バイクのブレーキってなんとなく分かるけど、実際どんな構造なの? ブレーキをカスタムしたいけど何が変わるの? 効きが良くなって止まりやすい? ブレンボって良いらしいね!? でもなんであんなに高いの?
こんにちは!@Andyです。
ブレーキカスタムって深く考えると意外に知らない領域に達する事が多いと思います。 まずは基本の原理と構造を知って自分が何をカスタムしたいか? どんな性能を高めたいか?など仕様検討の時、どんな部品を変えるとどのような性能が変化するのか?
今回の記事は初心者におススメしたい!
- ブレーキの基本的な構造と仕組みを理解する
- ブレーキ部品の名称を知る
- 今後のカスタムイメージを作れる
ココにフォーカスします。
今後、応用編としてマスターシリンダ、キャリパの内部構造、レーシングパーツとの違いをアップします。
実はブレーキトラブルの原因を解説する記事を先に書いていたのですが、基礎の説明が多くなりすぎ1万字を超えてしまったので別記事にする事にしました。
※今回は油圧ブレーキの記事です。
記事の目次
1. バイクのディスクブレーキの構造と部品名称
まずは部品名称のおさらいと、部品の役割をエクストリームに解説!(You tube大学風w)
主に3つの役割を持つ部品群で構成されています。
- ライダーの握力を使って油圧を発生する
- 油圧を伝える経路
- 油圧を受けて熱(制動力)に変換する
基本的にたった3つです! ね? 簡単そうでしょ!(^^)!
構成1. ブレーキマスターシリンダ|油圧生成
まずはライダーなら誰もが知る部品と思います。 ブレーキレバーを握る事でブレーキを掛けますよね。
このブレーキレバーを握る動作=油圧を生み出す動作、と言えます。 ライダーはブレーキレバーを握る事で油圧を高めます。
ちょっと握ると、ちょっと油圧が上がる。
かなり握ると、かなり油圧が上がる。
レバーを離すと、油圧が下がる(0になる)
- ブレーキレバー:プッシュロッドを介してピストンを動かす
- マスターピストン:レバーの力を受け油圧を発生させる
- マスターシリンダ:ピストンが摺動する筒(ボディ)
- ピストンカップ:油圧を保持する
- ブーツ:シリンダへの異物侵入防止
- ブレーキフルード:油圧を伝達する液体
- リザーバタンク:パッドが減った時用のフルードタンク
1. ライダーがブレーキレバーを握り、回転運動を作ります。
↓
2. 回転運動をピストンの往復運動へ変換
↓
3. ピストンがブレーキフルードをブレーキホースへギュッ!! と押し出します。
構成2. ブレーキホース系統|油圧伝達
マスターシリンダで生み出された油圧は、ブレーキホースを伝ってキャリパへ伝達されていきます。
- ブレーキホース:フルード(油圧)を伝達する経路
- バンジョーボルト:ホースを接続する穴あきボルト
- シーリングワッシャ:ボルトとホース接続部の漏れ防止
マスターシリンダで発生させた油圧を、ホースを伝ってキャリパーへ伝達します。 軽く見られがちな部品ですが、高い性能が要求される部品でもあります。
- ボルトで簡単に接続できること
- サスの動きに追従できる柔軟性を有すること
- シール性能を長期間保つこと
- 紫外線など耐環境性が高いこと
紫外線バンバン浴びるわ、繰り返し曲がるわ、圧力は掛けられるわ、でもシール性は絶対保てよって言われてしかも超長期間ヨロシク! ってどんだけ~!! って言葉がピッタリの贅沢部品の代名詞です。
Andyがレースを始めた頃、Motegiでブレーキホースがサスペンションが縮んだ時に屈曲→タイヤと接触し、徐々に削れてホースが破れた事故がありました。
90度コーナーの途中でノーブレーキ!! ライダーは全身骨折しましたが命は取りとめたと当時レース仲間で大きな話題になった事故でした。
カスタムする場合は、ホースの「通し」にもしっかりと配慮しなければなりません。
構成3. キャリパ系統|油圧作用
ホースから伝わる圧力を受取って、ボディからピストンが出てきます。 ピストンはボディ中央のディスクに向かって飛出すイメージ。
出てきたピストンがパッドをディスクに押付け、ブレーキ力を生み出す仕組みです。 (ディスクがパッドに挟まれるイメージ)
- キャリパボディ:パッド、ピストンを収容する、ブレーキ反力を受ける
- キャリパピストン:油圧を受けパッドをディスクに押付ける(ボディ中央へ飛出る)
- パッド:ピストンから押されディスクと接触し摩擦熱を生む
- ディスク:ホイールと共に回転しパッドと接触する
- パッドピン:パッドの位置決め、脱落防止
- ピストンシール:ピストンとキャリパの隙間からのフルード漏れ防止、ピストンを引っこませる
- ダストシール:ピストンシールへの異物侵入防止
- パッドスプリング:パッドピンの脱落防止
油圧がホースを伝ってキャリパに伝わります。
↓
油圧でピストンが押出される
↓
ピストンに押されたパッドがディスクに接触
↓
ディスクがパッドに挟まれ摩擦熱が生まれる
このような順序で力が伝達されます。
回転体を挟み込んで止める原理は、自転車と同じです↓↓
バイクのパッドに相当する部品がシュー、ディスクに相当するのがリムです。 回転するリムをシューで挟み込んで摩擦熱を生み制動力を得る仕組みです。
マスターシリンダで油圧をつくる → ホースで油圧を伝達する → 油圧をもらってディスクを挟む!!
こんな大まかな流れでブレーキが掛かります。
2. ブレーキがなぜ効く?その理由とは
↑渡辺@kazuki__26選手の茂木90°コーナーブレーキング
パッドをディスク面に押し付けられる事で、運動エネルギーを熱エネルギー(摩擦熱)に変換する事で制動力を得ています。
なのでたくさん熱が出れば出るほど良く効く(止まる)ブレーキと言えるのです。 逆に熱を出そうと思っても出せない場合は効かないブレーキと言えます。
そして主にこの二つが熱を発生させます。
理由1. タイヤと路面との間で熱を発生させる
ブレーキ摩擦よりも先ず、路面摩擦が無い事には制動力は生まれません。
MotoGPマシンばりのスーパーブレーキを装備したとしましょう!
スケートリンクを走行して同じ制動力を得られる?・・・ 訳ないですよね。
瞬時にホイールがロックして即転倒する事は想像に難しくないと思います。
そう、最終的なブレーキ性能限界を決定するのはブレーキではなく、路面とタイヤの摩擦力で決まります。 いくらパッドを高性能な物へ交換しても、タイヤが10年前のヒビ割れまくりタイヤであればなんの意味もありません。
理由2. パッドとディスクの間で熱を発生させる
タイヤと路面にグリップがあると、ディスク⇔パッド間で摩擦熱を生む事ができます。
この時発生する摩擦熱が大きければ大きいほど(高温になる)短い距離で止まる事ができます。
ブレーキを強く掛けると、それだけパッドがディスクに強い力で押し付けられる為温度が上がります→ 結果強いブレーキを掛ける事ができるのです。
仮に、ディスクとパッドにエンジンオイルをベッタリ塗った状態でブレーキを掛けるとどうなるか??
パッドがディスクに押し付けられる力は同じでも、オイルで滑って摩擦が全く生まれません。 熱が発生しないためブレーキは全く掛からないと言えます。
鉄の赤熱化温度目安|無駄知識
隣り合う温度を目視で見分ける事は難しいですが、なんとなーくの目安にはなるかも?
是非MotoGPやF1などの真っ赤になったブレーキディスクを見て
「お! アレなら〇〇℃で間違いない!」と盛り上がって下さい♪(*’▽’)
鍛造現場などでは、放射温度計でもっと正確に温度管理しています。
3. パスカルの原理とは?
バイク雑誌などでブレーキの記事が掲載されると、必ずと言っていいほど出てくる「パスカルの原理」って言葉を見たことがあると思います!
でもその内容は・・・目をつむれ! と書いてある雑誌がほとんど!? 難しいバージョンは後記するので、「ざっくり」覚えてください
- 圧力はどんな場所でも常に一定!
- 圧力は面に垂直に作用する!
- 面積比を使って力を増幅できる!(パッドを強く押付ける)
これをバイクのブレーキに例えてざっくり言い換えるとこうなる!↓↓
ブレーキレバーを握るライダーの握力を、圧力に変換&増幅させて強力なパッド押し付け力を生むのがパスカルの原理!!
(ざっくり言い換えすぎて怒られるかな!?( 一一))
流体とは、自由に形を変えられる状態を意味し、水流や風のことではありません。高校物理の静止流体の事を意味します。
この原理においてある一点の圧力を高めると、容器全体の圧力が同時に同じだけ高まると言えます。
バイクでは、その圧力を高める(発生させる)装置がブレーキマスターシリンダー。 ライダーがレバーを握る力を変換しブレーキフルードの圧力を高めてくれます。
こんなイメージ↓↓
マスターシリンダ ⇔ ブレーキホース ⇔ キャリパーボディ は全て密封(シール)されて連結しています。 マスターの圧力が高まると全ての圧力が高まり、ピストンを押す力となります。
マスターピストン面積に対し、キャリパピストン総面積は大きくなっており、その面積比と同じだけ力も増幅されます。 結果、大きな制動力を生み出す事ができるのです。
面積比が3倍なら、力も3倍
面積比が4倍なら、力も4倍
面積比が1/2倍なら、力も1/2倍
ポイント!!
- マスターピストン径を小さくするとパッド押付け力が増加
- マスターピストン径を大きくするとパッド押付け力が減少
- キャリパピストン径を大きくするとパッド押付け力が増加
- キャリパピストン径を小さくするとパッド押付け力が減少
※制動力ではないので要注意!!
ブレーキ動作のメカニズム↓↓
4. CBR1000RR(レプ男)で計算してみる
- ブレーキレバーレシオ4
- マスターピストン径φ20㎜
- キャリパピストン径φ32、φ36
- ライダーは5㎏の力でレバー力点に入力
マスターピストンへの入力を計算
ライダーが5㎏の力でブレーキレバーを握ると、レバーレシオが4なので
5㎏×4=20㎏ となり、20㎏の力でマスターピストンが押されます。
マスターピストン面積を計算
φ20㎜ピストンなので、円の面積はπr²であるから
3.14×10×10=314 となり、面積は314㎟となります。
キャリパピストン面積を計算
φ32㎜ピストンは
3.14×16×16=803.84 となり、面積は804㎟
φ36㎜ピストンは
3.14×18×18=1017.36 となり、面積は1017㎟
ピストンはキャリパ1つに対し4つあるので
804+804+1017+1017=3642
キャリパピストン総面積は3642㎟である。
面積の比率
マスターピストン面積に対し、キャリパピストン総面積は何倍か?
キャリパ3642㎟ ÷ マスタ314㎟ = 11.59
つまり11.59倍の面積を有している。
油圧レシオは11.6となります。
力の計算
マスタピストン面積に対しキャリパピストン面積は11.6倍であるから
20㎏ × 11.6倍 = 232㎏
つまりブレーキディスク2枚を挟む力の合計は232㎏の力である。
(※1枚は232÷2=116)
答え:ブレーキレバーを5㎏の力で握ると、ディスクを232kgで挟み込む力が発生する。
たった5㎏の握力が、232㎏もの力へ増幅されます! パスカルさんに感謝!笑
レバーレシオの4は、人差し指付近で握るイメージです。
中指や薬指は5~6位のレシオに変化しますから、同じ力で握った場合は更に圧力が高まります。
クルマの場合は車重が重いので、負圧を使った倍力装置を持っています。
もっと重たいトラックの場合は超強力な圧縮空気を使った倍力装置を二個並べてとんでもない圧力(制動力)を生み出しています。 バタ踏み厳禁!! この言葉の意味を知る人はきっと業界人の事でしょうw
4. よくある勘違い
ブレーキ系は消耗品も多く、交換する頻度が高いことから間違った情報や、勘違いさせるような情報も溢れているのでおさらいします。
μの高いパッドに交換して制動距離を短縮!
誤:フルブレーキした時の最短制動距離が短くなる
正:フルブレーキに必要なレバーを握る力が軽くなる
正:レバーを握る力が同じなら、制動距離が短くなる
ここまで読んで頂いた方は、もうなんとなくイメージつきますよね!
最短制動距離を決定する要素はタイヤと路面の摩擦なので、タイヤをグリップの高い物へ交換した場合は短く止まる事ができます。
パッドの押付け圧力が同じなら、高μの方が発熱量が多い事になります。
つまり、「フルブレーキした時のレバーを握る力が軽くなる」のです。
パッドだけを交換して最短制動距離を短縮する事は絶対にできません。
マスターピストンを小さくすると良く効く!
誤:フルブレーキした時の最短制動距離が短くなる
正:フルブレーキに必要なレバーを握る力が軽くなる
もうだんだん分かってきましたよね! ブレーキ部品の何を変えても、最短制動距離(フルブレーキ)は変わりません!!
マスターピストン径を小さくすると、相対的にキャリパピストン径との面積比が大きくなります。
つまりレバー入力荷重が小さくても、大きな力(油圧)を生み出す事ができるようになります。
重たいと制動距離が長くなる!
誤:車両総重量が増えると最短制動距離は長くなる
正:車両総重量が増えても最短制動距離は変わらない
平たく言うと、トラックの車両総重量が「荷物満載!の20tの時」と、「荷物を降ろして5t」になった時、どちらもフルブレーキした時の制動距離は変わらないって事です。
は?
何わけわかんねー事言ってんだ! 重けりゃ長くブレーキ掛けなきゃ止まんねーだろ! 慣性の法則知らねーのか!
ダッセ!!
そうなんですよ!(笑) ※いや笑じゃねー!
確かに同じブレーキ力(圧力)なら、重量が重いほど停止距離は伸びていきます。
そうではなくてここで言いたいのは最短制動距離(フルブレーキ)のこと。 重量が増える事に伴ってタイヤに掛かる垂直荷重も増加します。
垂直荷重が増えた分、タイヤがロックしなくなり更に強いブレーキを掛ける事が可能になります。 荷物を積めば積むほどに強いブレーキを掛ける事ができるのです。
その結果、タイヤロック寸前のフルブレーキした時、空荷と荷物満載のでは制動距離は同じです。
バイクで言えば1人乗りと2人乗り、どちらもフルブレーキした時の制動距離は同じです。
※但し、2人乗りの方が発熱量は増える
※ブレーキ容量(性能)の範囲内で、路面とタイヤに水、砂など介在物が無い条件
詳しく知りたい方は→ブレーキ性能を超えなければ制動距離に重さは関係ない理由をぜひご覧ください!!
レーシングキャリパは良く効く
もうお分かりですよね!
んな訳あるかい!!
レーシングキャリパのメリットは軽量で高剛性であること、コントロール性が良い事です。 詳細は別記事にまとめますのでお楽しみに!
DOT5のフルードはいいらしい!
誤:DOT5のブレーキフルードは良く効く
正:DOT5のフルードは沸点がより高い
圧力を伝達する液体が途中で増圧なんかできる訳ありません。 レースでは確かにDOT5が使われる事が多くあります。(最近はDOT4も増えた)
それは常に高温にさらされる環境下で使われるので、DOT4に比べ沸点をより高めたDOT5を使用します。
しかしDOT4に比べ吸湿性が高くすぐに水分を取り込んでしまいます。 すると沸点が下がりベーパーロックを起こすのでしょっちゅう交換しなければなりません。
レース車両であればメカニック管理の元、お金を掛けるメリットはありますが、街乗りバイクには一切不要ですね!
厳密には液体がほんの少~し体積が縮む ”液損” という事象を低減できますが、気にするレベルではありません。
最近はDOT5.1が標準採用されるクルマも増えてきました。 主に寒冷地向けですが、フルードについても別記事に詳しく解説します♪♪
5. ブレーキの定番カスタム
ブレーキフルード交換
年数と共に空気中の湿気を吸い込み、徐々に沸点が低下する。 DOT4の沸点は230°以上とあります。
純正であれば、車検2回に1回の割合で交換すればOK。 ※Andyは3回に1回
基本的に吸湿していなければ問題無いので、テスターを使って調べる事もできます。
持っていないお店もあるので、事前に問合せと予約してからお店に行くとスムーズです。 また自分で調べる事もできます。
ブレーキフルードは年数が経つほど水分を吸収していきます。 最後はブレーキ部品の内部がサビたり不純物が生成されて詰まったりするのでほったらかし過ぎるとオーバーホールが必要になりお金も掛かります。
マメに変える必要はありませんが定期的に交換する必要はあります。
ブレーキパッド交換
パッドはたくさんの会社からたくさんの種類がラインナップされており迷ってしまいますよね。
詳しくはこちらのブレーキパッドのおススメと摩材を選ぶ基準をご覧ください。
パッドには主に3種類あり特徴が異なります。
種類1. レジン系ブレーキパッド
-
樹脂を使ってライニングの形を成形
- 製造コストが安い。
- パッドμが低くコントロール幅が広い
- 制動力は劣る(たくさん握る必要アリ)
- 高温領域では樹脂が溶け出し、μ特性が変化しやすい
- ディスクへの攻撃性が最も低く耐久性が高い
近年は小排気量のラインナップばかりです。 通勤快速仕様など、ランニングコスト重視! と言う使い勝手にピッタリです。
また、買うと高いブレーキディスクの寿命が最も長持ちするのもレジン系です。
種類2. セミメタル系パッド
- 樹脂を使ってライニングの形を成形。
- 製造コストが安い。(レジンより高い)
- μは車重のあるバイクでも不安無いレベル。
- 制動力も申し分無し。
- 高温と低音の特性差が少なく全天候型。
- 繰返しのハードブレーキングには不向き。
製造方法はレジン系と同じで、摩材の主成分に金属が多く含まれます。
高温状態の連続使用には弱いですが、レジンよりも特製は安定しています。 スポーツバイクの純正として多くの採用実績があります。
種類3. メタルパッド
- 金属粉末を高温で焼き固めて成形
- 焼き固める炉(高い設備)が必要で製造コストが高い
- μが高く、ハードブレーキングも制動力が安定する
- 配合する材料によって特性をコントロールできる。
- メタル含有量によって、「ハイスチール(ほぼ100%近く)」と「ロースチール」とに分類される
- 800℃以下なら長時間連続使用もフェードしない。
SS系バイクの純正は、この焼結メタルパッドが採用されています。
Andy自身、CBR1000RRの純正パッドを使って鈴鹿を練習バイクで走行しました。 さすがに1000cc+スリックタイヤ+半分以上摩耗+30℃超えの条件ではフェードを起こしてしまい、コースアウトしましたww 確認したらバックプレートも反りまくり・・・”(-“”-)”
スリックタイヤでなければ、フェードを起こすことなく鈴鹿を走行する事ができるので、純正パッドも素晴らしいですね。
ブレーキホース交換
やっぱり今でも定番のカスタムと言えばコレ! 様々なメーカーからラインナップされていますよね。
ブレーキホースをカスタムするメリットはこの二つ!
- ホースの膨張を抑え、圧損をすくなくする。
- 見た目がカッコイイ!
ホースの圧損とは何か?
マスターシリンダーで圧力を発生させますよね。 その圧力はホースにも垂直方向に働いています。 つまりゴムでできたホースはフルードの圧力によって風船のように膨らむのです。 ※実際には極わずかな膨張です
さらにゴムは温度によっても柔らかさが変化するので、温度が高いときは柔らかく、温度が低くなると硬くなります。
つまり、ゴムホースが膨らむ事に圧力が使われてロスする事が一つ、温度によってロスする割合が変化する宿命を持っています。
メッシュホースに変える事で、伝達ロスを減らし、温度に依存しない(しにくい)常に一定なレバーフィーリングを得られます。
しかしですね、最近の純正ホースも侮ってはいけません。
圧損や温度特性もかなり改善が進んで来てほぼ気にならないレベルと言っていいでしょう!
耐久性も抜群です!
バイクメーカーというより、ゴムメーカーの材料研究開発が進んだ事もあり圧損レベルは相当高くなりました。 こうなると機能よりも見た目重視にカスタムすると言えますね。(コレ一番大事!!ww)
ステンメッシュはただの保護!
これも良くある勘違いで、ホースのステンメッシュは中のテフロンチューブを保護する事が目的です。 ステンメッシュが膨張を防いでくれると思いがちですが、それは間違いです。
メッシュの中にあるテフロンチューブが非常に膨張しにくい特性を持っており、圧損を低減しています。
因みに、オフロード競技専用のモトクロッサーは純正でテフロン製のブレーキホースが装備されています。
モトクロスは10mをこえるような大ジャンプに耐えるため、サスペンションストロークがとても長いんです。 その為ブレーキホースが長くなりその分圧損も大きくなってしまいます。
それを防ぐ為、コストを掛けてでも低膨張のテフロンチューブを使用します。
ブレーキレバー交換
最近はU-Kanayaなどアルミ削り出しのカッコイイレバーが安く販売されています。 見た目重視で交換する方も多いと思いますが一つリスクを知っておいて欲しいと思います。
それは立ちごけなど軽転倒した際、レバーが折れる可能性が高いこと。
純正で使われているレバーは、アルミ鋳造品です。(溶けたアルミを型に流し込む製法) そして材料の特性として折れにくく曲がりやすい性質を敢えて持たせていること。
これは万が一軽転倒させてしまっても、レバーが折れなければ走行する事ができます。
しかし削り出し部品の多くは軽量高剛性な材料が多く、曲がらずにポキン!! と折れてしまいます。 レバーが半分残ってくれていればラッキーですが、ピボット部が割れた時にはクラッチもブレーキも握る事ができません。
そうなると走行不能→レッカーでドナどなぁ~! コース確定。
例えば北海道1周するぜ~! と楽しんでいる最中、納沙布岬の強風に煽られ停めていたバイクが北海道の大地とお寝んね♪♪
優しく起こしたらレバーがボッキンちょ! なんて事も十分に考えられますよね。
また、販売代理店がしかりしている製品は大丈夫ですが、中国などアジアからネット経由で直接販売されている商品は適合が合っていない場合があります。
ピボット部など新品状態でガタガタの物がありレバーレシオもクソもあったもんじゃありません。 まずは信頼できるショップさんに相談してから購入すると良いでしょう。
7. ブレーキの基本構造まとめ
ブレーキシステムは大きく分けると「1.油圧発生 → 2.油圧伝達 → 3.油圧作用」の3つに分かれます。
この3つのセクションの内、自分がどんな性能を高めたいか? と言う事がハッキリ見えればカスタムする方向性が決めやすくなると思います。
純正のCBR1000RRに、MotoGPのブレーキシステムだけをそっくりそのまま移植しても、最短制動距離は変わりません。
変わるのはブレーキフィーリングと車体重量だけ。
ではどんな時にどんなフィーリングを求めるのか?です。
全体的に軽い力で操作したい。
もっと指に反力を得てフィードバック圧が欲しい。
レバーストロークを小さくor大きくしたい。
例えばブレーキレバーが遠くて指を掛けにくいって、結構ストレスです。
小柄な女性ライダーの悩みを聞き、どうセッティングするか? メカニックやエンジニアの腕の見せ所ですよね。
今後はそんなエンジニアの方にも役立つブレーキの応用編も書くのでお楽しみに!
Let’s Fun! Ride! Run!
Andy