能の高いマシンを創る事ができるようになりました。

とあるメーカーなど、新車で購入しても「プラグレンチ」が入っていない事も珍しくなくなりました。 そのくらいプラグの交換頻度が低下したと言う事が言えます。

 

機能3. 燃焼温度調整機能

NSR、TZR、RZなど2ストエンジンをバリバリ乗りこなしていたライダーならイメージが湧くと思います。現在の最新4ストエンジンではほぼ不要になってしまった機能です。

スパークプラグは「ガスポケット」と呼ばれる隙間(ハウジング~絶縁ガイシのクリアランス)を持っています。このガスポケットの容量を大きくしたり小さくしたりする事でプラグの熱をシリンダーヘッドへ逃がす量をコントロールする事ができます。

このプラグ→シリンダーヘッドへの放熱量を示した数値がプラグの熱価です。

プラグの熱価と大きく関係するこの「燃焼温度調節機能」は2stエンジンオーナーは理解して損は無いと思いますのでじっくり解説したいと思います。

 

機能4. 自己洗浄機能

マフラーの出口を指で触るとうっすらと黒い”スス”が付きます。きっとトトロの真っ黒くろ助が住んでいるハズです☆
スパークプラグも同じように燃焼ガスに触れているので、ススが付きます。

しかしプラグには自己洗浄作用が備わっており、プラグ自身の温度が550〜870℃の間になるとススが焼け落ちるんです。だから適正な温度を保てているプラグはススまみれになる事がありません。


3. プラグ熱価を変えると何か変化するのか

まず、初心者の方がつまづいてしまうのが”プラグの熱価”という言葉の意味です。熱価という単語を普段から会話に出てくるような方はおそらく業界の人と、2stエンジンで走りに拘りを持つライダーしかいないでしょう。 この記事では熱価をこの言葉に置き換えて理解を深めたいと思います。

プラグの熱価 = プラグの放熱量

熱価とは放熱量という言葉に置き換えるとスムーズに飲み込む事ができると思います。
ラジエターの放熱量が大きい。と言われたら「ビッグラジエターなのかな?」と想像つきますよね!?

  • プラグの熱価が高い=プラグの放熱量が大きい→プラグが良く冷えるから「冷え型」
  • プラグの熱価が低い=プラグの放熱量が小さい→プラグが熱くなるから「焼け型(高温型)」

と言う表記に統一しますのでお付き合いくださいませ。

 

変化1. プラグからシリンダーヘッドへの放熱量(熱価)が変わる

スパークプラグのガスポケットの容量が大きく関係します。 まずはガスポケットのおさらいから。
スパークプラグのガスポケットプラグの放熱量(熱価)を変化させると、プラグポケットの容量が変化します。 このポケットの容量が変わる事でプラグ本体の蓄熱と、放熱のバランスが変化するようにできています。

 

プラグの放熱量を大きくする(熱価を上げる)には

・ガスポケットを小さくする事で、高温の燃焼ガスと接触する面積を減らす。

・ガスポケットを小さくする事で、ハウジングとの接触面積を増やし放熱経路を増やす

プラグの放熱量を小さくする(熱価を下げる)には

・ガスポケットを大きくする事で、高温の燃焼ガスと接触する面積を増やす。→プラグ温度が上がる

・ガスポケットを大きくする事で、ハウジングとの接触面積を減らし放熱経路を減少させる→プラグ温度上がる

・ガスポケットの容積を増やす→沢山の燃焼ガスと接触して温度上昇→放熱経路少ない→プラグ温度上昇。

・ガスポケットの容積を減らす→燃焼ガスとあまり接触しない→放熱経路いっぱいある→プラグ温度低下。

まとめるとこのようになります。 プラグの放熱量(熱価)を変えるという事は「ガスポケット容量を変える」事と同じ事なのです。

 

変化2. 燃焼温度が変わる

一般的な傾向としてプラグの放熱量を下げる(熱価を下げる)とプラグの温度上昇と共に、燃焼温度も上昇します。

逆に放熱量を上げる(熱価を上げる)とプラグの温度低下と共に燃焼温度を下げる事ができます。

しかし気圧や湿度によって単位容積当たりの酸素含有量が異なると、狙い通り変化する事もあれば、変化しない事もあるので、この辺りは気象条件とライダーの感じたフィーリングとを睨めっこする必要があります。

 

変化3. 2stエンジンの場合排気脈動が伝わる速度が変わる

2ストロークエンジンは燃焼温度によって排気脈動が伝わる速さが変化します。 燃焼温度が高いと脈動も速く、逆に温度が低いと脈動も遅くなります。

チャンバーに保温テープ
高橋裕紀選手がダイドーミューレーシングからGPへワイルドカード参戦した茂木GP

乾燥した 0℃ の空気中での音速は 331.5m/s で、1℃ 上昇するごとに 0.6m/s ずつ増加します。*理論値なので、実際のフィーリングとは異なります。

脈動は回転数によって適正な速さが異なります。 高回転のオーバーレブ特性を高めるなら脈動を速くしなければ排気ポートの開閉タイミングと合わなくなるので、燃焼温度が高い方がマッチングが良くなります。

今は見なくなってしまいましたが、かつてのGPマシンのチャンバーには温度を高めるために耐熱保温テープを巻いていました。(上の写真)そのままでは高回転ビンビン物語仕様になってしまうので、ある年はチャンバー温度を下げる為に水を噴射していた時代もありましたね。

チャンバー特性を高回転ピッタリに合わせると、中低速のトルクが薄くなってしまいます。 チャンバーが最も得意とする回転域を狙って燃焼温度をコントロールし排気脈動の効果を最大化させるには、プラグセッティングを合わせる事も重要な要素の一つです。

4. イリジウムプラグのメリットとは

今では純正でイリジウムプラグを採用するモデルもかなり増えてきました。クルマでも同じようにイリジウムプラグが純正採用されるモデルが多く登場しています。

バイク&クルマともに、なぜイリジウムを採用するのでしょうか??  きっと何かしらのメリットがあるから採用するハズです。 そのメリットとは・・・??

 

メリット1. 消炎作用が小さい→大きな火炎核を得られる

イリジウムプラグの大きな特徴は、中心電極が非常に細くできており、中心電極の露出部分の体積も非常に小さい事がわかります。

実はプラグギャップ(火花が飛ぶ距離)が同じなら、中心電極の材質に関わらず火花の強さも同じになります。 しかし問題は火花が飛んだ瞬間の直後に違いが現れます。

スパークした火花は熱を持っていますが、火花の熱を中心電極に奪われるのです。  熱を奪われた火花は急速にエネルギーを失います。 この事を消炎作用と言います。

この消炎作用をなるべく小さくして本来火花が持つエネルギーを有効活用するには、奪われるエネルギーを少なくする事が効果的です。 そこで中心電極を細く&小さくする事で消炎作用を小さくし、火花が持つエネルギーを有効活用する事ができるのが、イリジウムプラグと言う訳です。
スパークプラグの火花ギャップのイメージ

ノーマルプラグもイリジウムプラグも火花が飛んだ瞬間はどちらも100%のエネルギーを持ち合わせています。
ノーマルプラグは中心電極体積が大きく、熱を50%奪われ、残り50%の力で頑張っています。
イリジウムプラグは中心電極体積が小さく、熱を10%しか奪われず、90%の力で頑張れます。

こんな風にイメージするとわかりやすいと思います。

 

メリット2. 着火が安定する

プラグの消炎作用が小さくなる事から、安定した高エネルギーの火花が飛びます。 その事から特にエンジンが冷えた冬の朝など、特に低温始動時に威力が現れます。

もともと冷えているスパークプラグですから、タダでさえ火花が飛び難い状況です。そんな時にしっかりと火花を飛ばしてくれる能力があるので、2stエンジンのオーナーは明らかな効果を体感できると思います。

Andyも学生時代はNSR250(MC21)に乗っていましたが、こんなにも変わるのか!? と驚いた事があります。 初めはプラグを新品に交換したからだろ??  しばらく経てばばまた元にもど・・・・らない!!(( °ω° ))    ちゃんと始動性の良さが持続してくれました。

また、愛機ZRX1200Rもキャブ車でしょっちゅう乗らないので、一発目の始動性はどうしても悪いです。そんな時、中心電極の容積が少ないと言う事はプラグが被って電気エネルギーがリークし難い事にも繋がるので、やはり安心できます。

キャブ車オーナーの方は冬こそイリジウムにしておくと、始動性に自信を持てます♪♪

 

メリット3. 若干ではあるがエンジンパワーが上がる

エンジン単体でベンチテストを行うと、若干ではありますがパワーカーブは誤差でない範疇で出力が上がります。 シャーシに掛けると効果があるような。。無いような。。な感じになってしまいますが、プラグによる出力UP効果は確実にあると言い切る事はできます。

個人的にメリットを感じたのは2stエンジンのパーシャル域でレスポンスが良くなりました。 当時茂木のST250クラスでレースを始めたばかりでしたが、イリジウムの効果は間違いなくありました。  (タイムは速くなりませんでした・・・涙)

 

まめ知識☆

ん?? プラグギャップ(火花が飛ぶ距離)で強さが決まるならプラグギャップを広くすればいいじゃん!?  と思った方!!

池上先生
いい質問ですねぇ〜!!

確かにギャップは広い方が火花が長くなり、大きなエネルギー生み出します。 絶縁体である空気を切り裂いて電気を流す訳ですから、たった1mmの空間に電気を流すだけでも約33000Vの高い電圧が必要になります。

これを仮に5mmのギャップにすると安定した火花を飛ばす為に必要な電圧は33000Vでは全く足らず、火が飛びません。では仮に100000V発生させれば大きな火花を飛ばす事ができるでしょう。

しかし、高電圧を発生させるコイルは1次コイルと2次コイルの巻き数比によって決まります。 つまり、高電圧発生用コイルがとんでもなく大型化してしまいます。

火花ギャップが大きいという事は、スパークプラグの接地電極が燃焼室に伸び、飛び出してきます。 するとピストンと接触してしまう為、ハウジングを引っ込ませなければなりません。 すると燃焼スタートする位置がプラグがある筒状の形状からスタートする事になり、理想の燃焼室形状の半球形から大きく外れてしまいます。

このような理由から火花ギャップは現在の1〜2mm程度のクリアランスに落ち着いています。

 

5. スパークプラグの適正温度の見分け方

最近発売された4ストロークエンジンでFI車(インジェクション仕様)の場合は、見分ける必要はありません。基本的に交換時期(5万キロ以上)に達したら純正と同じ放熱量(熱価)のプラグに交換して下さい。

2018年現在、見分ける必要があるライダーはかなり限定されています。

  • キャブセッティングをしているライダー
  • 2ストロークエンジンのオーナー
  • ミニバイク等でレースやサーキットメインで走行するライダー
  • メンテナンスを楽しみたいライダー

プラグの放熱量(熱価)をセッティングしたい、セッティングしなければならないライダーは年々減少の一途を辿っています。 最新バイクオーナーはとりあえずこの項目はスルーしてOKです。(セッティングの必要無いくらい高性能)


見分け方1. プラグ温度が低過ぎる場合

スパークプラグが焼けすぎ

スパークプラグが焼けすぎ

プラグの温度が低いと、自己洗浄機能が働かずカーボン(すす)が堆積します。 本来白いはずの絶縁ガイシもカーボンが堆積して真っ黒。

カーボンが堆積する=自己洗浄機能に達する温度より低い事を意味します。
プラグ温度が低いと言う事は放熱し過ぎているので、プラグの放熱量を小さくします(熱価を下げる)

4ストロークエンジンのインジェクション仕様で、プラグ放熱量(熱価)が純正と同じ且つ純正がイリジウムプラグであれば、仮に真っ黒でも心配する事はありません。

ちゃんと火は飛んでくれますので、純正品番の新品プラグへ交換すればOK。 もし温度が上がらないような乗り方で、冬場に調子が悪くなるようであれば信頼できるメカニックと相談してプラグ放熱量(熱価)をセッティングすると良くなる可能性もあります。

 

見分け方2. プラグ温度が高過ぎる場合

焼け過ぎのスパークプラグ
焼け過ぎのスパークプラグ

中心電極や、接地電極が白っぽくなっていたら、「焼け過ぎ」の状態です。 言い換えるとオーバーヒートしている状態なので、冷やしてあげる必要があります。 プラグを冷やす訳なので、放熱量を上げます(熱価を上げる)。

やはり、4ストロークエンジンXインジェクションバイクの場合で、「純正プラグ&純正プラグ放熱量(熱価)」の場合、仮にサーキットを走ったとしてもこうなる事は滅多にありません。  マフラーのみを交換していても純正のプラグ放熱量(熱価)で問題ありません。

 

2ストロークエンジンは要注意!!

逆に、2ストロークエンジンは要注意!!  なかでもミニバイクなど混合給油でサーキットをバリバリ走ると、ピストンに大穴が空いてしまいます!!

これは2stエンジンのスクーターなどスロットル全開時間の長い乗り方をしている場合にも起こり得る事象です。

4ストロークエンジンでもカリカリにチューニングしてブースト圧を上げたたターボ車などは起こりますが、普通の自動車ではよっぽどの不具合がない限り、ピストンに穴が空く事はまずありません。

その決定的な違いは、4stエンジンはピストン裏側をエンジンオイルで冷却している事です。

2ストロークエンジンの場合は冷却はガソリンの気化潜熱だけですから、ピストンを冷却しづらく熱的に非常に厳しい環境にあります。

そこへプラグの放熱量を下げて(熱価を下げて)エンジン全開にするとプラグの温度が945℃を超えると、火花が飛ぶ前に超高温になったプラグ自身の熱で勝手に混合気(ガソリン)に火が点いてしまいます。

この事をプレイグニッションと言い、大きな衝撃波を発生しピストンの周りの熱境界層を破壊。→2000℃の生ガスがピストンと接触し融点約700℃のアルミが溶けて穴が開く。 と言った方程式が完成してしまいます。

ですから、2st混合給油のガチ勢はプラグのセッティングを放熱量の大きい(熱価が高い)プラグからスタートし、徐々に放熱量を小さく(熱価の低い)していくと良いと思います。

”プラグかぶり” であれば現場でスペアプラグに交換すれば良いですが、ピストン穴あきはシリンダーやピストン、場合によっては破片でケースをキズ付ける事もありますから、現場で対応するには時間が掛かってしまいますし、大きな出費にもなります。

2stガチ勢はキャブセッティングも理解している方も多いですから、詳しい仲間と相談しながらセッティングしてください。(因みに、メインジェットを小さくしたら、プラグのやけ確認はMUST項目です!!)

 

見分け方3. プラグ温度が適正な場合

適正温度領域(450〜890℃)に入っているプラグは「キツネ色」「白っぽい色」をしています。「真っ白けっけ」ではありません。 中々判断する事が難しいと思いますが、茶色のようなキツネ色のような土色をしていたらOKです!! (メッチャアバウトw)

2ストロークエンジンの場合、アクセル全開時間によってプラグが高温燃焼ガスに曝される時間が変わります。 例えばNSR250で真冬に通学しか使わない時と、暖かくなり岡山など全開時間が長いサーキットでは1〜2くらいプラグの適正放熱量(熱価)が変わります。

先ずは放熱量の大きい(熱価が高い)プラグから初めて、少しづつ放熱量を小さく(熱価を下げる)していくとピストンに穴が空きません。

6. プラグ交換は”いつ”行えば良いか

雑誌、バイク屋の兄(アン)ちゃん、所属ツーリングクラブのパイセンにプラグの交換距離をそれぞれ違う事を言うはずです。

バイク屋の兄ちゃん・・・まぁ1万キロだね!!
ツーリングクラブのパイセン・・・まぁ5万キロだろ!!

プラグに使用されている材質によって距離が異なります。 イリジウムなど貴金属を使用しているプラグは寿命が長いです。その理由は、火花によって金属が摩耗しないからです。

火花は人工的な雷です。威力は自然界の雷と比べれば遥かに弱いですが、それでも少しづつ金属表面(接地電極と中心電極)を摩耗させます。  この摩耗が進むと火花ギャップが広くなる事で火花が飛びにくくなります。

するとまず低温始動性が悪くなります。 アレ?  寒くなるとなんだか凄くエンジンが掛かりづらいな・・・?  と思った時と距離を目安にプラグの不調を疑う事ができます。

 

プラグ交換目安1. 一般プラグの場合

NGKの公式発表では、3000〜5000kmとなっています。

Andy持論の交換距離
4ストロークエンジン・・・21,000〜35,000km
2ストロークエンジン・・・8,000〜10,000km

2ストロークエンジンは、キャブの詰まりなどで燃料系に不具合があると、正常燃焼できずプラグの寿命も短くなるのでそのバイクの状態によって大きく変動する可能性があります。

すべてのコンディションが良い状態であればもっと寿命も長くなります。

 

プラグ交換目安3. 両側イリジウムプラグの場合

中心電極にイリジウム、接地電極に貴金属チップ(イリジウムや白金など)を採用しているプラグの交換距離です。

NGKの公式発表では50,000kmとなっています。

Andy持論の交換距離
街乗り・・・100,000km
サーキット・・・50,000km

CBR1000RR、など最新SSモデルは、両側貴金属(イリジウムなど)タイプになっています。 中心電極、接地電極ともに硬い金属を採用しているため、摩耗が少なく長寿命です。

 

両側貴金属プラグの見分け方

品番の初め(プラグ放熱量(熱価)番号の前)に「P」又は「I」が付くプラグは中心電極と接地電極に貴金属を採用した両貴金属タイプ(長寿命)です。

CBR1000RRの品番(SC57,59,77に適合)・・・IMR9E-9HES

この「I」の部分が両側貴金属タイプである事を示しています。 つまり長寿命タイプのイリジウムプラグを採用しています。 なので街乗り+ツーリング+たまにサーキット走行会くらいの使い勝手であれば、100,000km交換で全く問題ありません。

多分バイク屋のアンちゃんは昔の感覚で「10万キロも持たないよ〜!!」と言ってくると思います。 したら「では両側貴金属(イリジウム)プラグと一般プラグを比較した時、それぞれの最適な交換距離はどのくらいですか?」と聞き返して答えられれば、信用しても良いと思いますw  (イヤらしい客に見られちゃうかも・・・)

 

方側貴金属プラグの見分け方

品番の後ろ(プラグ放熱量(熱価)番号の後)に「P」や「I」が付くプラグは中心電極のみに貴金属を採用している片貴金属(片白金・片イリジウム)タイプ です。ZRXに適合するイリジウムプラグは片側貴金属プラグに該当します。

NGKの公式発表では20,000kmです。

バイクの場合、Bプラグ(ネジ径14mm)は2ストロークエンジン用として多くラインナップされています。4ストロークエンジンであれば、50,000km以上持ちますが、オイルとガソリンを一緒に燃焼させる2ストロークエンジンは20,000kmで交換するのがBESTと考えます。

接地電極が先に摩耗して火花ギャップが広くなっていきます。 ZRXの場合、50,000キロ毎に交換してあげれば十分です。(キャブが正常でない場合はプラグの交換距離も短くなります。)

 

交換目安4. 過走行の実例

スパークプラグが摩耗した状態

両方とも同じプラグです。 左側のプラグは交換サイクルを大幅に超えておりプラグギャップがかなり広くなっています。

プラグギャップが広くなると、火花を飛ばすために必要なエネルギーが増加するので、いずれ火が飛ばなくなります。

また真冬のエンジン始動などエンジンが掛かりにくくもなります。   摩耗レベルは走行距離に比例するので、距離と相談しながら点検すれば問題ありません。

 

7. CBRに適合するプラグ品番

CBRに適合するイリジウムプラグの適合を一覧にしたので、役立てて頂ければ嬉しいです。

モ デ ルNGKイリジウムプラグ品番
/ Amazonリンク
必要プラグ本数

CBR1000RR SC77

IMR9E-9HES4本
*締付TQ16N•m

CBR1000RR SC59

IMR9E-9HES4本
*締付TQ16N•m

CBR1000RR SC57

IMR9C-9HES4本
*締付TQ16N•m

CBR1000RRレーシングプラグ
(SC57,59,77共通)

R0409B-104本
*締付TQ16N•m

CBR600RR逆車(PC40,37)

IMR9C-9HES4本
*締付TQ16N•m

CBR600RR国内(PC40,37)

IMR8C-9HES4本
*締付TQ16N•m

CBR250RR MC51

SILMAR8C9
*純正品番のみ
2本
CBR250RR(MC51)は純正品番として流通するルートしか現在購入できません。

 

8. ZRXに適合するプラグはCR9EIX

ZRX1200DAEG,1200R,1100R,400全て共通です。(ZRXと名のつく車種は全て同じ!!)

因みに、GPZ900,GPZ1100,ZZR1100,ZZR1200,ZX-12R,ゼファー1100、も適合します。
※GPZ900Rは“D”プラグ(ネジ径12mm)でした。 ご指摘頂いたGPZ900R海苔さん、ありがとうございます。

 

締付けトルクは14N.mです。

9. スパークプラグの熱価(放熱量)についてのまとめ

4ストロークエンジン&インジェクション仕様

適切なタイミングで定期交換すればOK。 プラグの熱価(放熱量)を純正値から変更する必要はありません。

 

4ストロークエンジン&キャブ仕様

キャブセッティングをするオーナーはプラグ熱価(放熱量)をコントロールする事で更にドンピシャなキャブセッティングを決める事ができます。ノーマルキャブなら熱価(放熱量)の変更は不要。

 

2ストロークエンジンのガチ勢

プラグ熱価(放熱量)を理解しないとピストンに大穴を開ける事になってしまうので、キャブと合わせて管理、セッティングが必要です。

プラグの熱価が高い=プラグの放熱量が多い=プラグが良く冷える。(冷え型)

プラグの熱価が低い=プラグの放熱量が少ない=プラグの温度が上がる。(焼け型)

この事を理解するお手伝いができれば嬉しいです。 今尚頑張っている2stガチ勢のお役に立てたらもっと嬉しいです♪♪

Let's Fun! Ride! Run!
Andy

 

 

--コメント--
  1. 熱価の事は良く解らないが冬場のスクーターのエンジン始動が極端に悪くなるので熱価を一つ上げてしまいました。下げた方が良かったのですね?以前はイリジウムの標準熱価を使用しても始動性は良くならなかったのでMotoDXに交換すると弱いなりにセル始動が出来るようになりました。次回はMotoDXプラグの標準熱価に戻してみます。

  2. いつも楽しくYoutubeとブログを拝見させて頂いております。
    最近、NGKから耐久性が従来のプラグの約2倍になっているルテニウムなる素材を配合した
    中心電極を備えたMoto DX というプラグが発売されましたがこちらの交換サイクルは、
    どのくらいになるのか知っていたら教えてほしいです。

  3. 点火プラグについて大変わかりやすく解説されており、素晴らしいと思います。
    気になった点がありましたので、コメント失礼します。
    機能3 燃焼温度調整機能 とありますが、解説に書かれているのはプラグ自体の温度調整であって、プラグに燃焼温度を調整する機能は無いと思います。 
    高回転、高負荷時の燃焼でのプラグの受熱は同じで、高熱価=放熱量が高いプラグの温度が低くなる。つまり、燃焼温度自体をコントロールしているわけではないですよね。プラグの温度が下がることによって、放電時の冷損は若干増えると思いますが、放電による熱に対して、熱価によるプラグ温度差は微々たるものなので、燃焼への影響は無視して良いレベルと思います。認識ちがいますでしょうか。

    • お褒め頂き光栄です!ありがとうございます。

      プラグで燃焼温度をコントロールする事は可能です。

      おっしゃる通り、プラグの熱価とはプラグの中心電極を適切なコンディション
      に保つために存在します。

      その結果、燃焼温度も調節できるのです。

      シーンをサーキットなど高負荷に限定できるなら壊さない範囲で「やけ型」の方が
      燃焼温度を高く保つ事ができます。 →その結果出力アップに繋がります。

      プラグ自身の温度を高める事で圧縮した時の温度が上昇します。

      その理由はプラグの温度が高いこと、プラグの雰囲気温度もあがる事です。

      出力は膨張比で決まりますから、初期の温度が高いほど高出力を得られます。(ターボエンジンがより高出力を得られるのと同じ原理です)

      その結果、点火後の燃焼温度も上昇します。

      行き過ぎればノックゾーンに入りますが、燃焼温度を調節する事が可能です。

      放電時の冷損に関してはたつさんのおっしゃる通りで間違いありません。

      ご参考になれば幸いですm(__)m

  4. こんにちは。自分はGPZ900Rでサーキットのスポーツ走行などを楽しんでいまして、メンテナンスやセッテイングなどためになる記事満載でいつも楽しく読ませていただいて参考にさせてもらっています。
    で、一点間違いがありますので訂正した方がよろしいかと思います。
    GPZ900Rの使用しているスパークプラグはNGKですとDサイズのネジ径12mmで、Cサイズの10mmとは違いますので互換性はありません。これを見た人が無駄なお買い物をしないように訂正をしてあげてください。

    • GPZ900R海苔さん、コメント及び貴重なご指摘をありがとうございます!!

      さっそく記事を訂正させて頂きました。

      お忙しい中、わざわざコメント頂きまして大変恐縮です。

      今後も当ブログをよろしくお願いいたします。

      Andy

  5. はじめまして、とても分かりやすく勉強になりました。昨日ライブディオがエンジンストップになりイリジュウム8番を見てみたら粘土の様な物がプラグを包みこんでいました。今日まだ綺麗な中古イリジュウム6番に替えたらエンジンがかかりました。
    小さな2ストガチ勢より(^-^)/

  6. 最近ようやくプラグのほうに目がいってきたので参考にしました。あまりにもプラグのことをぞんざいに考えていました。私のバイクはハスラー125 75型,以前から始動性が気になっていたので,今,プラグに取り掛かっているところです。アイドリング後に電極が湿るので熱価を下げてみようと思っています。バイクのことは素人なので自分で考えてやっています。

    • コメントありがとうございます!

      スミマセン、訳あってケータイから返信しておりもしかしたら文字化けしているかもしれませんのでご了承ください(・_・;

      ハスラーとはシブいバイクにお乗りですね! 年式も長い物が多いと思いますので、プラグ交換は大いに効果がありそうです!

      アイドリング後に電極が湿ると言う事であれば、熱価を下げる[放熱量を下げてあげる]事は良い方向に行くと思います。

      もし仮に上手くいったとすると、[燃料が大目に出ている]事も原因として考えられます。 その疑いがあればキャブの内部部品が摩耗し、穴径が大きくなったり、或いはニードル径が細くなっている事も可能性として挙げられます^ ^

      ご参考になれば嬉しいです‼︎(^^)

コメントはお気軽に (メールアドレスは公開されません)

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