DUCATIチェンテナリオの車体スペックの詳細です。
チェンテナリオの車体スペック
- 量産車初カーボン製ディスクローター
- 世界初カーボン製フロントフォーク
- 世界初量産車カーボン製両持ちスイングアーム
カーボンディスク自体はotoGPマシンなどに長く使用されていますが、量産車としてメーカー出荷の時点でカーボン製ブレーキディスクローターが装備されているのは世界初となります。
そしてオーリンズ製の門外不出の技術であるカーボン製フロントフォークもついにリリース! 実際に手にとって見ましたがめちゃくちゃ軽い! これで超ハイパワーマシンのブレーキングGを受けて大丈夫!? ってくらいに軽かったです。 イメージはプラスチックを持っているような感じです。
チェンテナリオは両持ちスイングアーム仕様です。 カーボン製として両持ち仕様の量産車はやはり世界初。 フロントフォークよりも更に軽く、文字通り部品を持っているというよりは、オモチャを持っているような軽さです。 とにかく圧倒的に軽い!
SC82型のCBR1000RRRもレーシングスペックだな・・・と思いましたが、その領域を遥かに超えるスペックでもはや笑うしかありません。
| 重量 | |
カーボンメインフレーム
フルカーボン製の新設計で従来モデル比で300gの軽量化を果たしたとの事。 公道走行の認定を取得するのは簡単ではなく、様々な試験をクリアすべく開発してきた。 カーボンシャシの強度試験は社内で3度の非破壊検査を実施してから出荷されるため時間も掛かるそう。
シートフレームもフルカーボン製でツーピース構造。 強度計算やシミュレーションを何度も繰り返してきた結果、精度が向上してきたそうです。 はやり開発を続けると材料に対するノウハウが蓄積され、技術力が高まりますよね。
またカーボン製のシートレールは軽量&高強度の他にもう一つ大きなメリットがあります。 それは設計自由度の高さです。
と言うのも、DUCATIマシンのデザイン性が高い事は誰もが認めるところ。 しかしそれを実際に具現化するには非常に難しいのです。 何が難しいのか? 車体が小さく部品をレイアウトするのがとても困難なのです。
軽く&安く作るにはパイプや角材をなるべく曲げず直線的にレイアウトしなければなりません。 しかしその中にバッテリーやコンピュータ、リレーやポンプなど様々な部品をレイアウトするとデッドスペースができてしまいます。 カーボンは3D形状を作る事が可能な素材なので、高いデザイン性を担保するには打って付けの素材と言えます。
カーボン製スイングアーム
個人的にどストライクなデザインがこのスイングアームです。 はやり上櫓(うえやぐら)の両持ち仕様がバイクには一番カッコいい! 確かに排ガス規制の為のデバイスや低重心化、燃料タンクなどをレイアウトするには下櫓が合理的である事は理解できますが、どうもデザインが好きになれません・・
カーボン製の上櫓は個人的最高傑作と言いたいほど好きです。
カーボン製ブレーキディスクローターシステム
カーボン製ディスクローターはΦ340mm、t8.0mm、ドリルホール加工仕様です。
ブレンボ社と共同開発して作り上げたとの事。 ブレーキディスク及びパッドを装着しただけでは認証取得ができないそうで、ABSシステムと同時に作用させる事で初めてパスできるとの事。
低温時の作動性はどうなんですか? 効きにくい事はありませんか?
いい質問ですね!
答えはもちろん「問題無し」です。
このマシンは一般公道を走るモデルですから、雨や低温など様々な条件で機能させなければなりません。 当然全てのシチュエーションにおいて正しく機能します。
この機能はABSシステムなくして成り立ちません。 気温、温度、レバー入力、車速や減速Gなど様々な情報を元にABSが適切に制御する事でどんなシーンでも適切に機能するのです。
このシステムはブレンボ社と苦労して共同開発しました。 特に認証を取得するには様々な厳しい条件のテストをクリアしなければなりません。 単純にマテリアルだけを変えただけでは認証取得はできません。 技術力のあるDUCATIとブレンボ社だからできた事なのです。
はやりカーボン製の特性として極低温時の効きはあまりよくありません。 しかしABSコントロールユニットは低温で効きにくい条件であると判断すれば、液圧を高める制御をしているのだと推測します。
この制御があって初めて公道での認可が降りるという事ですね。 レーシングマシンは走行後すぐに高入力が入り温度が安定しますが、一般公道は高速道路巡航中に急ブレーキを必要とする場合、温度が完全に冷え切った状態からのブレーキになるので、高温時とフィーリングが異なります。 ここをブレンボと共同開発して、常に同じフィーリング(レバー入力に対する減速G)が同じになるようセッティングされているのでしょう。
またマテリアルも改良が進み低温や雨でも安定するようになった、とも言っていました。 確かに近年もMotoGPでは雨でもカーボンディスクを使用しています。 技術革新が進み作動温度範囲が広がってきた事も、公道走行マシンに使用できる一因となっているようですね。
↑キャリパーはやはりMotoGPスペックのGP4-HY、ラジアルモノブロックキャリパーのニッケルメッキ仕様です。
↑パッドは「Ampolified with anti-drag system」仕様です。直訳すると「抗力システムで増幅」となります。
効力システムで増幅??
パッドのバックプレートが斜めになっている部分にご注目下さい
この斜めカットのお陰でパッドがディスクを押し付ける力を増幅できるのです。下の図をご覧ください
- ピストンがパッドを押す
- パッドがローターと接触する
- ローターに引きずられパッドは上側へ押される
- パッドとキャリパボディが接触する
- 斜めなので、パッドがディスク側へ押される
- パッドが押し付けられる力が増幅される→1へ戻る
このようなメカニズムになっています。
クラッチのアシスト&スリッパークラッチ(A&S)と基本的な動きは同じです。 しかも部位はトレーリング側ですからパッドを押し付ける力がより均一になる効果も期待できます。
こういったアイディアも個人的には大好きです。 何か課題があって、エンジニアが解決のため知恵お絞った結果、新しい技術が生まれる。 DUCATIエンジニアも熱いですね!
リアブレーキディスクローターはフローティング化され、200gの軽量化を達成。カーボン製のスイングアーム、カーボン製のホイールに挟まれたキャリパはカニキャリパとはなんともシュールですねw 削り出しが付いていそうでビックリです。
カーボンホイールハブに直接ネジ切りができないので、金属製の雌ネジを入れ込む必要があります。 雌ネジをなるべく中心にレイアウトすると慣性モーメントを減らす事ができるので取付半径を小さくする狙いがあります。
するとディスク側もより中心にボルト取付穴を設ける必要があり、ソリッドディスクでは中心側に伸びると重くなってしまう。 これらを両立する為にインナーをアルミで作ったフローティングとする事で200gの全体重量軽減と、慣性重量を軽くする事が可能となるのです。
カーボン製フロントフォーク
もちろん量産車への搭載としては世界初です。 アウターチューブがカーボンとアルミのハイブリッド構造になっています。
※固定嵌合とスライド嵌合の違いの図挿入
削り出しのボトムケースが最高に美しいですね。 まさに最高峰のバイクにふさわしい造形美。
カーボンのアウターチューブがもたらす操縦安定性がどんなフィーリングなのか? とても気になるところです。 是非乗ってみたい・・・
市販車でスライドメタルが固定嵌合仕様となっているのを知らないので、もしかしたら量産車初の仕様かもしれません。
↑リアサスペンションのコイルスプリングは宇宙関連事業で使われる軽量スチールが使用されているとの事。
細部にわたり軽量化できる部品を洗い直して可能な事は全てやるんだ! との拘りを感じます。
車体開発責任者クラウディオ・フォンティさん
チェンテナリオの車体開発責任者のクラウディオ・フォンティさんです。



























