お役立ち記事!
レース中アクシデントで表示される旗の種類と意味|サーキットフラッグを見て取るべき行動

最近ツイッターを見ている中でとても気になる動画を何度か見てしまいました。 筑波サーキットでの映像でしたが、レースの先頭を走るライダーが、レース中にコース脇から表示される旗の意味を理解しておらず多重クラッシュへと発展。。。 本来は1台のスリップダウンで済んだ転倒のハズが、レースにエントリーしているライダーの無知が原因でマシンも人間も大破・・・。 これはいたたまれません。

攻め込んだ上ので転倒はライダーの実力ですし致し方ありません。 しかし全員が知っていれば防げる事故はあります。 「ライセンス持ってるのに知らないじゃ済まされない。」 コメントにたくさん書いてありました。確かにごもっともな意見です。 でも自分はそこが原因じゃないと思います。 このブログを読んでくれている方はバイク&クルマの免許を持っている人しかいないでしょう。 中には教習所に通ったのは20年前って方も居ると思います。 では「当時覚えた内容100%覚えていますか?」って事なんです。 今でも覚えている事は今も良く使い今も気にしている事です。  普段あまり見慣れない&使わない知識や経験なんて年月とともにうろ覚えになって当然です。

それはサーキットも同じ事が言えて、イエローフラッグ、レッドフラッグ、この2種類の旗の意味と取るべき行動はサーキットを走らない方でも知っていると思います。

フラッグの意味を知る事はサーキットを走るライダーにとっては自分の身を守る事へ直結します。 あまり目にしないフラッグを何年ぶりかに出たレースで突然認識しても素早く対処できません。

観戦する方が旗の意味を理解すると、レースで今何が起こっているのかが理解でき、よりレースを楽しむ事へ繋がります。

もし、サーキットで「アレ? あのフラッグってどんな意味?」と思った時には是非このページへアクセスして頂き、復習を兼ねて余計な転倒を減らす事ができれば幸いです。

 

1. 事故が起こった原因を理解する。

まずはこの筑波サーキットでの映像を見て下さい。転倒のあった2ヘアを立ち上がり裏ストへ向けてしっかり加速しています。(なんら走行に問題はありません)

なぜ裏ストレートで多重クラッシュが発生したのでしょうか? しかも第二ヘアピンで転倒があり減速しているにもかかわらず・・・??

その答えは↓の動画を見るとわかります。同じレースを違うライダーが撮影している動画です。

特に、先頭集団を走行しているライダーの挙動と、加速具合に注目して下さい。上↑の動画のライダーはしっかり加速していましたよね。 ではその時、先頭集団は・・・??↓↓

多重クラッシュの原因
  • 「白旗」+「黄旗」の同時表示に混乱している。
  • 「追い越し禁止」の対象を瞬時に判断できなかった。
  • 規制解除」の場所を理解できていない。(理解している人と接触している)

 

この3つの要因の内、どれか1つでも無くすことができれば、このような事故を起こさずに済むはずです。自分の視界に入っているライダーが、挙動不審で明らかに迷っている。→そこへフラッグの意味を理解しているライダーが勢いよく(普通に)再スタートを切ったら、まだ前の方で再スタート位置を理解できずモタモタしているライダーとドカン!

この動画を見て今回は、普段練習走行で見る事の少ない「白旗」に惑わされていると感じました。 このような事故はどのサーキットでも起こり得ます。フラッグの意味を理解していない事の問題は、フラッグの意味を復習できる場が少ないからではないでしょうか。

もちろんレース前はフリーフィングへの出席義務があり、そこでフラッグの意味を再確認しています。 しかし複数のフラッグが同時に表示された時の事まで復習している事は私の経験上ありません。

アクションカムが手軽になった昨今、簡単に動画を観れる時代だからこそ、この事故から学び、「次起こさない為にどうすべきか?」と言う観点で楽しいサーキット走行のお役に立てれば幸いです。

*動画のライダーを誹謗中傷する事が目的ではありません。動画を観て「あ〜!コイツが悪い!」とスマホを片手に言う事は簡単ですが、いざとなったら判断が曖昧になってしまうライダーは多数存在する事は事実です。 この動画から自分のレースやスポーツ走行に活かして欲しいとの思いをご理解ください。

2. 忘れやすいサーキットフラッグ一覧

旗その1. レッドクロスフラッグ

雨が降ってるよ!  ニックネームとして「レインフラッグ」と呼ばれます。

レッドクロスフラッグと言って、コース上で雨が降っている事を教えてくれています。

この旗は練習走行で見る機会がほとんどありません。 しかもDRYコンディションでの走行中、雨が落ちてきましたよ! と言うシチュエーションでしか振られません。完全なフルウェット状態では提示されないので尚更見る機会が少ない旗です。

「コース上に救急車がいる?」と間違えるライダー多数です! スポーツ走行では、前を走るライダーが初心者かもしれません。雨にびっくりして急ブレーキをかけるかもしれない!と認識する事が大切です。 注意喚起の旗で、義務の発生はありません

 

旗その2. ホワイトフラッグ

救急車や、清掃車などの「介入車両」アリの表示。追越し禁止の義務が発生。

この旗もレースでないと中々お目にかかれません。 と言うのも通常のスポーツ走行で救急車や車両回収用レッカー車などがコース上に入る場合、赤旗中断になってしまうからです。ですからやっぱり馴染みの薄い旗です。

レースには選手権にビシバシエントリーしているライダーも居れば、3年ぶりにレースに参戦しているライダーもいます。 その間一度も旗を見る事なくレース前のブリーフィングで久々に見た! なんてライダーも居る事でしょう。

ベテランライダーは、「久しぶりに走るライダーで、もしかしたら意味を理解していないかもしれない」と心構えをするだけで結果を変える事ができます。 ホワイトフラッグの意味はこのようになっています。

ホワイトフラッグの意味
  • 救急車や、レッカー車などのクルマ(介入車と言う)がコース上を走行している
  • フラッグポスト ~ クルマ までが追い越し禁止。
  • クルマを追い越す事はOK。
  • クルマを追い越した瞬間から規制解除(追い越し解除)

このようになっています。 この旗の提示で一番まどわされてしまうのは、「救急車」を抜いていいの?? それとも抜かずに追従するんだっけ?? です。 まさに上の動画ですね。

なんとなく追い越し禁止を知ってはいるものの、救急車のこと?? ライダーのこと?? これを混同してしまっているライダーはかなり多いです。

ベテランは「初心者が迷って減速するかも!」と思って対処お願いします。 あいつフラッグの意味わかってないやんけ! と発言したところで何も改善しません。 エントリーするレースのレベルに合わせた対処が必要です。

  • 救急車を抜くまで(追い越すまで)は、ライダーを追い越してはいけません。
  • 救急車は抜いて(追い越し)OKです。
  • 救急車を抜いた直後から、ライダーを追越してOKです。

動画では、第二ヘアピン手前のポストで白旗が提示されていますから、そこから追い越し禁止の規制区間に入っています。

第二ヘアピンに救急車(介入車)が停止してライダーを救助しています。この救急車は追い越しOKで、追い越した瞬間から、ホワイトフラッグの規制は解除です。(レーシングスピードに戻る)

動画にあるように急激な減速をする必要はありません。 イエローフラッグは皆さんスポーツ走行の時から良く見ています。 イエローを見て少しペースを落としながら転ばないスピードで走行しできています。そのペースでOKです。 突然ツーリングペースになってはいけません。(後ろから追突される)

 

旗その3. オレンジボール

「車輌に問題があるため、すみやかにコースサイドで停止せよ」
写真はオレンジに見えませんが、ロッシ選手に対し、オレンジボールです。

このフラッグは、ゼッケンボードと同時に提示されます。 F1やMotoGPでは「ピットインせよ」の意味になりますが、日本国内では「すみやかにコースサイドに停止せよ」の意味になります。

主にオイル漏れや液体漏れが発生した場合、そのままの状態でピットに帰ってしまうと、サーキット1周にわたってオイルをぶち撒いてしまいます。 鈴鹿であれば、5.8kmに渡って清掃しなければなりません。

さらに自分が出したオイルに乗って転倒する可能性もあり被害が拡大してしまいます。 オイルを出すと多重クラッシュになる為、それを未然に防ぐためのフラッグです。 レース当日にオイルを撒くと一気に時間を押してしまいます。 この旗を確認したら、レコードラインを外れた後、ゆっくり減速してコースサイドに停止して下さい。

余談ですが、2017年8耐決勝で、ゴールまで残り30分を切ったところでこのオレンジボールフラッグが#5とともに掲示されました。 私のチームゼッケンではないのですが、ほとんどのポストで出ていました。辺りは暗く、もしかしてオイルが出たかも? と考えレコードラインを外し、前を走るクルマの挙動や転倒の有無を注意深く観察しながらペースを落として1周走行しました。なにせ暗いのでオイルが仮に出ていても見えない! 結果何も無かったので事無きを得ました。(後から火災だった事を知りました) フラッグの意味を理解すれば、その先を予測することが可能です。

旗その4. イエローフラッグ

一番理解されている追い越し禁止のフラッグ。規制解除は・・・?

コース上で転倒があった場合に提示されます。 スポーツ走行枠で最も多く目にするフラッグですからみなさん理解している事は間違いありません。「この先で転倒したかな?」と予想できるので、落ち着いて対処できます。 しかしレースになると、スポーツ走行と違う事があります。それは・・・グリーンフラッグが提示されるまで、追い越し禁止区間である事です。 今回の動画にある事故もまさにココを理解していなかったが為に、追突事故が発生しています。

スポーツ走行では、グリーンフラッグが振られません。 転倒車輌を追い越したら規制解除です。それに対し、レースでは、グリーンフラッグが提示された場所から規制解除です。 普段のスポーツ走行では経験できない為、理解しにくいポイントです。

 

2. 筑波サーキットのレースで振られたフラッグはコレ!

動画の中で、↓写真のように、白旗(ホワイトフラッグ)、オイル旗(オイルフラッグ)、黄旗(イエローフラッグ)の3つが同時にライダーに対して提示されています。

ライダーはレギュレーションでフラッグを確認する義務を負っています。つまり”フラッグ見逃した、見落とした”は通用しません。

この3つのフラッグが何を意味するかを考えます。

フラッグの意味をもう一度おさらいするよ!
  • ホワイトフラッグ・・救急車を抜くまで、ライダーの追い越し禁止。
  • イエローフラッグ・・グリーンフラッグが振られるまで追い越し禁止。
  • オイルフラッグ・・滑りやすいから気を付けなさい。

次にこのシーンです。右のポストでグリーンフラッグが振られています。

この場所では、2ヘアに停車している救急車は追い越していますから、ホワイトフラッグの規制は解除されています。しかしレース中の黄旗は、グリーンフラッグまでが規制(追い越し禁止)です。 コース上に赤い線を追記してみました。 この線より手前は追い越し禁止区間。 赤い線を過ぎたら規制解除です。

しかしTOPのライダーがどんどん減速してしまい、後続はTOPを追い越してはいけないので釣られてTOP集団が減速してしまいます。  それを認識できない後続集団はグリーンを見て規制解除に備えスピードを上げます。 その結果、速度差が生まれ追突へと発展してしまいました。

レギュレーションでグリーンフラッグ手前での過度な減速は禁止されています。 追い越し禁止のルールを逆手に取り、TOPが急減速し、再加速すると、差を広げる事ができ有利になる為です。

フラッグが示す意味を100%理解する事で無くす事のできる事故です。  レースの発展を望む以上、初心者を常に受け入れなければレース界の発展は無いです。 これからもどんどんレースへの参加者が増えて欲しいですよね。だからこそ、今回の事故を批判するのではなく、次起こさない為にはライダーはどうすれば良いか?? を考える必要がある訳です。

昔はこわ~いパイセンがサーキットやフラッグのイロハを教えてくれたのかもしれませんが時代とともにそのスタイルも変化していると思います。 今でもガチンコチームで活動するライダーもいれば、BBQを仲間と楽しみながらレースをするライダー。 どちらも素晴らしいレース活動です。

サーキットでスマホさえあれば、初心者でもベテランの知識を得られる時代になりました。全てのサーキットライダーが、有益な情報を得られるとてもイイ時代だと思います。   そんな時代だからこそサーキットでの重大事故を減らせるハズです。 一昔前ならこの映像はきっとサーキットの録画しかなく、しかもサーキットのブリーフィングに出た人しか見る事ができなかったでしょう。 しかしYou Tubeとインターネットのお陰で全ライダーがこの映像から学ぶ事ができます。  安全を目指すのなら素晴らしい教材になるはずです。(個人を責めても再発防止にはつながりません。)

3. サーキットで最も多い重大事故は追突!

レースを長く経験している人が理解していて、初心者ほど理解できない事があります。

サーキットは前が見えない!

松子
ちょっとアンタ!なに訳のわからない事言ってるの! 前のライダー抜こうとして走ってるんだから前見て走ってるんじゃない! 
炒るマニア
ァ~イ!!!

下の写真を見てください。もう少し詳しく書くと、「マルケスは前を向いてはいるけど、ロッシより前を認知する事ができない」と言った方がより正確です。

マルケスの後ろに居るライダー、分かりますか?

二人居るんですけど、見えません。 前を向いているマルケスはロッシの前の選手が見えている??

丸ケス
ロッシのでっかいプリケツしか見えないよ!w

前が見えないというのは、前にいるライダーに近寄れば近寄るほど、前のライダーより前が見えません。言い換えれば、「目の前しか見えない」のです。  もしこの状態で仮にレッドフラッグが出たとします。

すると先に気付けるのはもちろんロッシです。 マルケスはロッシのお尻しか見えていないのでレッドフラッグを認識するタイミングは、ロッシに比べてワンテンポ遅くなってしまいます。 そうなると、マルケスはロッシに追突してしまいます。

しかし実際にはTOPライダーはほとんど追突しません。 それはモチロン!マルケスが優れているから!と思いがちですが違います。 この場合ロッシが「後ろにライダーがいるだろうと考え、追突されないように、ゆっくりラインを外れゆっくり減速する」からです。 レース経験が長かったり、全日本を走るライダーは油断するとすぐに追突されてしまう事をよーーーく理解しています。  だから追突されないよう対処するのです。
ここは経験が大きく左右します。 しかし知識があれば防ぐ事ができます。

 

 

追突事例1. 足を切断

数年前、アジアロードレース選手権で、優勝したライダーがゴール直後に減速しコース上からピットへ喜びをアピールしていました。後続は急に減速している事を知らず、優勝したライダーへ激しく突っ込み、ウィナーが足を切断すると言う痛ましい事故がありました。 TOPライダーと言えど、油断すると追突事故は起こってしまいます。 逆にレース初心者でも気を付けるべき点さえキッチリ抑えれば、重大事故は回避できます。

 

追突事例2. 追突で死亡

鈴鹿サーキットでスポーツ走行中にマシントラブル発生 → Pitへ戻る為、裏ストレートを右端に寄って走行していたところ後続から追突され死亡。 鈴鹿はピットに入る車両は裏ストレート右側を走行します。 しかしレコードラインも右側になりラインが交錯する場所です。 そして最もスピードが出る場所である事を考え、スロー走行する場合は大きく手や足を振って後続への合図が必要です。

また練習走行でスリップストリームに入る場合は、前の状況が認識できない事を良く理解した上で走行すると良いでしょう。 スポーツ走行は600CCと1000ccが混走している場合が多く、技量+排気量であっという間に追突ゾーンに突入します。

 

4. 覚えにくいサーキットフラッグ一覧

フラッグの種類意味ライダー義務規制解除
イエローフラッグ
主にコースサイドで危険な状況が発生している事を告知

*コース上含む
スローダウンし、いつでも停止できるように準備していなくてはならない。グリーンフラッグの提示
*スポーツ走行は危険個所の通過
ダブルイエローフラッグ
主に前方コース上に走行を妨げるような障害物など危険が存在することを予告。

*コースサイド含む
スローダウンし、いつでも停止できるように準備し、細心の注意を払わなくてはならない。グリーンフラッグの提示
*スポーツ走行は危険個所の通過
ホワイトフラッグ
旗の提示ポスト前方コース上において、救急車両等の介入車両に遭遇することを示す白旗振動提示ポストからこの介入車両を追い越すまで他のライダーを追い越すことは禁止。
*コース介入車両の追い越しは許可される。
コース介入車輌を追越した時点から
レインフラッグ
旗の提示付近のコース上おいて雨が降り始めたことを示す無し。注意して走行の事。無し。

このフラッグはスポーツ走行で見かける事が少なく、レース中に突然提示されどうしたわいいかわからない!! と言う状況に陥りやすいフラッグです。 レース前にもう一度復習して追突事故や、二次災害を防ぐ事につながれば嬉しいです。

「サーキットは油断すると簡単に追突される!」「ライダーは目の前しか見えない!」このフレーズを理解する事が重大事故撲滅への大きな一歩です。 ぜひ!楽しいサーキットライディングへつなげて下さい!(^^)!

Let's Fun Ride Run!
Andy

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