2007年は現地戦闘力解析要因(仕事)、2008年はHONDAワークス(仕事)、2009年〜18年は明和レーシング(ライダー)として8耐を現地で参戦。2019は名古屋の自宅からTV観戦することにしました。(悔しくて現地行けないww)
自宅で困難を極めたのがトイレのタイミング。 LIVEなので熱いバトル展開中は行けん! 最初から最後まで本当にスゴイレースであった事は間違いありません。
こんにちは! @ANDYです。
もう誰もが知るほどスゴイ事が最後に起きましたね。 42回大会は間違いなく語り継がれるレースだったと言って過言ではないでしょう。
そして様々な意見も飛び交いました。 その事はまた後日別記事にするとして、今回はピットワークタイムを眺めてみようと思います。
*ピットワークタイムはTVで放送していた情報が元です。
記事の目次
ワークスチームのピットワーク映像の比較
各社のワークスチームの映像を観察してみます。
#33HRC
- Frスタンドがワークスで唯一串刺しタイプ
- Frタイヤは投げても受けられる(ウケが倒れてもOKな仕組み)
- ストップボードはライダーにとって停止位置が分かりやすい
- Rrタイヤのにキャッチャーは左側に配置
#21 YAMAHA
- Frスタンドはボトムアップ型
- Rrタイヤのキャッチャーは右側配置
- ストップボード無し
#10 Kawasaki
現在作成中・・・
Frスタンドはボトムアップ型ですね・・・。 Kawasakiの映像が見つからん!!泣
#12 ヨシムラ
- Frスタンドはボトムアップ型
- Rrタイヤのキャッチャーは右側に配置
- ストップボード無し
8耐2019ピットワークタイムの集計結果
Pit work time result 2019Kawasakiのピットワークタイムは情報がなくラスト2回しかありません。
#33Hondaのチームを例に詳細に分析してみます。
結論としては
- 全チーム中、最速ピットタイムであった。
- 平均13秒台へ入れられるポテンシャル有
(3回目、チェーンホルダからチェーンの脱落が無ければ平均14.27→13.73秒であった) - Frアクスル、Frタイヤ担当どうしが作業終了後に毎回接触(タイムに影響なし)
ピットイン1回のでロスタイム
- ピットワーク=14.27秒
- ピットレーン=28.44秒
- アウトラップ=42.71+α
HRCが一回ピットに入ると42.71秒を必ずロスします。 さらにアウトラップはタイヤの温度が適正でなくペースダウンしますから、その分もロスしてしまいます。
計算式は下記の通り
ピットワークの合計タイムが4分59秒ですから、7回で割ります。
4分59秒 = 299秒(4×60+59)
299秒 ÷ 7回 =42.71秒
つまりピットに一回入ると合計42.71秒をコース外でロスする事になります。
これをさらに分解すると
「ピットワークタイム」+「ピットレーン通過タイム」=合計ロスタイムとなります。
ピットワーク平均タイムは14.27秒
合計ロスタイムは42.71秒
ピットレーン通過タイムは42.71 – 14.27 = 28.44
ピットレーン通過タイムが正しいのか検証してみた
ピットレーン28.44秒のロスは距離にするとどうなるのか?
速度制限は60㎞。 秒速に直すと16.66m/s (60÷3.6)
16.66秒×28.44秒=473mとなりました。
473mをピット出口を基準に考えるとこうなります。↓
これは実際に速度制限が掛かっているゾーンよりも、かなり短い距離になっています。 やはり真のロスタイムは各チームがもっているラップタイムとトータルタイムから逆算する方法でないと正確とは言えませんね。
こちらがピットレーン速度制限ゾーン。 約700mほどあります。 かりに時速60㎞で走行すると42秒ほど掛かる計算です。
FIMが発表しているpit timeはどこ~どこを計測しているのか? 気になるところです。
ピットイン時刻から見るHRCの戦略を予測
まずはピットタイミング(時刻)を確認します。
- 12:46 (1時間16分走行 ※セフティーカー有)
- 13:50 (1時間4分走行)
- 14:55 (1時間5分走行)
- 15:53 (1時間2分走行)
- 16:57 (1時間4分走行)
- 17:58 (1時間1分走行)
- 18:44 (0時間47分走行)
これを見ると、ラスト高橋選手が連続で乗るまでの間に、30分のマージンを稼ぎたかったことが伺えます。
セフティーカーが出た事と燃費走行でファーストスティントで15分、2~6thスティントで合計16分の合わせて32分。
こうすると、7回目のピットでライダー交代しない場合は90分の走行になります。
90分を最も速く走るには、タイヤは45分(90÷2)で交換する事以外にありません。
そして45分が経った18時44分にタクミ選手がピットに入りタイヤ交換&ガス補給し、再びコースインしていきました。
自分の予想としては、7回目のピットタイミングをできる限り遅らせてエースのタクミを長く走らせる。 ガス欠ランプが点灯したところでピットに入りブラドルへライダーチェンジ。
と思ってたんですよ。
HRCはとことんタクミを引っ張りまくってブラドルの最終スティントの時間を短くしたい。#8耐2019
— ANDY (@ANDY_MOTO_ACE) July 28, 2019
そしたら!なんと!
まさかの連続走行!
んん⁉️
33号車ピットタイミング早くね⁉️⁉️
19時まではひっぱれるのに‼️
— ANDY (@ANDY_MOTO_ACE) July 28, 2019
タクミ頑張れ〜!!!!!
キツイのは間違いない!!!!!
ワークスの意地!!!!!
ジョニーとガチンコ勝負だ!!!!!#8耐2019
— ANDY (@ANDY_MOTO_ACE) July 28, 2019
最初の1時間、トップグループの中でも、特にタクミの乗る#33のペースがスローでした。 今年鈴鹿でレコードを出し連戦連勝のタクミが前に出れないハズは無いっしょ!! 一体何するつもり?? と思っていました。
タクミは全くトップ走る気ないなww
どんな戦略だろう?#8耐2019
— ANDY (@ANDY_MOTO_ACE) July 28, 2019
そこで頭をよぎったのは6回ピット!
もしかして6回ピットもあり得る⁉️
(通常は1時間交代の7回ピット)
6回ピットで終えるには1ライダー1時間10分を連続走行しなければならなくなる。
次のピットタイミングで読めるか⁈#8耐2019 https://t.co/RDUzU6I2qM
— ANDY (@ANDY_MOTO_ACE) July 28, 2019
結果から言えば、HRC#33号車はスタート前から最後のタクミの連続走行を予定していたと思います。
裏を返せば、ブラドル、キヨナリのペースが遅い事を承知でタクミが全てをカバーする戦略ですね。 (ペースを上げられなかったキヨは当初から乗る予定は無かった)
3名のアベレージタイムを最も速くなるように導き出された答えが「タクミ×ブラドルペアで、タクミの連続走行」だったと考えられます。
ライバルの#21Yamaha、#10KRTは強烈に速いマシン&ライダーが揃っていますから、HRCとしても一切妥協できない状況だった事でしょう。
レース前のANDY個人の見解としては、KRTのAveが最も速いと思っていました。
ライダー3名のアベで最も早いのはKawasakiワークス。
特にハスラムは遅い相方だと、もう一回俺が乗る‼️
とか言ってライダーチェンジしなかったこともあるくらいガッツがすごい。
タイヤはBSでイコールだから読みきれん。
トップ目指すチームはワンミスで大きく流れが変わる。
— ANDY (@ANDY_MOTO_ACE) July 28, 2019
そして、ライダーチェンジする毎にトップが入れ替わる、本当に激しいトップ争いが長く続いた事は皆さんもご存じの通り。 まさにスプリント耐久の名に相応しいレースだったと強く思います。
そしてタクミは最後のピットアウト後の走行でペースを維持できず、3位に沈みました。
通常2ライダーで8時間を走る場合は1人合計4時間の走行です。 しかし今回のタクミは1人で5時間、ブラドル3時間の配分です。
特に体力的に一番キツい最後を90分に渡ってペースを維持する事は不可能でしょう。 最もそれまでに他が脱落してリードを築いていれば違ったと思いますが、最後まで続いたワールドチャンピオンとのガチンコバトルでは勝ち目がありません。
自分も遅いながら1時間の連続走行のキツさは分かります。 絶対キツイ。 それでも尚走り続けたタクミは本当にスゴイとしか言えないし、ワークスの看板背負ったプライドを感じます。
ライダーチェンジせず再びマシンに跨った時には思わず泣きそうになりました。。。
そのプライドと速さはワールドチャンピオンのジョニーから「地獄のようにしんどいレースだった」とのコメントを見ても認めているような気がします。
HRCの置かれた状況の中で、ピットワークは最速、ライダー戦略もベストを尽くしたと言えるんじゃないかな?
HRCの敗因は「速いアベレージのライダーを揃えられなかったこと。」責任区は上層部だな。
とは言え、今はMotoGPライダーが乗る事はなく、限られたパイを奪い合う状況なので難しい事も事実ですし簡単じゃありませんが・・。
またHRCのライダーをオーディションによって選ぶ事も見直しが必要かもしれません。
サッカー日本代表の元監督の岡田さんの勝負哲学と言う本に書かれていますが、世界最強のスタープレーヤーだけを集めて試合しても全く勝てない。勝つには個の技術を集結し、論理に基づいた戦略が必須と。
KRTのライダーは昨年と同じ。Yamahaも同じ。Hondaは違う。 ロッシが初めて8耐を走った時にはヘアピンで転倒したし、昨年はジョニーが転倒。
まぁ初めてのペアで優勝しているチームももちろん過去たくさんあるんだけど、チームワーク、モチベーションなどを考えるとある程度ライダーも絞っておきたいところですね~。
各社のワークスチームがライダーマッチングに対しリードする中、毎年ライダーペアが変わるHRCはメリットが少ない(無い?)と言わざるを得ません。
仮にマルケスを連れてきたとしても、マルケスセッティングになって今度はタクミのペースが上がらないし、マルケスはタクミに絶対負ける訳には行かないしで、同じチーム同士で張り合ってしまい転倒・・・ ってパターンは昔から続いているワークスあるある。
そしてブラドルも慣れたのか、3回目の走行では7秒台を出すなどかなりペースも良くなってたから、まだアベレージ上げられる可能性は十分にあると思うんですよ。
なにはともあれ、KAWASAKI RACING TEAMの皆さん、本当におめでとうございます!!!! 本当に速かった!!
また来年もよろしくお願いいたします(*’▽’)
Let’s Fun! Ride! Run!
Andy