こんにちは!MOTO-ACE-BLOGERの@Andyです。
先日、ひょんなところでリアホイールを外すシーンを見かけました。 中級者くらいの方でしたがRrホイールの脱着にかなり苦労していました。
レースをやっていると、直ぐにタイヤが亡くなってしまいますのでタイヤ交換&ホイール脱着は朝飯前!! と言えるくらいになりました。 その方によるとFrタイヤは苦労しないが、Rrタイヤは重いしカラーは外れるしチェーンも付けなきゃいけないしでと〜〜〜っても苦労している!! しかも毎回!! と伺いました。
コツを掴めばむしろRrホイールの脱着の方がFrよりも早くできるようになります。 そんな事で今回はRrホイールの脱着方法について簡単にできるコツをシェアしたいと思います。 ちなみにこの方法、CBR1000RR、CBR600RR、CB400SFなどHonda車で多く採用されている上にキャリパーがマウントされているタイプなら使う事のできる裏技です。
文章では細かなニュアンスが伝わり難いので最後に動画も作りました。こちらと併せてご覧ください。
記事の目次
1. リアホイール脱着の裏技が使える車種
このタイプのHonda系車種ならほとんど使えます。 一部トルクロッドを使用したキャリパ下置きマウントモデルもありますがコツさえわかれば大丈夫。
2. リアタイヤ交換が上手くいかない原因とは??
そう言えば昔SUGO選手権をST600で走っていた頃、同じピットになった大学生チームのメンバーがレインタイヤに交換できず、四苦八苦していた事を思い出しました。 Andyをサポートしてくれていたメカは何を隠そうあのHRCのメカですから(同期で今も親友)親切に教えていましした。
そして迎えた決勝は大雨!! しかもタイヤ交換の方法を知らなかった大学生ライダーに負けると言うなんとも情けない結果。。。 Kメカの残念そうな顔が今でも忘れませんww 話が脱線してしまいました。。
・チェーンが嵌められない&嵌めにくい。
・アクスルシャフトが抜けない。
・アクスルシャフトが入らない。
・タイヤが重くてプルプルしている隙にカラーが落ちる。
だいたいこの中のどれかが上手くいかず、作業が進まない!! と言う事態に陥ってしまいます。
こうならないために、車体を上手く使って簡単に作業できるのでご安心を!!
3. リヤホールの部品名称
タイヤ交換する時にはダンパラバーを外すので、左側のドリブンフランジが正しく装着されていない(奥までハマっていない)事が多く、装着に失敗する大きな要因になり易い部品です。
4. 作業前にメンテナンススタンド高さを合わせる
J-tripのスタンドを使用しています。(購入して約15年経ちましたが、壊れる気配すらない!!)CBR系17インチタイヤであれば、最も下段の位置を使用します。もしタイヤが地面と当たるようであれば、当たらない最も低い位置になるようスタンド高さを調整してください。
他がキチンと整備できていれば、必要な工具は32mmのレンチ1本と、Tレンチ1本だけです。
5. タイヤ脱着(交換)の映像
細かなニュアンスがより伝わると思い、Movieを作りました。併せてご覧いただくとより理解が深まります。
編集のクオリティはノークレームでおなしゃす!! m(__)m
6. リヤホイール(タイヤ)の外し方
先ずはメンテスタンドをセットします。 次にアクスルナットを緩めます。 →
手順1. アクスルナットを緩める
先ずはアクスルナットを緩めます。 特に何も難しい事はありません。 「の」の字を書く逆方向(反時計回り)にナットを回していきます。
この時、完全にナットを取り外してからプラハンでコンコンと叩いても良いのですが、ナットを2回転緩める毎に手のひらでアクスルをたたくように押し込むと、ネジが回転した隙間分だけ抜く事ができます。
ナットを完全に取った状態で手のひらを使うとシャフトんネジ部が手のひらに喰い込んで痛いのですが、ナットがあれば面積が広いので痛くありません。(完全固着状態はプラハンが必要)
アクスルシャフトに対して掌底を打つようなイメージです。もちろんプラハンで軽く叩いてもOK。サーキットの現場ではほとんど使いません。 ※詳細は動画をご覧ください。
手順2. アクスルシャフトを抜く
右側のアクスルブロックとシャフトがツライチになったら、左手で飛び出ているアクスルシャフトを掴み、「グリグリ」しながら抜いていきます。
この時、なにもしないとリアホイールが左向きに傾きます!! シャフトが少しづつ抜けてスイングアーム右側から離れると、タイヤはドライブチェーンに引っ張られて前に行こうとします。
しかしシャフトは完全に抜けきっていませんから、まだシャフトの抜けていないスイングアーム左側は前に行けません。
よって、左側は規制、右側は前に向かう。 → 結果Rrホイールが車体上から見ると反時計方向に回転しようとする力が生まれます。
そのままではアクスルシャフトがスイングアーム左側アクスルブロックと強くこすれてしまい、左手一本の力では抜けません。
ここですべきは、タイヤの正しい位置を右手&右足を使ってキープする事です。これができていればアクスルシャフトは"スルスル"っと抜けます。
手順3. チェーンをスプロケットから外す
アクスルシャフトが抜けたら、次にドライブチェーンをリアスプロケットから外します。
シャフトが抜けると同時にタイヤを地面に着地させ、進行方向へタイヤを転がします。(スイングアームに当たるまで前に)
するとチェンが"ダルンダルン"にタルむので、チェーンだけを後ろ方向へ引っ張るとサクっと外せます。(8耐のタイヤ交換のイメージ)
ホイールをスイングアームに当たるまで転がします。 すると簡単にチェーンが外れます。
手順4. リアホイールを取り外す
チェーンを外したら、Rrホイールを反時計回りに回転しながら抜くとホイールが外れます。もしホイールやリアキャリパへの傷つきが心配なら、キャリパボディに程粘着テープや布を被せると傷つき防止になります。
最も、ある程度慣れた方が慎重に作業すれば、養生しなくても傷つく事はありません。
このようにRrホイールの取り外し作業は、32mmのレンチ一本で可能です。
7. リヤホイールを装着する方法
脱着は比較的簡単ですが、ホイールを装着する時は時間が掛かります。 最も難しいのは「Rrホイールサイドカラーを落とさない」事と「アクスルシャフトを入れる」事で、皆さん苦労しているポイントだと思います。
実はこの作業の時に、一番最初に調整したリヤメンテナンススタンドの高さがとても重要になります。
手順1. リヤホイールハブダンパーをしっかりハメる
まず初心者の方はここでつまずいてしまいます。 ハブダンパは走行距離が増えるとダンパラバーの容積が減ってスポスポとハマります。 しかし新車に近いような状態、ダンパラバーを新品に変えた状態ではゴム容積が最大なのでドリブンフランジがハマりません。
そして大事な事がもう一つ!!
ダンパラバーを装着する時、ホイールを斜めにセットするとダンパラバーの位置が重力に従ってホイール中心に寄ってしまい、ドリブンフランジがハマりません。 ダンパラバーを正しい位置にセットする為にも、ホイール斜め置きは避けた方が無難です。
ホイールサイドカラーを外せば、タイヤを水平な面に置いてもRrブレーキディスクが地面と接触する事はありません。
ダンパラバーをセットしたら、体重を乗せてドリブンフランジを嵌めます。 最後にゲンコツ若しくはプラハンでサイドカラーを軽く叩き、「コンコン!!」と甲高い音がしたらしっかり嵌った証拠です。
嵌っていない場合、「ゴッ!ゴッ!」といった跳ね返りのない音がします。
手順2. Rrホイールをスイングアームに収める
この作業が最も難しいと思います。 最近発売されているJ-tripのリアスタンドは、購入時の高さは最も低い位置になっている物がほとんでです。 誰かから譲り受けたスタンドや、ヤフオクなどで購入した場合は、リアスタンドを最も低い位置にセットしてください。
外し方手順. 4の時とは逆に、ホイールを斜めに挿入しながら、時計方向に回転させスイングアームへセットします。この時リヤスプロケットをスイングアームなどにヒットさせてしまうと、ドリブンフランジが外れたり、飛び出して幅が広くなったりしてスイングアームに入らない状態になってしまいます。
そうならない為にも慎重に慎重にゆっくりと落ち着いて作業すれば必ず入ります。
手順3. ブレーキディスクをパッドに入れる
スイングアームに治ったら、リヤブレーキディスクをパッドの中へ納めます。
この時、スタンド高さが適正なので、タイヤを地面の上で転がすだけでDiskをパッドへ収める事ができます。(重さを支えなくて良い)
パッドにディスクが入ったら前に転がす
タイヤを真っ直ぐにして車体前へ転がすと、ホイールサイドカラーとドリブンフランジサイドカラーがスイングアームのエンドピースの内側へすっぽり収まります。
この状態まで来たら80%勝利したようなモンです!! もうこっちの勝ち♪♪( ^ω^ )
アクスルシャフトを挿入する時にはRrホイールを持ち上げるしかなく、重たいホイールを持ち上げると手がプルプル震えてしまいます。→ サイドカラーがブラケットなどと接触&脱落 → 結果イライラする。。。 事になるので、リアスタンド高さはとても重要なんです!!
手順4. ドライブチェーンを装着する
ディスクが入り、サイドカラーもスイングアーム内に収まれば、もう怖いもの無し!! ホイールを当たるまで前に転がしてチェーンを嵌めます。
取り外し手順3. の逆を行います。
手順5. アクスルシャフトを通す
チェーンが掛かったら、約1〜2cmほどホイールを持ち上げてアクスルシャフトを通します。
この時、左側のアクスルブロックはシャフトの左端に寄せた状態にし、先ずシャフトだけを通します。
先にアクスルブロックを置いた状態にしてしまうと、チェーン調整の正しい位置になるのでドライブチェーンに引っ張られてホイールが斜めを向いてしまい、シャフトが通しづらくなる為です。
リヤキャリパブラケットへアクスルシャフトが通るまでは、アクスルブロックはシャフト左端に寄せてフリーにしておくと、シャフトが通しやすくなります。
シャフト先端が右側スイングアームに出たら、右側のアクスルブロックを仮置きします。
次にタイヤを車体上側からみて反時計回りに力を加え、左側アクスルブロックが入るスペースを作り、軽く入れてあげます。
これで装着は完了!!
手順6. アクスルナットを締め付ける
ドリブンスプロケットとチェーンの間に8mmのTレンチの柄の部分を入れて、リヤホイールを逆回転させます。
この事でタイヤがチェーンに引っ張られて前側へより、駆動力が掛かる方向へ各部クリアランスを"0"にします。
その状態を保ったまま、アクスルナットを規定トルクの113N.m(11.5k)で締め付けます。
8. HRCプロメカニックおすすめのSNAP-ON SN4B
この動画で使用しているSNAP-ON 1/2” スピーダ SN4BはHRCでも使われているとても便利な工具です。
大きなトルクを掛けて締め付けるアクスルシャフトを何度も脱着するメカニックにオススメです。(多分2018年のワークスピットを見ると、マシン横にバットと共に置いてある)
1本で緩め&締付けができて、クランク形状になっているので方向を変えて素早くシャフトを回転させる事ができます。
ラチェットハンドルの場合、初期の緩め動作や本締めの時にはいいですが、リーチが長いのでラチェットを効かせて緩めていたのでは日が暮れてしまいます。
今後も長くレースを続ける、或いはしょっちゅうタイヤ交換する方にはオススメのツールです。 逆に年数回しか外さないよ! と言う方には投資額が大きいのでオススメしません。
トルクレンチは東日(Tonichi)がオススメ!! Andyも実際に愛用しているモデルです。
9. ホイールの外し方の動画
MOTO-ACE-VLOGとしてYouTubeチャンネルでもアップしていますので、お手すきの際はこちらも合わせて見ていただくと更に理解が深まると思います。
是非チャンネル登録をよろしくお願いします(๑•̀ㅂ•́)و✧
10. まとめ
スタンドの高さが合っていない(高すぎる)場合はとにかくサイドカラーがポロポロと落下しまくって全然上手く行きません。自分も高校生の頃、タイヤ代が捻出できず、自分で外そうとしましたが、モンキーで無理矢理TRYしてナメまくってしまい、結果高くついた経験もありますww
もし初心者がサンデーメカニックとしてTRYする場合は、ベテランや経験者と一緒に整備する事を強くオススメします。わからず一人でやって思わぬ部品を壊すよりも、ベテランに見てもらってお礼にランチをご馳走する方が間違いなく安上がりで安全です。
いつもタイヤ装着する時に上手くいかなくて困っているライダーのお役に立てたら嬉しいです☆
不明な点があれば、コメント欄に気軽にご質問ください。
まだまだ冷えゴケする気温ですので週末はお気をつけて!!
Let's Fun! Ride! Run!
Andy