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プロ向けオススメ工具4選!!|時短工具で利益と回転率アップを図る

こんにちは!MOTO-ACE-BLOGERの@Andyです。

先日の「リアタイヤ交換が3分でできる方法」をアップしたところ、あの工具はなんだ!!教えてくれ!!とのご依頼を頂いたので、プロ御用達の便利工具を紹介します。

プロメカニックは技術料を売っている訳ですが、同じ作業なら短時間で出来た方が単価が上がる訳ですよね。言葉を変えれば儲かる訳です。 ですからプロメカニックの面々は皆さん作業が速い!!

でもちょっと勘違いして欲しくないポイントがあります。それは「工具や道具を使うスピードが速い訳ではない!!」と言う事です。

例えば、”電動ドリル”でパーツに穴開け作業がある場合。→ほとんどの方のイメージは「ドリルの回転数を上げて(ドリルを速く回転させる)穴を空ける時間を短縮する」と思いがちです。

が、実はコレ大きな間違いでプロだからといって工具や道具を使う速さは変わりません。(多少はやいけど)プロはドリルで穴を空ける前に、”使うドリルの刃が切れるかどうか見極めている”事が大きな違いです。

初心者はドリルをグリグリと工作物に当ててから「アレ?切れない・・・。」となり対応を考えます。

プロは刃の選定が的確で確実です。なのでドリルを使う時には確実に穴が開くのでムダな時間が掛かりません。 更に材質に適した刃の材質を選定しているので、「同じ道具を使っても穴が開く時間を短縮できる」結果になります。

バイクの整備も全く同じ事が言えて、パッと見では特に凄そうに見えませんw

しかしそこには長年蓄積した時短ノウハウと確認方法の工夫がたくさん詰まっています。 そんな情報を必要とするプロの方達が参考になる情報をシェアしたいと思います。

 

1. プロ御用達のおすすめバイク整備用ツール

AndyがHRCに在籍していた時に使用していた物、普段のサーキット走行で使用している物などを中心に紹介していきます。

 

便利工具1. ホエールチェーンカッター

このチェーンカッターは、MotoGPの現場でも使用されています。 その名の通りドライブチェーンをカットする為の道具です。

この道具の特徴は、ハンマリングでチェーンをカットできる事です。 慣れたメカニックであれば3発のハンマリングでピンを抜き、カットできます。(もしかしたら2回も可能かも?)

よくあるパターンとしては、サンダーでピンの頭を落とす。→ マイナスドライバでプレートグリグリ → チェーンカットのパターンです。

サンダーでカットする場合
サンダーを取り出す

回転刃の締付確認

コンセントを刺す

ピン頭1ヶ所目を削る

ピン頭2ヶ所目を削る

マイナスドライバに持ち替える

プレートをグリグリする

チェーンカット終了!!(約3~5分)
ホエールでカットする場合
ホエールを取り出す

チェーンをセット

ブッ叩く!!(3回)

チェーンカット完了!!(約30秒)

ドライブチェーンを交換する場合は、旧チェーンと新品チェーンの2回のカット作業が必要ですよね。なので掛かる時間は

・サンダーでカット = 6~10分
・ホエールでカット = 1~2分

とこのように大きな時間差となって現れます。プロチームのサーキット走行の場合は、事前にミッションレシオ、ファイナルレシオを合わせ、ホイールベースが変わる様ならチェーンリンク数を合わせて持ち込むののであまり現場ではお目に掛れない作業です。

以前、ワークスマシンの開発に携わっていた時、社内コースでテスト走行した次の日に鈴鹿サーキットで占有テストがありました。

メカニックのO石さんに翌日の鈴鹿に備え「おい!明日のファイナルとコマ数(チェーンリンク数の事)はコレでいいのか!? 変更するなら今やるぞ!?」と提案を受けました。

しかし鈴鹿セッティングで持ち込んでいたので「大丈夫です!! このままイケます!!」と返答し、発送を終えました。

するとなんと!! 翌朝の走行開始10分前になりセッティングの間違いが判明!!(・.・;) (Andyのミス)

O石さんに「すみません!! 自分が勘違いしてました!! ファイナルとコマを変更して下さい!!(@_@;)」と頼んだところ、ド叱られました(当たり前)。

しかしチェーンカット2本&連結1本&ファイナル変更を6分で完了し、2分の余裕をもって終えてくれました(^。^) (O石さん、そのときはありがとうございました)

この時使用していた道具はもちろんホエールチェーンカッターです。 まさしく”秒”でカットできます。

 

バイク屋さんの中で火花をバンバン飛ばすよりも、「サクっと」切った方がお客さんからの信用も得られるし、速く確実にそして安全に作業ができるし良い事だらけです。

サンダーの場合はチェーンを固定しないと危ないのでリアスプロケットの部分でカットします。→キリコは飛ぶしバイク傷つける可能性は高いしで以外にリスクが高いですよね。

なにより道具で時短した分を他の仕事に使って新たな利益を生む事ができます。→最も大きなメリット。 このチェーンカッターを必要とする人はかなり限られたごく一部の方と思いますが、プロにはめちゃくちゃオススメできるツールです。

ホエールチェーンカッターの購入先

残念ながらアマゾンやヤフーショッピングなどメジャーなところにはなく、向上設備の機器で有名なMisumiの通販ショップで購入できます。

バイク用チェーンの520~530サイズの場合、”「No.50S」50単列”を選択すればOKです。
お値段は約7500円

 

 

便利工具2. スナップオン製スピーダー

先日、CBRのリアタイヤ交換の方法と言うブログを上げたところ、質問頂いたのがこのSnap-ON製のスピーダーです。

snap-on製スピーダーSN4B

この工具の最も良いところは、回転動作が速い事に尽きます。バイクのリアアクスルシャフトの締付トルクなら十分耐えうる強度を持っています。

特に実際の現場では、主にアクスルシャフトの緩め&締めを担います。 レース現場ではクイックタイプのホイール脱着仕様になっていて、シャフトに直接ネジ切りが施されています。

緩めた後、向きを変えてシャフトを緩め回転させるとき、このショートストローククランクがとても都合が良いのです。

サーキット現場では走行セッション中、頻繁にタイヤ脱着作業があります。 貴重な走行時間を1秒でも長く有効活用したい訳ですよね。 そんなとき、クランクがショートストロークなので楽に速く回転させる事ができます。

MotoGPマシンは”ナット”タイプなので、本締め&本緩め以外は手でナットを回します。(その方が速いので)

量産バイクは、セルフロックナットになっている事が多く(特にHONDA車。Kwasakiは割ピンが多い)そんな時にも役立つ工具です。

 

 

便利工具3. メリー(室本鉄工) ロングハンドルプラニッパ190mm L-40

このニッパの特徴は、ハンドル部分の角度を浅く&長く作られている事で、主に現場や車載された状態でタイラップを使用する時のタイラップカット用として使います。(Andyも現在愛用中)

部品の小組などで使う時のタイラップニッパは小型の物が使いやすいですよね。 でも車体に搭載した状態でハーネスを縛る時など、ニッパの長さが長い方が使いやすい事がほとんどです。

HRCでは、メカニックの怪我防止の為「タイラップカットはツライチ」がルールです。(HRCじゃなくても当たり前)

タイラップの頭を1mm程度残してカットすると、切れ端に手が接触するとスパッと簡単に切れてしまい、現場で血まみれになるんですよ。 この辺を実力のある人が見ればメカの腕もわかります。

どんなに作業しにくい奥まった場所でも必ずツライチでカットしますから、その為の長いハンドルを持ち、且つハンドル形状がストレートなので場所を取りません。

恐らくプロの方々は様々な種類のニッパを持っていると思いますが、長いハンドルの省スペースニッパは以外にこのMerry以外にないんですよね。(もしあったら是非教えて下さい!!)


しかもハンドル開き方向のバネ付きで、バイクメカニックにはとても重宝します。奥まったタイラップを素早くツライチにカットできるニッパです。

 

便利工具4. ザル

料理の時に使うザルが整備にとっても便利♪♪

ボルト入れ用ザル

これは外したボルト、ナットを入れる為のザルとして使用します。
外したボルト&ナットは必ずこのザルへ入れるルールです。

 

ザルを使って締め忘れを防ぐ

マシンが走り出そうとした時、サーキットならコースインする時にザルの中に何か残っていれば「締め忘れているボルトがある!!」メカニック以外の第三者が気づく事ができます。

お店でもサーキットでも、「二人作業」で整備する事も多いと思います。 もちろん作業スピードは倍になるので速く作業が進みます。

しかしお”互いがネジを締めた”と思い込んでしまうと、一番危険な締め忘れが起こってしまいます。

この締め忘れがどれほどに怖い事か、プロであるほど怖さを良く知っていると思います。

怖い怖い締め忘れ、お見合いを防ぐ為に視覚を利用します。 ボルトを作業台の上に置いたりバットの中に入れたりすると、忘れ物に気付くことができません。

なので「外したボルト&ナットはすべてザルに入れる」と言うルールを作ります。 すると万が一ザルに何か残っていたら「締めていないボルトを見る」事ができますよね。

外したボルトをポケットに入れたらどうなるでしょう?? 入れた本人以外、ミスを発見できるチャンスがありません。 しかし必ずザルに入れておけば、お客さんに渡す前にザルを確認する事で、締め忘れた物があるかどうか、確認するチャンスを生み出せるんです。

バイクや整備を知らない人でも、「ザルに残った物は忘れ物だから発見したら教えてくれ!!」と伝えておけば、更にミスを事前に発見するチャンスが増えますよね!

 

ボルト&ナットをザルで保管するとゴミが付着しない

現場で床にボルトを置いたりすると、砂や異物がネジ部に付着しますよね。 そのまま締めたら軸力が摩擦に喰われて正しい締付ができません。

また、バットの中に入れる場合もバットの中に砂やホコリが溜まります。 またバットの中でコロコロと転がるのも嫌です。

しかしザルは、砂もホコリも通過するので溜まりません。ネジ部をグリスアップしているボルトなど保管場としてザル以上に最適な場所は無いと言っても過言ではありません。

 

ザルを使うメリットのまとめ

ザルを使うメリット
・全てのボルト&ナットを保管する事で締め忘れを発見できる。
・ボルト&ナットが転がらない。
・グリスアップしたボルトに異物が付着しない。
このザルを整備に使う方法は、特にサンデーメカニックに有効です。 と言うのも整備するのは自分しかなく、確認をお願いする人が居ないパターンが多いと思います。(Andyもこのパターン)
しかし、万が一締め忘れに気付けなければ、場合によっては重大な事故に発展する可能性を持っています。 だからこそ締め忘れを可視化できるザルを使う事を強くオススメします。

投資額もバイクパーツに比べたらとてもリーズナブルです。


ザルはフレームのある物が特にオススメです。と言うのも、現場へ何度も往復している間に荷物の中へ押し込まれたり、ちょっと重い物を入れたりした時などに変形が少ないんです。

フレームがないと直ぐに網目がクシャクシャになってしまうので、フレーム入りがおすすめです♪

 

2. おすすめ工具まとめ

やっぱり特にオススメで以外にプロの方もしらないホエールチェーンカッターです。 一度使うと病みつきになってもう元に戻れません!!  その位時短できるツールです。

またザルは投資額が少なく大きな効果を発揮してくれる点においてはコスパ最強です。

整備を生業としている方のお役に立てれば嬉しいです。

Let’s Fun! Ride! Run!
Andy

 

--コメント--
  1. Andyさま
    はじめまして
    気になったことがあったのでコメントさせていただきます。
    こちらのチェーンカッターはチェーンが車体についた状態でも作業できますでしょうか?
    作業効率アップに検討しているのですがハンマーで叩くようなのでチェーン単体での作業だと速そうですがチェーン交換時のカットには使い難いでしょうか。

    • コメントありがとうございます。

      ホエールチェーンカッターはチェーンが車体に装着された状態でも作業可能です。

      但し、ハンマーを振り下ろす場所がチェーンライン下側のAxleとスイングアームPivのセンター辺りになるので、非常に作業しにくいです。

      やはりリアホイールを外した状態でカットするのが一番確実でTotal作業時間は短くなると思います。

      ご参考になれば嬉しいです。 その他にご質問等ありましたらお気軽にコメントください。

      Andy

  2. Andyさま
    はじめまして、いつも楽しく拝見させて頂いております。貴重な情報をいつもありがとうございます。

    今回、cbr1000rr sc59前期の整備についてお伺いしたい事がありまして、書き込みをさせて頂きました。
    先日、フロントフォークのオイル交換を行い、さあ取り付けようとした所、
    トップブリッジ側は、上にあるので問題なくトルクレンチが使用できるのですが、
    下側はどの角度からせめてもトルクレンチが入るスペースが確保できず、
    現在仮止めの状態にしてあり困っております。
    確かsc57の時はハンドルの角度を変えれば使えてた様な気がするのですが、
    sc59でトルクレンチで作業を行う際のコツや、アドバイス等ありましたら是非ご教授の程、
    よろしくお願い致します。m(_ _)m
    現在は仮止めでストップしています。

    • @hirozoさん コメントありがとうございます。

      外してしまった今となっては、カウルが装着された状態でトルクレンチ無しで規定トルクを掛ける事はかなり難しいと言えますね。。

      もう一台同じ車両があれば、ボルト座面が着座したところからのボルト回転角を管理して軸力を揃える方法があります。その為には、規定トルクで締め付けられているボルトを、ボルト着座位置まで緩めた時の回転角を確認しなければなりません。

      もう一台同じ車両で実験する事も難しい場合は、やはりサイドカウルを外してトルクレンチをアクセスできるスペースを確保する事が一番確実です。

      トルクレンチはフレキシブルジョイントを介すると正確な値になりませんので、工具はボルトに対し垂直にアクセスする事が必要です。 

      サイドカウルを外せばダクトは直ぐに外せます。 初めはツメの位置が分からず苦労しますが、反対側はすんなり外れると思います。

      お役に立てる回答ができず申し訳ありません。。

      Andy

      • Andyさま
        早速のご返信感謝いたします。
        やはりサイドカウルを外す必要があるのですね!
        ありがとうございます、めんどくさがらず外してから
        トルクレンチを使用します!

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