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新型CBR1000RR-R(SC82)新機構・新技術を解説|エンジン編

新型CBR1000RRRのエンジン、なんか凄いの!? 217.5PSだってよ! DLCコーティングって? カムが逆転なの? でもクランクは正転だって!

こんにちは!@Andyです。

エンジンも12年ぶりに完全新設計となりフルモデルチェンジを果たしました。 公式スペックも公表され最大出力は160kw!! かなりスゴイ数値ですね。

SC59がリリースされ、HRC Kitパーツを組込んだレース仕様のRevが14500rpmでした。 今回はノーマルで14500rpmですから物凄い性能アップ。

一体全体どんな新技術でこの出力アップと耐久性確保を両立しているのか!? 順に解説していきます。

 

1. CBR1000RR-R(SC82)エンジンスペック&トピック

Item CBR1000RR-R SC82 CBR1000RR SC77
ボア×ストローク 81㎜×48.5㎜ 76㎜×55.1㎜
最高出力 160kW/14,500rpm 141kW/13,000rpm
最大トルク 113Nm/12,500rpm 114Nm/11,000rpm
スロットルボア径 φ52㎜ φ48㎜
バルブ径(IN/EX) φ32.5㎜ / φ28.5㎜ SP2 φ31.5㎜ / φ25.5㎜

STD φ30.5㎜ / φ24.0㎜

圧縮比 13.0 : 1 13.0 : 1
バルブ挟角(In/Ex) 9°/ - SP2:10°/ 12°

STD:11°/ 11°

触媒ユニット径 SC77比 直径10mm大径化 -
コンロッド素材 鍛造Ti-64A ※チタン材 鉄材
バルブ駆動 セミカムギヤトレーン カムチェーン
ピストン素材 A2618 (RC213V-Sと同じ) -
カムシャフトコーティング DLC -
バルブ駆動 フィンガーフォロアーロッカーアーム式 リフター式
ウォータージャケット 内蔵ボトムバイパス(新) -
ピストンOilジェット チェックボール有 -

SCB1000RR(SC82)エンジン馬力カーブ

何といってもエンジン出力が141→ 160kwへと実に19kwもの大幅アップがスゴイ。 どのようにして高出力化と耐久性の両立を図ったのか!?

気になるポイントです♪♪

SC82のエンジン主要変化点一覧
  • シリンダボア径拡大→回転数UPの為、平均ピストンスピード低減
  • スロットルボア径拡大→より多くの混合気を取り入れる為
  • バルブ径拡大→より多くの混合気を取り入れる為
  • チタンコンロッド→エンジンレスポンスUP、耐久信頼性UPの為
  • フィンガーロッカーアーム→バルブリフトUP、バルブ動作信頼性向上の為
  • ボトムバイパス式ウォータージャケット→シリンダ熱変形の均一化の為
  • エンジンコンパクト化→スタータークラッチをMシャフトに配置

流石は12年ぶりのフルモデルチェンジSSエンジン!! ギミックが満載でワクワク♪♪

 

1. エンジン諸元変更で得られる効果

 

効果1. シリンダボア径拡大で高回転、高出力化

CBR1000RR(SC82)シリンダー

 

やっぱりエンジン出力を高めるには回転数UPが最も効果的です。 下記公式からも分かる通り、回転数は高ければ高いほど高出力を得られます。

エンジン出力(PS)を求める公式
トルクkgf.m × 回転数rpm ÷ 716 = エンジン出力 (PS)

10.744kgf.m×14500÷716=217.5810(PS)

トルクN.m × 回転数rpm ÷ 9549.3 = エンジン出力(Kw)
105.372Nm×14500÷9549.3=160.000628(Kw)

ボア径拡大の目的 = 回転数を上げ平均ピストンスピードを低減させること

 

しかしながらボア径を変更せずにエンジン回転数を上げるとこのような弊害がでてきます↓

弊害
  • ピストンの上死点、下死点でGが大きくなり壊れる
  • クランクピンが受けるGが大きくなる
  • ピン、ジャーナルで油膜切れの恐れが高まる
  • エンジン振動が大きくなる
  • クランク、コンロッド、ピストンの変形、変位が僅かに増え、バルブとピストンが当たる

結局は、上死点と下死点でピストンが一瞬停止することでGが増大することによる様々なネガが現れます。

G増大を抑えながら回転数を上げるには、平均ピストンスピードを下げる事が根本解決であり、その手法がシリンダーボア径を拡大する事なのです。

 

ボア径拡大のメリット・デメリット

メリット
  • 平均ピストンスピードを下げられる
  • バルブ径拡大のスペースが生まれる
  • 高回転高出力を得られる
デメリット
  • 中低速の燃焼効率が悪い(トルクダウン)
  • スラップ音が出やすく騒音レベル悪化
  • エンジン幅が大きくなる
  • 火炎伝播距離が長くノッキングタフネス下がる

ボアを拡大していけばいくほどに高回転で高出力を得られます。(回転数に依存)そのかわり犠牲になるのは低速、中速域でのレスポンス。

エンジン特性としてはピーキーな特性になりがちです。 レースでは最高出力を優先するので低速はある程度犠牲にしますが・・・「For the truck」のコンセプトに割り切ったんでしょうね!

 

SC82とSC77の平均ピストンスピードの違い

ピストンスピードを求める公式
ピストンの平均速度 = 2×ストローク ÷ 1000 × 回転数 ÷ 60  (m/s)
<SC82>
2×48.5÷1000×14500÷60=23.44(m/s)
答:.秒速23.44m
<SC77>
2×55.1÷1000×13000÷60=23.87(m/s)
答え:秒速23.87m

 

計算してみたらなんと!! 回転数を1500rpmアップさせても尚、ビッグボアになったSC82の方がピストンスピードが下がっていました。

市販車で最も平均ピストンスピードが速いモデルはKawasaki ZX-10Rで24.8m/sです。

SC82エンジンにおいてこの数値から言えることは・・・

先生
まだまだ、回転数を上げる余力が十分に残っていますよ!!

と言うことです。

回転数をまだまだ上げられるという事は、まだまだ馬力は上げられるってことと同じなのです。

昨日WSBにHondaが18年ぶりにワークス体制で復活します。 ワールドでは回転数アップが可能なのでそこでのポテンシャルを見据えたエンジン諸元である事は明白でしょう。

この数値からも「For the truck」のコンセプトをビンビン感じます♡

 

効果2. バルブ径拡大で高出力化

CBR1000RR-R(SC82)エンジンバルブ
CBR1000RRR(SC82)インテークバルブ

SC82になりインテークバルブ径がφ31.5㎜→φ32.5㎜へと拡大されました。

この大径化は、空気(混合気)をエンジン内に取り入れる”フタ”の役目をもっています。 フタの面積が大きいほどたくさんの空気をエンジンへ供給する事が可能となり、出力アップにつながります。

 

バルブ大径化のデメリット

  • 重量増となり、バルブスプリング反力を高める必要があり、摩擦ロスが増える
  • ピストンとのクリアランスが小さくなりピストンが複雑な形状にな

 

バルブ径を拡大できればその分出力アップできます。 しかし同時にバルブ自身の重量も増加します。 するとバルブの上下動で発生する慣性力も増加。

慣性力増加に伴って、バルブを閉める役割を持つバルブスプリング反力も強めることが必須。→バルブスプリング力が強まると、バネを縮める為に必要な力も増えエンジン出力をロス。

つまりトレードオフの関係にあるのです。

また、ピストン側にも大きな”逃げ”の形状が必要になってきます。(特に高圧縮エンジン) するとピストンの表面積が増え、S/V比が悪くなったり、ヒートスポットができてしまう可能性が高まり、結果として耐久性の低下を招きやすくなります。

この辺のバランスを取る作業が必要になります。

 

バルブ角の挟角化

CBR1000RR-R(SC82)エンジンのメカニズム

バルブのシリンダーに対するなす角度の事です。 SC77(SP2)は10°→SC82で9°に変更されました。
(SC59は11°)

メリット
  • ピストンの表面積が減り出力アップ
  • シリンダーヘッドがコンパクト化
  • 燃焼室がコンパクト化できる
  • ピストンを軽量化できる
デメリット
  • 燃焼室がペントルーフ形状から遠ざかる
  • バルブ径を大きくできない
  • シリンダヘッドの設計自由度が下がる

近年のバルブ角は

SC59 :11°
SC77(SP2):10°
SC82:9°

このように、進化する度にどんどん狭くなっています。

以前はペントルーフ型の燃焼室形状がトレンドでしたが、極小ペントルーフになり今やもうペントルーフとは呼べないようなペラペラ具合ww

燃焼室形状は同じ圧縮比なら”球形”が最も燃焼効率の高い形状です。

それは容積に対する表面積の割合が最も少ない事が理由。 表面積が少ないと熱が伝達される経路が少なく、冷却損失を下げる事ができます。

いわば燃焼して発生する熱エネルギーが球形であれば最も奪われないという事です。 この表面積(surface)と容積(volume)の比率をSurfece-Volume retioと言い、S/V比と呼ばれます。

ペントルーフ型は確かに球形状には近いものの、そのままでは圧縮比が低いので高圧縮にする為にピストンクラウンを山形状にします。 すると表面積が増えてしまい、出力をロス。 またピストン単体の重量も増える為高回転には不向き。

 

まとめ

ビッグボア、バルブ挟角化によって高回転での出力アップを狙っているエンジン諸元であると断言できる。

もちろんエンジン幅の増加、低速トルクが細ってしまうなどのデメリットも存在するが、コンセプトにマッチしたエンジンを作り上げ、そのスペックが真価を発揮する回転域はまだまだ高いところにある。

なんかイニDの拓海がエンジン載せ替えたAE86に乗って「乗りにくい」って言ってたシチュエーションと似ているような・・・笑

またバイクにおいてはバルブ挟角によってシリンダーヘッドボリュームが決まります。

挟角化されるほどコンパクトになりエンジン搭載位置を最適化できたり燃料タンクなどの重量物を重心近づけられるなど設計上の大きなメリットが得られます。

その結果、フレーム剛性を理想に近づけたり前後重量配分をコントロールしたりと完成車全体での戦闘力アップにつなげる事ができます。

バルブの角度一つですが、フレーム設計への影響がとても大きい重要な諸元であると言えます。


2. フィンガーフォロワーロッカーアームの効果

CBR1000RR-R(SC82)エンジンのメカニズム
CBR1000RRR(SC82)のフィンガーフォロワーロッカーアーム

 

SC77までの直打式とは異なり、カムシャフト~バルブの間に、もう一つの部品「ロッカーアーム」が介在します。

今までのロッカーアームと言えばシーソー式が主流でしたが今はフィンガーフォロワー式に変わりました。

メリット
  • バルブリフト量を増やせる
  • 運動部品の慣性重量低減
  • 摩擦損失低減
  • 動作信頼性の向上
デメリット
  • 組立コストアップ
  • 部品コストアップ
  • メンテナンス性悪化

このシステムが初採用されたのは2002年のHONDA F1用エンジン。 以来F1もMotoGPもこのシステムが当たり前になってきました。

現代におけるバルブ駆動のスタンダード仕様と言っても過言ではありません。

また、フィンガーフォロワー駆動方式は、YZF-R1、ZX-10R、も同じですが、フィンガーがカムシャフト中央に挟まれるレイアウトを採用しているのは新型CBR1000RR(SC82)だけです。

その分シリンダーヘッドをコンパクト化でき、車体への搭載位置の自由度が大きく向上します。 (ヘッドが大きいとエアボックスやタンクとの兼ね合いでエンジン搭載位置に大きな制約が掛かる)

 

詳しくは↓

コストアップを除けば、リフト量UP、バルブ開角UP、動作信頼性UPなどいいことづくめのシステムです。

 

3. チタンコンロッドの効果

CBR1000R-R(SC82)チタンコンロッド
CBR1000RRR(SC82)チタンコンロッド

 

ついに伝説RC30の復活!?  チタン素材は嘗ての名車RC30と同じHonda独自開発のチタン素材です。(よくメーカーが作ってくれたもんだ)

コネクティングロッド素材 Ti-64Aチタン材 (Hondaが開発した素材) 
重量(コンロッド+キャップ) 鉄材(クロームモリブデン鋼)比50%減
スモールエンドブッシュ素材 C1720-HTベリリウム銅
キャップボルト素材 HB149クロムモリブデンバナジウム鋼(Hondaが開発した素材)

 

チタン製コネクティングロッドのメリット

メリット
  • エンジンレスポンスが俊敏になる
  • 軽量化によるエンジン振動低減
  • クランクシャフトへのG低減による軽量化への寄与
  • クランクシャフトへのG低減による耐久信頼性向上
  • バイク完成車重量の軽量化
  • チタンだぜ! と言う優越感ww
デメリット
  • 非常に高価であり大幅なコストアップにつながる
  • 剛性を確保すると鉄製にくらべ二周り太くなる
  • 摩耗に弱く小端にブッシュが必要になる(コスト増)

 

チタン製コンロッドメーカーとして有名なのが、Pankl(パンクル)社。 Kawasaki ZX-10Rにも純正採用されています。 またポルシェなどハイパフォーマンスエンジンに多数採用されている大手メーカー。

CBR1000RR-Rもパンルクかな〜?と思っていたらこのすっとこどっこい!  なんとHonda自社開発でした。(製造もHonda?)

で素材のTi64AはRC30のチタンコンロッドと同じ素材です。

詳しくはコチラの記事「バイクに使われるチタン素材のメリットとは?|チタンは低剛性だけど高強度」で詳しく書いたとおり、そのままでは剛性が低くて使用できません。

コンロッドの場合、クランク1回転につき2度ピストンが急停止と急加速を繰り返す事で発生する、超強烈なGが襲い掛かります。

剛性が不足しているとGによってコンロッドが想定以上に伸び、ピストンとバルブが当たりエンジンを破壊。

弾性変形量を抑えるには高い剛性が必要です。 鉄と同等の剛性に合わせると、チタンコンロッドはとても太くなる事が大きな特徴でもあるのです。

チタンは摩耗に弱い素材で、スモールエンドにはブッシュを入れ摩耗対策する必要があります。  鉄コンロッドに比べ太くなるネガはありますが、大きな影響はありません。

やっぱり1番のデメリットはコストが猛烈に高いことですね。

 

4. セミカムギアトレーンのメリット

CBR1000R-R(SC82)セミカムギアトレーンのメリット
CBR1000RRR(SC82)セミカムギヤトレーン

Hondaの公式発表ではカムチェーンが短くなり、高回転&高リフトの作動信頼性向上とあります。

確かにカムチェーンは短い方がバルブ駆動の信頼性が高くなることは理解できます。

しかし・・・、それはSC77のカムチェーン長さでも十分に可能なはず。  ここは実は違う狙いが隠されているのではないか? と考えています。

その理由は・・・コレ↓じゃないのか?

ANDY

カムチェーンテンショナがフレームと当たる!

若しくはカムチェーンテンショナガイドPivがレイアウトできない!

と思っています。

セミカムギアトレーンでのメリットもわかりますが、正確なバルブ駆動が劇的に変わるとは思えないのです。  ギヤを一つ介したとしてもバックラッシュが存在するため、 大幅に良くなるとも思えません。 むしろ同等と言えると思います。

ではなぜわざわざ逆転にしたのか?  その答えは逆転にせざるを得なかった。

つまりカムチェーンテンショナにまつわる部品が何かとあたってしまった。 どうしようもなくなったテンショナを前にもって行くにはカムチェーンを逆転させるしかない。 という結論に至ったと予想しています。

ではなぜそうなったのか?

それは単衣(ひとえ)にシリンダーボア径を81mmへと拡大した事が支配的要因です。

ビッグボアでエンジン出力を稼ぐ一方、エンジン幅も伴って大きくなります。 当然クランクシャフトも長くなる。

幅の広くなったエンジンを包み込むようなフレームレイアウトでは更に車体幅が広くなってしまう。 → エンジン後方にテンショナーを設けるとフレームと当たる為、フレームは幅広方向に逃げるしかない。

テンショナーの位置を変更するにはカムチェーンを逆転させる他無い。→アイドルギヤを設けてチェーン回転方向を逆転させた。

 

若しくは、テンショナーガイドPivを置く事が不可能であった。→ プライマリドライブギヤがエンジン中心側に変更→ クラッチメンテ性を確保するには目雌ねじを立てるボスが必須→ 設けるとクラッチを取り外す事が不可能→ テンショナ位置をフロントに変更し解決。

このどちらかではないか? と予想しています。 Hondaの技術力があればカムチェーンで十分にバルブ駆動の信頼性は確保できる事は間違いありません。

きっとアイドルギヤを入れたい別な思惑があったに違いありません。 皆さんはどうお考えですか?? ご意見をお持ちの方は是非コメントで教えて下さい。

とはいえ、フロント側に移設したら今度はラジエタとのクリアランス確保が難しかった事でしょう。 ラジエタは振動低減を目的にラバーマウントされています。

つまりスロットル全開で走行中などは風圧を受けてエンジン側へ若干移動します。  取付公差、部品寸法公差、動的な移動など最も最悪の条件が重なっても当たることがないクリアランス設定にしなければなりません。

この当たりの土地奪い合いはかなり難しかったと思います。

なにせ、ギヤ増やすとコストはパッカーンと跳ね上がりますからね・・・。  パッカーン!と・・・。

 

2021/01/8追記
どうやらカムチェーン長さを短くする事が目的のようです。 街乗り仕様における厳しい耐久試験においてはやはり短い方が信頼性が高い。

また、レース使用を考慮して更なる回転数UPさせた場合の信頼性は、SC77の長さでは耐久信頼性不足とのこと。

 

5. 冷却水循環|内蔵ボトムバイパスの効果

※特許出願中の技術

CBR1000R-R(SC82)ボトムバイパスウォータージャケットのメリット

ボトムバイパスウォータージャケットのメリット
  • シリンダーの熱変位を均一化できる→ 出力向上
  • サーモケース→ウォーターポンプまでの配管1本削減できる → 軽量化
  • 冷間始動時の温度上昇時間短縮→ 触媒温度上げやすく排ガスクリーン

初めはこの図をみてすぐに理解する事ができませんでした。 先入観の塊でウォータージャケットの逆流など不可能でしょ! と思ってしまいましたw

しかし理解できるとこのメカニズムはとても理にかなっていて全てにおいて良いですね!

 

ボトムバイパスのメカニズム

CBR1000R-R(SC82)ボトムバイパスウォータージャケットのメリット

CBR1000RRR(SC82)ボトムバイパスウォータージャケット

 

簡単に言うと、今までのウォータージャケットを上下で分割して2階建て構造にしたイメージ。  まずウォーターポンプ→ メインウォータージャケットに流れる。

次にサーモケースに入り1階へ下がる。 1階→ウォーターポンプに戻る。 こんなイメージになっています。

※アッパー、ロアはAndyが説明に使用しているだけで正式名称ではありません。

 

ボトムバイパスとSC77の冷却水の流れる順序

サーモスタッドの開閉で経路が変化します。

 

(サーモ閉)

SC82
  1. ウォータポンプ
  2. シリンダー(アッパー)
  3. サーモケース
  4. シリンダー(ロアー)
  5. 1.ウォーターポンプへ戻る
SC77
  1. ウォータポンプ
  2. シリンダー
  3. サーモケース
  4. バイパスホース
  5. 1.ウォーターポンプへ戻る

今までであれば、サーモケースに入った冷却水はサーモケース→ウォータポンプに戻る為の”バイパスホース”を通過してウォーターポンプに戻ります。

しかしSC82 ではサーモケース→再び下側(ロアー)のウォータージャケットに入りウォーターポンプへ戻ります。

言ってみれば今までの”バイパスホース”の代わりに”バイパスウォータージャケット”が有るイメージで間違いありません。

この事によって冷却水温の上昇時間が短縮でき、コールドスタートのエミッション規制にも有利になると考えられます。 (コールドスタートは早く触媒温度を上昇させた方が良い)

 

サーモ開

サーモが開いた時は、ラジエターへ水が流れます。 しかしサーモが全開になっても一定量はボトム(ロア)ウォータージャケットにも水が循環します。

SC82サーモ開
サーモスタットケースの後の行き先に違いがあります。
経路1
  1. ウォータポンプ
  2. シリンダー(アッパー)
  3. サーモケース
  4. シリンダー(ロアー)
  5. 1.ウォーターポンプへ戻る
経路2
  1. ウォータポンプ
  2. シリンダー(アッパー)
  3. サーモケース
  4. ラジエター
  5. 1.ウォーターポンプへ戻る

上記のように、サーモが開いた状態では、2つの水経路が存在する事になります。

 

効果1. シリンダー温度の均一化

この2階建てのウォータージャケットによってシリンダーの熱ひずみを均一化し、摩擦損失を低減できるとのHonda公式発表です。

これは急須でお茶を入れる時、濃さを均一にする手法ととても良く似ていますね。

3つの湯呑みにお茶を入れる時、
「湯呑みA→ 湯呑みB→ 湯呑みC」と入れたら今度は

「湯呑みC→ 湯呑みB→ 湯呑みA」と入れますよね?

今までのウォータージャケットでは、冷却水の温度は入り口が1番低い温度です。 水が熱いシリンダー内をどんどん進むにつれ水の温度が上昇します。

結果、出口の水の温度が最も高いことになるのはご理解頂けると思います。

つまり、入り口付近の温度は低く保たれ、出口に近いシリンダーの温度は高いままとなり均一ではありません。

 

ボトムバイバスはどうか?というと、サーモ全開でも一定量がロアウォータージャケットを戻ります。 サーモ付近が最も低く(入り口)、出口(アッパーの入り口)が最も高くなりますよね。 つまり「アッパーとロアーの温度の和はどのシリンダーも同じである」となる訳。

↓にイメージ図を書いてみました。矢印は冷却水の流れ  ※イメージですよ!!

シリンダー アッパー(メイン)ウォータージャケット ロア(ボトム)ウォータージャケット
#4 アッパー入口、ロア出口 80℃ ↓ 92℃ ↑
#3 82℃ ↓ 90℃ ↑
#2 84℃ ↓ 88℃ ↑
#1サーモケースで折返し 86℃ → 86℃ ↑

 

湯呑みがシリンダーと捉えて下さい。 水は#4シリンダーから入り#1へ抜けます。 当然#4番が最も低く、#1へ到着する時には冷却水温は上昇しています。

今度は上昇した冷却水が逆の順序で折返します。 するとロア側では#1が最も低く、#4で最も温度が高くなります。

各シリンダーで温度を平均すると、上記表ではすべてのシリンダーで86℃となり、均一化されます。

もし従来のONE WAYフロー式であれば、入口と出口でシリンダー温度が異なります。 (入口は冷え、出口は熱い)

このシリンダー温度が均一に保たれることでシリンダーの熱変位が均一に近づき、摩擦ロスを低減。 →その結果出力向上につながります。

 

効果2. 経路削減で軽量化

更に、通常はサーモケースからウォーターポンプに戻す為の「バイパスホース」が必要になりますが、SC82のボトムバイパス式では不要。

バイパスホースがボトム(ロア)ウォータージャケットに置き換わったイメージですね。 完成車としても軽量化され戦闘力が上がります。 しかも比重1の水はダイレクトに軽量化に効くのでGood!

 

効果3. 冷間始動時の触媒温度上昇が早い ※Andy予想

冷間始動の場合、サーモは閉じています。 つまり全量がシリンダーのボトム(ロアウォータージャケット)を戻っていきます。

今までの仕様ではバイパスホースを通過してポンプへ戻りますが、シリンダーを通過するので更に熱を奪うことができます。 結果暖気時間が短くなり触媒温度の上昇時間も短縮できているのではないか? と考えられます。

 

まとめ

このアイディアを考えたエンジニア、凄い!!

とても理にかなっているしいいことずくめ。 ネガとしてはやっぱり製造コストが高いことかな??  恐らく中子がロア用&アッパー用と2種類必要になるのでコストアップは間違い無いでしょう。

しかしコストが高そうなエンジンだけど、Andyのような一般ピーポーが変える値段に収まっているのだろうか・・・。 心配ですね。


6. チェックボール付きピストンOilジェット

CBR1000R-Rチェックボール付きOilジェット
CBR1000RRR(SC82)オイルジェット

チェックボールを設ける事で油圧の低い時はピストン裏へのオイル供給を停止し、圧力損失を抑える事ができます。

低回転など油圧が低い時はチェックボールを抑えるバネの反力によって油路が閉じられます。

エンジン回転が上昇し油圧が上がると、バネを押し開き油路が開きます。→高負荷の時にピストン裏へオイルが供給されます。

 

んーーーー。 なんか違う気がする・・。 チェックボール設けなくても大丈夫じゃない?  そりゃあったほうが圧力損失を減らせて燃費を稼げるとかメリットはあるけど。。。

なんとなーくだけど指定オイル粘度を下げたのかな??  SC77は0w−30だけど、まさかの25とか20行っちゃう感じ!?

そうなれば低回転で油圧を確保しにくくなるからチェックボールを設ける事に納得ができる。  真相は果たして・・・???

 

7. スタータクラッチをMシャフトへ移設

※Honda特許出願中

CBR1000RR-R(SC82)スタータークラッチ
CBR1000RRR(SC82)スターター

前述したシリンダーボア径を76→81㎜へ拡大した事に伴ってクランクシャフトも長くなる事が避けられません。

SC77のエンジンのようにスタータークラッチをクランクシャフトに設けた場合、更に幅が広くなります。 するとバンク角を確保できないので、エンジン搭載位置を高めなければなりません。 操安に与える影響が大きいので搭載位置変更は絶対に避けたい。

ではどうするか?

クランクシャフト長さを短くすべく(これ以上長くしたくない)スタータークラッチ、スタータードリブンギヤをメインシャフト上に設けています。

メインシャフトはクラッチアウターと勘合しています。(常に一体で動く)

クラッチアウターはプライマリードリブンギヤと一体構造。

プライマリードリブンギヤとプライマリードライブギヤは常にギヤで連結。

プライマリードライブギヤとクランクシャフトは一体構造。

よってスターターモーターの回転動力伝達経路はこのようになります
スターターモーター→ アイドルギヤ→ スタータードリブンギヤ→ プライマリードリブンギヤ→ プライマリードライブギヤ(クランクシャフト)

 

最初にレイアウト図を見た時にはカムチェーンテンショナーの位置が逆だった事と、スターターアイドルギヤがクランクのアイドルギヤに見えて「おっ! エンジン逆転仕様か!」なんて早合点してしまいました・・。

恐らくメインシャフト単品の長さとしては長くなっていると考えて間違いないでしょう。 しかしエンジン幅はボア径拡大に伴う最小限の延長に抑えていると考えられます。

 

8. エキゾーストシステム

”Akrapovicは排気エンドカンの開発に協力しました” とのHondaからの公式アナウンスがありました。 素材はチタン。

排気バルブは低回転トルクと高回転パワーの両立を図るためやはりAkrapovicで設計されています。 これらによってエンドカン(多分サイレンサーの事)内部容積の合計は38%縮小することに成功しました。

また、この排気バルブに関して特許出願中とのこと。

 

 

サイレンサー(マフラー)内部構造がこちら。

CBR1000RRR(SC82)エキゾーストバルブ

 

バルブが閉じた時

排気ガスはすべてグリーンの矢印に沿って流れます。  太い通路は完全に遮断され、消音室A→ 消音室B→ 消音室C→ メイン通路に戻ります。

 

バルブが開いた時

ストレート構造のサイレンサーの内部を一気に通過!(黄色矢印) と一部がグリーンの矢印にそって通過。  うーーん。。。 排ガスも抵抗の少ないところを通っていくので、殆どが副室を通過する事無くストレートに排出されるでしょうね。

これ、バルブが開くとかなりの爆音じゃね!? ( ゚Д゚)

騒音規制の年式別まとめ」 でも詳しく紹介したように、EUの規制であるECE-R41と言う法規に日本も準拠している為、若干ですが緩くなっています。

 


 

この特許ってHondaの特許なんだよね?(それともアクラ?) そしてどの部分が特許なんだろう? 排気デバイスのバルブって他車ももちろん出してるし、SC59も装備されてるし。

”完全密着”って事が特許なのかな?? 詳しい方!是非コメントで教えてくださいm(__)m

 

CBR000RR-Rエンジン新機構・新技術まとめ

※アクラ管等今後追記します。

いや〜、ほんとに凄い。 新技術とか新構造を入れるたびにコストが凄くかかったエンジンだなァ〜と。 実際の日本での販売価格の発表はまだ無いけどかなり上がってもおかしくない内容であることは確かですね。

このコスト削減技術もHondaは磨いているはずなので大いに期待します!(ってか一番大事?)

 

フレームセクションもプレスフォーミングスイングアームとかめっちゃお金掛かってるしホント心配になってきた・・・。

 

でもエンジンのSPECはもちろん仕様をみると開発チームのエンジニアは本気で獲りに行っている事をビンビン感じました。 いや〜、凄いマシンだ!!

Andy

 

 

 

 

--コメント--
  1. ANDyさん。こんばんはいちファンです笑
    今は名古屋なんでしょうか?
    一度お会いしに行きたく CBRの話を聞いてみたいです

  2. andy様
    毎回、感心しながら拝見しております。どれ記事も興味が尽きず、今や熱烈なファンとなってしまっているようです。
    さて、今回は「内蔵ボトムバイパス」について疑問が生まれました。
    ラジエターの冷却効率について私は詳しくは知りませんが、その昔に空冷スクーターエンジンを、水冷化キットとラジエターを使用して水冷化した時の感覚では、ウォーターポンプスイッチを切った(入れ忘れた)状態で走って気づくと水温100度!慌ててスイッチを入れると水温70度程度に落ちつく。
    そんなイメージでしたのでそのエンジンに適度なラジエターであれば3割くらいの熱量を奪ってくれるものなのかなぁと思っています。(間違っていたらご指摘を!)
    エンジンから発生する余分な熱量は冷却水に与えられ、その冷却水がラジエターを循環する間に、その熱量は今度はラジエターフィンを通過する空気に与えられて、やがて温度が下がった冷却水は再びポンプに戻ってくる。冷却しすぎた場合はサーモスタットによって弁が閉じて循環がしなくなるが、たぶん普通に走ってる間は循環し続けている?それが可能なのが適切なラジエターサイズなのかなと思っています。
    さて、その私のつまらない経験則から感じることは、通常のシステムでは元々「100の熱量」(温度ではない)をラジエターによって熱量を3割減らして「70の熱量」に減らしていたところ、バイパスシステムによって、「100の熱量」のうち、「80の熱量」(何割がバイパスされるか知らないのでここは適当です)がラジエターに向かうと考えると、熱量を3割減らされたとして「56の熱量」になってポンプに戻ってくる。バイパスを通った「20の熱量」はバイパスで戻るうちにさらに熱量を与えられ「20以上の熱量」となってポンプに戻ってくる。そしてラジエター経由の冷却水とバイパス経由の冷却水を足すと、「76以上の熱量」の冷却水になってしまいます。もともとのシステムよりも冷却効率が悪化しているように見えるのですが・・・このシステムで冷却効果を維持するにはラジエターを大型化するか、ポンプを強力にして循環を早める必要があるように思ってしまいます。なんだか腑に落ちずにおります。まあ、私が腑に落ちようが、落ちまいが、新しくて素晴らしい技術であることは確かなんだろうなと思っておりますが、どうしてなんでしょう??

    • Andy様
      ちょっと私の計算が間違えていました。訂正します。
      前提となるウォーターポンプのスイッチ入れ忘れて上がった水温は0度から上がったわけではなく20度くらいから上がったものです。
      なので、水温は20度から100度、80度上がってます。一方、スイッチを入れると100度から70度へ、30度降下してます。
      熱量だけを考えると30/80(この式であってるのか?さっぱり自信なし。)で37.5%低下する。先の3割程度熱量を奪う、が違いますね。
      でも、新型エンジンの100の熱量を80、20と2つの通路に流れることを考えるのはそのままとすると、
      80の熱量をもつ冷却水は、「80×(1-0.375)=50」と50に下がる。
      20の熱量をもつ冷却水は、「20+α」と上昇する。
      足すと「70+α」となって、100の熱量をもつ冷却水をそのまま「100×(1-0.375)=62.5
      結果的に先に書きました通り、私には新型エンジンの方が冷却効率が悪く見えてしまいます。残念・・・

      • MAXさん、こんにちは!

        内容を理解するのに時間が掛かりました。

        基本的には熱交換の送料は変わらないので、旧システムと新システムで熱交換機の要求性能は同じです。

         

        <受熱について>
        これはシリンダーのウォータージャケット容量(スペック)で決まります。
        今回は1階、2階と別れましたが、元々は同じ容積の部屋です。

         

        2階建てになった事で受熱容量が増える訳ではありません。 

         

        入口と出口の温度を計測した場合、どちらも変わりません。

         

        旧仕様が、入口80℃→ 出口100℃であれば、2階建て仕様も同じ温度になります。

         

         

        <放熱について>
        これはラジエター容量(スペック)で決まります。
        (ピンピッチ、チューブピッチ、風速など)

         

        2階建て仕様は、ラジエターに流れ込む水量が少なくなります。
         →1階部分(バイパス部)に流れる為

         

        その結果、冷却水がラジエターに滞留する時間が長くなります。
         →従来仕様より温度が低下します。

         

        ポンプに戻ってきた時、1階部分で受熱した水と混ざり、±0になります。

         

         

        冷却システムは熱交換をしているだけなので、
        受熱に対する放熱の割合で決まります。  

         

        そのウォータージャケットの通貨順序が変わっても、容積が同じなら受熱容量は同じになります。
        最大受熱容量に対し、放熱量が上回ればオーバーヒートする事はありません。

         

         

        つまりMAXさんの式に当てはめるとこうなります。

         

        誤:ラジエターによって3割減らされる
        正:ラジエター通過速度低下によって「3割+α」減らされる ※より冷える

         

        と言う事になります。

         

        そして1階(バイパス)から帰ってきた高温の水と混ざり、±0となります。

         

         

        如何でしょうか? 自分で文章で書いていても難しいと感じており上手く伝わるか
        不安ですが・・・

        • Andy様

          私のへんてこな質問にちゃんと考えてお答えいただき痛み入ります。
          なんか、質問が概念的過ぎてご理解いただくことが至難だったのかと反省しています。

          <受熱について>
          2階建てになったことで受熱容量が増えるわけではありません。

          ↑この部分で勘違いしていたようです。

          私が言いたかったことをもう少しちゃんと説明を加えたいと思います。

          冷却水の容量は新旧ともに1000gと仮定します。(ラジエター、エンジン内部、ポンプ、ホースすべて合わせて)
          この1000gの冷却水は1分間で1巡すると仮定します。
          1gの水を1度温度を上げるのに必要な熱量が1カロリーです。
          冷却水の温度が十分に温まり、80度で安定していたと仮定します。
          この80度の冷却水がエンジン内部を通過し(旧型は1方通行)受熱して100度に上がると仮定します。
          1分間に受ける熱量は上昇する温度20度、1000gの冷却水が通過するため20×1000=20000カロリー/分です。
          これがラジエターを通過して放出する熱量は、冷却水は80度で安定してると仮定しているので、受熱した熱量と同じ20000カロリー/分です。
          以上が旧型の流れ。

          新型エンジンでは、冷却水が通るルートが2つあり、どちらの容量も同じと仮定します。
          80度の冷却水が与えられる熱量は、2階を通って出口までいきます。
          このとき、私の計算が間違っていて、旧型と同様に20000カロリーを受熱すると計算してましたが、
          本来、2階は旧型の半分の容量の通路なので、1分間に受ける熱量は10000カロリーですね。
          よって、冷却水が保持する熱量は、式としては80度×1000g=80000カロリー 
          これにエンジンから受熱する10000カロリーを足して90000カロリー(90度、1000g)

          これが2つのルートを通ってポンプへ向かいます。一つはラジエター、もう一つは1階。配分はどちらも500gとします。
          ラジエターへ向かう冷却水の保持するカロリーは90度×500g=45000カロリー 
          ここからラジエターの性能である20000カロリー/分を引くと25000カロリー
          1階を通るのも90度×500g=45000カロリーの冷却水です。
          この冷却水は冷やされるのではなく、1階を通過することでさらに10000カロリーを受熱して55000カロリーとなります。
          そしてラジエターを通過した冷却水の保持する25000カロリーと、1階を通過してきた55000カロリーの冷却水はエンジンの冷却水入り口で合流し、
          80000カロリーの冷却水(80度、1000g)となる。

          こう考えると新型と旧型では冷却効率は変わらない。

          こういう考え方であってます???

          ほんとにご迷惑をおかけしてすいません・・・・

          • はい! その考え方で合っています!!(^^)!

            実際のところは、シリンダーの放熱(冷却水の受熱)効率が高まっている事が考えられます。

            その理由は、1階と2階を仕切る壁が新たに設けられる事で、面積が増加する為です。

            2階は床面
            1階は天井面が追加された事になります。

            このお陰で放熱経路が増え、シリンダー剛性も高まり相乗効果で性能の高いエンジンになる
            ポイントになっているのでは? と考えています。

            その意味で全開出力時の効率も上がり、ハイパワーエンジンが出来上がっていると予想しています♪

            詳しく読んでいただき有難うございます!!(^^)!

  3. Hi Andy,

    I saw your blog when I learned about the new technology of sc82.
    I really like these blog posts, even if I'm a beginner, I can easily understand the knowledge of suspension,frame and engine.
    Looking forward to more blog posts, thank you!

  4. Andyさん、はじめまして。
    フィンガーフォロワーの軸位置について少々疑問に思いましたので、コメントさせていただきます。

    右側からの透視図でカムシャフトが反時計回りなのは解りました。
    カム山がロッカーアームのスリッパ面に当たる時、EX側はロッカーシャフトの自転方向への入力でフリクションを逃がしているのに対し、少々オーバーな表現になりますがIN側はロッカーシャフトにせん断方向の力が掛かるように思うのです。
    実際に、ZX-10なんかではロッカーアームはIN、EX共に自転方向で逃がす入力方向になっていますが、この差異はメーカー毎の考え方の違いなんでしょうか?
    フィンガーフォロワー解説ページに掲載されていた『2002年HONDA F1エンジン』でも対向してロッカーアームが付いているから、HONDA的には問題無いという判断なんでしょうかね。
    勿論、材質やDLCコーティング等の表面改質効果もあるとは思いますが・・・

    • たろくまさん コメントありがとうございます。

      私も同じことを思いました。 ZX-10Rの3D図では自転方向で逃がす形状になっており、F1とSC82でせん断方向の力でなぜOKなのか?

      その答えはDLCにあるのは? と推測しています。

      摩擦の影響が少なければ、せん断方向に入力される力も少なくなります。 今回SC82でスリッパ面とカム面の両方にDLCが施されています。

      もしかするとDLCがあって初めて成り立つレイアウトなのかもしれませんね! 

  5. バルブ鋏角を小さくしたので、カム側のスプロケを小さくする必要があって、ギアを噛ますことによってチェーン側上下の減速比を落とすことも考えたんじゃないかと思います。

    • fujimotoさん、コメントありがとうございます。

      確かにバルブ挟角を小さくすればカムスプロケット同士のクリアランスがタイトになるのでスプロケットを小径化したい狙いはあると思います。

      しかし今回の仕様ではアイドルギヤ仕様なので、カムスプロケットの大きさ(歯数)には全く影響しません。  

      カムスプロケットを小径化(ギヤ数減)させるには、クランクに装備されている”タイミングギヤ”を小径化(歯数減)させなければなりません。

      カムスプロケットの減速比はクランク回転数に対し必ず1/2である必要があるので17t→16tにすればカムスプロケットを小さくできます。が今度はギヤの歯に対する入力荷重が上がるので強度と耐久性が低下します。  この辺りのバランスポイントが1000ccにおいては17t辺りだと考えられます。

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