自分のバイクはマフラー交換したら音量規制はいくつ? このマフラーは車検に通るの? 音量だけパスすればいいんだっけ? なんか逆車はうるさくてもいいらしい!? バイクの騒音規制は年代とともに変遷しており、わかりやすく纏めましたのでご活用下さい。
こんにちは!MOTO-ACE Blogの@Andyです!
2018年にEUと共通の騒音測定試験方法が適用された関係で、一部車種においては騒音規制値がゆるくなる(爆音化)改正がありました。
通常は厳しくなる規制ばかりなのでより静かに、よりクリーンになるような法改正が普通ですが、今回は年式が新しいバイクの方が爆音! なんて逆転現象が起こっています。
自分のバイクの年式からどの規制値が当てはまるのか? ユーザー車検の時など参考にして下さい。
記事の目次
1. 騒音規制値のまとめ
表にまとめるとこのような形になります。
自分のバイクが何年製のモデルか?(車検証の初度登録年月)を調べて各項目が基準音量値以下であれば、排気騒音検査はOKです。
そしてユーザー車検で検査される項目は「近接排気騒音検査」のみです。
加速走行騒音や定常走行騒音は、検査されません。 この2項目は社外マフラーメーカーさんなどが車検対応のマフラーを販売する際、型式認定が必要になります。
この型式認定試験を受ける時の規制値なので、一般ユーザーが車検で検査される事はありませんのでご承知おきください。
2. 騒音検査の計測条件
各騒音項目の検査条件を抜粋しました。 大まかに”こんな感じね!”と分かってもらえればOK!
また、2018年12月以降はR41と言うEU規格に変更された為、下記条件とは異なります。
条件1. 近接排気騒音検査 *車検時計測
停車状態にて最高出力回転数の75%(最高出力回転数が5000回転以上の場合は50%)の回転数で発生する騒音を排気方向から45度、マフラーエンドから50cm離れた場所にて音量計測。
条件2. 定常走行騒音検査 *車検時計測せず
最高出力の60%の回転数で走行した速度(この速度が50km/hを超える場合は二速または三速50km/h)で発生する騒音を7.5m離れた場所で測定。
*今後、定常走行騒音測定は廃止されます。
条件3. 加速走行騒音検査 *車検時計測せず
定常走行状態からフル加速して10m走行した時点で発生する騒音を7.5m離れた場所から測定します。
計測条件の寸法関連は定常走行騒音と同じです。
*2018年よりこの条件が廃止され、「UN-ECE R41-04」と言うEUの騒音測定規格に統一されます。
3. ユーザー車検で必要な規制値とは
騒音規制はメーカーが型式認定を受ける場合に全ての試験を実施しなければなりません。 これにパスできなければ新車販売ができないのです。
対してユーザー車検で確認される項目はただ1つ「近接排気騒音」です。
この近接排気騒音は年式によって規制値が異なりますので、自分のバイクが”何年に製造されたか?”を確実に把握して下さい。(車検証に記載されています)
規制1. 1985年以前に製造されたバイク
- 音量規制値無し
極端ですが何dbでもOK。
しかし1971年以降に製造されたバイクはメーカーが国土交通省から型式認定を受ける際、定常走行騒音・加速走行騒音の試験をクリアする必要があるので、実際は110dbを超える騒音はないとのこと。
もちろん、継続検査実施の際も、型式認定時の規制値を超える事はNGなのですが、試験する場所及び設備が全国土の車検場にもありません。
よって1985年以前に型式認定を受けたバイクは、ユーザー車検時に音量検査(近接排気騒音)はありません。
規制2. 1986~2000年に製造されたバイク
- 250cc以上 99db以下
継続車検時に近接排気騒音検査を受けます。
音量(正確には音圧)は99db以下でなければなりません。 (250cc以下のバイクは94dbだけど車検無し)
車検を受ける際、パット観がノーマルで静かなマフラーであれば、検査官の判断で音量計測しない事も多々あります。
しかし最近は全台数検査する検査場も多いので何とも言えません。
規制3. 2001年以降に製造されたバイク
- 250cc以上 94db以下
継続車検時に高確率で近接排気騒音検査を受ける事になります。(純正マフラーでも計測される事が増えた)
ほとんどの車輌で、最高出力回転数の50%の回転数にて排気騒音を計測されます。
注意!!
平成11年(1999年)より二輪車排出ガス規制が新たに適用されました。
音量検査基準値を下回る事の他に、社外マフラーの場合は「排ガス検査レポート(ガスレポ)」が必須です。 ガスレポが検査時に無い場合は車検不合格となりますのでご注意ださい!!
- 排ガス規制対象外の車両(平成11年二輪車排出ガス規制前の車両)
- 排ガス規制対象車で、触媒を内蔵していない純正マフラーを交換した場合
- 排ガス規制対象車で、触媒を内蔵している純正マフラーの、 触媒を残してマフラーを交換した場合。(スリップオンタイプ等)
↑の条件に当てはまる場合はガスレポ不要です。
当てはまらない場合はガスレポ必須です!!
音量検査・排ガス検査OKでもガスレポが無い場合は必ず不合格ですのでお間違いなく!!
ポイント
輸入の社外マフラー(アクラ、レオビンチ等)も同じ扱いで、「E」or「e」マークが刻印されていればOKですが、ガスレポが必須です。 条件は↑の①〜③に当てはまる場合、提出は不要です。
また特に注意が必要なのが、ガスレポと車検証両方の「車両型式」と「エンジン型式」が、同一でなければならない事です。。
逆輸入車等では仕向け地違いで「車両型式」が異なる場合が多く、特に注意が必要です。
規制4. 2010年4月以降の社外マフラー
この時から社外マフラーメーカーが型式認定を受ける際、「加速騒音試験」が追加されました。
以前は社外マフラーが認定試験を受ける時は、近接排気騒音のみでした。
2010年4月以後は加速騒音試験にもパスする必要があります。
またこの時から脱着式バッフルもNGとなっています。(ボルト締めNG、溶接OK)
規制5. 2014年4月以降
いよいよ大きな変化を迎えました。
今までは車種に関係なく日本の法律で94db以下! などと規制値を決めていました。 センダボだろうがハヤブサだろうがBMWであろうが関係ありません。
絶対に94db以下でなければなりません。
対して欧州規制のECE R41-04は、加速騒音規制のみを規制しており、定常走行騒音・近接排気騒音は廃止されました。
え!? ちょっと待ってよ!!
近接排気騒音って無くなってないでしょ!!
今でも継続検査を受ける時に、音量計測するじゃん!!
いい質問ですねぇ~!!
「近接排気騒音規制」は間違いなく撤廃されているんですね!
メーカーが国交省から型式認定を受けるには「ECE R41-04」の内容に準拠した加速騒音規制値以内に騒音レベルを抑える必要がある事は理解できますよね?
この規制値をクリアすればOKを貰え、一般公道走行OKのお墨付きがもらえます。
しかし実際、検査場では「近接排気騒音検査」が行われています。
一体どう言う事なのでしょうか?
加速騒音が大きくなると、近接排気騒音も大きくなると言う相関関係が根拠となっています。
CB400SFを例にしてみましょう。
国土交通省から型式認定試験の際、加速騒音をパスしました→ 合格となります。
この合格した時の近接排気騒音を計測します。→ この時の音量(音圧)をCB400SF(2019年モデル)の近接排気騒音規制値と決定します。
何dbでもOKです。
で、車検の時は「合格した時の近接排気騒音」と同じなら、本来検査場で計測したい加速騒音も規制値内に収まってるよね!→ 継続検査合格! となります。
更に嬉しい事に、経年劣化による音量増加も考慮して、+5dbまで認めますよ! って事になりました。
ざっくりまとめるとこんな感じ↓
- 本来は継続検査で、加速騒音検査を行いたい。
- 加速試験実施には、テストコース、静かな場所、テスト条件に沿った操縦が必要であるなど、現実的に実施不可能
- メーカーが加速騒音試験を行い合格したら、その車輌仕様で近接排気騒音を計測する。
- 上記近接排気騒音を、その車種専用の規制値とする(何dbでもOK)
- 車検の時は、車種専用の規制値+5db以内に近接排気騒音が収まっていればOKとする。
つまりメーカーが型式認定を受ける時の音量規制は「加速騒音値」のみです。
ユーザーが継続検査を受ける時の音量規制は「近接排気騒音値」のみです。 近接排気騒音がOKなら、加速騒音規制もOKとみなす! って事ですね。
車種毎に異なる近接排気騒音 規制値
なのでメーカーが型式認定を受ける時、車種ごとに近接排気騒音が異なるので、継続検査の時も車種ごとにOK、NGの音量が異なります。
※イメージ図↓
このような図式になります。
A=B
B=C であるならA=Cが成り立つという関係性です。
では実際の車種に当てはめるとこんなイメージ↓↓
※型式認定を終えた後の近接排気騒音値が79db以下の場合は、全て84dbの規制値となります。
これで車種毎に車検時の近接排気騒音値が異なる事が、ご理解頂けたでしょうか。 もしわかりにくい部分があれば、コメント欄からお気軽にご指摘下さいm(__)m
規制4. 2016年4月以降
平成28年(2016年)4月20日騒音関係の改正の細目告示等が公布・施行されました。 どんな内容かと言うと、
って事になりました。(保安基準不適合の扱い)
今まではと言うと、仮に爆音マフラーを装着していても、ライダー自ら「違法マフラー装着してます」と言わない限りその場で警察官がキップ処理する事ができませんでした。
否認された場合、国交省職員を呼んで現場計測する、警察署または検査場まで当該車輌を持ち込み計測するしかありません。
これでは車検の時だけ静かなマフラーに変えて、車検を通過したらまた爆音マフラーに変えられてしまい、実効性がない! そこで
警察官や白バイに停められ、社外マフラーに変わっている場合は、マフラーの認証プレートや、証明書で「合法マフラーである事を使用者が証明する義務」を負う事になったのです。
仮に本当に音量・排ガスともにOK品だったとしても、証明できなければキップを切られてしまいます。
ここ3年以内に新車で購入したバイクはこの規制が適用されますので、オーナーの方は十分ご注意下さいね!!
JMCA適合のマフラーについては、2010年4月より、後付消音器(社外マフラー)について『性能等確認済表示』を発行しており、後付消音器に対しプレートを付番しています ←証明プレート有でキップは切られません。
リンク→JMCA全国二輪用品連合会ページ
4. バイクの騒音規制まとめ
2014年の欧州との規制統合は日本のバイクメーカーはもちろん、我々ライダーにとってもとても良い事ばかりです。
今までは国内専用モデルと海外モデルの2パターンをメーカーが設定する必要がありました。
SS系では唯一HONDAが国内モデルを設定していましたが、売れば売れただけ赤字の状態が何年も続き、その赤を欧州売上が補填という状態でした。
特に加速騒音を抑える為に大きな要因となる吸気音を抑える必要がありました。 どう対策するかと言うと・・・空気を吸わせない!!ww
だから吸気口やファンネルをガッツリ絞ってパワー出ません仕様・・・。 ただ絞るだけじゃ乗りにくいから国内仕様専用のカムを新規設定・・・ なんて事をやったモデルもありました。
国内で販売される新車台数を考えれば、カムシャフト1本を専用に起こすととんでもない価格アップになります。 でも性能をある意味デチューンしてるのに価格UPさせる訳にもいかず・・・
じゃ国内設定なんて無しにして、逆車を売ればいいじゃん!? ってなりますよね。
逆車の登録はもちろんできるんですが、以前あった国内自主馬力規制をメーカーが堂々と違反する事になります。 もちろん”自主規制”なので破ったところで問題ないんですが・・・
その自主規制が出来た背景は考慮する必要があります。 1980年代(今の団塊世代)のレーサーレプリカブームによって全国の一般道でヒザ摺り合戦が勃発!! 当然死亡事故もうなぎ上り。
政府としては法律で対処しようと考えます。 馬力規制や免許年齢、400cc以上のバイク販売禁止などなど。 それではメーカーも困るので、「こんな方法でメーカーが自ら規制し、事故防止に協力します」と政府と約束します。
その約束を破るのもまた簡単なのですが、AT免許の新設や、高速ETC料金割引など、目立つことの他にも様々な要望を国に対して行っています。
自主規制の約束は破るけど、こっちの要望は聞いてよ! なんて役人に言って通用する訳がないですよねww
そんな政治的背景も大きく影響していたので、長らく「国内仕様」が存在していました。 が昨今世界との競争は激しさを増すばかりで、赤字の国内仕様を設定できなくなってきました。
特に排ガス規制と騒音規制は厳しくなる一方。 もちろん技術的に解決するのは簡単ですが、車両価格もうなぎ上り。
生産台数が多く、開発費がペイできれば問題ありませんが、それもかなわず。 ついに50ccの原付はHONDAがYAMAHAの生産委託を受ける非常事態に・・・。
20年前に60万円だったCB400SFは今、なんと100万円です!!
他にもビッグスクータが一世を風靡した時には都内に爆音が溢れます。 バイク好きなANDYでもマジ迷惑だなと感じるほど。
当然国を動かす国会議員も多数聞く訳で・・・「バイクのマフラー、純正以外禁止法」を制定しろ! って話にも実際なったんです。
何が言いたいかと言うと・・・
今回騒音規制が事実上緩くなった事に乗じて、モラルなく爆音撒き散らすんじゃねーぞ!! って事。
車検オッケーだから文句言われる筋合いね~!! って少数ライダーがやんちゃすると法律でまた縛られてグッドライダーが肩身の狭い思いをするハメに。
純正マフラーでさえ群れたら騒音、フカせば爆音。
せっかく若者がバイク乗るようになってくれて、カワイイ姫ライダーもたくさん増えて、8耐観客動員数も増えつつある中、騒音規制が緩くなった時こそ「勝って兜の尾を締める」時だと思うんですよ。
ウェイウェイチームがレブ珍しまくってTwやインスタストーリに上げたらどうなるか??
誰でも分かるでしょww 規制強化→ 魅力低減→ なのに価格アップ ww これはもう歴史が証明してる!!
関西方面は今でも土日二輪通行禁止の道路がいっぱいありますよね。 一度でも法令・条例で規制されてしまうと撤廃する事は不可能に近い!!
だからこそ今回の規制緩和を喜び、バイクライフを更に楽しくすると同時に、勝ってアゴひも締めて同時にマナーアップ!! これしかねぇ~!!
(オレ良い事言った!!)
とカッコよく締めさせて頂きましたww ユーザー車検の時などお役に立てれば嬉しいです♪
Let's Fun! Ride! Run!
Andy