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エンジンオイルのスラッジやデポジットが生成されるメカニズム

ゴッテリとこびり付いたエンジンオイルのスラッジ(デポジット)がどのように生成されていくのか? 先ずはこちらをご覧ください↓

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オイルスラッジの原因物質はブローバイガス

スラッジ生成の原因は、ブローバイガスとの接触です。

ブローバイガス発生する仕組み

ブローバイガスを簡単に説明すると「エンジン内部に侵入する排気ガス」の事です。  エンジン内部(燃焼室)で燃焼した燃料は、排気ガスへと変化します。 そのほとんどはエキゾーストパイプから大気に放出されます。 

しかし一部はピストンとシリンダーの隙間を通ってエンジン内部へと侵入していくのです。 このエンジン内部に侵入したブローバイガスと、エンジンオイルが触れる事で、エンジン内部にスラッジが生成されていきます。 

 

ブローバイガスがエンジン内部に流れる仕組み

シリンダーとピストンの隙間の解説

シリンダーとピストンの隙間を通って、エンジン内部に排気ガスが一部漏れ出て行きます。 

特にピストンはアルミ製なので、熱膨張が鉄に比べ大きい特性を持っています。 その熱膨張を見越して設計制作されるため、エンジンが冷え切った状態から始動した直後は隙間が大きい状態です。

つまりピストン含むエンジン全体が温まり切る前の状態は、ブローバーガスのエンジン内への流入が多い状態となります。 

 

エンジンオイルスラッジを作る主成分

スラッジの3主成分
  • 燃料の熱分解物(ガソリン未燃物)
  • NO(一酸化窒素)
  • 空気

これらの成分がオイルパンやエンジン内壁へと堆積する物質を作り出します。

特に影響するのが「燃料の熱分解物」です。 燃えきれなかった燃料が熱によって変化し、他の物質を吸収しやすい状態になった危険因子です。 

これが出来上がると、オイルとくっついてドロドロを形成していってしまいます。

 

実車スラッジの性状

エンジンオイルを52,000km無交換(継ぎ足し有り)で走行したエンジン内壁に堆積したものを分析。 

堆積物のヘキサン可容分ヘキサン不溶分について組成と分子量分布を、赤外線分光分析(IR)、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)にてそれぞれを分析。

スラッジ(エンジン内部に堆積する物質)=ヘキサン不溶分と定義されています。

 

ヘキサン可容分の組成

  • ベースオイル由来の炭化水素
  • 硝酸エステル
  • カルボキシル化合物
  • 分子量は200〜2000(ポリスチレン換算)

堆積物のヘキサン可容分はわずかに劣化したベースオイルが主成分です。 

簡単に言うと、ヘキサン可容分はエンジンオイルに溶ける成分のこと。なのでエンジンオイルの洗浄成分が作用できる間は、溶けて堆積物にならない。 

 

ヘキサン不溶分(スラッジ)の組成

  • NOx(窒素酸化物)
  • SOx(一酸化硫黄)
  • 硝酸エステル
  • カルボキシル
  • ニトロ
  • 硫酸塩
  • 分子量は200〜20000

このうち、ブローバイガスの成分反応によって生成される物質は、硝酸エステル、カルボキシル、ニトロ、硫酸塩の4種類。

エンジンオイルスラッジ(堆積物)=ヘキサン不溶分と定義する。

 

スラッジ生成に及ぼすブローバイガス成分の影響を知る為に、ガソリン熱分解物、NO(一酸化窒素)、SO2(二酸化硫黄)、空気のうちそれぞれ1成分を除いた条件にてスラッジ生成の試験を実施。

その結果、スラッジ生成に必要な主成分はガソリンの熱分解物、NO、空気である事が判明しています。

またガソリンの熱分解物の代わりに、ガソリンそのものを用いるとスラッジの生成は全く認められなず。 つまりガソリンはそのままの状態ではなく、熱分解によってラジカルのような活性状態となりスラッジ生成に関与している事がわかっています。

 

ラジカルのような活性状態って、なに?

ガソリンが熱分解によって「ラジカルのような活性状態になる」とは??

熱によってガソリンの分子(炭化水素)が切断され、非常に反応しやすく、他の物質と結びつこうとする不安定な中間体(フリーラジカル)に変化することを指します。この状態は、燃焼の初期段階で起こり、火炎が急速に広がるための「火付け役」となる重要なプロセスです。

 

熱分解で何が起きるか

ガソリンは炭素(C)と水素(H)が結びついた炭化水素の化合物です。エンジン内の圧縮熱によって高温になるとこの結びつき(科学結合)が切れる熱分解が起こります。

  • 安定な状態: 炭素原子が水素原子と綺麗に結合している。
  • 熱分解後: 結合が切れ、ペアになっていない電子を持つ炭素原子などが生じる。これが「ラジカル」です。

ラジカルのような活性状態とは?

  • ラジカル(フリーラジカル)は、非常に高いエネルギーを持っており、以下の特性を持ちます。
    相手を求めて暴れ回る: 結合の手が余っている(不対電子がある)ため、周囲にある酸素分子(O₂)や他の炭化水素分子を瞬時に攻撃して奪い取ります。
  • 連鎖反応を引き起こす: ラジカルが他の分子を攻撃すると、その分子もまた新たなラジカルになり、次々と連鎖的(チェーンリアクション)に燃焼反応が伝播していきます。

 

スラッジ生成におけるエンジンオイルの影響

スラッジはエンジンオイルが無くても生成されるのか? 

答えはYES。 まさかの解答ですが、オイルがなくてもスラッジは生成する事が可能です。

エンジンオイルの代わりに、石英ウールを用いて反応容器内に充填した状態でスラッジ生成試験を実施。 その結果は石英ウール上にスラッジの生成が認められるというまさかの結果に。 

しかもそのスラッジの組成はエンジンオイル中で生成されたスラッジとほぼ同じ。つまり、エンジンオイルはスラッジ生成に必要な成分ではないのです。 

 

スラッジ生成に及ぼす燃料組成の影響

A〜Dの4種類のガソリンを調査した結果、最大で2倍程度のスラッジ生成量の差が出る事が判明

スラッジ生成が多くなるガソリンの特徴
  • オレフィン成分が多い
  • 芳香族成分が少ない
  • 炭化水素の炭素数が多い
  • 分解しやすい炭化水素

ガソリンを構成する炭化水素の分子構造がスラッジ生成に大きく影響しています。

では市販されているガソリンメーカーでどんな差があるのか? ←個人的に一番知りたいところ

ANDY

なんと、データを公表してねーじゃねーか。。。

残念ながらアポロやコスモなど詳細データを公表しているメーカーはありませんでした。(自分調べ)

但し、一般的な平均値データはありました。 

成分 レギュラー(平均) ハイオク(平均)
芳香族 約25〜30% 約35〜40%
オレフィン 約15〜20% 約10〜15%

オレフィンが少なく、芳香族成分が多い方がスラッジが生成されにくい訳ですから、ハイオクの方がレギュラーに比べてスラッジ生成量が少なくなると言えます。 

つまりオイルにとって、ハイオクガソリンの方がより良い状態を長持ちできるメリットがあるのです。 エンジンをトータルでキレイに保つにはハイオクがより良い選択と言えます。

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