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CBR1000RR(SC57,59,77)ブレーキパッドのオススメと摩材を選ぶ基準!!

ブレーキパッドって何がおすすめなの? シンタードって何? 適合とかよくわからんけど、μが高いと良く止まるんでしょ? 実際のところパッドって何を基準に選べばいいのか・・・よくわからん。

こんにちは!Moto-Ace-Blogerの@Andyです!!

ブレーキパッドってたくさんのメーカーからたくさんの種類がラインナップされていて迷っちゃいますよね!?

何やら摩擦係数μが高いとよく止まるらしい? 価格も松竹梅があってブレーキング性能を求める走りをしない自分にあったパッドって何だろう? そんな疑問を解決できればうれしいです

この記事を読むと
  • パッドの材質違いによる特性がわかる
  • CBR1000RRのおススメパッドがわかる
  • CBR1000RRのブレーキ整備情報がわかる
  • ブレーキ部品の機能がわかる

是非最後までご覧ください。

関連記事 → バイクのブレーキシステムの基本構造を分かりやすく解説!!

 

1. ブレーキパッドの構造と部品名称

まずは簡単にブレーキパッドの名称からおさらいします。

バイク用ブレーキパッドの構造と名称
左が新品のパッド。 右が走行し摩耗したパッド。

 

名称1. ライニング(磨材)

ブレーキディスクと直接接触する部分です。 ライニングがブレーキディスクと接触する事で摩擦熱を生み、熱エネルギーへ変換する事で制動力を発生させます。

ブレーキディスクと直接コスレるので摩耗する部位でもあります。

一般的に、パッドが減っていますね!!  と言われたら、このライニングが摩耗して減った状態の事を指します。

 

名称2. バックプレート(土色の部位)

キャリパーのピストンからチカラを受ける部分です。

ピストンから受けたチカラをライニングに均一に伝える役割があります。 また、ハードブレーキングを繰返した時に熱変形を起こしにくくする目的もあり、バックプレートにはある程度の剛性が求められます。

 

名称3. シムプレート(銀色の板部品)

主にピストンの摩耗と、ブレーキ鳴きを低減させる為の薄いプレートです。

バックプレートに装着されますが設定のある車種と、無い車種と存在します。 ブレーキ鳴きは、ピストンとパッドがこすれる事で不快な音が発生するのでこすれた時に音が鳴りにくい材料の組み合わせになっています。

 

名称4. 断熱プレート(写真の白い板部品)

セラミック系の素材で作られ、 バックプレートの熱をキャリパやピストンに伝えないよう断熱する事が目的です。

Rrブレーキに使用される事の多い部品。

熱が伝わり過ぎると、ブレーキフルードが沸騰したりキャリパボディの熱膨張が大きくなりパッドをディスクに真っ直ぐに押し当てる事ができなくなってしまいます。

 

2. ブレーキパッドの磨材は主に3種類

ブレーキの効き具合や、握った時のフィーリングなどライニングの材質で大きく変化します。  ライニングの主成分と特徴を知ると、走行シーン別にどんなパッドが最適なのか理解しやすくなります。

ライニングは、繊維、研磨剤、銅や真鍮などの粉末金属、金属ファイバーやグラスファイバー、ゴム粉など様々な材料を混ぜ合わせて作られます。  使われる材料と製造手法によってブレーキフィーリングとパッドの価格に大きく影響してきます。

 

種類1. レジン系を使用したライニング(非焼結)

レジン系パッドの特徴
・樹脂を使ってライニングの形状を作り出している。
・製造コストが安価である。
・μが低くコントロール幅が広い
・制動力は劣る(たくさん握る必要がある)
・高温領域では樹脂が溶け出す為、μ特性が変化しやすい。

ライニングに使用される様々な材料を、樹脂を使って固める製法で出来上がったパッドを”レジン系パッド”と呼びます。(ひと昔前はアスベストを使っていないと言う意味で”ノンアス”と呼んでんでいた事もあり。)

最近ではオーガニック系とも呼ばれる事があります。(なんだか美味しそう・・) 最近ではSS車向けの製品のラインナップが無くなりつつありますが、小排気量モデルのラインナップは豊富です。

ライニングの素材は製造される前は粉末の状態です。 その粉末に樹脂の粉末も混ぜ合わせて、クッキーの型のような物に詰め込み、60〜70℃まで温度を上げると樹脂が溶けて液体になって染み込む。

染み込んだ後、更に温度を上げ140〜240℃に達すると樹脂が硬化する。 冷えたらブレーキパッドの出来上がり!

 

種類2. セミメタル系ライニング(非焼結)

セミメタル系パッドの特徴
・樹脂を使ってライニングの形状を作り出している。
・製造コストが安価である。(レジンより高い)
・μは車重のあるバイクでも不安無いレベル。
・制動力も申し分無し。
・高温と低音の特性差が少なく全天候型。
・繰返しのハードブレーキングには不向き。

セミメタル系ライニングも、樹脂を溶かして染み込ませ硬化させてライニングの形を作る製法です。

レジン系と異なるのは材料に使われる金属成分が多いと言う事。  実は含有量の基準がなく、製造メーカーがこのパッドはセミメタルだ! と言ったらセミメタルになってしまうのです。 レジン系にも金属成分は含まれていますからとても曖昧です。 セミメタルと言うなの実際はレジン系の商品も存在すると言う事です。

しっかりと金属成分含有量が多ければ、特性はレジン系と異なる特性になります。 基本的に純正採用されているパッドはセミメタル系パッドです。

 

種類3. メタル系ライニング(焼結)

メタル系パッドの特徴
・金属粉末を高温で焼き固めて形を作る。
・炉(高い設備)が必要で製造コストが高い。
・μが高く、ハードブレーキング中も安定した制動力を得られる。
・配合する材料によって特性をコントロールできる。
・メタル含有量によって、「ハイスチール(ほぼ100%近く)」と「ロースチール」とに分類できる。
・800℃以下なら長時間連続使用でもフェードしない。

様々な呼び方がありますが、全て同じ種類です「シンタードパッド、メタルパッド、焼結パッド、カーボンパッド、など。」メタル系は製造手法がレジン系と異なり、「磨材の粉を高温の炉の中で焼き固める」手法で作られたパッドの事を指します。

高温で作られるライニングであり、サーキットなどの高負荷の時でもμが変化しづらく高く安定した性能を発揮できる磨材です。 近年は配合される物質の研究が進み、高性能バイクの純正パッドでも多く採用されています。(SS車は全てメタル系パッドが純正採用)

ブレーキパッドの原料

3. CBR1000RRにおすすめのパッド3選

AndyがおすすめするCBR1000RR用パッドはコレだ!!

おすすめパッド1. サーキット走行向け

HRCブレーキパッドN615摩材N615のフロント
HRCブレーキパッドN615N615のバックプレート

 

もちろん焼結パッドで、レースユースを想定された高温領域で真価を発揮する特性になっておりサーキット走行、地方選手権、全日本ロードレースなどガチンコ勢に向いています。

バックプレートには研磨加工を施し、均一な平面を出す事でブレーキディスクに垂直にチカラを伝え、限界域でのコントロール性向上に寄与します。  サーキット走行にはこれ以上の性能はない逸品です。

購入はHRCサービス指定ショップ又は、TSRオンラインショップで購入できます。 *一部HRCパーツの取寄せ可能なバイク用品店もアリ。*注文数は4個/1台分です。

 

おすすめパッド2. ワインディング・ストリート向け

CBR1000RR純正フロントブレーキパッド1HONDA品番 06455-MEL-D22 フロント側
CBR1000RR純正フロントブレーキパッド2リア側

 

CBR1000RRの純正パッドはもちろん高性能メタル(焼結)パッドです。センダボ&ロクダボオーナーの皆さま、純正だからと言って侮るなかれ!!  開発担当の想いがこめられたこのパッドの摩擦係数μはなんと脅威の0.6!! (レースパッドで0.7くらい)かなり高い数値を叩き出しています。(開発陣が狙ったスペックです)

もちろん純正品に大切なロングライフ、コントロール性もバランスさせています。  この性能とコストを考えた時、06455-MEL-D22以上のパッドはありません。 もしパッドをどうしようかな?と迷った時には、自信を持って高性能純正パッドを装着してください。

真夏のワインディングをハードに攻め続けても高い性能を維持できる優れ物です!!

*新品番:「06455-MEL-D23」 も同じです。

ワンポイント

CBR1000RRのサーキット走行後のブレーキパッド

鈴鹿の練習走行で熱変形してバックプレートが反ってしまったパッドです。流石に、1000CC+スリックタイヤ+高μ路面の鈴鹿+夏の条件ではフェードしてしまいました。

摩耗量も多くパッド自身の容積(ヒートマス)が小く熱を抱える身体が小さかった事も要因の一つです。*ヒートマスが小さいと、表面積が小さく放熱経路が減少。 夏以外の条件ではフェードしなかったのでやはり純正と言えど性能が高いと言えます。(夏も新品パッドなら大丈夫かも・・?2018年にTRYしてみます!!)

 

 

おすすめパッド3. リアブレーキパッド

1000RRが開発された時に同時に開発されたキャリパボディとパッドの相性は抜群です。サーキットでブレーキとして使うのではなく、スピードコントローラーとして使う事のできるパッドです。

サーキットで敢えてリアブレーキの効きを落としたい、下げたいという場合は、μを下げたセミメタル系パッドを選択する事もアリです。  JSBマシンやMotoGPマシンのRrブレーキは、街乗り感覚で踏むと全く効きません。

*新品番は06435-MEL-D23になっています。

 

3. CBRブレーキ整備情報

CBR1000RRキャリパ締付けトルク一覧

整備情報1. パッドピン締付トルク

 ・15N・m (1.5kgf・m)  (*1000、600、前後共通)

パッドピンは固着している事が多く、大変ナメやすい部品です。工具剛性寸法精度の高い工具を使用する事を強くおすすめします!!

 

整備情報2. フロントキャリパマウントボルト締付トルク

・45N・m (4.6kgf・m)

 

整備情報3. バンジョーオイルボルト締付トルク(参考)

・34N・m (3.5kgf・m)

 

締付ボルトの締め方によってブレーキ性能も変化します。 ボルトがナゼ締まるかその原理としくみを理解する事でマシン性能の向上と常に安定した整備ができるようになります。

 

4. 各ブレーキ部品の機能と役割(おまけ)

1. パッドスプリングの機能

パッドスプリングは主に3つの役割があります。

  1. パッドの振動を抑える事で、キャリパボディのこすれ、摩耗を低減する。
  2. パッドピンの脱落、緩み防止。
  3. ブレーキ鳴きの低減。

一昔前はレースに参戦する時はパッドスプリングを取外す事もありましたが、10年くらい前?にレギュレーションが”パッドスプリングが純正装備されている車種は取り外し不可”に変更されました。緩み防止機能として一定の効果があります。

 

2. ブレーキグリス

クルマのパッドにはグリス塗布の指示が出ている車種がほとんどです。

シムプレートと併用する事で「キ--!!」と言ったようなブレーキを掛けると鳴く音を低減させる事ができます。バイクの場合効果はもちろんあるのですがクルマに比べてキャリパが風雨にさらされ、グリスが脱落しやすく効果が持続しづらいと言えます。

CBR1000RRにはパッドグリス塗布の指示はありませんが、鳴きが気になって直したい!! と言う場合にはパッドグリス塗布も選択肢の一つです。

 

3. ブレーキ鳴き

自転車に乗っていると、雨や梅雨時期など湿気が多いとリアブレーキを掛けると「キキ~~ッッ!!!」って物凄い音がしますよね?

バイクでも同じように”鳴き”が発生する事があります。 SS車ではよっぽど聞くことは少ないですが、サーキットではたまに鳴いているバイクを見かける事もあります。

鳴きの原因は主にブレーキパッドとキャリパピストン同士がこすれる事で音が発生します。 様々な条件が複合的に絡んでいるのですが、要因の一つにパッドの摩耗があります。

パッドが摩耗すると、パッド一枚の重量が軽くなりますから慣性力が小さくなり振動しやすくなります。

またピストンがキャリパボディからたくさん露出するので、ピストンが倒れやすくなりやはり振動しやすくなります。

「アレ?なんかブレーキ掛けると音がでるぞ?」と思った時には、パッドの摩耗をチェックしてみて下さい。  *クルマの場合はパッドがガッツリ残っていてもガンガン鳴く事が多々あるのであまり当てはまりません・・。

 

4. ブレーキパッドの面取り

ブレーキパッドの面取り

ブレーキパッドを新品交換するときに、面取りをする目的はブレーキ鳴き防止です。

面取りがあると特段ブレーキ性能が上がる事はありません。ブレーキ鳴きが発生した時には面取りすると治る、症状が軽くなる事があります。
交換したけどブレーキ鳴いた!! また外して面取り!! と二度手間になってしまうので、ディーラーなどでは最初から面取りしてくれるお店もあります

 

間違って欲しくないのは、「絶対に面取りしなくてはならない」事はありません!!  プロの経験と判断で面取りしない場合も多分にあるという事です。

 

5. カーボンブレーキのパッドはちょっと違う

Moto-GPマシン用カーボンブレーキパッド

Moto-GPマシン用のカーボンブレーキパッドはバックプレートがありません。カーボンパッド自身に剛性と強度があるので、ライニングだけでできています。(バックプレートだけでできているとも言える。。)

 

通常はディスクの摩耗はとても進行が遅いですが、カーボンディスクはパッドと材質が同じなのでガンガン摩耗します。

そして黒いコナとなって車体のあちこちに付着し、いつも清掃していないとマシンがスグに真っクロになってしまいます・・。だからメカニックはみんなカーボンブレーキをキライな人が多い!! d( ̄  ̄)

 

5. ブレーキパッドの選び方まとめ

CBR1000RR、CBR600RRオーナーは開発されつくした高性能純正パッドがおススメ!!

ガチンコレース勢は、HRCパッドの摩材記号N615がおススメ!!

もちろん、社外品も用品店の知識が豊富な担当スタッフと相談して納得できるモノを選ぶことも楽しみの一つですから、納得した上で社外品に交換する事も面白いし楽しいと思います。

なんとなく巷の噂では「純正パッド=安物!!」と思われがちなので”RR”の称号を得るパッドは一味違うよ!! と言う事を知ってもらって、開発陣とオーナーの満足度に貢献できたら幸いです♪♪

Let' Fun! Ride! Run!
Andy

--コメント--
  1. 今更のコメント失礼します。
    「3. CBRブレーキ整備情報」の写真ですが、SC57前期にSC59キャリパー、SC44もしくはSC50の330mmディスクローター、KHOKENの10mmスペーサーでキャリパーマウントボルトは70mmに交換した写真ですか?
    SC57後期に330mmディスクローターを装着しようとしている組合せに見えるんです。
    既にキャリパーはSC59にしているので、スペーサーとローター、マウントボルトの調達で完成するはずなので、気になってコメントしました。
    細かい話ですみません。

    ※MOTO-ACE-VLOGも楽しく拝見しています。

  2. いつも楽しく拝見させていただいております。以前オイルの件で質問させていただきましたNC700のヤスと申します。
    サイトを見て純正ブレーキパッドの流用について興味を持ちました。
    ロングライフということで現在ベスラのZV-VD163JLとうパッドを使用しています。適合車種を見るとVTR1000SPやCBR1000RR04等がでていました。

    そこで疑問に思ったのが、純正パッドは同じ形状でも車重や速度レンジによって摩擦材を使い分けていると考えてよいのでしょうか?
    逆にいえば、純正パッドでも味付けを選ぶことが可能ということ?

    適合の候補で、摩材記号TT2450のがありまたが、街乗りレベルでは温度が上がらないから使いにくいなど出てくるものでしょうか?
    マニアックで質問ばかりですみません。不適切な質問でしたら削除して下さい。よろしくお願いします。

    • ヤスさん  コメントありがとうございます。

      パッドの磨材特定は、完全な混ぜ物(配合)の世界なので、入れる添加剤や添加物によって大きく特性が変化します。基本的には高音でもμを変化させない(低下させない)というのが一般的に良いパッドとなります。

      TT2450はタンガロイの磨材記号ですが、スポーツ走行など温度が上がっている時には特性の変化が少ないのでコントロールしやすいと思います。

      真冬のキンキンに冷えた外気の中、走りだして1発目に踏むブレーキは、μ特性が低くなっている事は間違いと思いますが、「止まるブレーキ」としてはもちろん問題なく機能します。

      ブレーキのコントロール性が欲しい時は、「ブレーキでなく、スピードコントローラを頻繁に踏む」時だと思いますので、温度が上がったその時には、どんな温度領域でも一定の効きを発揮してくれます。

      逆に、キンキンに冷えた時から常に一定のμでありつづけるパッドも存在しないので、そういう意味においては、慣れれば大丈夫! とも言えるかもしれません(╹◡╹)

      • アドバイス有難うございます。
        早速純正流用でCBR1000RRの純正パッドをためしてみたいと思います。

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