- チェーンルブ(オイル)を吹いても潤滑できない
- チェーンルブ(オイル)はチェーンの防錆が目的
- 純正チェーンは防錆の為に注油が必用
- メッキが2層のゴールドチェーンは非常に錆にくい→注油不要
結論を分かりやすく表にまとめるとこうなります↓
そもそもシールチェーンへ給油しても、チェーンの動きは何も変わりません。←知らないライダー多し!!
チェーンルブ(オイル)は防錆が目的です。
つまり錆にメッチャ強いメッキチェーンはメンテ不要である!!
ホイールピカピカなバイクはカッコいいんだよ!
チェーンルブが飛んでビチビチになるのは許せねー💢
また、一部のおバカさんが、「全てのドライブチェーンに給油は要らねー!とか言ってるANDYはバカだぜ!」と声を高らかに主張してらっしゃいますが、もう↑のグラフの簡単な日本語が理解できない人を相手にしません♪ (私は国語の先生じゃないよw)
記事の目次
チェーンメンテ不要の理由
まずはチェーンメンテ(注油)が不要と言える理由です。 ※ここでは街乗りバイク&シールチェーンという前提です。
不要の理由1. 注油できない
そもそもなんですけど、潤滑が必要な「ブッシュ〜ピン」に新たにグリス(チェーンルブ)を継ぎ足す事ができません!
100%言い切れますが、機能が正常ならどんだけ勢いよくチェーンルブをブッシャー!しても新油が入り込む事はできないんです。 (シールが切れててもむずいわw)
上図の赤い部分がグリスの封入部位です。 チェーンが駆動している時はブッシュの中でピンが揺動します。 エンジンが生み出したとてつもない力でチェーンを引っ張りながら、揺動するので潤滑必須。 もしグリスがなければ・・・
ピンはやせ細り
ブッシュ穴はガバガバに
なっていきます。 この摩耗を低減させるのが封入グリスです。 このグリスが不具合で無くなってしまえば、あっという間に摩耗が進みます。
このグリスはOリングによって漏れ出ない構造になっています。 つまり外からユーザーがいくらスプレーしても入り込む事もできません。
潤滑剤が必須の部位に、潤滑剤を入れる事はできないのです。
概ねこの理論に関しては多くの人が納得してくれている印象です。
問題は次の項目ですね!
不要の理由2. 固体潤滑しか不可能
馬力測定の直前に吹くと、すこぉ〜しだけ効果あるよ!
潤滑には主に5種類があります。
- 流体潤滑・・・オイルに浮く
- 弾性流体潤滑・ベアリング等
- 混合潤滑・・・一部接触
- 境界潤滑・・・油膜無し
- 固体潤滑・・・完全ドライ(乾燥潤滑とも)
流体潤滑はイメージしやすいと思います。 エンジンオイルをポンプで循環させ、油圧をかける事で部品同士がオイルに浮いて接触する事なく潤滑する・・・
実はエンジンにはカムシャフトのカム山など、オイルにどっぷり浸かっていても、境界潤滑と言って油膜が存在できない部品が多数存在するんです。
※詳しく知りたい方はコチラ↓
エンジン摩擦工学と混合潤滑が分かる
じゃドライブチェーンは何潤滑?
正解は、乾燥潤滑なんですよ!
そうなんです。 いくらバイク屋さんが一生懸命ルブをブッシュゥ〜!! と勢いよく吹いても、その効果は掛け続けなければ持続しません。 エンジン部品も潤滑スプレーを吹いただけで潤滑できますか? と全く同じなんです。
ローラーは、スプロケットの歯が入る時、出る時にわずかにスリップします。 その時の微小な摩擦ロスを低減する事は可能なのですが、残念ながら持続しません。 金属石鹸を形成できる物理吸着よりも化学吸着の方が油膜は長く保持できますが、それでも給油1回で何十㌔も持つ事はありません。
不要の理由3. バイクメーカーの指定が曖昧
そもそも、バイクメーカーの指定メンテナンスサイクルはどうなっているのでしょうか?
Honda | 定期的に |
Yamaha | 雨天走行後 洗車後など |
Kawasaki | 雨天走行後 洗車後など |
そうなんです。 ◯◯km走行したらメンテせよ! の記載はありません。
雨天走行後、洗車後に給油して下さい。 との表記があるだけ。
この表現方法を見ればその意図がどのような物であるか・・・ 想像するに難しくありません。
如何だったでしょうか?
何をどうやっても「潤滑をよくする」事はできません。
純正のオーナーズマニュアルの表記からも分かるように、防錆(ぼうせい)を行う必要はあります。
サビッサビのチェーンが醸成されると、サビがゴムでできたシールを攻撃して、シールを切ってしまったり、摩耗させシール機能を失ったりします。
すると中のグリスが飛び出しドライ潤滑となり、摩耗を促進。 チェーンを交換するハメになってしまいます。
そう・・・サビなきゃいいんです!
ドライブチェーンの機能
- 動力伝達機能・・エンジン出力を後輪へ伝える
- ホイールベース調整機能・・リンク数を変更しホイールベースを調整する
この他に、ハーレーに代表されるベルトドライブ駆動は、「緩衝機能」が追加されます。 ベルト自身が撓む(たわむ)事で加減速のショックを吸収してくれます。
チェーンドライブは衝撃を吸収する事ができません。→ホイール内にハブダンパーを装備する事で衝撃を和らげます。
ドライブチェーンはエンジンが回転力として取出した力を、Rrホイールへ伝えます。
この時、ドライブチェーンがエンジンの力をロスしてしまいます。概ね最大10%程度。
仮に、エンジンから100馬力の力を取り出したとすると、ドライブチェーンの中で馬10頭が逃げて行ってしまう計算です。
高性能チェーンであればこのロスが少なくなり、逃げる馬は約5頭で、ストレートスピードを速くできます。
チェーンの他にもっとロスが少なく効率の良い伝達方法があります。YAMAHAのV-Maxに代表されるシャフトドライブと呼ばれる構造です。ロスを発生させる部品は常にオイルの中に浸かっているので、摩擦ロスがかなり少なく、逃げていく馬はなんとたった2頭!
それは、ホイールベースを変更する事ができない事と、アンチスコート&アンチリフトをセッティングできないからなんです。 チェーンの場合はどちらもセッティングできます。 どちらもレースの現場においてはとても大切なセッティングなので、伝達ロスの少ないシャフトドライブは採用しません。
おオ! ペドロサ君素晴らしい質問!
実はロスが少ないのは、オイルに浸かっている事と、精密な寸法のギヤのお陰で成り立っています。
さらにディファレンシャルギヤはハイポイドギアと言って大きな径のギヤです。ギヤ鳴り音を低減させる為に、湾曲した面で動力伝達する構造上、製造コストが格段に高まる事を避けられません。
その事から一部のハイエンドモデルにしか採用する事ができない構造なのです。
その点、ドライブチェーンは、スポーツ走行に必要な様々なジオメトリーを調整&変更する事ができるのが最大のメリット。 且つ部品単価が安いので、スポーツバイクには正にうってつけって訳です。
ドライブチェーンの構造
ドライブチェーンの構造を知る事で、潤滑が絶対に必要な部部品とその理由を理解する事ができます。
また、誰もが知るチェーンの「ノビ」はどのようなメカニズムで起こるのか? 簡単に理解する事ができます。
一般的に使用されるバイク用ドライブチェーンの断面図です。
チェーン内部はこのような部品構成になっており、赤色の部品が「シール」と呼ばれるゴム部品です。
メンテサイクルや性能を左右する要の部品ですので、是非覚えて下さい。
※スマホは横スクロールできます↓↓
ピン | ブッシュ | 封入グリス |
---|---|---|
外プレートと固定され、ブッシュへ駆動力の受渡しを行う。可動部品で封入されたグリスによって常に潤滑されている。 | 内プレートと固定され、ピンへ駆動力の受渡しを行う可動部品で封入されたグリスによって常に潤滑されている。 | ピンとブッシュの磨耗を抑制する潤滑剤。チェーンのライフを決める重要な要素。 |
シール | 外&内プレート | ローラー |
---|---|---|
素材はゴムでブッシュとピンの隙間に充填したグリスを封じ込め、外に漏らさない為の部品です。内プレートと外プレートの間に位置しています。 | 内プレートはブッシュと、外プレートはピンと固定されています。 プレートの間にはグリス漏れを防ぐシールが有ります。 | ブッシュからスプロケットへ駆動力を伝達します。スプロケットと噛み合う瞬間、抜ける瞬間の回転力を逃す為の部品です。 |
シールチェーンの可動部は2箇所あります。
チェーンが直線や円など自由に形を変える為の構造です。そしてこの可動部はエンジンの強力な駆動力を受けながら、スプロケットにハマった瞬間から可動して円形状に形を変えなければなりません。
つまり2つの金属がものすごい摩擦を発生させています。
この強烈な摩擦を低減しているのが、封入されているグリスです。このグリスの潤滑作用のお陰で、パワーロスを最小限に抑える事ができます。
ブッシュ 〜 ローラ スプロケットの歯の抜き&刺しの衝撃を逃しています。
その瞬間だけはローラーが回転する事によって力を逃し、スプロケットの刃先の摩耗を低減してくれています。
噛み込んだ後、動力伝達の時には回転しないので、グリスは不要です。
チェーンが伸びるメカニズム!
さて次は、当たり前に聞いたり言ったりしているワード「チェーンの伸び」。
でも、ちょっと待って!! 今覚えた部品の中で、どの部品が伸びるのか?よーく考えて見て下さい。
一番大きな部品である、内プレートと外プレートでしょうか? それともピン? ローラが伸びるのか? 正解は…!?
どの部品も絶対に「伸びる」事はあり得ません!
実際チェーンがタルんでくるし、調整しなきゃいけないんだから間違いなく伸びてるよ!!
確かにその通りです。チェーンはずっと乗っていると間違いなくタルみが大きくなってきてチェーン調整が必要です。
でも、チェーンの伸びは、「金属部品の伸び」なんでしょうか?
きっと、チェーンの姿から、輪ゴムのようにビヨ〜んと伸びる姿を想像していませんか??
もし簡単に輪ゴムのように少しずつ金属部品が伸びるとしたら、それは明らかな強度不足で、走り出して1kmも走らないうちにチェーンが切れてしまいます。
チェーンを構成する金属部品が伸びる事は絶対にないのです。
でもチェーンのタルみは明らかに大きくなりますよね? その原因はなんなの??
2箇所あるチェーンの可動部の中で、特に摩耗しやすく厳しい状況がピンとブッシュであると先に記しました。
だからこそ、グリスを封入し常に潤滑させているのです。
しかしエンジンオイルのように、新しいグリスに詰め替える事ができません。 経年劣化で少しづつグリスが外に出ていき、潤滑不良に陥ります。
すると、ピンは痩せ細ります。ブッシュは穴径が太くなります。
つまり、ピンとブッシュの隙間が広がり、ガタガタになります。 この事が、チェーンのタルみを発生させる現象です。
- 正解 = ピンとブッシュが摩耗して隙間が大きくなり、チェーンがタルむ。
- 不正解 = チェーンの金属部品が伸びて、チェーンが伸びる。
ドライブチェーンのメンテナンス
チェーンルブのスプレーを勢いよく噴射! 白や透明なルブがチェーンに付着します。
チェーンの動きを滑らかにする為にチェーンルブを掛ける(注油する)のだ!
そう思っているライダーが殆ど(いや全員?)と言っても過言ではありません。
バイク用品店スタッフ、老舗バイクショップスタッフも口を揃えたように同じ事を言いますからね。
でもちょっと冷静に考えて下さい。 チェーンの可動部って何ヶ所でしたか? しかも最も厳しい条件の部位は、グリスが封入されているんですよね??
グリスが出てこないって事は、いくらチェーンルブを掛けても、ブッシュとピンの中には入り込まないって事ですよね??
さあ!自分でチェーンメンテナンスをしているライダーの方! メンテ初心者のマルケスさんにわかりやすく教えてあげてください♪♪
シールチェーンと言うのは必要な部位にはグリスを封入してあり潤滑している。そのグリスの漏れを防ぐゴム製のシールはサビが発生すると簡単に切れてしまう。
そのサビを発生させないよう、防止する事がチェーンルブを吹きかける目的だ。
そうなんです。チェーンルブを使う目的は、「潤滑」ではなく、「サビ止め」だったんですね〜!
吹きかけた直後は、スプロケットと、ローラーの潤滑が多少良くなりますが、10kmも走った接触面には全て居なくなっています。 パワーロスするか否かはピンとの潤滑が全てです。 この潤滑をなるべく長持ちさせる為の作業の事をチェーンメンテナンスと言います。
メンテ1. チェーンのサビを防ぐ(防錆)
チェーンのシールの周りにサビが発生すると、サビによってゴム製のOーリングを切ってしまいます。
Oーリングが切れると中のグリスが流出して、一気に寿命が縮まります。 サビを発生させないよう、チェーンルブを使って表面を油でコーティングし酸素を遮断。サビを抑えてライフを維持します。
メンテ2. グリスが拾う異物からO-リングを守る
チェーンルブは、その使用環境から、すぐに遠心力で飛ばされてしまう宿命を持っています。
よって、その強力な遠心力に耐える粘性を持たねばなりません。 要は飛んでいかないようにネチネチしてるんですね。
そのおかげである程度止まってくれるのも事実ですが、副作用として、フロントタイヤが巻き上げたゴミなんかが付着しやすいのです。
その付着したゴミが、ゴム製のOーリングを傷つけてしまうので、メンテの際は一度クリーナを使って古いルブと、ゴミを取り除きます。
まとめると、
チェーンメンテナンスはグリスを封入しているシールの保護が目的です。
潤滑させる事が目的ではありません!! というより潤滑できません。
錆びないオススメのドライブチェーン
どんなチェーンを選ぶといいのか、少し解説させて頂きます。
何度も言うように、チェーンの肝は、ブッシュとピンの潤滑である事は間違いありません。 しかし封入しているシールも耐久性を持たせるには、内プレートと外プレートの動きを妨げてしまいます。(摩擦ロス)
ロスを減らすには、シール圧を弱くすれば良いのですが、今度はグリスが流出しやすくなってしまいます。 つまりチェーンの耐久性能と摩擦損失はトレードオフの関係にあるのです。
そこで各社こぞってこのシール部品の特許合戦を繰り広げ、低摩擦なのに長い耐久性がある! と唄っています。 よく聞くXーリング!とか言うアレです。 この赤い部品がシールで、Xの形をしている為、Xーリングと呼ばれます よって、高性能チェーンは、「程フリクションで長い耐久性!」のようなワードを使っています。
メンテナンスフリーのシールチェーンがある!?
結論から言うと、有るんです!
今でこそ言いませんが、シールチェーンが発売された当初は”メンテナンスフリーチェーン”と呼ばれていました。
ウソやろ? と思われるかもしれませんが、これから解説します。
そのチェーンはRK or DIDのフラッグシップモデルのゴールドチェーンです。 中でもRK製のゴールドチェーンは、メッキが2回施されています。つまりメッキの厚さがとてもぶ厚く、頑丈にできているのです。
メッキがしっかりと乗っていれば錆びる事はありません。 つまり、シールを攻撃するサビが発生しないので、ルブを使用する必要がありません。(*RKのX-XWのブラックモデルは超強力な電着塗装で最強と言えるモデル。)
更に、ルブが不要なので当然!ゴミや異物を拾ってくる事もありません。
つまり何もする必要がないんです。
ちなみに、シルバーチェーンも同じくメッキが施されていますが、こちらは1回のみです。 チェーンは様々な異物にHITしながら走行しているので、飛び石なんかがHITするとメッキが剥がれ、そこからサビが発生します。
フラッグシップゴールドチェーンの場合は、そもそものメッキが2掛けられていて厚いので、その耐久性も高いのです。
ANDYの愛機ZRXと、CBR1000RRもゴールドチェーンを入れています。 ZRXは装着から約10年経過しましたが、一度もメンテをしていません。 洗車もバリバリしていますが、一切サビておりません。 チェーンの遊びも増える事なくコンディションを維持しています。
ちなみに、Moto-GPマシンも、チェーンメンテナンスとして、ルブを吹く事はありません。シールチェーンでも耐久性よりも摩擦損失を減らす事を優先して、シールの摩擦を極限まで抑えています。
なので、一度グリスが流出しだすと、途端にチェーンの遊びが大きくなります。(ブッシュとピンの隙間が広がる)
セッション毎にチェーンの遊びを数字で管理しているので、遊びが増えると、チェーンを即交換します。 (約2000〜3000kmくらいで交換) なので、サビが発生しない(メッキ剥がれがなければ)ゴールドチェーンは超絶オススメです。
8耐マシンでも決勝中にルブを吹く事はできません。 事前に様々な耐久テストを行いますがチェーンルブを吹かない事で性能が低下する(摩擦損失が増える)事はありません。(耐久テスト後に出力計測を行い、前後で比較しています)
言い換えればそれだけ日本製のドライブチェーンの性能が高いと言えます。
- ワインディングやワーキットなど高負荷条件が多いライダー
- リアホイールをチェーンルブで汚したくないライダー
- メンテナンスがめんど臭い! メンテフリーを希望するライダー
- ランニングコストをなるべく安くしたいライダー
- 北海道ツーリングなど雨中走行バリバリのライダー
ゴールドチェーンは、スタンダード品に比べて、お値段がプラス3〜5千円高いです。しかしスタンダード品は、合わせてチェーンクリーナ&ルブを購入する必要があります。御値段約2〜4千円。 長い目で見たときには、結局ゴールドの方が安く上がります。
オススメのドライブチェーン|Andy愛用品
ノーマルチェーンは表面処理が施されていますが、サビに対する耐久性はあまり強く有りません。メンテ(錆止め)を怠るとサビが発生しシールへダメージを与えます。
ノーマルの場合はしっかりと点検し、必要に応じて防錆(メンテナンス)する事が不可欠です。
また、上記以外にもゴールドチェーンは存在しますが、「ピンのコーディングな無い」モデルがほとんどです。コーディングの無いピンを見て”ゴールドなのに錆びた”と言われましたが、コーティングが無ければ錆びる事は防げません。
説明不足で失礼致しました。ゴールドチェーンには2種類あります。
・プレート&ピンまでメッキしたフラッグシップモデル
・プレートだけをメッキ。ピンは表面処理だけ
このうち、サビに対して最も高い(長い)耐久性を持つのがフラッグシップモデルです。ピンのメッキの有無を確認すれば一目瞭然ですのでお間違い無きようお願い致します。
チェーン調整で便利な数字
ここで、520、525、530サイズ限定ですが、覚えておくと役立つ数字をお伝えします。 ドリブンスプロケット(リヤスプロケ)の歯数を1丁変更すると、Rrアクスルの位置は4mm変化します。
- 43→44へ変更した場合:Rrアクスルは4mm前進します。
- 43→42へ変更した場合:Rrアクスルは4mm後退します。
- ドライブチェーンを2リンクカットするとRrアクスルは16mm前進します。
- ドライブチェーンを2リンク延長するとRrアクスルは16mm後退します。
仮にスプロケットを45→42へ変更し、チェーンを4リンクカットすると?
- 式①(45ー42)X4=12 スプロケの丁数変更でRrアクスルは12mm後退
- 式② -2X16=-32 チェーンの延長でRrアクスルは32mm前進
- +12-32=-20
答え:Rrアクスル位置は20mm前進する。
と求める事ができます。ファイナルレシオを変更する際などに利用してください。
この記事を読んで、ゴールドチェーンに交換しらライダーが、「これでチェンしこ呪縛から解放!」なんてつぶやきを見られたら本望です^ ^
追記 2017/10/21↓
ピン&ブッシュは理解できたけど、ローラーは給油すべきでは?
結論:ローラーへの給油は不要です。
多くの方から「ピン&ブッシュへの給油が不要」と言う事は理解できるが、ローラーも可動部であり回転する部品だから給油した方が良いハズだ。 だからチェーンメンテ不要ではないだろ!
と言うご意見を頂戴しました。そう感じる事は理解できますから順に説明したいと思います。
世の中にはゴールドチェーンではないのに「無給油」を唄っているチェーンがたくさんあるよ!
ライダーが持つチェーンのイメージは、バイクと自転車に使われているチェーンを想像すると思いいます。 しかしチェーンの最大市場は産業用チェーンなのです。
例えばパンを製造する工場にある巨大なオーブンの中を、パンを載せた網がゆっくりと進んでいく。 このコンベアは灼熱の中を進みますから、ベルトでは溶けてしまいます。
金属であるドライブチェーンで駆動しますが、食品を扱うチェーンにグリスは禁物です。 そこで材料に油分が多く含まれている素材を選定し無給油を可能としています。
産業機械においても、オイレスブッシュと言う物が広く使用されていて、給油できないけど、滑りを良くしたい場所に用いられています。
材料で給油フリーにする事ができる。*但し使用可能な場所は低負荷である事など限定される。
ローラーが果たす役割はなに?
ローラーはブッシュの外径を滑る構造になっています。 平たく言うと回転できる構造です。ではこのローラーって、いつどんな時に動くのでしょうか??
- スプロケットの歯が入り込み、緩衝曲線ににならう時。
- 加速⇔減速で力の方向が逆になる瞬間。
この条件の時に動きます。
1のスプトケットの歯が入り込み緩衝曲線にならう時
ドライブチェーンはスプロケットの歯によって位置決めされています。スプロケットの山ー山の間にある谷にローラーが座ります。 なぜ谷にローラーが座るのか?
ドライブチェーンが回転しているとき、チェーンには自分の重さで遠心力が掛かるので「円」の形になろうとします。
しかしドライブ&ドリブンスプロケットで位置が決まっていますからチェーン全体の形は楕円になります。
円形に少しでも近くには、二軸間の最も距離が短いところに自然と収まろうとします。その最も距離が短い部位が「谷」部になるのです。 この「谷」部に落ち着くまでほんの少し山を下る事になります。 まさにこの瞬間、ローラーが少し動きます。
2の加速⇔減速で力の方向が逆になる瞬間。
次はバイクが加速する時に注目しましょう。
加速時はローラーが谷から、「山登り」を始めたくなります。 バイク左側からスプロケットを見た写真とします。 ドライブチェーンによって、反時計方向にスプロケットが回転させられます。
この時、ローラーは「谷」から赤色のラインに沿って山を登ろうとします。この時、ローラが移動距離分だけ回転します。
同じように、エンジンブレーキや、Rrブレーキを使用した時には、「谷」から青色のラインに沿って山を登ろうとします。同じように、ローラーが移動距離分だけ回転します。 減速の時に発生するGは加速ほど高くありません。(タイヤの減速グリップが弱く、チェーンに力を与えられない)
なので、リアブレーキを限界Gまで発生させた直後に、ウィリーさせるようなエクストリーム的なノリ方をした時には、「原則の山」 → 「加速の山」へローラーが一気に下り&登ります。
この時が最もローラーの回転角が大きい事になります。ではこの時のローラーの移動距離は?? 最大で約2.0mmです。 ローラーの回転角は0.5°もいきません。 (チェーンの遊びが大きいと距離は増える)
ローラーと呼ばれる名前から、つい「ぐるん!グルン!」と回転してそうなイメージを持ちますが、実際には、スプロケットの緩衝曲線上をほんの少〜し登ったり下ったりしているだけなんです。
しかも力を伝達する時間は、スプロケットに接触している時だけです。 ピンやブッシュは常に力を伝達している部品ですが、ローラーはスプロケットを接触していない時はただの重りです。
ローラーの潤滑が不要な理由のまとめはこうです。
- ローラーの素材が無給油を前提に選定されている
- そもそもの回転角が非常に小さい。
- 力のかかる時間が短い(ピン&ブッシュに比べ)
なぜローラーが無給油を前提に選定されているのか? シールされていない潤滑油はすぐに飛んで無くなってしまうからです。
ローラーも少なからず可動するんだからルブは吹いた方がエエやろ! と言うご意見も頂きました。 おっしゃる通りなんです。あった方が良い事は間違いありません。
もう一度言います。
吹いた方がいいし、あったほうがいい事は間違いありません!!
しかし、そのグリスはいつまで必要とする部品に留まってくれるのか? が次の問題なんですね。
特にそのイメージからルブを吹いたら永遠そこに留まってくれると思いこんでいるプロが非常に多いです。
ローラーとブッシュの間に居るグリスは、強大な圧力と遠心力ですぐに飛ばされてしまいます。
時速100kmで高速道路を数十キロも走ればルブ(グリス)は居ないんです。
その事はチェーンメーカーも良く理解しているからこそ、ローラーは無給油状態でも成り立つ仕様となっています。仮にスプロケットにチェーンルブを塗って、何キロ走行するとDRY状態になるか? その距離で同じようにローラーとブッシュ間に居るはずのグリスも同じように飛んでしまいます。
このような構造&仕様である事を理解した上で、メンテが必要or不要の判断にどちらが正解もありません。 様々な考え方がありますから拘りを持ってメンテをする人を間違っていると言って居る訳でもありません。
ここまで読んでもまだ納得できないおバカなプロの方も沢山いますw (割とガチ) その方に新たな脳内ルブを吹いて差し上げるので読め!笑↓
摩擦の類別5種
摩擦には大きく分けて5種類存在します。
流体潤滑
オイルの油膜に完全に浮いた状態ですね。
クランクピン、コンロッドピン、カムジャーナルなどが流体潤滑に該当します。
境界潤滑
ピストンやリング、ピストンピン、カムチェーンなどは境界潤滑です。
多くのプロの方はすべての部品がオイルに浮いていると勘違いしていますが、実際は全く浮いていません。 エンジン部品にはオイルを超大量に掛けてオイルでバシャバシャな状態ですが、「オイルに浮けない」のです。
境界潤滑は科学的な分子レベルの極薄の油膜に辛うじて摩擦を低減しているに過ぎず、「油膜は無い」のです。
いいですか? よーく考えてください。 オイルポンプでドバドバにオイルを掛けただけの部品ですら油膜は無いのです。
ドライブチェーンにちょっとルブを掛けただけで油膜がキープされる訳がないんです!笑
それでも摩擦が少なからずあるから効果あるよ! って言ってるプロってホントにプロですか・・・??
何度も何度も行ってますが、今から馬力測定します! ってときの直前にブシュー!とルブを吹けば馬力上がります! 摩擦下がります! 効果あります! って言ってますからね!?
もっと詳しく知りたい方は↓
境界潤滑と混合潤滑とは?エンジンオイルの要求スペックがわかる!
チェーンメンテ不要論まとめ
とくに!! バイクを生業としている方からオマエはアホか!! と多く言われますが、ここまで読んでも理解できない読解力のなさとカチカチ頭ならもう手遅れです。
新しい考え方を取り入れる事は不可能なほど脳みそはカチカチです。 チェーンを給油する前に、自分へのメンテが必須ですから糞コメ書く前に治療しましょう♡
Andyが思うに、この手の話はコペルニクスが唱えた天動説と似ている気がします。
現代においては地球が自転している事は社会常識ですよね。 ”地球は止まっている。お空のお星様が動いているのだ”なんて誰も思いません。
しかしコペルニクスが生存していた頃の常識は「地球は停止していて、空と星が動いている。」です。
その当時は誰もコペルニクスの「地動説」を理解できませんでした。
なんなら「コイツ、地球は回っているとかマジ卍 草ww 常識で物考えろや!!」と言われる始末。
当時の一般常識からしたら真逆の事を一人だけ唱えているので分からなくもないけど・・。 現代も同じですね!笑
まさに”賢者は歴史に学び愚者は経験に学ぶ”の言葉の通りです。 自分の経験だけに学ぶ人ほど、意見が異なる人とぶつかる事しかできません。
でも、チェーンメーカーの立場上メンテして下さい! と公式に言っている以上は、どんな聞き方をしても「メンテ不要です」との答えが返ってくる事はありません。分かり切った事です。←キッパリ
なので、MOTO-ACE-BLOGってトコで「メンテ不要」って書いてあったんですけどホントですか?
といくらチェーンブースの営業マンに聞いても答えは「メンテして下さい」と必ず返ってきます。
そこに輪をかけて「ほらみろ!メーカーはチェーンメンテ必要だ!と言っているぞ! どうしてくれるんだ!!」と言われてもね~・・・
Andyも十分すぎる程知ってますから!\(^o^)/
とあるプロの方は「ローラーはコロコロ回転するんだぞ!!」と言っていました。。。このお店に通うライダーが本当に可哀想・・・。 (ちょっと愚痴っぽくなってしまいスミマセン)
Andyの場合は、ホイールを汚したくない事もあってメンテフリーにできるチェーンを選んでいます。 性能重視でこまめに給油する事ももちろんアリと考えています。
ちなみに!純正チェーンは表面処理が弱いので直ぐ錆びる→錆止めのメンテナンスが必須です!
この記事を読んで頂いたライダーのチェーン選びのお役に立てれば幸いです!^^!
Let’s Fun! Ride! Run!
Andy