Rrブレーキのストロークが深くなってしまった不具合の修理で入庫したXJR400ですが、注文していた純正部品が届いて準備が整ったので組立開始です!
1. 交換する部品
部品名 | 品番 | 単価 | Amazonで見る | 楽天で見る |
➀シリンダーキット,マスター | 3TU-W0042-51 | ¥5,170 | クリック | クリック |
➁ワッシャ,プレート | 90201-1011B | ¥60 | - | - |
➂ピン,コッタ | 91490-20015 | ¥60 | クリック | クリック |
不具合原因は”リターンポートの詰まり”なので、カップのみを交換する予定でしたが・・・
まさかのアッセンブリー品番しかありませんでした・・。 たしかに車種によってはカップ単品で出ない部品もあるんですよね。 カップだけなら数百円ですが、アッセンブリーとなると5170円と一気に跳ねます。
部品をみた感じではリターンスプリングがカシメ構造だったので、ここを非分解とした結果、アッセンブリー設定になっているように感じました。
2. マスターシリンダー組立
組立1. 本体
リターンスプリング、マスターピストンを入れて、プッシュロッドを装着したらスナップリングをセットします。
スナップリングの面取りをピストン側へ向けて組み付け。
次にダストブーツをセットしたら完成。 のちに車体へ組んだ時にペダル高さを調整します。
この時プッシュロッドとダストブーツがスムーズに滑らないとブーツがねじ切れてしまうので、このタイミングでシリコンスプレーを塗布して滑りを確保しておくと完璧!
組立3. ブレーキペダルピボット清掃
↑まずは動きの渋いピボットを分解します。 グリスも無く経年劣化していました。
古いグリスを落としてしっかり清掃! クラックや摩耗など点検して問題無し。
新品グリスをしかり塗布。 特にグリス溜めには多めに。
グリスはそんじょそこらに売ってるグリスではありません!(誰でも普通に買えるけど!)
某ファクトリーチーム御用達の澄子~ ・・・じゃなかった住友鉱潤製です。(略してスミコ―)
MOTO-ACE-FACTORYではスミプレックスMPというマルチパーパスグリスを使っています。 一般的なものに比べ耐摩耗グレードが高く、長く潤滑性能を保ってくれる逸品です。
色的にはサツマイモペースト! って感じの濃い色をしています。
組立4. ペダル踏面高さ合わせ
ブレーキペダルの高さ調整を行うには下記順序で行います。
- ロックナットを緩める
- 高さ調整ボルトを回し調整する
- ロックナットを締める
➁の高さ調整ボルトを回転させると、ブーツが一緒に回転し、捩れます。 滑る構造になっているので、シリコンスプレーをシュッと吹くと滑るようになるので、ねじ切らないよう注意してください。
3. 効果確認
メンテナンス前のストローク量=7.5㎜
メンテナンス後のストローク量=3.0㎜
トータル4.5㎜分の無効ストロークが無くなりました。 完成検査でも明らかにタッチが改善していてフワフワしたフィーリングはありません。
4. オイル&エレメント交換
マスターシリンダー修理と合わせてオイルとオイルエレメント交換も一緒にご依頼いただきました。
・オイル交換:2.0L
・Withエレメント:2.4L
・エレメント締付トルク:25Nm
・ドレンボルト締付トルク:30Nm
・ドレンワッシャサイズ:M14
先ずはオイルキャップ(オイルの注ぎ口)を開けたら、ドレンボルトを緩めてオイルを排出します。
オイルが抜けきるのを待つ間に、ランニングチェンジされた仕様のオイルフィルターの重量を図りました。(興味本位)
重さは169gです。 1000ccクラスのSSと比べると30g程度軽いですね!
オイルを注入すると2つの効果があります。
- 油圧がすぐに立ち上がる。
- ろ紙とオイルが馴染み、はじき難い
新品のタオルって水を弾いてしまって、水分を吸収し難いですよね?
それと同じで先に馴染ませてあげると、始動直後に早くオイルがエンジン内部に到達してくれます。
もちろん、やらなくてもいい作業ですがAndyなりの拘りです。
↑油量を確認し、アッパーレベルで合わせます。
レベル確認はエンジンを暖気し、停止後3~5分経過した時点でのオイルレベルで確認します。
最後にもう一度漏れが無いか確認して完了!
番外編
オイルフィルターのろ紙まで分解して異常が無いか確認します!
ケースだけみると何も違いがありませんが、外身を割ってみると、中身はかなり違いますね・・・ リリーフバルブのスプリング、高さを抑える狙いを感じます。 その結果ろ紙容積を稼げる?
ろ紙の折り方も放射状で興味深い。 やっぱり純正フィルターはケース目一杯まで容量を確保している印象を受けます。
整備報告書
一部情報を隠していますが、お客様提出用。
整備報告書 blog 27Apr2020 PDFファイルDL用リンク→XJR400(4HM)整備報告書