レプ男(CBR1000RR)のエンジンをケースまで割りました。 どうやらブローの原因はピストンピンボスの破損が原因のようです・・・涙。 中々見ることのないエンジンの中身をご堪能ください(*^^)v
こんにちは!@Andyです。
エンジンを降ろした時の考察では「エキゾーストバルブが落ちた?」なんて考えていましたがバルブ落ちはありませんでした。
途中、あるはずの12角30mmのソケットが長旅に出ている事を知らずクラッチセンタのロックナットを緩められないと言うトラブルに見舞われましたが、なんとか解決!
CBRのエンジン内部を理解する一助になれば嬉しいです。
You Tubeリンク→ CBR1000RR(SC59)鈴鹿2コーナーで盛大にブローした動画
記事の目次
1. CBR1000RR(SC59)エンジンブローの原因
- ピストンピンクリップが外れる
- ピストンピンが左側にせり出す
- ピンボス左側のみで燃焼圧力を支えきれず破損
- コンロッド小端がフリーになる
- 暴れ倒してありとあらゆる形を破壊し鈴鹿2コーナーで逝く
およそこのような順序でエンジンがブローしました。 ピストンピンが左側へセリ出した事は間違いありませんが、クリップが外れたのか? それとも別の要因があるのか? 特定には至りませんでした。
(なにせ外れたクリップとピストンピンがどこにも居ない・・)
#3ピストンピンが左側(#2シリンダ側)へセリ出し、接触した証拠は確認できました。 ではなぜ左側へセリ出してしまったのか?
最も強く疑われるのは”ピストンピンクリップの外れ”です。 実際にクリップが外れなければ物理的に出る事はありません。
- クリップが折れた
- クリップが外れた
このどちらかでしょう。 残念ながらクリップとピストンピンは鈴鹿2コーナーで荼毘に付されたようで、居ませんでした。
2. ピストンピンの構造と機能
ピストンピンは、燃焼圧力を受けピストンが押し下げられる力をコネクティングロッドに伝達する部品です。
力の伝達経路 =「燃焼圧力→ ピストン→ ピストンピン→ コネクティングロッド」
このピストンピンの抜け止めの役割を果たす部品がピストンピンクリップです。
↑ピストンピンクリップがあれば、ピストンピンが抜け出る事はありません。
しかしバッコリ壊れてますなぁ~。 後続車もAndyも転ばなかったのは本当にヨカッタ!!
3. エンジンの破損状況
前に後ろに下に上にと全周に渡って破壊工作してくれました。
バルブとピストンがヒットしてバルブガイドもクラック。→ ヘッドは交換だぁ!!( ;∀;)
無傷で生きていたのはクラッチ、ミッション、オイルポンプ、ACG回り、バルブスプリング~( ;∀;)
4. CBR1000RRエンジン分解作業
分解前、この状態からスタートです♪
1. スパークプラグ分解
#3の潰れがあるかな? と思っていたら全く問題なし。 色もキレイだし接地電極がピストンと当たった痕も無し。
2. カムシャフト分解
カムシャフトも問題ありませんでした。 カム山の部分にも傷や打痕等ありません。
3. バルブリフター分解
リフターもキズ等はありませんでしたが、#3Ex側のリフターがなぜか2つ飛び出していて他と高さが異なります。
4. リテーナ分解
本来はリフター外しただけじゃバルブスプリングは取れないんだけど、コッターが外れていたので分解できました。
#6番のコッターがリテーナに食い込んで一体化していました。 現時点でなぜ外れたのか原因の特定はできていません。
ただ事実として↑写真の状態であったという事です。
5. 燃焼室の接触痕
ピストンと燃焼室がHitしていました。
本来はうっすらとカーボンに覆われていてアルミ地が見えない状態です。 しかし#3ピストン及びヘッドはアルミ地がコンニチハ状態。 これはピストンが上死点を通り過ぎて上にいこうとした証拠です。
6. ピストンとバルブの打痕
インテークバルブ、エキゾーストバルブの両方がピストンと当たっていました。
バルブリセスへは何度も当たった痕跡が確認できます。
7. エキゾーストバルブの曲がり
ピストンに当たってバルブステムが曲がり閉じなくなったバルブ。
一度ではなく、数回Hitした様子です。
8. フライパンでモチュールオイルのあんかけ炒め
アルミのあんかけ炒めの出来上がり♪♪ オイスターソースが旨そうだなぁ~(*'▽')
そうそう! このとろみが絶品よなぁ~♪♪
ってコラー! 食べ物ちゃうわー!
鉄粉キラキラ~なんてレベルじゃありませんでいした。 アルミ塊ゴロゴロ~・・・。 ケースの破片もたくさん!
9. クラッチ分解
ここでプチトラブル発生。
クラッチセンタロックナットは30mmソケットで外すのですが、12角のソケットが・・・ナイ。
なんと! 会社の工具箱にキレイにしまったままだった~( ゚Д゚) 6角はアルノニ・・・涙
しぶしぶ会社まで往復1時間かけて取りにいってきました。
クラッチはスポンスポン取れるので簡単です。
10. Lカバー取外し
ACGカバーを外します。 ACGとは「Alternating Current Generator」の略で交流発電機の意味です。 発電した交流を直流に変換して利用します。(一部古いモデルは交流のまま利用するモデルもあり)
フライホイールの外側にレアアースの一種であるネオジウム磁石が入っていて、ステータコイルの外周を強力磁石が回転する事で電気を生みます。
11. オイルポンプ取外し
オイルポンプを外します。 ネジロックが塗布されており少し硬いですが、ポンプ本体はネジ3本で止まっています。
12. ロアケース分解
メインジャーナルボルト、ケース締付ボルト全てを外すとカポっと外す事ができます。
コンロッドのキャップボルトを外せばクランクシャフトが単体になって外れます。 この辺の大型部品は外せばすぐに分解できるので楽ですね!
5. 焼き付きは無かったのか?
当初はAndy自身のオイル管理が悪く、オイル量が不足してエアーを吸わせてしまったのか・・・ とも思いましたがオイル管理は問題ありませんでした。
Motul300Vの10w-40を使用しており、約7000㎞走行しましたがシリンダーやカムなどとても綺麗な状態を保てていました。
エンジン内部の摺動面(金属と金属がこすれる面)はすべて問題無く、オイル管理不良は認められませんでした。
粘度を純正指定の「0w-30」→「10w-40」へ1ランク上げている事もあり、抜群の保護性能を発揮してくれています。 300vのオイルは高価ですが、エンジン寿命アップに繋がる保護性能を考えたらトータルでは安い投資と言えます。(今回ブチ壊れたけどww)
リンク→CBR1000RR,SC57,SC59,SC77 おすすめオイルと交換に必要な適合情報
とは言え、走行前にキチンとオイル量の確認を行っていれば変な疑いを持たずに済んだのも事実。 軽く走る程度でも点検は確実に行うべし! と肝に銘じます。
6. CBR1000RRエンジン分解まとめ
ん~、、、 まさかのピストンピンクリップの外れとは予想外でした。 7000㎞の走行実績がある訳なので、ブロー直前に折損して脱落したと考えるのが最も妥当でしょうね~。
たまたま外れを引いてしまい運が悪かったと思う他ありません。 とは言え、壊れたエンジンを引いたのがAndyで良かったです! もしAndy以外のオーナーなら「次はHonda買わねーよ!」ってなると思いますが・・・
しまった〜💦
朱肉で手が滑って事故った(°▽°)#CBR1000RRR #セントリ pic.twitter.com/zJjhINxfww
— ANDY (@ANDY_MOTO_ACE) November 10, 2019
ちゃんと次期モデルSC82トリポーアールを予約済~♪♪
ST仕様のマシンで鈴鹿の裏ストレートで310㌔出たとか出ないとか・・・!? 320㌔出ちゃったとか出てないとか・・・!?
また今回初めて街乗り仕様のCBRのエンジンを降ろしましたが・・・ やっぱレーサーは楽なんだなぁ~と改めて実感しました。
エアボックスに幕が居るんだけど!?
このホース見たことないんだけど!?
ノックセンサー久々に見た!!笑
などなど、普段のレーサーじゃ付いてない部品がいっぱいあって楽しかったですww
さて、この後は年内にスペシャル仕様のエンジンを乗せまっせ~(*'▽')♪
Let's Fun! Ride! Run!
Andy