お役立ち記事!
MotoGPマシンの空力性能を徹底分析!!ウィングレットの効果とは?

こんにちは!MOTO-ACE-BLOGERの@Andyです。

最近のMotoGPは空力競争が激しさを増していますね。ウィングレットと言う名の飛び道具が俄かに騒がしくなってきました。 呼び方もいろいろあって最新では”ハンマーヘッドタイプ”なんて言われています。(ハンマーヘッドシャークから引用) DUCATIを筆頭に始まったこの戦いは現在各社開発の真っ只中と言う事もあり、その効果について具体的に明言しているメーカーはありません。

MotoGPマシンにつけてるウィングって一体なにがイイの!?  を題材にしたいと思います。

MotoGPマシンに求められる空力性能

MotoGPマシン、SBKレースマシンには主に4つの性能が求められます。 どれか一つだけが突出して良い性能をもっていても勝てる空力性能にはなりません。 様々な性能をいかに高次元でバランスさせるかがエンジニアの腕の見せ所です

必要性能1. 空気抵抗低減

MotoGPマシンではトップスピードが時速350kmにも達します。(イタリア・ムジェロGP)ストレートでの最高速を高める為には空気抵抗を小さくする事がとても有効な手段です。

エンジンSPECが1000cc以下、シリンダー径がφ81mm以下と決まっているので、エンジンが発生するパワーはほとんど各社横並びです。 このエンジンパワーを最高速に繋げるには空気抵抗を如何に小さくできるかが勝負のポイントです。

カウリング形状は空気抵抗を最も小さくできる形状でなければなりません。

 

必要性能2. 軽快性の向上

レーシングバイクは直線で有利な形状にしすぎると、素早い切り返しが必要な中速コーナーなどで、バイクの切り返しが重たくなってしまいます。

言い換えると、バイクの真横から風を受けると影響を受けやすくなってしまいます。 ですからバイクを真横から見た時のシルエットでカウルの面積の小さい方が、ハンドリングが軽くなりサーキットでの戦闘力がアップします。

空気抵抗の低減ばかりに重きをおくと、ストレートスピードは速くなりますが、コーナーでバイクが重くなりラップタイム低下率が大きくなってしまいます。(ライダーが疲れて後半でタイムが落ちる。)

 

必要性能3. ウィンドプロテクション

ライダーがストレートで伏せて走行している時、ウィンドプロテクションが悪いとヘルメットが乱流で振られたりライダーのツナギがバタついたりして疲れを増幅させてしまいます。

技術者はなるべくスクリーンの高さを低く抑えたいのです。 その理由は前面投影面積を小さくすると空気抵抗が減る事をわかっている為です。  ですからヘルメットが振られない最も低いスクリーン高さを狙います。

その効果を高める為に、MotoGPマシンの燃料タンク上面に凹みがあるモデルが存在します。 スクリーン高さを上げず、ヘルメット高さを低くする事で空気抵抗低減と、ヘルメットウィンドプロテクションの両立を図っています。

但しヤりすぎるとライダーの首がモゲる「モゲ角」に達する為、もれなくクレームが入りますw

 

必要性能4. ヒートマネジメント

カウリングで覆えば覆うほど、空力性能は良くなっていきますが、ラジエターの排風熱を逃しにくくなります。(いわゆる抜けが悪くなる)こうなると水温が狙い値よりも上昇します。 最近はオイルクーラも装備されていますから熱交換効率が落ちてしまいます。

するとエンジン温度が狙いよりも高くなり、充填効率が下がり出力低下を招きます。 エンジンベンチのテストではしっかりとパワーが出ているのに、完成車に搭載してイザ走行してみたら「・・アレ??」なんて状況になってしまうかもしれません。
*水温が上昇すると、シリンダー温度が上昇→吸入空気温度が上昇します。 温度上昇によって空気密度が低くなるので酸素含有量が下がり、パワー低下に繋がります。

また、排風熱の出口を不適切な場所にレイアウトしてしまうと、ライダーの足に排風熱があたり低温火傷を負わせてしまう事もあります。

 

空気抵抗を低減させる理想の形状

理想形状1. さかな形状

空気抵抗を理解するには、自然界に存在する動物が大変参考になります。 鳥やさかな、イルカ、クジラなどなど。 中でも魚は理にかなった形をしていて、水中で受ける水の抵抗はとても小さいのです。

シロナガスクジラ最大34mの大きさになるシロナガスくじら
マグロ最大4m超 みんな大好きマグロ

空気抵抗を考える上で、水の抵抗を上手く交わしている水中生物の形状(からだの形)はとても参考になります。  この二種類の魚(クジラは哺乳類)は体長が全く異なります。 シロナガスクジラは恐竜並みの大きさを誇ります。  対するマグロは一般的な大きさは1〜2m程度で、最も小さい個体では60cmのマグロも存在します。

しかし、抵抗係数はシロナガスクジラも、マグロもどちらも約「0.1」でほぼ同じと言える数値なんです!!  イメージから想像すると、大きいクジラの方が抵抗も大きいような気がしますが、実はどちらも大差ありません。

 

理想形状2. 凹アールなし

基本的に空気が流れる面に凹みを設けると、抵抗が悪化します。 なのでどんなに大きいRでも凸R(トツアール)形状にします。 凹R(ヘコアール)形状はありません。

よ〜く眺めると、けっこうまん丸で可愛い顔してますw。 YZR-M1も デザインで縦長に見えますがシルエットを観察すると丸っこい顔をしています。  こんな事からもエンジニアのバトルの様子がわかります。

もちろん、細かなレイアウト都合の関係で一部「ヘコR形状」になってしまう部品もありますが、基本的に空力に大きな影響を及ぼす部位には「凸R」しか存在しません。

 

さかな形状が理想的なメカニズム

先ほど、凹R形状な無いと言いましたが、水中で泳ぎを得意とする生物も基本的に凸Rの線で繋がって居ます。
マグロも、イルカも、シャチもクジラもある事がみんな共通しているんです。  その共通しているモノとは一体(・・?)

背ビレ → 尾ビレ に向かう角度がほぼ一緒!!

水中の空気抵抗

泳ぎを得意とする水中生物の共通点とは

それは、「最も太い胴回り → 尾ビレに向かう角度がほぼ同じ」と言う事です。  これは何を意味するかというと、体長1mのマグロも、体長34mのシロナガスクジラも抵抗係数はどちらも0.1程度でほとんど差が無いと言う事です。 ※流体抵抗は表面積が大気分増加するので、抗力は巨体である程増加します。

たとえば、イルカの赤ちゃんと、お母さんイルカは体の大きさがまるで違います。  しかし、イルカの親子は相似形をしているので、大きさに関係なく「抵抗係数Cd値」はほぼ同じなのです。

この事が、尾びれに向かう背中の角度にも同じ事が言えます。 魚の種類が違えば全く同じではありませんが、限りなく相似形に近いのです。 ですから、シロナガスクジラは前面投影面積がとんでもなく大きいので、尾ビレに向かう背中の角度(お腹も)をキープすると全長が長くなってしまうと言う事です。

マグロとカツオどちらも泳ぎが得意ですが、大きさのわからないシルエットだけの比較においては、どっちがどっちか普通の人には判別できないほど酷似しています。

このシルエットはカツオ? マグロ? どっち!!

なぜ背中→尾ビレに向けなだらかな角度を持つのか?

渦を発生させない為に必要な角度だからです。 胴体部分に向かって、水が押しのけられていきます。 この時は水の圧力が高まります。 次に胴回り→尾ビレにかけては水が流入してきます。 この時は圧力が低下しています。  この圧力変化が大きすぎると、水が渦を巻いて大きな流れ(抵抗)が発生します。

この渦が発生してしまうと進行方向前後の圧力差が大きくなり、後ろ側に引っ張る大きな力が発生ししてしまいます。

なだらかな背中の角度のおかげで、太い胴回りで高まった圧力を、少しずつ戻してあげるイメージです。

 

MotoGpマシンがダウンフォースを得る方法

 

方法1. アスペクト比を高める

高い揚力(ダウンフォース)を得るには、ウィングのアスペクト比が大きい方がより高い効果を生みます。 要は長い翼の方が効果が大きくなります。

アスペクト比とは、翼(ヨク)の長さと、翼の幅の比です。 ムササビは1~2、ボーイング747-400は8、アホウドリは15程度です。

翼の幅に対して、何倍の長さを持つか? という数値がアスペクト比です。
アスペクト比が大きければ長い翼である事がわかります。
長い翼の方が大きな揚力を得られますが、速度が上がると抗力も大きくなりトレードオフの関係性を持っています。(大きな翼が空気抵抗となってしまう)

 

方法2. 速度を高める

揚力は、翼の面積と飛行速度の2乗にほぼ比例します。 MotoGPマシンのダウンフォースを稼ぐにはウィングレット面積を拡大するか、速度を高めると大きくなります

レギュレーション変更前の2016年のDUCATIマシンです。他のどのメーカーよりも空力を重視しており、最も開発スタートが早かったマシンです。 ここだけアップで見るとF1のノーズに思えますねw

本来であれば、アスペクト比を大きく取り、車体から飛行機の様に張り出した翼のような形状が理想です
しかしレギュレーションでマシン最大幅が決められていますから、好き勝手に大きな翼を装着する事ができません。そこでウィングを前後に長い形状とし、空気の流れを上手く使えるように翼端板を複数設けていると推測できます。

しかしこの翼端板は諸刃の剣で、進行方向に対して斜めに装着されていますから、300kmを超える領域でかなり大きな抵抗になっていると容易に想像できます。

加速力を狙うのか、それともトップスピードを重視するのか、コースレイアウトによって使い分けが必要に思います。

各社ウィングレットの最新形状比較

Ducati

先ずはウィングレット先駆けのドゥカティです。

やはり2018年シーズンも空力を積極的に利用する気が溢れていますね。
小型フロントカウルを採用し、空気の流れのもっとも美味しいところを最大限に利用する意図を感じます。

また先日のタイのブリーアムサーキットではなんと6枚ウィングもテストしてます。 また最も上段にあるウィング後端形状を見ても明らかにダウンフォースを狙った形状である事が確認できます。

ここまで凝った形状のカウルを開発し、何種類もテストしているのでバックに強力な空力エンジニアが控えていると言って間違いないでしょう。 イタリアのムジェロGPや、チェコブルノGPなど最高速が高いサーキットでは、空気抵抗の少ない小さなウィング形状のカウルに変わるかもしれませんね。

 

Honda

Hondaのマシンは、主に3つの仕様で効果を確認していると考えられます。 まずは空力ベスト。 どのサーキットにおいてもカウル形状の変化がなく、シーズンを通して同じカウルである事が理想です。  写真左(スマホ一番上)のまずは空力ベスト(今までに近い仕様)でマシンセットアップ。

次に(写真中スマホは真ん中)、空力ベストなカウルにウィングを付けたら効果があるのか? を確認。 事前に静的なデータ獲りは必ず行なっているのでポジ&ネガの内訳は必ず把握しています。  その上で実際にトラックで走らせた時の効果、体感と静的なテスト結果との相関取りを行うものと考えられます。

次に(写真右、スマホは一番下)抵抗係数増加の最大許容値でダウンフォースを最も効かせたウィングをTRYしている感じです。 ドカまでは行きませんが、フロントカウルが若干小さく作られており、ウィング面積拡大を狙った仕様に見て取れます。 しかし、ウィング面積を稼ぐ為に、抵抗を大きくする凹形状になっています。  どのくらいん悪化レベルか!?  元空力担当としては気になるところです・・。

これらをテストした結果と、シーズンが始まってからのライバルの最高速および加速性能を彼我比較しながら開発を進めていく事でしょう。

 

Yamaha

ヤマハのマシンは現在空力テストよりも電子制御とタイヤのグリップ改善に大きな課題があるようです。 今回のブリアムテストでは他社と同じような大きな翼を何種類も!  という感じではありませんでした。  更にウィングの角度にタレ角を設けており、大きなダウンフォースを狙っているようには思えません。

直4エンジンと空力性能をどうまとめるのか!?  シミュレーションソフトで解析を繰り返しながら実戦投入してくるものと予想しています。

 

Suzuki

スズキのマシンも積極的に空力仕様違いをテストしていました。 ドカと同じ6枚ウィングをTRYしていたのはスズキだけです。 やはり上段のウィング効果を高める狙いでフロントカウルを小型化しています。

やはり4枚と6枚を比較している様子から推察すると、ポジ・ネガがそれぞれにあり、コースレイアウトや最高速などによって使い分ける可能性がありますね!!

2018年シーズンは、コースレイアウトによってどんな形のカウルを選択するのか!?

予想する楽しみが一つ増えたと言っても過言ではないようです♪♪

 

ウィングレットの効果

ウィングレット装着の目的=ダウンフォースを生み出す事。

ウィングレットによりダウンフォースが発生します。ダウンフォースは下向きに働くのでFrタイヤを地面に押し付けるように力が作用します。
この結果、フロントタイヤが地面に押し付けられ接地圧が高まります

一般的な旅客機が離陸する速度は240~300km/hですから、MotoGPマシンでもダウフォースを得る十分な速度を持ち合わせています。

 

効果1. ウィリー抑止

元々はこのウィリーを防止、低減させる事が一番の目的でした。MotoGPマシンのハイスペックエンジンはとてつもないパワーを生み出します。バイクが直立した状態では直ぐにウィリーしてしまうので加速限界=ウィリー限界となってしまいます。

そこでウィリーしにくくする事で加速力を更に高める狙いがあります。
ウィングレットがフロントタイヤを地面に押し付けてくれる力を利用して、加速力を高めラップタイム短縮を図ります

 

効果2. フロントタイヤ接地圧向上

コーナリング中や、コーナーエントリなどで更にFr接地圧を高め、場合によってはFrタイヤグリップを高められます。
接地感が希薄なコーナーを狙ってウィングレットの角度をセッティングできれば、ライダーが安心して攻める事が可能です。

但し過度な接地圧の向上はスリップダウンを誘発するので高めれば必ず良くなる訳ではありません。

 

効果3. ブレーキリリース後の接地圧向上(ウィングによってのみ得られる効果)

ブレーキレバーをコントロールできるコーナーエントリーまでは、Frタイヤの設置荷重をライダーが任意でコントロール可能です。
しかしスロットルを付けた瞬間からFrブレーキは必ずリリースした状態になります。

するとライダーがFrタイヤの接地圧を高める事が物理的に不可能になりますが、ウィングレットを設ける事でThを開ける過程においても、Frタイヤ接地を高める事ができます。

この領域は、ウィングレットを装備しているマシンならではの特権と言っても過言ではありません。

 

ウィングレット装着が招くデメリットとは

やはりウィングレットはいい事ばかりではありません。  様々なデメリットが存在します。 をこを理解するとレースの展開が予測できMotoGPレース観戦がより面白くなると思います♪♪

デメリット1. 空気抵抗が増す

これはどんなウィングも避けて通る事ができません。前面投影面積は確実に増加し、翼部分の流体摩擦抵抗も必ず受けます。 300km/hを超えるウィリーしない領域においては100害あって一利無しです。

理想を言えば、ウィリー限界での加速領域ではウィングが存在し、最高速が速くなるにつれて翼が車体に収納されるようなウィングがあれば鬼に金棒ですね!!  (コスト度外視すれば量産車ならできる!!  クルマではポルシェなどリアウィングが車速反応型)

 

デメリット2. 燃費が悪くなる

上記に起因して空気抵抗が悪化する訳ですから、それに伴って燃費も悪化します。現在MotoGPは燃料タンク容量が21Lと厳しく制限されています。

ウィングの効果をガンガン効かせてダウンフォースを発生させればさせるほど空気抵抗は悪化します。 レース終盤に燃料が足らず、燃費モードに突入!! エンジン出力を絞った結果、見事ゴボウ抜きされました!! ( ̄∀ ̄)

ではライダーに叱られてしまいますからウィングの効果と、ラップタイムの取り分トータルの燃費など総合的に勘案しなければなりません。

 

デメリット3. ライダーの体型によって変わる

「ウィングレットは魚形状が理想」で記述した通り、特に後方の空気の流れが重要です。 ライダーの体格が違えばもちろん空気の流れ方も変化しますから、ペドロサでベストな形状が、マルケスでもベストとは限りません。(その逆もまたしかり。)

また、コーナリング中はバイクから上半身を大きくハングオフした状態になります。この時イン側のウィングレットにダウンフォースを発生させる効果は無いと言っていいでしょう。

ライダーの体格や姿勢によって得られるダウンフォース量が異なり、細かなセッティング、管理、仕様が存在する事になり、運用を間違うとウィング沼にハマります・・。

 

デメリット4. バイクの姿勢によって抵抗&揚力が変わる(翼の迎え角が変わる)

飛行機が着陸する時、揚力を高める為に翼の後端がウィ~~ンと言いながら伸びてきますよね。 さらに角度も付きます。

飛行機の対地速度(スピード)が遅くなると揚力(機体を持上げる力)も小さくなるので、翼の角度を変えて揚力を高めます。 しかし同時に抗力(空気抵抗)も大きくなる宿命を持ち合わせています。

MotoGPマシンの場合は、Frサスペンションが縮んでいる時と、完全に伸びきっている状態でウィングレットの角度が必ず変化します。 つまり、どの車体姿勢の時にウィングレットの角度を最適化するか?! と言う狙いが必要になります。

個人的には最高速付近(Frフォーク伸切り付近)でのウィング角度を最も抵抗の少ない角度にしておけば、ブレーキング、コーナリング時のウィング角度が立つ方向になるので、ウィングの効果を最も高める理想に近いと考えます。

 

MotoGPマシンのウィングレット効果のまとめ

DUCATI

最もダウンフォース獲得を重視している仕様と言えます。
その理由は、巨大な面積を持つ翼、スリット、枚数、どれを取ってもダウンフォースを獲得する狙いが見え見えです。
レースの最高速、燃費、使用したウィング形状は2018年レース結果に大きく影響を与えるかもしれません。

やってみないとわからないのがレース。 きっとHONDAエンジニアも気になって気になって仕方がないと思いますw

 

HONDA

ダウンフォース量の”松竹梅”を準備していると言って良いでしょう。
きっと今頃はブリアムの結果を受けて実験棟がフル稼働していると思います。  ペドロサは車体の軽快性を重視するライダーですので、大型ウィングの採用があるとすれば最高速の低いサーキット限定になるのではないでしょうか。

マルケスは野心がありますからフリー走行で様々なTRYがあると思います。

 

YAMAHA

積極的にダウンフォース獲得へ向けたアプローチはまだ見受けられません。(もちろん開発はしていると思います。) ブリアムの結果をみているとロッシ、ビニャーレス共にアベレージラップが上がらない事に苦戦しているようです。

電子制御とタイヤのメカニカルグリップを良くする事が課題のようですから、空力テストはしばらく先かもしれません。直4エンジンは最高速で不利ですから、抵抗が悪化するウィングを如何に使いこなすのか!?  個人的に気になっている部分です。

 

SUZUKI

ヤマハよりダウンフォースを重視したカウル形状です。 小型フロントカウルを採用しウィング枚数は6枚。 もちろんウィングが多ければ最高速は低下しますが、短距離の加速競争はウィリーし難くなる効果でYAMAHAより速い可能性があります。

同じ直4エンジン同士の対決はYAMAHA VS SUZUKIしかありませんので、こちらも結果がどうなるのか楽しみですね!!

 

2019年シーズンには再びウィングに関するレギュレーションが強化され、見られなくなる可能性もあるようです。2018年がウィング最終年!?  今年は各社様々なアイディアをTRYするようなので楽しみですね。 きっとシーズン後半にはウィングも見慣れて「カッコよく見える」ようになると思うので、そうなれば市販車へもフィードバックして欲しい!!

ウィングのメリットとデメリットを理解してもらって、2018年MotoGP観戦が楽しくなってもらえれば嬉しいです☆
長文、最後までご覧いただきありがとうございました!!

Let's Fun! Ride! Run!
Andy

 

 

--コメント--
  1. 最近になってAndyさんのブログ・動画等拝見しております。
    いわゆる「MotoGPの中の人」からの視点は
    とても興味深いものが多く楽しく見ています。

    2年以上も前の記事にコメントするのもアレですが…
    レーシングバイクと空力効果について気になる点があったので
    Andyさんや開発の現場ではどう言う考え方だったのかなぁ…というのが
    解ると嬉しいです(もちろん話せない技術ばかりなのは承知の上です…:苦笑)

    空力に関してはド素人で4輪のレースカーのイメージしかないのですが
    4輪の場合「空力優先で姿勢変化をさせない車体づくり」が求められて
    足回りやカウリングが作られていくのに対し
    2輪の場合は「頻繁に姿勢変化させる前提」なので大きな空力効果があると
    その分コーナーでの姿勢変化や前後の他車両の位置次第で神経質になり
    意図しない大きな空力効果のブレがある気がします…
    その場合ある程度ダルな(オールマイティ?)
    空力効果になるように作るのでしょうか?

    高速度域で走行中に気温・湿度・気圧や空気密度の関係で
    空気流の振動が発生して、ウィングを通して車体を揺さぶる状況があった場合
    2輪の場合4輪よりも車重が軽く振動の作用が強まりそうにも感じます。
    (車重に対してウィングで生み出す空力効果の割合は低いと思いますが)
    昨今はコンピュータ解析等である程度は予測できるとはいえ
    すべての状況を再現したり、実走テストできるわけでもないので
    神経質な変化・振動等がある場合、その不規則なバランス変化に
    不安感を覚えるライダーはいるのではないでしょうか?

    逆に、チャタリング・路面ギャップ等の「空力以外の振動」により
    ウィングの空力効果が想定と大きく違うことはよくあるのでしょうか?

    …何かどれも同じようなことを聞いているようですみません…(汗
    未だに「バイクと空力デバイス」は相容れない気持ちがあります…
    「コーナーリング中にハングオフするライダーが発生させる乱流を整える」
    と言うような効果を狙っているのであれば割と納得できるのですが
    こと「ダウンフォース」と言う意味合いにおいては
    車体セッティングも含めた全体バランスが重要で
    フロントだけ強めてもシーソー的にリアの接地圧が弱まったりしそうで
    更にそれもリーン時に大きく変化するとなると
    ライダーの感覚の邪魔にならないかなと思ったりしました。

    拙い長文を失礼しました…
    これからも応援しています♪

    • LOWERさんこんにちは!
      コメントありがとうございます。

       

      4輪の場合はダウンフォース獲得が空力の主目的ですが、
      2輪の場合は最高速獲得が空力の主目的です。(抵抗係数減らしたい)

       

      そこに風穴を開けたのがDUCATIのジジさんで、ダウンフォースだ!と
      言い出したのですww

       

      当初、日本メーカーのエンジニアは「ありえない」と一蹴していましたが
      今やダウンフォース獲得がトレンドとなりつつあるのは大きな変化と感じています。

       

      おっしゃるように、ダウンフォースを強力に発生させてしまうと、フルバンクした時
      にグリップをコーナリングフォースに使う事ができなくなってしまいます。

       

      ウィリー抑制したい時にはダウンフォース、コーナリング時にはノーダウンフォースが
      理想形態となります。

       

      実際風洞実験ではフルバンク×ライダーハングオフ状態を把握する事ができず、この
      姿勢の評価は専らサーキットでの実走実験に頼っているのが現状です。

       

      また、空力においてはフラップやウィングの後ろ部分の空気の流れが特に重要になります。

       

      バイクの場合はライダーの腕やヒザがいるので、思ったほどに効果はありません。(0ではないけど)

       

      その為、たくさんの羽を付ける事になるのですが、こんどは高速域での切り返しがとても重くなるネガが
      現れてきます。

       

      まとめると
      ・ウィング装着でウィリー限界を高めると短距離走が速くなる
      ・長い直線ではドラッグ増により最高速ダウン
      ・高速域の切り返しでのレスポンス悪化(重い)
      ・フロントの接地感向上につながる
      ・フルバンクでは不要
      ・見た目は最高にカッコイイ!

       

      こんなところでしょうか・・・
      メリットとデメリットどちらも大きく表れるデバイスと言えますね♪(*'▽')

      • Andyさんお返事ありがとうございます!

        ドゥカティのジジさんはウィングレットをすごい推していますね。
        リアタイヤ前にも付け始めちゃいましたし。
        強力な専門チームを備えているのでしょうか…
        空力に合わせたマシンセッティングのノウハウも持ち合わせていそうです。
        (もともと切り返しのレスポンスに難がある?ドゥカティ車だからこそ
        空力効果が生きるのかもしれません)

        以前風洞実験施設を見学したことがありますが
        そこのスタッフさん曰く「どんなに施設が良くても
        解析結果と実走時の効果を擦り合わせられる人がいないと無意味」とのことで
        やはり最後は人の知恵勝負なんだと思いました。
        その点でいうと人や技術を取りまとめる手腕を持つジジさんは
        他社からしたら手強い存在ですね…

        バイクの空力はライダーフィーリングに影響を及ぼしますが
        逆に「空力を味方につけるライディング」と言うのも
        今後重要になるのかもしれません…

        コメント貰えてよかったです♪
        今後もAndyさんのセントリやその他の記事・動画等楽しみにしています!

        • 確かに、「空力を味方につけるライディング」と言うのは私も納得するポイントであります。

          風洞実験を丸一日行うと・・・二輪の場合は翌日猛烈に首が痛いです・・・笑

          今後ともよろしくお願い申し上げます(^_-)-☆

コメントを残す

関連キーワード

この記事が気に入ったら フォローしよう

最新情報をいち早くお届けします。

Twitterでフォローしよう