2024年発売のブリヂストンスポーツタイヤ「S23」を鈴鹿サーキットフルコースを走行してきたのでインプレッションを共有したいと思います。
記事の目次
ブリヂストンS23とはどんなタイヤ?
ブリヂストンのスポーツタイヤに分類されます。 スポーツタイヤを知るには、3つのタイヤカテゴリを理解すると分かりやすいです。
- ツーリングタイヤ:ライフが最も長く、ウェット性能が高い
- スポーツタイヤ:ライフとグリップのバランスが最も高い
- ハイグリップタイヤ:ドライグリップ力が最も高い
なので各社スポーツタイヤは、できるだけロングライグ且つできるだけハイグリップに! という相反する性能を高める為にあの手、この手を使って技術開発競争が激しいカテゴリーです。
S23の新技術と3つの進化ポイント
進化1、エッジグリップ力の向上
タイヤの端の部分をエッジと言います。このエッジ部分のコンパウンド(ゴム)をよりグリップ力の高い仕様へ変更し、コーナリング時の安定性向上を狙っています。
具体的にはRS11並みの柔らかいコンパウンドを採用しているとのこと。
進化2、排水性向上
パルスグルーブと言う枝豆に似た形状を溝の内部に設けることで、水の流れが均一化され速度UP。その結果、ウェットグリップが向上するという技術だそうです。
発表された時は「お? すごいなぁ〜」なんて思ったんですが、想像より実物は小さくてビックリ。 高さにして1mm程度に見えます。 シミュレーション上は効果があると思いますが、まだちょっと納得できないですね。
恐らく、水が溝の中を移動するときの表面張力的にまとわりつく状況が、改善されるようなイメージかな? と想像しています。
とりあえずドライ路面での恩恵は無いですね。
元々はT32でデビューした新技術で、ツーリング時のウェット路面では前モデルのS22より安心感アップに寄与していると思います。
進化3、剛性の最適化
- Frタイヤミドルバンク域で接地面積UP
- Frタイヤミドルバンク域で剛性UP
- Rrタイヤミドルバンク域で若干の接地面積UP
- Rrタイヤミドルバンク域で若干の剛性UP
Frタイヤはミドルバンク域の接地面積が増加しています。 それに伴って剛性もUPしていますね。これはサーキットでFrブレーキを残しながら進入するときには接地感がUPして良さそうです。
Rrタイヤの変化は微小で、接地面積は若干UP、それに伴って剛性も若干UPしています。
総じてS22に比べて接地面積UP、剛性UP方向と言えます。
鈴鹿を攻めた結論、S23は最強オーラウンダータイヤ
Rrタイヤのエッジグリップすげぇ〜!
まさに鬼グリップ!!
鈴鹿サーキットフルコースを走って言える事は2つあります。
1つ目は、Rrのエッジグリップが超強力になったこと。 フルバンクしている時間が長い鈴鹿ではその恩恵をとても感じます。 2コーナーの立ち上がりやダンロップ進入でジワジワとスロットルを開けていくとき、「え? 当てる量増やしてるのに全然滑らないんだけど。。。」と思ってしまいました。
2つ目は、安心感が高いこと。 直立状態から寝かした時、ミドルバンクから寝かしたり起こしたりした時などどのバンク角からでも操作荷重が同じで安定しています。 これは高い安心感へとつながる大きなメリットです。
S22もシコたま鈴鹿を走ってきましたが、不満に感じるポイントはありませんでしたが、S23は更に良さが追加されたと言っても過言ではありません。
唯一気になるポイントとしては、エッジ部とミドル域のグリップ差が拡大した事が気になり始めました。
赤囲ったゾーンのエッジ部分は、強力なグリップ力を得られましたが、その分バイクをちょっと起こしたところでスロットルを開け足すと簡単に滑ってしまいます。
S22は、エッジグリップとミドルグリップの差が小さかったので「グリップ差」としては小さかったので気になりませんでした。
対してS23はエッジグリップ上昇に伴いスロットル開度が上昇。 バイクが起きてS22の時と相似形にスロットルを開けたしていくと滑ってしまうのです。
S23 サーキットでガチのグリップ力を検証!💪
あのファイブレイヤードコンパウンドを可視化に成功したのは、世界で唯一わたしだけです😎 pic.twitter.com/q8mf2NoPhb
— ANDY (@ANDY_MOTO_ACE) July 8, 2024
ここで誤解して欲しくないことがあって、それは「グリップ差が悪い」と言っている訳ではありません。 一つの走行結果としてお伝えしています。
そもそもS23はサーキットでタイムを縮める為のタイヤではありません。
ANDYの解としては「サーキットを楽しむ為のタイヤ」であると考えます。 タイムを求めるならR11一択でしょう。
その意味でも、ハイグリップタイヤ並の強力なグリップをエッジ部に装備しているという安心感だけも、思い切ってサーキットを走る事ができます。
またS23はセンターとミドルの堺がよりクッキリしたように思います。S22のインプレではもう少しセンターが柔らかかったような・・・??
タイヤライフはS22比で8%伸びたとのBS公式発表のデータがあるので、コンパウンドの見直しもあったのかな?(それとも厚みを増したのか?)
FrタイヤはRrタイヤほどクッキリではなく、曖昧な感じです。 FrはRrに比べて常時駆動がないく摩耗性に余裕があるので、センターコンパウンドは柔らかめの印象です。
今回は2024千鳥でテストしているのですが、ABSの性能が大きく進化して「ブレーキ握れるなぁ〜」と感じていたのですが、実際にはタイヤトレッド剛性UPが効いていますね。
S23をオススメできるライダー
- 先導付きでサーキット走行をデビューする
- 自走でサーキットを走行する
- ツーリング先のワインディングを楽しみたい
- ウェット、ドライ両方の性能が必要
S23はグリップ、ライフ、ウェットこれら3つの平均点が最も高いタイヤと言えます。
グリップ力がもっと必要ならRS11、ウェット性能とライフが必須ならT32です。
S23はその両方をバランスさせたタイヤと言え、上記4つに当てはまるライダーにはピッタリのタイヤです。
S23をオススメしないライダー
- タイムアップを求めるライダー
- トランポ&タイヤウォーマーを使用する人
- ロングツーリングに頻繁に行く
- タンデム+積載量MAX
明確且つトンがった目的を持っている方はおすすめしません。
タイムや高い運動性能を求めるならハイグリップタイヤ一択です。S23では力不足。
逆にパニアにフル積載して長距離をバンバン走るならウェット性能とライフMAXのT32がベストマッチ。
鈴鹿の走行条件
マシン | CBR1000RR-R 2024YM |
Frタイヤ空気圧 | 250KPa(冷間) |
Rrタイヤ空気圧 | 290KPa(冷間) |
Frタイヤサイズ | 200/55ZR17 |
Rrタイヤサイズ | 120/70ZR17 |
Frタイヤ重量 | 4.44kg (S22→4.38kg) |
Rrタイヤ重量 | 7.38kg (S22→7.20kg) |
気温・湿度・天候 | 34℃・48%・晴れ時々曇り |
日時 | 2024年7月8日 14:30〜15:00 |
走行MODE | MODE1 |
ABS | TRACK |
ファイナル | 16×43 |
ガソリン | 16.5L(満タン) |
↓S23鈴鹿走行1本でまぁまぁブレーキディスクに熱が入りました。 S22✕2020モデルのABS2モードならここまでの熱は入れられなかったと思います。
次は一般道でのワインディングをインプレしていきたいと思います!