BREMBO STYLEMAキャリパは最高なんだが・・・
マウント構造が気に入らねぇ〜!
どう言う事かと言うと、キャリパーボディ(本体)とボトムブラケットにノック構造が無いから位置決めできない!
その位置決め機能を持たせた、AELA製チタンワッシャーを組み込んだので紹介します。
記事の目次
結論
- A:キャリパ本体の位置決め機能は効果が認められなかった
- B:ボルト座面の回転傷防止効果は高い
結論に至った理由A
「ワッシャの凸部の外径とキャリパボディ側のC面の内径の寸法差」と、「ボルト外径とキャリパ側内径」の寸法差を比較したとき、ボルト外径とキャリパ側内径の方が寸法差が小さく、ワッシャが位置決め機能を発揮できる寸法になっていませんでした。
ガタ量と効果の関係性↓
- ①=ボルトとボディのガタ量
- ②=ワッシャとボディのガタ量
②>①の場合、ワッシャの位置決め効果有り
①<②の場合、ワッシャの位置決め効果無し(ガタが小さくならない)
結論に至った理由B
ノーマル仕様はマウントボルトを締付けた際、ボルトの回転傷がボディ座面に残る。
ワッシャを敷くことで、ボルト座面とワッシャ面で回転する為、キャリパボディに回転傷が付かない。 →サーキット走行など頻繁にタイヤ交換するユーザーは傷付く頻度も多いことから、オススメできる。
キャリパマウント構造の種類
なぜBrembo製STYLEMAキャリパに位置決め構造が欲しいのか? その背景は構造を知ると理解しやすくなります。
1. マウントカラー仕様
- ノック構造でキャリパ位置が決まる
- ボルトガタ寸法がキャリパ取付け位置に影響しない
- ブレーキ反力をボルト+ノックで受ける
- 部品数、加工工数、組立工数多くコスト高
- ディスク径変更が容易
- 軽圧入=カラー〜アクスルホルダ
- 隙間嵌め=カラー〜キャリパボディ
キャリパボディに凹形状、カラーに凸形状が設けられ精度高く位置が決まる構造です。
キャリパボディの位置決め精度が高いので、分解&組立を何度行ってもズレが最小限に抑えられます。
2. マウントカラー無し仕様
- ボルト外径〜ボディ穴径のガタ分だけ、隙間が生まれる
- ↑の隙間分だけキャリパボディの位置がズレる
- カラー不要でコスト減
- メカニックの腕で組立精度が変わる
- ディスク径変更が難しい(小径化は物理的に不可)
今後はこのカラー無し仕様が主流になっていくと考えます。(レース界はディスク径変更と性能優先でノックカラー仕様継続)
もちろん、ガタが生まれる構造であるからといってNGな訳ではありません。
ボルト軸径の公差Min、キャリパのボルト穴径公差Maxの状態で締付けても問題ない事はレイアウト、実機の両方で確認しOKの判断が出ています。
サーキット走るから何度もタイヤ交換するし、毎回精度高く整備したいんだよー!
もちろん、ガタを意識して毎回同じ位置にキャリパがくるように締め付けるのですが・・・ やっぱり位置決め構造になっている方が気分がスッキリする!
AELA製位置決め機能付きワッシャーAT-W0001
そこでこのワッシャの出番! 位置決め機能をワッシャに持たせている仕様です。
・・・どう言うこと??
ワッシャの位置決め機能とは?
このワッシャー、チタン&特殊形状って事で1枚1,125円もする高級品でござる・・
どんな形状かと言うと・・?
↑この突起をキャリパ側に向けて組む事で、キャリパの位置決めをする狙いのアイテムです。
↑キャリパボディ側にあるC面取部に、AELAワッシャの凸部が入る事で、ワッシャの位置が決まります。
↑一般的なワッシャではボルト外径とワッシャ内径の寸法差が大きく、隙間ができます。
↑ボルト外径とワッシャ内径の寸法差が少なく、ボルトに対しワッシャの位置が決まる
寸法
↑座面部の厚みは1.50mm ※公式ページでは1.4mmとの記載
↑凸部を含んだ厚みは1.96mm
重量
※後日計測しUPデートします
キャリパボディのガタ低減効果は?
スタンダード状態
ガタとしてはこの程度です。
実際はほとんどありませんが、ボディが極僅かに「カタカタ・・」と動く状態です。
ガタ量はかなり小く1mm以下です。(手感で0.6mm程度) これなら問題無いと自分も思いますが・・・
AELAワッシャ仕様
全く変わらん・・・
残念ながら、ガタレベルとして分かる程小さくなる事はありませんでした。
ガタゼロを目指すには、下記3つの寸法精度が必要になります。
- ボルト外径〜ボディ穴径の隙間
- ワッシャ〜ボルト隙間
- ワッシャ凸部〜ボディC面部の隙間
この内、ワッシャ凸部とC面部の隙間が大きく、キャリパボディを位置決めするに至っていませんでした。
※純正ボルトではないので、追って検証します
ワッシャ位置決め機能が発揮できる寸法の関係性↓
ボルト外径〜ボディ穴径の隙間 > ワッシャ凸部〜C面部の隙間 = ワッシャの位置決め効果アリ
ワッシャ位置決め機能が発揮できない寸法の関係性↓(今回)
ボルト外径〜ボディ穴径の隙間 < ワッシャ凸部〜C面部の隙間 = ワッシャの位置決め効果ナシ
純正ボルトの軸径によっては逆の結果(効果アリ)になる可能性も十分考えられますので、追って検証し結果を追記します。
傷つき防止機能
純正はワッシャが無いのでボルトを締めた時に回転傷が付いてしまいます。
- グリス塗布=ワッシャ上面
- グリス無し=ワッシャ下面
↑の状態でマウントボルトを締め付けると、ワッシャが回転せずボルトと滑ってくれます。
よってキャリパボディに傷が入らないので、タイヤ交換頻度の高いユーザーはキャリパの座面荒れを防ぐことができるのでオススメです♪♪
AT-W0001をネットショップで見る
※↓Amazon取扱い無し
組み付ける際はワッシャの向きを間違わないよう確認してください。
まとめ
最も期待していた位置決め効果はありませんでしたが、ボディへの傷防止効果も同じくらい欲しい機能なので結果大満足です。
C面取りの形状を使ってノックと同じような位置決め効果を得るには寸法ギリギリを狙って作る必要がありますが、ガタゼロを通り越して凸部が乗り上げてしまうと、今度は走行中に座屈して軸力が抜けてしまい危険です。
製造公差を考慮すると乗り上げる事は絶対NGなので、今の寸法関係が安全上限界まで追い込んだ結果なのかもしれません。
逆にボルト軸径を限界まで追い込んで(大径化)位置決めさせる手法も有りだな〜と思いました。 AELAさんの中にも位置決めしたい! と同じ思いを持った設計者が居ると思うと心強い!
やっぱガタゼロは男のロマンだよね〜