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DUCATI機GP19のホールショットデバイスとは?怪しい機構を徹底分析!!

DUCATI機のGP19のトップブリッジにホールショットデバイスなるモノが付いている!! と昨年テストから噂になっていますね。 ホールショットデバイスって何? 機能は? 効果はあるの?

こんにちは!Andyです。

MotoGPも開幕していよいよ2019年レースシーズンに入りましたが、巷(ちまた)ではなにやら「Ducariがホールショットデバイス使ってるんじゃね!?」と専らの噂です。

写真や映像を分析してAndyなりの結論を出してみました。

 

ホールショットデバイスとは?

黄色枠で囲ったレバーをドビ&ペトルッチがスタート前に操作している姿を見て「スタートデバイスだ!」と騒ぎが起こったのです。

モトクロスレースの世界では既にフロントフォークとスイングアームを縮めた状態でロックする機構、ホールショットデバイスが広く知れ渡っているので、ロードレースでもそう呼ばれました。

 

結論|リアサスのリンク機構をロックする為のデバイスである

結論付ける理由
  • 映像ではFrフォークをロック(固定)していない。
  • ロストモーション機構が見える。←間違いでした
  • 機械式デバイスのみレギュレーションで許される。
  • ワイヤーケーブルで操作するスイッチである。
  • DUCATI社内で開発を完結できる

簡単に解説していきます。

 

理由1. Frフォークはロックされていない

先ずはこの映像をみると分かります。Frフォークの伸び方に注目して下さい。

 

もう完全にFrフォークはビヨンビヨンに伸び縮みしているのが見て取れますよね。 これは明らかにロック(固定)されていません。

また、FrフォークはMotoGPスペシャルではあるものの、全チーム同じようなスペックをオーリンズが供給しています。 細かなダンピング仕様は異なりますが、基本骨格は数種類から選んで使用します。

Ducatiにだけ特別なロック機構を持たせたサスを供給する事はないので、もしDucatiがロックデバイスがあるとするなら、他チーム&他メーカーも使用できる事になります。

 

理由2. ロストモーション機構らしきブツが見える

DUCATI ホールショットデバイス

トップブリッジの操作用レバー(つまみ)は、Frブレーキリザーブタンク下にあるデバイスに繋がっています。

そのデバイスから更にケーブルが伸びており、接続部には遊び調整用ネジが確認できます。

この事から、ロストモーション機構を介して、アクチュエーターを作動させている事は間違いないでしょう。 更に言えばケーブル遊びの調整が必要なほどシビアであるとも言えますね。

2019/03/31追記
上記写真で「ロストモーション機構」と示した部品は「スロットルアクチュエータ」である可能性が非常に高い事が分かりました。 スロットルからケーブルを介してアクチュエータを物理的に作動させます。

このアクチュエーターにポジションセンサー等があり、ライダーのスロットル開度を電気信号に変換。→開度データをECUへ送り、ECUが適切な信号を出力→ スロットルボディのバルブ開度をコントロールする。

 

 

理由3. 機械式デバイスはレギュレーションOK

油圧を使用したアクチュエーターはレギュレーション違反となりますが、バネ反力を用いるデバイスはOKです。

この場合、ロストモーション機構の中にバネがあり、Rrリンク等の位置が作動条件に入るとバネの力でピンが押され、リンク機構の動きをロックするとしたら、レギュレーション的にはOKとなります。

 

理由4. ワイヤーケーブルで操作している

DUCATI ホールショットデバイス

ライダーが操作するレバーからケーブルガイドが確認できます。 これで電気制御ではない事がハッキリわかります。 ケーブルで「何か」を操作している事は間違いありません。

 

理由5. DUCATI社内で開発を完結できる

サスペンションに対して何かアクションを起こす場合は、動作保証を取っているオーリンズ社の影響を避ける事ができません。 一社の為だけに新たなデバイスを設ける事は設計を一からやり直し、保証テストまで行わなければなりません。

た・ぶ・ん 面倒くさがってやってないと思いますww

それにサスに対してデバイスを設けた場合はもちろん、HONDA、YAMAHA、SUZUKIもだまっちゃいません。 「オレにも使わせろ!」と絶対なります。

しかもオーリンズ社にとっても自社の技術力をアピール出来る絶好のチャンスなので、全チームに供給するでしょう。

この事からもサス本体に何か機構を加える事は、非常に考えにくいのです。

リンク機構や、フレーム、スイングアームなどであれば、DUCATI社のみで開発完了させる事が可能です。


理由6. リア車高が完全に下がっている

↑画像は第2戦アルゼンチンGP、FP2走行後のスタート練習の映像です。

開幕戦の時は車高が下がった? 変化なし? と微妙な状態でしたが、第2戦のアルゼンチンではもう完璧な程にRr車高が下がっていますね!!

やっぱり操作レバーを回した後、戻しているように見えます。 戻していたとするとやはりロストモーションが効いている事になります。

また、ジャック・ミラーが停止する瞬間のRrタイヤとシートカウルの距離が、”若干”伸び縮しているように見えませんか?? (目の錯覚??) もしそうだとするとモトクロスマシンに使われるようなロック機構ではないのかもしれません。

モトクロスバイクと同じ方式であれば、ロック掛けた後にサスが縮むとピンが外れてRrサスが伸びてしまうのです。 Andyの想像を遥か上を行くアイディアが隠されているのか・・・

増々興味が湧いてきますネ!!  また新たな情報が判明したら追記します。

このケーブルで操作する可能性のあるデバイスは?

Andyが考えるにおそらくこのどちらかではないかな〜と思います。

可能性1. Rrリンク機構

バイクはスロットルを開けると、アンチスクワット作用によってRrサスが伸びます。 Rrサスが伸びると重心(GC)が高くなるのでウィリー限界が下がります。

ウィリー限界が下がると最大加速Gが小さくなり、高い加速力を得る事ができません。

もし、ホールショットデバイスでRrリンクをサス伸び方向で固定(縮んだ状態で固定)できれば、加速Gが若干高まり有利に加速する事が可能になります。

モトクロスレースの世界では一般的に普及したデバイスです。

このロックピンを入れる動作を動画中ではメカニックが行っていますが、ロストモーション機構内のスプリング反力で行う事も可能です。

アルゼンチンGPの最新映像を見てもやはり↑のようなデバイスが装備されていると考えられます。 しかし異なる点は

 

可能性2. スイングアームとフレームを固定

スイングアームとシートカウルの距離が離れない方向に、トグルクランプのような機構を設けてロックする。

ロックしている間は加速中も重心高さが高くならず、加速Gが減少しない。

リンクをロックするのか? それともスイングアームをロックするのか? の違いで、どちらも目的は加速中に重心高をキープする(高くしない)事です。

 

可能性3. Rrサスのコンプレッション側オイル油路を一時的に締める

技術的には可能ですが、オーリンズがOKと言わないような気がします。

もし一時的にコンプレッション側の油路を一時的に閉じてしまえばサスペンションはストロークしません。 狙いの位置で固定できればサスが動かずウィリー限界が低くならずアドバンテージを得る事が可能です。

可能性はあるけど、自分がオーリンズ社エンジニアだったらNOと言いたくなりますww  もしやるとなれば台上試験からスタートしてFTAの潰し込み、直線テスト、実走テストと多くのプロセスが必要になります。

DUCATI一社の為だけにやるかなぁ〜。。。 大いに疑問。  特にブレンボ、マルケ、オーリンズは昔から特定のスペシャルな仕様を作る事がキライで有名ww

※2019/03/31追記
アルゼンチンGPのビデオを見てクッションユニットの油路を締めている事はあり得ないと判断します。 油路と閉じても車高ダウンの状態をキープする事はできません。

 

 

ドビチオーゾの映像は腑に落ちない

この映像を見ると、コントロールレバーを時計方向に約1周回転したあと、ライダー自らレバーを戻している(逆回転)させているのが分かります。

ロストモーション機構が入っているなら、一回こっきりなので戻す必要もないはずなんだけど・・・。 仮にリンク機構ロックだったとして、ピンを戻すときにはレバーまで戻す必要があるのか・・・。

もう少し詳しい情報が入り次第、内容を更新します!!

因みに・・・ 某UKのレースとMotoGPにおいてFrフォークに装着するホールショットデバイスは既に某メーカーが実戦投入済みです。 Andyもテストコースで使用した事があります。  感想は「あ、俺もホールショット穫れる!」と思いましたねww

Andy

 

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