こんにちは!MOTO-ACE-BLOGerの@Andyです。(You tubeチャンネル→MOTO-ACE-VLOG)
バイクを購入しようと、ヤフオクやGooバイクを見ていると・・・「リンク廻りオーバーホール済み」とか「足回りフルオーバーホール」、「リンク再グリスアップ済み」なんて書かれたバイクを見る事って多いと思います。 こんなセリフを見ると、自分のバイクは新車で買ってから一度も足回りのメンテナンスしてないな・・・俺の大事なバイクはだいじょうぶなのだろうか・・・(・.・;)
「グリスアップなう!これでサスの動きもバッチリ!」なんてツブやきを見て更に不安・・・ なんてライダーも多いと思います。 そんなライダーへ、必要な知識と情報を得てもらい、不安な気持ちを取り除いて頂けたら嬉しいです。
記事の目次
1. バイクのリンクの構造
リンクと呼ばれている部品がコレです。写真ではモトクロッサーですが、オンロードバイクも同じです。 元々はオフロードマシンでリンク機構が開発され、後にオンロードマシンへも普及していきました。
リンクと呼ばれる三角形の形をした部品が、スイングアーム、リアサス、テンションロッドと言う部品と連結して機能します。
スイングアームとフレームとリアサスの3つを繋ぐ役割からリンクと名付けられました。
この部品を搭載しているマシンは、オフロード&オンロード共に高性能バイクのみです。
部品点数が多くなりコストUPが避けられな事から、性能重視のマシンに搭載されています。 コスト重視のマシンにリンク機構はありません。
2. リンク機構を搭載するメリット
お金を掛けてでも搭載するからには何かしらのメリットがある訳ですが、一体どんなメリットなのでしょうか?
そのメリットは「サスペンションのストロークをプログレッシブな特性にする事ができる」事です。
HRCがリリースしている、CBR1000RRのセットアップマニュアルです。右下のグラフに注目して下さい。横軸がサスペンションのストローク、縦軸がリンクレシオです。 このグラフはこんな事を表しています。
このように、Rrアクスル(タイヤ)が、「浅い位置で沈んだ場合」と「深い位置で沈んだ場合」では、サスペンション側のストローク量が変化します。 この変化があるお陰で我々ライダーはこんなメリットを享受しています。
- 小さなギャプはサスペンションが柔らかく吸収してくれる。
- 大きなギャップは、サスペンションが奥でしっかりと踏ん張ってくれる。
- レシオが変化する事により、サスペンションを小型に設計でてL/O自由度が高い
- サスペンションをエンジン近くにL/Oでき、マスを集中させる事が可能。
- Rrタイヤのストローク量増加に従い、バネ定数が大きくなるような特性を得られる。
詳細を記すと一冊の本が出来上がってしまうのでここでは割愛します。
3. リンク機構の歴史
冒頭、モトクロッサーと言うオフロード競技マシン(一般公道不可)の写真を持ってきましたが、このリンク構造はモトクロスのレース現場から生まれました。 あまり馴染みのない世界ですが、日本でもオフロードレースはかなり盛り上がっています。 何と言ってもこの迫力がヤバい!!!!!!
モトクロスの競技では、昔からジャンプしながら走行するため、着地の時の大きな衝撃を吸収するサスペンションが求められてきました。
しかしリンク機構の無かった時代は、サスペンションを着地の衝撃に耐えうるセッティングにすると、カチンコチンのサスになってしまい、路面の小さな凹凸は一切吸収できませんでした。
その反対に、小さな凹凸を吸収するセッティングにすると、今後はジャンプの着地の衝撃に全く耐えられず底付いてしまい乗れたもんじゃ無かったそうです。
そんな背景から、路面の小さな凹凸はしなやかに吸収し、ジャンプ着地の大きな衝撃にも耐えるサスペンションの性能を両立させたのが、このリンク機構なんです。
4、リンク機構の内部
リンクの「おにぎり」はベアリングになっています。そしてそのほとんどはニードルベアリングと言って、小さな棒が何本も入っており、グリスに守られています。
リンクは、サスペンションのストローク反力を常に受けている為、大きな力が掛かっています。 更に! 接地感や安心感をライダーが感じる為の重量な部品ですので、精密に作られています。
大きな荷重を受け止め、精度の高い動きを約束してくれるスゴイ奴です。
このニードル、中にカラーが入った状態では外に出る事はありませんが、分解すると、ニードルを支えてくれる物は何もありません。 グリスの粘性だけが頼りです。 ここでおかしな事に気付いた方!! 鋭いですね〜。
このニードルベアリングが、コロコロと中で回転するのですが、ベアリングは誰にも支えられていません。 お隣さんのニードルくんと接触してしまします。 もうお気づきですよね!?
そうなんです。ニードルは全く動けなくなり、ベアリングとして機能しません。 ボールベアリングなどはリテーナーがあって、隣り合うタマとは接触しない構造になっています。ん?? ニードルって意味ないじゃん!!
となるのですが、ちゃんとコロがってくれるのです。 その正体は?・・・グリスです。 グリスの油膜がニードルとニードルの間に入り込み、隙間をつくってくれるのです。 そのお陰でベアリングはスムースに回転する事ができます。
だからこそ、この部分の構造と機能を理解しているショップほど、気を使って「リンク周りオーバーホール済み!」と大々的にアピールするのです。
リンクのグリスが切れると、すぐに焼きついて、色が変わるほど高温になります。
グリスが切れてしまうと、すべてのニードルが動けなくなり(動きが渋くなったり)、金属同士が直接こすれ合ってしまうので、一気に磨耗が進み、クリアランスが広がりガタガタになり、全部の部品を交換するハメになるので注意が必要です。
YAMAHAのリンク機構の特徴
グリスを塗布すると、ポリエチレン樹脂の粒子が膨潤(膨らむ)し、隙間にグリスが入り込む。軸受け内にグリスを保持する事で微量給油機構として作用します。
リテーナーの機能も持っている為、性能を維持しながらコスト削減に繋がっているのか? このポリルーブは触るとポロポロと取れますが、取れてもグリスを充填しておけば問題無いので安心してください。
ヤマハのスイングアームベアリングには、リテーナが装備されています。ニードルが動く(コロがる)時は、隣のニードルと接触しません。 グリスが少なくなったとしてもニードルは動ける構造です。(もちろん性能は劣化)
HONDAのベアリング仕様の特徴
対するHONNDA車はリテーナは一切なく、ニードルをびっしり敷き詰めています。ニードルの数が多いほどニードル1本が受ける荷重が小さくなります。
その結果、荷重を受けた時の変形が小さくなり、高い性能(スムースな動き&高いフィンフォメーションを得られる)を発揮できます。
しかし精密部品が多い分コスト高に繋がり、工場の組み立て現場ではニードルが落下しないよう組み立てる為、嫌がられます。 更にニードルが隣り合っている為、グリスの存在が欠かせません。
つまりシールがダメになると、メンテ必須で手間が掛かる!
普段目にする事のない部品ですが、各バイクメーカーに設計思想の違いが現れていて面白いです♪♪
5. リンクの再グリスアップは必要か?
この記事を読んでいる方は、きっとドライブチェーンはメンテ不要(ゴールドだけ)の記事もご覧頂いている物として話を進めます。 チェーンメンテの目的は、シールの保護である事を記しました。
シールが機能していれば中に封入してあるグリスが外に出てくる事はありません。
このリンクも同じように、グリスが出てこないようにシールされています。
そうなんです。このシールが機能している間はグリスが中にとどまっているので、何もする必要はありません。
でも、実際問題としてこのシールは良く切れ、ダメになってしまうのです。 ではなぜシールが良く切れるのか?
それはRrタイヤが自分で巻き上げた砂や小石、砂利などが遠心力で飛ばされリンク周りを常に攻撃しているのです。 リンクは可動しますから、必ずクリアランスが存在します。 走行中、ライダーの足元では自らのマシンが自らのリンクを攻撃し続けているのです。
ちょうど良い大きさの遺物がリンクのシール部に挟まったままリアサスがガシガシ動くと・・・ゴムでできているシールくんはひとたまりもありません。
同じリップ構造のホイールベアリングのシールは滅多に逝きませんが、リンクのシールはもっと早くにダメになってしまいます。 その原因はこんなところにあるのです。
オフロードバイクは泥の中をアクセル満開で走るので、速攻シールが潰れる
オフ車でヘビーな使い方をするライダーならご存知と思いますが、シールは泥の中の走行で直ぐにダメになってしまいます。 それでもリンクにグリスが切れてはいけないので、強制的にグリスを送る事ができる構造になっているモデルがあります。
こんな感じでグリスニップルにホースをワンタッチで接続できます。 あとはハンドポンプでグリスを送り込み、グリスがハミ出てきたらOK。
6. グリス給油タイミングの見分け方
グリス自体の寿命は、10万キロ走ったって何ら問題ありません。 それより先にシールの寿命が来ますから切れたタイミングで、シール交換&新しいグリスを詰め替えで良いと思います。
いつ見分けるのか? それは洗車の時です。 リンクに使用しているグリスは2番を通常使用しています。(性能重視で柔らかい1番の方もいる)
粘性が高いので、ENGオイルのように一気に流れ出る事はありません。 洗車の時、リンク周りをチェックして、水を明らかにはじいていれば、グリスが少しづつ漏れ出しているサインです。
新車の場合は組み付けた際にグリスが若干外に飛び出しますので、そのグリスと混同しないように気をつけなければいけません。
余分なグリスは異物を付着させる原因にもなるので要チェックです。
もし、グリスと疑われる場合は、次回タイヤ交換の時に信頼できるメカニックに点検してもらうと良いでしょう。シールが切れているかどうかは、リンクを分解し目視確認が必要です。
しかもリンクを分解するのに様々な補記類をはずす必要があり工賃も高くなりがちです。(SC59&77はサイレンサー脱着要) 自分で整備するならステップスタンドがないとできずサンデーメカニックには少しハードルが上がる事になります。
この写真のように、おにぎりや、テンションロッドに水をはじく部位がないか? 日頃の洗車で確認するのが簡単な方法です。 もし疑わしい場合は、早めに手を打ち、タイヤ交換と同時に分解点検を行なう事で出費を抑える事に繋がります。
リンク機構のメンテナンスまとめ
- リンクのグリスアップは、シールの寿命次第!! シールが機能していれば10万キロも余裕。(クルマのハブベアリンググリスなんてもっと過酷で20万キロオーバーでも余裕)
- シールの不具合有無の確認は分解しないとできない為、工賃が高くなりがち。(車種による)
- タイヤ交換やスプロケ交換と同時に行えば少しお得になる。
- リンクを分解できる猛者は、グリスを純正の2→1番にするとまた面白い発見があるかも?
- ヘビーオフローダーはリンクのグリスアップは朝飯前w
シールが機能しているのに、何か不安でグリスアップした方が良いのかな〜?? と心配になってるライダーの方は、次回洗車の時に、水のはじき具合や、グリスの漏れを確認してみてください。
明らかな症状がなければ再グリスアップの必要はありませんので、安心して走れます♪♪
グリスアップに疑問のあるライダーのお役に立てれば嬉しいです。
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Let`s Fun! Ride! Run!
Andy