お役立ち記事!
バイクのリアサスセッティング方法|基本編

こんにちは!Moto-Ace-Blogerの@Andyです!!

前回のフロントサスペンションのセッティング編に続く第二弾として、リアサスペンションのセッティングについてです。  もしフロント編をまだ読んでいなければ、先にこちらをご覧下さい。→フロントサスペンションのセッティング|入門編

やはりノーマルからリプレイスサスへ変更するオーナーはかなり多いと思います。  実際停まっているバイクを眺めていてもリアサスをオーリンズやナイトロン、ハイパープロなど有名メーカーへ交換しているマシンを何台も目にします。  もちろんブランド力のあるメーカーへ交換するだけも十分に価値を見出す事ができますが、 せっかくならバイクを楽しむ調整幅も増やして欲しいと思います。  この記事を読み終えたら、「よし!自分のマシンのリアサスをいじって見よう!」と思ってもらえたら嬉しいです♪♪

フロントサスペンションは、減速と旋回が主な担当分野ですが、リアサスはスイングアームと合わせて考えると減速・旋回・加速の全てに大きな影響を与えます。 レースシーンのようにリアが完全に浮いてしまっている状態でタイヤは接地していませんが、影響を与えています。

もちろん街乗りではリアリフトする事はありませんから、やはり常に大きな影響を与えています。  その影響を良い方向へ持っていければ乗りやすいバイクにする事ができます。

今回も入門編として的を絞って記します。リアサスもセッティング上級編の記事もアップする予定です。

1. リアサスペンションに求められる機能と特徴

1-1. 機能

フロントサスペンション同様、リアサスペンションも「緩衝機能」「支持位置決め機能」を持っています。

フロントサスペンションと少し違うポイントは、スイングアームが支持位置決め機能を担っている事です。 フロントの場合はフォークの内部に、「バネ+注射器」が完全にインストールされています。  対してリアサスペンションはバネと注射器を目視する事ができます。 つまり外部に露出しています。 ここがフロントと違う最も大きなポイントです。

サスペンションユニットとしての剛性は必要ですが、車体剛性には含まれません。  フロントの場合は、フォークその物(ダンパユニット)が車体剛性を司るパーツとなります。

紅のセンダボ! 支持位置決めが必要なのはフロントと同じ。

支持位置決め機能がなければ、バイクはバネの上で加速&減速&ギャップの通過でどの方向に向くかわかりません。 正に↑の写真の状態。前後x左右x上下x斜めに自由自在に動いて姿勢が決まりませんよね!  リアサスもバネで浮かしているのはフロントと同じですが、サスペンションユニットはスイングする動きも同時に伴います。

1-2.リアサスの特徴

そしてもう一つ、リアサスペンションは円弧軌道を辿る宿命を持っています。 フロントサスなら純粋な伸縮運動だけですが、リアサスはサスペンションユニット本体が円弧上に動きます。

つまり、本体の伸縮運動と、本体が円弧を描く。この2つの動きでクッションユニットが成り立っています。

上下のサスペンションマウントは振り子運動をするよ!

ほとんどのバイクは、リアタイヤがスイングアームによって位置決めされている構造です。 その場合、どんなバイクもスイングアームとサスペンションユニットが連結されており、上図のように円弧運動を必要とします。

つまりサスペンションの上側と下側のマウント部でサスペンションは角度が変化します。

角度を変化できる構造を持っている事も、リアサスペンション特有の大きな特徴と言えます。 具体的には上下のマウントはブラバーブッシュ構造です。 ラバーの撓む動きは正確にコントロールしづらいので、オーリンズなどのリプレイスサスや、レーサーで使用されるマシンは、より摩擦の少ないピロボール構造、ピロニードル構造になっています。

ピロボール(球面軸受)とブッシュの違い

ラバーブッシュ

ゴムが捻じれる、ゴムがタワむ事で振り子運動に追従する構造です。非常に安価ですが、ゴムの劣化と共にフィーリングも変化してしまう事が難点です。サスでは吸収できない細かな振動(路面凹凸)を吸収するので乗り心地はGood!!

ピロボール

ピロボールが滑る事で振り子運動に追従する構造です。 非常にコスト高となりますが摩擦が少ない事と、サスペンションの動きがダイレクトにライダーへ伝わります。

乱坊
当然!サスの性能はピロボールの方がイイんだろ!?
先生
イイ質問ですねぇ~! 実はそうとも言えないんですよ!! ツーリングなどでは微振動をブッシュが吸収してくれるので、不快な振動を低減し長時間のライディングでも疲れにくいいブッシュの方が高性能である。という事も言えます!
乱坊
ナゼだ? ブッシュで吸収する分を、サスがダイレクトに動いて吸収するから全て良くなるんじゃないのか!?
先生
いいえ! そうではありません。ゴム(ブッシュ)は細かな振動を吸収してくれる事は乱坊くんもイメージできますよね。

それは振動数が高い、つまり細かな振動です。 サスペンションが吸収するのであれば、ブッシュ(ゴム)と同じように振幅運動があって初めて吸収できる訳です。

しかしサスペンションはゴムに比べて振幅する為に動く部品の重量が重たいので、1mm程度の小さな振幅を高速で繰り返す事ができません。 つまり、ライダーが不快に感じるような微振動(高速振動)を吸収する事は、とてもとても不得意なのです。

さすが池上先生! なんでも知っている!! スポーツ走行性能を重視するなら、路面やタイヤ、サスのフィーリングをダイレクトに感じる方が良いので、ピロボールの方が良いと言えます。  しかし可動部に潤滑材を塗布したり部品が高額になってしまったりと言ったデメリットがあります。  ブッシュはメンテ不要なので、ヘタるまで何もする必要はありません。 コストも安く不快な微振動も吸収してくれます。

オーナーのライディングの目的に合わせて選択した仕様がベストである事は間違いありません。「ピロこそ全てがいいサスなんだぜ~!? ガッハッハ~!!」と言っている可哀想なパイセンを見かけてしまったら、こっそりこのブログを教えてあげて下さいw

 

2. バイクのリアサスペンションの種類

様々な種類がありますが、大きく分けて3タイプあります。

種類1. モノサスペンションタイプ

ホーネット900! (ホネQ)

このタイプは、リアサスペンションが1本のタイプです。(”モノ”とはギリシャ語で一つと言う意味。二つは”ビ”、三つは”トリ”。) 業界用語では1本サスの事を「モノサス」と言ったりします。

このタイプの特徴は、リアサスを敢えて隠すようなデザインを優先したいときなどに使われます。 サスそしては狭いところに追いやられ、そのほとんどはエキパイと近く使用環境が厳しいモデルが多い傾向です。

しかし、重たいリアサスが重心の近くにレイアウトされているので、バイク本体の運動性能は良いと言えます。(マスの集中)

種類2. コンベンショナルタイプ(ツインショック)

ネイキッド車などに多い2本タイプ

ネイキッドタイプに多く見られるタイプで、2本のサスペンションユニットを装備しています。 この方式のサスペンションの最大のメリットは「バイクらしいデザイン」と、「シート下スペースを確保でき積載性が良い」事です。

なので積載性や、ユーザーの使い勝手を考えれば、速さを求めていないネイキッドバイクにはこれ以上のサスはありません。CBR1000RRのリアサスを変えても、せっかくの高級イエローサスはスイングアームやタイヤに隠れてちっともおもしろくない!!

やっぱりリアサスを変えたら「どやッっ!!」顔したいですからね♡

つまり、外観商品性能が最も高いサスペンションであると言えます。  しかし、モノサスに比べ、重たいサスペンションユニットが重心から離れたところにレイアウトされているので運動性能は劣ります。

種類3. リンク式タイプ

スーパースポーツ、一部のネイキッドなどのマシンに多く採用されているタイプです。Moto-GPマシンはメーカーを問わず全てこのタイプ。  サスペンションにとって最も過酷であるモトクロス用バイクもこのタイプです。(KTMは除く)

2011DUCATIのMoto-GPマシンのリンク。

緑色に塗られた三角形の部品がリンクアーム(通称:リンク)と呼ばれる部品です。 支点、力点、作用点が存在するので、必ず三角形になります。

KawasakiのZ1000に装備されているリンクプレートです。(”リンク”でOK)一つの部品ではなく、2枚のプレートを連結して使用するタイプです。

リンク式サスが一般的になりつつあるので、今はリンク式と言わず、「モノサス」と言う方も多いです。  ほとんどのリンク式サスは1本で構成されているので、モノサスでも間違いではありません。  会話する相手の空気感でモノサスと言われた時に、リンク式なのか、リンク無しモノサスなのかを感じ取って下さいw。

リンク式サスのコストが高い理由
  • リンク部品が必要なので部品点数が増える。
  • フレームにテンションロッドを締結する為の加工が必要になる
  • リンク部品にベアリングを使用するのでコストが高い。
  • 組み立てが複雑で作業工程が増えるので人件費が高い。

やはりどう考えてもリンク無しのモノサス使用が最もコストを抑えられる事は誰の目から見ても明らかです。  しかしコストを掛けてでも得られる”ナニか”があるからコストを掛けるんですよね??  だからこそMoto-GPマシンもリンクを使う訳です。  ではその”ナニか”とはいったい…??

リンク式サスを使うメリット
  • 小さな路面のギャップは柔らかいバネ特性である。
  • 大きなギャップを通過した時は、硬いバネ特性になる!!
  • 二人乗りして大きなギャップを通過した時にはもっと硬いバネ特性になる!
  • サスペンションユニットを低い位置にレイアウトできるので、低重心化できる!

サスペンションの理想的なストローク特性が得られる事が何と言っても最大のメリットです。

サスペンションがあまり沈んでいない時には、ポヨンポヨンした柔らか〜い特性。  でも大きなギャップを通過したり二人乗りした時などサスペンションが深く沈んでいる時にはシッカリと踏ん張ってくれる特性です。

リンク式サスと、リンク無しの主な性能の比較

サスの状態 リンク式

リンク無し①

バネが柔らかい

リンク無し②

バネが硬い

浅く沈んだ時

ポヨン!

ポヨン!

*シッカリ吸収

ポヨン!

ポヨン!

*シッカリ吸収

ガンッ!

ガンッ!

*硬くて沈まない

深く沈んだ時

グッ!

グッ!

*シッカリ吸収

ガンッ!

ガンッ!

*柔らかくて底付き

グッ!

グッ!

*シッカリ吸収

リンクが無い場合、一人乗りに最適なバネの硬さを選ぶと、二人乗りした時などサスが深〜く沈んだ時にはバネ特性が柔らかすぎて底付きしてしまい、ギャップのショックがダイレクトに伝わってきます。 この場合はサスペンションが無い自転車と同じなので、ガンガンお尻を突いてきます。

リンクが無い場合、二人乗りした時に最適なバネの硬さを選んだとします。 するともちろん二人乗りしている時はちょうど良い硬さなので、どんなギャップがきても二人で乗り越えられます。 しかし、彼女との別れが訪れ、ぼっちライダーになってしまった瞬間から、バネが固すぎショックを吸収できず大泣きする事になります。

ここでリンクが登場!  一人乗りでは柔らかく。 二人のってもしなやかに。 相反する領域でも時に柔らかく時に硬くバネ特性を変化させてくれる、スゴイ部品なのです。 この特性を得る為に、コストを掛けてでもリンクを装備するのです。

 表は分かりやすくする為に、極端に表現しています。 実際はモノサスで二人乗りしても底付きするような事は滅多にありませんので安心してタンデムしてくださいネ!

 

3. リアダンパーユニットの構造

世界のモーターサイクルを見るとざっと10種類以上ありますが、現在代表的に使用されている3タイプを覚えておけばほとんどの話に着いて行けます。

先ずはこれを覚える!!

ここで突然のクイズ!!  今、 娘がお風呂を楽しんでいます。そこへ彼氏と上手く行っているのか気になって仕方のないお父さんが湯船に一緒に入る事になりました。正解は次のうちどれでしょう? ちなみに娘が湯船に入ってお湯はあふれる寸前です。

  1. お父さんが入ってお湯があふれる。
  2. お父さんが入ってお湯があふれかえる。
  3. お父さんが入ってお湯がなくなる。
  4. お父さんが入って娘にのぼせるw
ここへお父さん登場!

正解は・・・!? 1と2と4でした〜ww  と冗談はこれくらいにして、どんな大人もきっと経験したであろう、すり切れ一杯のお風呂にどれだけそぉ〜っっと入っても、お湯は必ず溢れてしまいますよね!?  大人になれば、自分の体の体積分が溢れてしまう事を理解できると思います。

実はサスペンションも全く同じ事が起こっているのです。  お風呂のお湯がサスペンションの場合は「オイル」です。 お風呂のお父さんがサスペンションの場合は「ロッド」です。  ここをよ〜く覚えておいて下さいね!!

お湯がすり切れ一杯の浴槽に、お父さんが入ると「ザブ~ン!」と音を立ててお湯があふれてしまいます!

 

ダンパ構造1. シングルチューブエマルジョンタイプ(単筒型)

カブのリアサス!

世界で最も売れているバイク!スーパーカブはシングルチューブ式!

リアサスの中身!

不等ピッチスプリングと、ダンパーユニットが入っています。 ダンパーは病院の注射器と同じ原理です。

分離加圧タイプにあったフリーピストンがありません。なのでサスペンションを横や斜めにレイアウトすると、オイルがちゃぷちゃぷして、ピストンに空気(若しくは窒素ガス)が入り込んでしまいます。  空気がピストンを通過する時には減衰力が生まれませんから、スカスカな動きになってしまい、サスペンションでなく「ただのバネ」になってしまいます。

エマルジョンタイプの特徴
  • フリーピストンが無く、部品点数が少ないので軽量。
  • オイルがちゃぷちゃぷするので、取り付ける角度に制約がある
  • コストが安い

 

*オイルがちゃぷちゃぷすると、空気が全体的に混ざってしまいます。この事をエアレーションと言います。 例えば少し減ったペットボトルのお茶を勢い良くシャカシャカ振ると、泡が混ざりますよね?  バイクでも細かな凹凸を長く拾うと同じ事がダンパーオイルにも起こってエアを噛んでしまいます。[/aside]

ダンパ構造2. ツインチューブタイプ(複筒型)

チューブの中にもう一つサイズの小さいチューブが設けられているダンパユニットの事を指します。 筒が2重になっているイメージです。基本的には加圧をしていません。(少し加圧するモデルもある)

アメリカンモデルなどに多く採用されている構造のダンパユニットです。

加圧していなくても、ロッド先端のバルブ部にはエアが噛まない構造である事が最も大きな特徴です。 エアレーションを起こし難い構造です。

サスペンションが圧縮(縮む)した時には、お父さん(ロッド)が侵入してきますよね!?  そのお父さんの体積分の逃げるスペースが、外側の筒と、内側の筒の間にある空間です。  そして、この空間にオイルが逃げていく時に、ベースバルブ(青枠のバルブ)を通過します。

この時、オイルの通過する穴をコントロールする事で、圧縮側の減衰力を調整する事ができます。(メーカーが車種コンセプトに合った最適なセッティングできると言う意味。*ユーザーではない)

ツインチューブタイプの特徴
  • エアレーションを起こし難く、減衰力が安定する。
  • 圧縮側の減衰力を調整できる(メーカーセッティング)
  • 分離加圧に比べコストが安い。
  • ダンパユニットの取付角には制約がある。

 

ダンパ構造3. 分離加圧タイプ(ド・カルボンタイプ)

現在の高性能バイク、ネイキッド、スポーツバイクはほぼ全てこの分離加圧タイプと言っても過言ではありません。 (SS車の次世代サスは除く。上級編で書く予定です) やはり最も高性能かつ、コストの掛かった仕様であると言えます。

もちろん、別名ド・カルボンなんて名前が付いていますが「お父さん」はもちろんお風呂へ入りますよ!w  お父さんがはいった分のお湯の逃げ場は、高圧窒素ガスが充填してあるお部屋になっております。

フリーピストンによって、オイル室と窒素ガス室は完全に隔離されているので、オイルがチャプチャプ暴れる事はありません。 また急激な圧力低下で圧力が下がっても、高圧ガスのチカラを受けたオイルは圧縮された状態を保てるので、キャビテーションがとても起きにくい仕様です。

 

シングルチューブの分離加圧タイプの解説図

 

シングルチューブ分離加圧の特徴
  • サスペンションの取付角度に制約が無い。逆さまでもOK!
  • 高圧ガスでオイルに圧力を掛けているのでキャビテーションが発生しにくい。
  • オイル室とガス室がしっかり分かれているのでオイルがちゃぷちゃぷしない
  • 減衰力特性が安定している。
  • 小さな穴加工や、均一な厚みと正確な寸法の薄板が必要で製造コストが高い
  • 高圧ガスの圧力がオイルに掛かっているので、経年劣化でシールからオイルが漏れやすい

高圧ガス圧を使用するため、ユニット全体に強度が必要で重たくなり、全長も長くなる宿命を持っています。 しかし、元々省スペースのリアサスにコンパクトに収める為に、高圧ガス室だけを別置きにしたモデルが多く採用されています。 ↓こんなタイプ

別置きにする事でダンパユニットの全長を短く設計する事ができるよ!

ネイキッドバイクは、別置きタンクに「OHLINS」!と書いた黄色い幸せのサスに憧れますw

 

4. リアサスペンションの特性について

フロントサスの記事と併せてここまで読んで頂いた方は、ほんのすこーーしくらいはどんな特性が良さそうか分かってきてくれていると思います。(分からなければ私の記事のクオリティが低いだけですのであしからず。。m(__)m)

少し分解して考えたいと思います。

特性1. リアサスにとって理想の特性とは

先の表にも記した通り、理想はオーナーが何も調整しない状態で「一人乗りでも二人乗りでも硬すぎず、柔らかすぎず、常に乗り心地が最高で、路面追従性が良いサス」が理想です。

この理想に向かって、バイクメーカーとサスペンションメーカー、タイヤメーカーが様々な方法で理想を追い求めています。

何もしなくても、いつもこの状態になっていれば本当に最高ですね!

 

特性2. プログレッシブ特性とはどんな意味?

よくサスの事を書いている雑誌や記事をみると必ずと言っていいほどこの「プログレッシブな特性」と言うワードが出てきます。これ一体どう言う意味??

「Progressive=累進的な」と言う意味です。  もうすこし違う表現をすると、「二次曲線的な」という言い方をするジャーナリストも多いと思います。しかし、この二次曲線と言われてもまだピンときませんよね~。。。

と言う事で、私Andyはこう言います。

 「サスが沈む(ストロークする)程にバネレートが高くなる特性」がプログレッシブな特性です。

つまり、ストロークが浅い領域はソフトで柔らかく! ストロークの深い領域では硬く! といった理想の特性です。 サスペンション単体をみても、Rrサスでは、「バネ」と、リンクを装備しているもでるでは「リンク」でプログレッシブ特性を得ています。

特性3. バネをプログレッシブ特性にする方法

ピッチの異なるダブルレート

撒きピッチが密(狭い)な部分が柔らかいバネ。 ピッチが粗(広い)部分が硬いバネになっているよ!に種類のバネ特性をもった1本のバネがダブルレート!

等間隔なシングルレート

社外に多いシングルレート。どのストローク域でもバネの反発力は一定。変化が常に一定なのでスポーツ走行やサーキットに向いている。

純正のサスペンションはタンデムを考慮した作りになっているので、初期は柔らかく、奥で踏ん張ってくれるダブルレートが多い。

逆に一人乗りスポーツバイクや、サーキット専用マシンなどは、セッティングのし易さ重視してシングルレートが好まれる。

特性4. リンクを使うとプログレッシブ特性になる

先程出てきたリンクを使うとなぜプログレッシブ特性になるのか??  Rrホイールの移動量を100mm、バネレートは1kg/mmとした場合のイメージです。

Rrホイール中心の移動量

サスストローク量

(リンク無し)

サスストローク量

(リンク有り)

0~30mm 0~15mm 0~10mm
30~70mm 15~35mm 10~25mm
70~100mm 35~50mm 25~55mm

同じRrホイール中心の移動量だった場合、サスストロークが少ない方がバネ反力が小さくなります。

ストローク30mmで比較した場合
  • リンク無し=サスは15mmストローク=バネ反力は15kgです。
  • リンク有り=サスは10mmストローク=バネ反力は10kgです
ストローク100mmで比較した場合
  • リンク無し=サスは50mmストローク=バネ反力は50kgです。
  • リンク有り=サスは55mmストローク=バネ反力は55kgです。

つまり、Rrホイール中心の移動量で考えた場合、バネの反力がストロークする程に高まる事がわかります。 このお陰でバネはそのままで相対的なストローク量を変化させ、バネレートを変えた時と同じ特性を得られるのです。  ここが最大のポイントです。

これをグラフに表すとこんなイメージです。

モトクロス競技車輌のCRF150Rのレシオイメージです。

ストロークの深い領域で、アクスル中心移動量と、サスペンションストロークの比率が高くなっています。 モトクロスは大ジャンプをするので着地した時には大きな衝撃が加わり、サスペンションはオンロードと比べモノにならないほどのショックを吸収します。  その為、ストローク奥の領域ではリンクのなす角度がすべて90°に近づき、大きな反力を得られるようになっています。

5. セッティングによって何が変化するのか

変化1. イニシャルセッティング

 項 目 変 化

掛ける

(締める)

使用するストローク領域が浅くなる。(車高が高い)

リア車高が高くなる。(尻上がり姿勢)

Rr分担荷重が減少する。(Frは増加)

タンデムする場合は強めて車高UPが可能。

抜く

(緩める)

使用するストローク領域が深くなる。(車高が低い)

リア車高が低くなる。(尻下がり姿勢)

Rr分担荷重が増加する。(Frは減少)

軽量なライダーは抜くと車高Downが可能。

*イニシャルを掛けても抜いても、バネが硬くなったり柔らかくなったりする事はありません!!のでお間違いなく♪

詳しくはFrの記事に記載しているのでコチラをご覧ください。→FRサスの記事リンク

変化2. テンションセッティング

 項 目 変 化

掛ける

(締める)

Rrサスが伸びあがるスピードが遅くなる。

ブレーキを掛けた時、前のめりになり難い。

→結果、ブレーキの姿勢が変化しにくく安心感が高まる。

バイクが全体的にスローに動き重たく感じる。

ポヨンポヨンしにくくなる。

抜く

(緩める)

Rrサスが伸びあがるスピードが速くなる。

バイクが機敏に動くようになる。

ブレーキを掛けた時、Frタイヤへ荷重を乗せやすい。

ポヨンポヨンしやすくなる。

変化3. コンプレッションセッティング

 項 目 変 化

掛ける

(締める)

Rrサスが沈み込むスピードが遅くなる。

Rrサスのフィーリングをダイレクトに感じやすい。

Rrタイヤへ荷重が移る時、時間がかかる。

ポヨンポヨンしにくくなる。

抜く

(緩める)

Rrサスが沈み込むスピードが速くなる。

Rrタイヤへ早く荷重を移す事ができる。

小さいギャップや振動の吸収性が良くなる。

場合によってはポヨンポヨンしやすくなる。

これがすべてではありませんが、大ざっぱに言って街乗りではこのような変化を伴います。  乗り心地重視、足つき性重視、運動性能重視など様々なシチュエーションがあると思いますが、 自分の走る目的に合ったセッティングを考える事はきっとバイクの楽しみも増える事と思います。

初心者だからと言って遠慮はいりません!  正解か不正解かはオーナーが決める事です! ウザいベテランの「決めつけ」は無視して、頼れるベテランの意見や考え方、アドバイスを参考にしましょう!  きっと走る事がもっと楽しくなるはずです!!

 

6. まとめ

またしても長文、最後までご覧いただきありがとうございました。 今回初めて1万字越え!! お付き合い頂き本当に感謝致しますm(__)m

先ずは、初心者も目的をもったら、ドンドンいじって欲しいと思います。 上手く行かなくてもその過程は必ず楽しめます♪  「初心者にはまだサスセッティングは早いよ!」と言っているパイセンも初心者ですから気にしてはいけませんww

分からない事があれば気軽にコメントして下さい。

サスペンションの上級編は、サーキット、ワインディングに的を絞った記事を書く予定です。スポーツ走行を目的にした時には常にディメンションとセットで考える必要がありますから、もっと奥が深くて面白いです♪♪(^O^)

7. ユニットプロリンクとは?(おまけ)

リアサスペンションのアッパーマウントがフレームではなく、スイングアームに締結されているタイプの方式です。 現在はHondaのCBR1000RRとCBR600RR(ディスコン)に広く採用されています。

SC57のユニットプロリンク

リアサスペンション全体がスイングアームと一緒に動きながら伸縮運動をします。

SC59のユニットプロリンク。見づらいけど、Rrサスの上側はスイングアームにつながっています。

Rrサスペンションの搭載位置を下げて、低重心化を図ったSC59モデル。SC77も踏襲しています。

ユニットプロリンクのメリット
  • スイングアームの剛性が高くトラクションが掛けやすい
  • Rrタイヤがスライドした時のコントロール性が良い
  • フレームのアッパークロスパイプにマウントが無い為、タンク等の重量物を低重心化できる
  • 剛性ベストでフレームを設計しやすい。

元々はフレームのアッパークロスにマウントを設けるので、フレームに強度が必要になります。  ユニットプロリンクの場合はフレームにマウントはなく、代わりにスイングアームに設けます。 その事で本来アッパーマウントに必要だった強度をスイングアームに持たせなければなりません。

強度を持たせたスイングアームは、その剛性が必然的に高くなります。 スイングアームの剛性が高いと、特にサスペンションが沈む方向に対するタワミが減少します。するとダイレクト感が増してRrに荷重のかかる加速区間でのフィーリングが良くなります。

その事からも、HONDAワークスのCBR1000RRに採用されているスイングアーム形状を見ると、縦剛性がいかにも高そうな形状をしています。

SC77レースマシン。*写真はWEBオートバイより転用。

サスペンションユニット全体もバネ下重量に含まれる構造の為、イナーシャが大きくスライドしている時の挙動はコントロールしやすいと言えます。

しかしデメリットも存在します。  それはスイングアーム重量が重い事。これは強度部材をスイングアームに設ける必然性から避ける事ができません。また、サスペンションユニット全体も完全なバネした重量になるので、機敏な動きはとても不得意な構造です。

Moto-GPが2008年に800ccへと排気量が縮小された時には、まさにこのデメリットが際立つレギュレーションとなりました。 1000ccだった頃は有り余るパワーを有効に伝える事がタイムアップへの課題でトラクションを稼ぐことでタイムを短縮していました。

ところが排気量が800ccになるとパワーは有り余らなくなりました。コーナリングスピード重視の時代へと変化したのです。 だからこそ、コーナリングにおけるフィーリングをより敏感に感じ取るには、イナーシャが小さく軽量なスイングアームが求められたのです。

そして現在は再度1000ccへと戻りましたが、燃料規制がより厳しくなり排気量は増えてもパワーは大きく変わっていません。 そういった背景もあってユニットプロリンクはMoto-GPの世界からなくなりました。

他にもよりウィリーしない車体、よりジャックナイフしない車体、を目指した結果、低重心タンクが必要となり「上やぐら」のスイングアームではレイアウトが成立しない事も大きく影響しています。

 

現在はIMUなどの技術が身近になったことから、とても高性能なトラクションコントロールが市販車にも装備されています。 物理的にタイヤが持つトラクションのおいしいところまで簡単に持って行けるようになりつつあります。  そういった意味で、もしかすると今後ユニットプロリンクの出番は無いのかもしれません。下やぐらのスイングアームのお陰でタンクなどの重量物も低くレイアウトできるのが当たり前になった事も要因の一つです。

しかしBESTはトラクションの良い構造(車体)と、トラクションの良い制御のハズです。  今後、排ガス規制を考えれば、更なる弁当箱の容積の巨大化は必須で車体重心の近くに置きたくなるハズです。 そうなると下やぐらのスイングアームより、上やぐらのスイングアームの方がトータルで考えればBESTなレイアウトになるかもしれません。 個人的には、独自技術のユニットプロリンク技術を今後も磨き続けて欲しいし、他社にもある、ありきたりな構造には戻って欲しくないな~と思っています(=^・^=)

Let’s Fun! Ride! Run!
Andy

--コメント--
  1. Andyさんいつも大変勉強させていただいております。

    近頃MC51(F/R共に純正)でミニサーキットに通っておりますが、低速コーナー開けのスロットルオープン時にリアタイヤが滑ることが多くなってきており苦慮しております。

    そこでご質問なのですが、プリロード変更しかできないリアサスの場合、一般的に開けゴケに耐えるようにセッティング変更するのであれば、プリロードは弱めた方がその分リアに荷重が掛かり易いので開けゴケしにくくなるという認識で合っておりますか?

    また、リアサスの限界(底付き?)を超えた時の挙動はどのようになるのか教えて頂けると参考になります。
    お忙しいところ恐縮ですが、宜しくお願い致します。

    • MC51さんこんにちは

      ◯=プリロードを変更すると、バイクの動的車高を変える事が可能。
      ✖️=プリロードを変更してグリップ力を高める

      タイヤをグリップさせるには垂直荷重をタイヤに与える事が必須です。
      与えた垂直荷重以上に駆動力を与えればタイヤは滑ってしまいます。

      ご存知の通りバイクはバンクして旋回します。
      バンク角が深くなるほど垂直荷重は減少してしまいます。

      プリロードを変化させると、動的車高変化に伴って前後分担荷重が変化します。
      前後分担が変化してもフルバンク中の絶対グリップ力には影響しません。

      フルバンクからのスロットル付け(開けではない)時に滑るのであれば、更に小さい開度でコントロールするか
      1°程度バイクが起きてから操作するしか方法は無いです。
      ※もしくはグリップ力の高いタイヤに変える

      リアサスの限界を超えると、バンプラバーに当たります。
      更にバンプラバーも潰れきるとサスでは吸収できないので、シートとタイヤが潰れ
      ショックがダイレクトに内蔵に伝わり、いままでに無い衝撃が内蔵を通過します!笑

      フルバンク中にサスが限界ストロークを超える事は物理的に不可能で、その前に転んでしまします。

      ご参考になれば幸いです。

      • Andyさんお忙しい中ご丁寧にありがとうございました。
        車高とコーナーリングの関係について改め調べたところ、興味深い記事が多数ありとても参考になりました!
        自分の乗り方にもまだまだ改善点がありそうですので色々と試してみたいと思います。
        今後とも参考にさせて頂きます、ありがとうございました。

  2. 初めまして。いつも為になるお話をありがとうございます。
    私は去年から鈴鹿サーキットを走り始めましたが、まだサスペンションを調整したことがありません。
    ですがいろいろと思うことがあり、このたびサスペンション調整をしてみようと思い立ちました。
    と、言ってもリアサスペンションのプリロードを締めるだけなのですが・・・。

    私はS字コーナーが好きで、ここをもう少し速いペースで駆け抜けてみたい、と思いました。
    しかしスピードを上げる=転倒するリスクも上がるだろうな・・・と考えました。
    コーナーのスピードを上げたいけど、転倒のリスクも減らしたい(これが目的です)。
    今のままで大丈夫なのか? ライディングスキルを上げるのは当然ですが、他にやれることはないのか? と初心者なりに考えてみました。

    スピードを上げるには当然アクセルを開ける必要がある。そうするとリア荷重が強くなっていって、逆にフロントの荷重が抜けていく。
    フロントの荷重が弱くなるということはフロントが滑る可能性が高くなる。
    リアは滑っても=即転倒ではないが・・・フロントが滑るとどうにもならない、という話は聞いていたので転倒のリスクを減らすにはフロントの荷重を増やす工夫をするべきだと考えました。
    フロント荷重と言えばフロントブレーキですがS字とかはブレーキを使うコーナーではない・・・却下。
    それではどうするかな? とAndyさんの記事を参考にした結果、リアサスのイニシャルを掛けてフロント荷重を強めようと思い至りました。

    サスペンション調整の泥沼にハマらない為に目的をちゃんと定めてあれこれと考えるようにしてみました。
    初歩中の初歩の、もしかしたら間違っているであろう文章を長々と書いてしまいましたが・・・
    Andyさんから見て、ここは勘違いして考えているな~、とかその考え方は違うよ~、とか気づかれたことがありましたら教えていただきたいです。

    • こんにちは! 

      鈴鹿サーキットを走られてるんですね♪ 
      S字区間はフルバンクtoフルバンクで楽しい区間だと感じます

      ご質問頂いた内容は⬇のように理解しました。
      ・S字区間でのタイム短縮する事が目的
       →Fr荷重を増やして転倒リスク低減
       →その為にRrのイニシャルを追加しFr荷重UP

      Fr荷重UPさせる手法として、Rrのイニシャル追加は間違っていません。

      疑問に思うのは、よりダイレクトに変化させられる「Frのイニシャルを抜く」事をしないのはナゼ? という事です。

      イニシャル変更=動的車高調整 です。

      Rrのイニシャルを掛けると、Rrの動的車高がUPして、Rr上がりFr下がりの姿勢に変化します。

      つまり、Frのイニシャルを抜いてもRr上がりFr下がりの姿勢を作る事が可能です。

      また、コーナーのどの部分の速度アップを図るのか?によってもアプローチが異なります。

      進入、定常旋回、立上りの3つに分類できますが、タイムの速い人ほと定常旋回時間が無いor短い傾向にあります。

      更にスロットルを「付ける」のか、「開ける」のかでも荷重の掛かりが変化します。

      Frタイヤの分担荷重を増していくと、ハンドリングがクイックになっていきます。
      レスポンス良く接地感も感じやすい反面、一気に滑りそうなフィーリングも増し怖さが出てきます。

      また、コーナリングスピードを上げる方法として、アクセルを開ける他に
      ブレーキリリースを早める方法もあります。

      個人的には下記2つの方法をTRYする事をオススメします。
      ・Rrのイニシャルを掛けてFr分担荷重UPを図る←和亀さん案
      ・Frのイニシャルを抜いてFr分担荷重UPを図る←Andy案

      それぞれにメリット・デメリットがあるので、そこを理解できるペース(ゆっくりペース)で走行し
      体感→分析→次案検討のサイクルを行うとより良くなっていくと思います♪

      また、TRYするときは振り幅が大きいほうが傾向を掴みやすいので、ご参考にしてください。

      乗りやすいマシンになる事を祈ってます\(^o^)/

      • 非常に丁寧な解説、本当にありがとうございます。
        誠に申し訳ないのですが、私のバイクに対する大事なことを書き忘れていました。
        実は私のバイク Ducati848 なんですが、かれこれ9年前に購入して納車当日に立ちごけした経験からローダウンの為のリンクロッドを入れていました。
        もう8年くらい前になるのでうろ覚えなんですが、多分10mmほどローダウンしているハズです。
        ですので、フロントのイニシャルを抜く=車高を下げることになるので、これ以上の車高下げを行わずにリアのイニシャル締めによる車高上げの方を選択しました。
        上記の文章を追加するだけでもAndyさんはもっとアドバイスがしやすかったと思います。
        お忙しいのに貴重な時間を割いていただいて申し訳ありません。
        フロントのイニシャルを抜くか、リアを締めるか・・・両方それぞれ別に試してみます(ぐいっと一気に緩めるor締める、をやってみます)。

        • なるほど、すでに10mmほどのローダウン仕様なのですね!

          サーキットでの運動性能だけを考えればRr車高を元に戻す方がマッチングは良さそうと考えます。

          あとはRrタイヤの扁平率が選べるサイズであれば180/55 → 180/60へ変更するのも手としてはアリですね!

          乗りやすいバイクになる事を祈っております♪\(^o^)/

  3. GSX-R750に乗ってます。 1年ほど前にオーリンズTTXのリアサスを取り付け乗車1Gなど25㎜に合わせ乗っていますが
    スプリングレートの設定方法などアドバイスが欲しいと思っています。

    現在、峠やたまにHSR九州と言う小さなサーキット走行してますが、推奨イニシャル11㎜に対し13.5㎜で使用していてもフルストロークしています。 
    乗っていても旋回中から立ち上がりでリアが低く感じます。 イニシャルを15㎜にしたら侵入は機敏な感じになり旋回から立ち上がりは思ったほど良くならずフルストロークしています。
    イニシャルを戻し車高を1.5㎜上げましたが、旋回、立ち上がりはちょっと良くなったかなと思いましたが、フルストローク!  そこで95N/mmから100N/mmへ変更しようかなと思っています。
    ちなみに、姿勢が決まらないので減衰は何も変えていません。
    体重は68㎏~70㎏付近です。

    • こんにちは!

      ライダーの装備重量が70㎏だとして、Rrサスストロークは大体60㎜くらいですから、フルストロークさせるにはレート9.5kとして570㎏の荷重が必用となる計算です。
      通常走行で8.1Gの旋回力を出す事はあり得ないので、フルストロークしていると言う事はギャップ通過などの速度の速い外乱が考えられます。

      その外乱に対し、サスセッティングしても常用域でのセッティングが外れてしまうので、まずはそこを切り分ける必要があります。
      95Nのレートでボトムまで達する場合、それは完全な不具合でレートでの解決は不可能です。

      先ずはそこの切り分けを行って、その上で走りに対するレートをどうすべきか? と言う順序で進めると良いと思います♪

      • 分かりやすいご説明ありがとうございます。
        私の説明不足で申し訳ございませんが、素っ裸で70kg です。しかしながら、95Nでも問題なさそうな事が分かり安心しました。

  4. Andyさん、たくさんの記事、大変勉強になります。一つずつ読んでおります。
    今まで抱えていたバイクに関する多くの疑問がいくつも解けていき大変嬉しいです。
    しかし、今回のリアサスペンションの項目でいくつか質問があります。
    お時間があるときにご教示ください。

    ダンパ構造1の「シングルチューブエマルジョンタイプ」は他の「ツインチューブタイプ」や「分離加圧タイプ」と違って構造図がないため、
    元々どこに空気があるのか、よく理解ができません・・・
    このダンパーを逆さにしてもオイルがどこかから漏れるわけではないですよね??理解不足ですみません。

    ほか、「ツインチューブタイプ」と「分離加圧タイプ」の構造図についてです。
    まず、ツインチューブタイプの引き行程で赤線のオイルの移動は分かるのですが、青線がどうして必要なのか?が理解できません。
    押し行程でもしかり。青線は理解できますが、赤線がどうして必要なのか?が分かりませんでした。
    もしかして、オイルも加圧と減圧で体積が変るのでしょうか??違いますよね。そしたらディスクブレーキなんか効かないでしょうし。う~~ん・・・です。
    分離加圧タイプも高圧ガス室が必要なことが理解できずです。その部分が全く無くてもオイルの行き来で済むように見えます。
    お風呂に無理やり入ってきたお父さんの体積と溢れる水の体積が同じように、
    ピストンで押されたオイルの量はバルブを通過して上にあふれる量と同じなので、不要に見えるのですが・・・
    これはチューブ内のオイルが何かしらの原因によって漏れて減ること、お風呂の水が常に満杯となるようにする機構なのでしょうか?

    あと少しで全部理解できそうなのにわずかに疑問が残ってしまいます。どうか、分かりやすいご説明をいただけますことをお願いいたします。

    • MAXさんこんにちは! 
      ご質問頂きありがとうございます。 今後の記事修正の参考にさせて頂きますm(__)m

       

      <シングルチューブエマルジョンタイプ>
      構造図をなんとか入手して記事をアップデートするのでしばらくお待ちください。
      言葉で説明すると、500mlペットボトルに、250ccのサスペンションオイルを入れます。

       

      その中で減衰力を生むダンパユニットが上下に動いているイメージです。
      ペットボトルのキャップが締まっている状態なので、転倒してもオイルが流れ出てしまう事はありません。

       

      しかし、ペットボトルの中でオイルがジャバジャバに暴れるので、空気を吸ってしまう事があり減衰力が
      安定しません。

       

      しかしとても安価に製造できる事が最大のメリットなので、シートに厚みを持たせてクッション性を高め、
      バイク全体としてのショック吸収性を出す事が多い構造です。

       

       

      <ツインチューブ引き工程で青線が必用な理由>
      まず、ピストンより上側の部屋をA室
      ピストンより下側の部屋をB室とさせてください。

       

      A室の容積は常に”ロッド分”(図のシルバーの部品)がマイナスされた容積になります。

       

      対するB室はロッド分の容積はありません。

       

      つまりロッド断面積×ストローク(高さ)=ロッド退出容積(円柱の容積)がA室、B室の容積差になります。

       

      この容積差を吸収する為のオイル流入が「青矢印」の流れになります。

       

      簡単に表現すると
      「ロッドが居なくなった同じ体積分のオイルを持ってくる」といった感じです。

       

      まさしく、お父さんが居なくなって減ってしまったお湯をを、別のお湯で満タンにするイメージです。

       

       

       

      <全伸び、全屈で想像してみる>
      ”やっぱりこのロッド進入分の体積”が一番理解しづらい部分と思いますのでこう考えてみてください。

       

      サスペンションがフルストロークすると、ピストンはフォークのボトムに最も近づきます。(押し工程)
      ・この時、「オイル容量 = 内側のシリンダー体積 ー ロッド体積」 となります。

       

      サスペンションが伸び切ると、ピストンはフォークボトムから最も遠ざかります。(引き工程)
      ・この時、「オイル容量 = 内側のシリンダー体積」となります。

       

       

      つまり、”ストローク量は同じでも、A室・B室の体積変化は同じではない”のです。

       

      同じではないところを吸収する為のオイル経路が、ボトムの青線、赤線に相当します。

       

      上手く伝えられたでしょか?

       

       

      説明不足な点を教えて頂けると助かりますm(__)m

       

      Andy

      • Andy様
        ご回答、ありがとうございました。
        ロッドの体積ですか~~~
        抜かりました。そこも考えないといけないですね!
        すごくよく分かりました。今後も引き続き拝読させていただきます。
        よろしくお願いいたします。

  5. いつも役立つ情報ありがとうござます!リッターSSで最近筑波サーキットで楽しんでます。まだまだ4秒台のタイムなんですが、Rサスのセッティングを変えながら楽しんでいます。乗車時サスの1/3程沈んだ所に合わせても、走行後ストロークを測るとフルストロークの半分程しか沈んでませんでした。体重は60キロなんですが、レート変更を考えた方が良いのでしょうか?それともあえてフルストロークさせる必要は無いのでしょうか?

    • Daiさん コメントありがとうございます。

      “フルストロークさせなけらばならない”事は無いので、さほど気にする必要はないと思います☆ 今後練習を重ねていくと、少しづつタイムも縮まり、タイムとリンクするようにリアサスのストロークも深く入るようになりますしね♪♪

      二人乗り仕様の量産のままであれば、一度、「イニシャル全抜き」と「イニシャル全締め」の差を体感する事を目的として、ベストの5〜7秒落ちのペースで一度走行すると良いと思います。

      この時、ペースを一定に保った状態での変化を感じ取る事ができると、サスのメリットとデメリットを感じ取れると思います。

      差がわからない場合は、ペースが速すぎて感じる余裕が無い状態ですので、 ペースをもっと落とす必要があります。

      なので、リアサスをストロークさせる事が目的ではなく、「もっと楽で乗りやすいバイク」を作る事がサーキットセッティングの目的になります。

      ストローク(ストローク位置)の違いによって、乗りやすさがどう変化するか!?  を知る事で一つ幅を増やす事ができると思います(^ ^)

      ここを体験&体感できれば、ローペースで良かったポイントを、ハイペースに置き換えるだけなので、セッティングがやり易くなると思います。(ローペースでの良かったフィーリングを再現させる)

      サスセッティングに限らず、例えば空気圧セッティングも同じ事です。  常にアクセル全開!!  で走ってしまうと中々冷静を保って走る事ができず、ただただ「タイム」だけを気にしてしまいます。

      なのでサーキットでも「ローペースで練習→ハイペースで実践」といったサイクルを繰り返す事で結果的に効率的な練習になり、タイムアップでなく、ペースアップに繋がると思います♪♪

      お役に立てれば幸いです。  何か不明な点があればいつでもコメント下さいね!! ^o^

      Andy

  6. CBR600RR(PC40・09)に乗っています。
    ユニットプロリンクは、ケツ下がりがいいとか、普通にケツ上がりでいいとか、いろいろ聞きます。
    本人が良ければ、それでいいのでしょうが、どうせなら、バイクの特性を活かしたセッティングやライディング をしたいです。
    ライテク本などでも、特にユニットプロリンクについて、触れられていないのですが、一般的な方向性でいいのでしょうか?

    • TAKEさん コメントありがとうございます‼︎

      ユニプロだからコレ!と言った傾向は無いですが、基本的には尻下がりor前上がりの殿様スタイルの方が合っていると思います。

      600は駆動力が小さめなので、ブリブリとパワースライドしながら立ち上がり! という事は排気量的に不得意です。

      それよりも、ハイサイドを恐れず如何に早くアクセルを開け足すか⁈ という事に重点を置くと良いと思います。

      自分が600で菅生選手権にエントリーしていた時は、フルバンクの安心感と、立ち上がりの安心感アップを目的に殿様スタイル(アメリカンのイメージ)でセッティングしていました。

      進入での旋回性はブレーキ入力でコントロールする感じです。

      ユニプロはコレ! と言ったセオリーは今のところ聞いていません^ ^

      お役に立てれば嬉しいです!
      A ndy

      • 返信が、大変 遅れました m(__)m

        標準セッティングが、
        ・フロントフォーク突き出し
        7mm(’07)→5mm(’09)
        ・リアプリロード
        4段目(’07)→2段目(’09)
        ・リアcomp
        最強から20ノッチ戻し(’07)→24ノッチ戻し(’09)
        になったのも、その傾向があるからでしょうか?
        それとも、よりコンフォート性や初心者ウケを狙ったのでしょうか?

        • どちらかと言うと、レース結果等の結果を鑑みてセッティングの傾向が定まってきた為です。

          やっぱりベテランと言えども前下がりセッティングはネガもありますからユニプロとの兼ね合いも
          あって、Rr下がり(Rr分担荷重アップ)の結果に落ち着いています。

          初心者ウケを狙っている事はありません!! !(^^)!

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