CBR1000RR-R(SC82)電子制御の解説

新型CBR1000RR-Rの電子制御は何が進化したのか? クイックシフターは標準装備? それともオプション? スリップレートって何? スタートモードは何に使うの?

こんにちは! @Andyです。

新型CBRの電子制御も大きくアップデートされました。  パワフルなエンジン、安定性の高いシャーシが持つポテンシャルを誰でも簡単に引き出せる制御デバイスが用意されました。

リンク→電子制御に欠かせないThrottle By Wireの詳しい解説記事

1. 電子制御系のスペック一覧

ライディングモード 3パターン
パワーレベル 1(Full power) ~ 5(Less power)
エンジンブレーキ制御 1(Strong) ~ 3(weak)
ウィリー制御 0 (off) 、1(little) ~ 3(more)
HSTC(Honda Selectable Torque Control) 1(little) ~ 9(more)
スタートモード設定可能エンジン回転数 ※新機能 6000、7000、8000、9000
IMU検出軸 6軸(SC77は5軸)
演算速度 SC77に対し高速化
ABSモード ※新機能 2パターン

新たに2つの機能が追加されました。

  1. スタートモード・・・回転数を固定した状態でクラッチミートできる(レース用)
  2. ABSモードセレクト・・・効きを2モードから選択できる

「IMU~ECU~TBW」の演算、応答速度が上がりよりライダーの操作がリニアに反映されるようになっています。

制御の数値の概念は、こうです。

  • 数値が大きいほど制御介入量が多い
  • 数値が小さいほど制御介入量が少い

TCSはレベル9が最も介入量が多く、制御がよく利く。 同じくウィリー制御も数値が大きいほど制御がよく効くためウィリーを抑えられる。

エンジンブレーキは制御無しが自然の状態で、エンブレが強い。 制御介入量を多くするとエンブレが弱まる。 ※エンブレは数値が大きいほど多くの空気を取り入れる

唯一エンジンブレーキ制御だけ、数値と効果が逆になるので要注意。

2. TFTフルカラー液晶メーターパネル

CBRRR-R(SC82)TFTフルカラー液晶メーターパネル

ジャイロセンサーの値をメーターに表示する機能が追加されました。↑  サイドスタンドを掛けた状態でのリーンアングルは10°のようですね。

 

メーター表示の種類

それぞれかなり特徴が異なっていてシーン別、好み別に選ぶ楽しみも増えそうですね。

個人的にはセンタータコメータがHonda Racingっぽくて好きかな・・?
タコ無し表示も実際のツーリングでは便利かも。

 

メーター内機能表示

CBRRR-R(SC82)TFTフルカラー液晶メーターパネル表示内容としては現行とほぼ変更ありません。

ライディングモード、パラメータレベル、アイテムの相関関係はSC77と同じだと思います。 が詳細はメーカー発表がないとなんとも言えませんね。 (たぶんいきなり変わらないでしょ!? と甘い考え)

クイックシフターは正チェン・逆チェンが設定できるって意味なのかな? それともON-OFFだけ? 詳細は不明です。

 

スタートモード機能が追加

CBR1000RR-R(SC82)のスタートモード表示

SC82からスタートモードが追加されました。

レーシングスタート時、スロットルを全開固定にすると設定した回転数をキープしてくれます。 ライダーはスロットル全開のままレッドシグナル消灯を待ち、クラッチミートだけに集中できる機能。

MotoGPやWSBなどの最高峰レースでも全車装備されている機能です。

設定できる回転数は6000、7000、8000、9000rpmの4つから選ぶことができます。

現行CBR1000RR(SC77)のHRC レースキット仕様では標準装備されています。

このモードが追加されたってことはST1000クラスのレースはレギュレーションでノーマルECUであること! みたいな規制が掛かってくるのか?

どう考えても街乗りでスタートモードは絶対不要だよね・・・・ω・  来年にむけてレース界も大きく変わりそうですね!

 

3. 電子制御装備

装備1. クイックシフター

CBR1000RR-R(SC82)クイックシフター

クイックシフターはSC77と同じパーツのようです。 唯一異なるのはシフトべダル側に逆チェンジ用のボスが用意されていること。

CBR1000RR-R(SC82)シフトペダル

おそらく逆シフトを選択したオーナー用にQSも逆チェンに対応してセッティング変更できるようになっていると強く願っています。

もし可能であれば、サーキット走行会だけ逆チェンにしてQSも使用できるし簡単に変更できるしでいい事だらけ♪♪

SPは標準装備、STDは+10万円のオプション設定となっています。

 

装備2. 6軸IMU

CBR1000RR-R(SC82)6軸IMU慣性計測装置

角速度3軸+角度3軸=6軸 を計測できるセンサーです。 一般的にはジャイロセンサーと呼ばれ、スマホやドローンにも搭載されています

SC77までは5軸でしたが、何軸が追加されたのか? 今後追跡調査してきます。 AndyとしてはYaw角速度軸が追加されたのでは? と予想しています。 ↓

詳しくは後述しましたが、⊿スリップ率制御が新たに追加されており、その制御プログラムを走らせるパラメータとして使えるんじゃないか? と思うのです。

SC82から完全な6軸となったことで更に精度の高い制御、ライダーの操作に対するレスポンスの向上が見込まれますね♪

 

装備3. スイッチボックス

4Wayスイッチが新たに追加されました。 SC77のスイッチではファンクション画面でカーソルを横移動するのがかなりメンド臭かったのですが、SC82では十字キーのようなUIでかなり使い勝手が良さそうです。

そしてSC59でめっっっっっちゃ使いづらくて不満爆発だった事が一つ!

それは・・・

ラップタイムスイッチが”セルスタートボタン”と兼用であること!
実際サーキットで使おうとすると、スロットル全開で親指が届かんのじゃ~!!!((+_+))
SC59のラップタイムスイッチ

機能としてあるのはありがたいんだけど、実際使おうと思うとめちゃめちゃ押しづらい・・・( ゚Д゚)  SC77のレーサーではパッシングスイッチとラップスイッチが兼用になっていてとても使いやすくなりました♪♪ SC82でも踏襲されホッとしました。

 

4. トラクションコントロール(HSTC)

  • スリップ率制御・・・Rrタイヤの滑り始めの急激なタイヤスリップ率の上昇をコントロールする
  • スリップ制御・・・Rrタイヤが安定して滑っている過程のタイヤスリップ率をコントロールする

SC82になり、新たにスリップ”率”制御が追加されました。 この2つのトラクションコントロール機能によって滑り始め~滑っている最中まで制御が介入することで、より安心してスムースにスロットルを開ける事が可能になります。

 

スリップ率とは?

トラクションコントロール(TCS)を知るには、スリップ率とは何なのか?を知る事からスタートです。

スリップ率を求める式を知れば超カンタン!!(*^^)v

スリップ率 =(タイヤ回転速度ー車体速度)÷ 車体速度 × 100

つまり車体の速度(対地速度)に対して、タイヤの回転速度の差の割合がどの程度か? を現した指標が(タイヤ)スリップ率です。

 

例1

車体速度50㎞
タイヤ回転速度60㎞

(60-50)÷ 50×100=20 スリップ率は20%

 

例2.

車体速度210㎞
タイヤ回転速度221㎞

(221-210)÷210=5.23 スリップ率は5%

スリップ率はブレーキとタイヤの関係から導き出された歴史から

(車体速度ータイヤ回転速度)÷車体速度×100

で求める事が一般的です。 減速側がプラス表記、加速側がマイナス表記となります。
(ブレーキロックが100%、バーンナウトが−100%)

TCSの説明においてマイナス表記は誤解を生むため、上記式としています。 プラス、マイナスの表記が逆転するのみで数値は変化しません。

 

タイヤにとって理想のスリップ率とは?

縦方向のスリップ率が約15~18%程度で最もタイヤがグリップするとされています。

クルマの場合はウィリーをしないので18%のスリップ率を狙いやすいのですが、バイクの場合は直立しているとスリップするよりも前にウィリーしていまいます。

なので若干バンクしている加速状態でウィリーしない時に理想のスリップ率になるよう、制御エンジニアが日々研究しています。

つまりバイクでスリックタイヤの場合は直線でTCSを利かせることはなくウィリー制御の領域。 コーナー立ち上がりの遠心力でウィリーを抑え付けられるとき、TCSの本領発揮ゾーン。

でもTCSゾーンはバンクしている為、横グリップ+縦グリップの合力になります。 最も強い加速Gを得られるスリップ率はバンク角によって異なる為、最適地を探すにはライダーと制御エンジニアのチーム力が必須と言えます。

 

HSTCスリップ率制御

CBR1000RR-R(SC82)トラクションコントロールシステムの動作説明

”HSTCスリップ率制御” 機能が新たに追加されました。 レースで言う⊿(デルタ)スリップ制御と同じです。

 

どんな制御なのかと言うと、急激にRrタイヤがスリップしてしまった場合はハイサイドに繋がってしまいます。  そうさせないように「Rrタイヤの滑り始める初期を穏やかにしてコントロールし易く」しましょう。という概念のトラクションコントロールです。

コーナー立ち上がりでスロットルをしっかりと開け足していく時、Rrタイヤが路面を食いながらブリ!ブリ!ブリ!と若干滑るくらいが理想です。

しかし時にスロットルを開けすぎ、一気にズバン!! とRrタイヤが滑って車体がヨー方向(横向き)に一気に動くことがあります。

この挙動にビックリし、たまらずライダーがスロットルを戻すとハイサイドを起こし、空高く飛ばされてしまいます。

近年のMotoGPマシンなどは立ち上がり(加速側)でのハイサイドが激減しました。 IMUとTBW、TCSの相乗効果で低減できています。 今回新たにCBR(SC82)でも機能が追加され、ハイサイドでの転倒が間違いなく減ると言っても過言ではないでしょう。

 

HSTCスリップ制御とスリップ率制御の相乗効果とは

CBR1000RR-R(SC82)トラクションコントロールシステムの動作説明

今までのTCSが滑っている過程の中期〜後期の制御だとるると、スリップ率制御は滑り始めた初期を制御する役割です。

これによって、「スピニング開始〜スピニング中〜スピニング終わり」のほぼ全ての領域を制御が介入するようになります。  このTCS機能によって、いかなるタイヤのスピニングの状況でも安定した車体挙動となり、立ち上がりでのトラクションの向上と、ライダーの安心感向上が見込めます。

 

5. CBR1000RR-R(SC82)電子制御まとめ

バイクの電子制御もスマホと同じ進化の道を辿っているように感じます。

昔はガラケーしかなかった時代は、超絶分厚い取説が同梱されていて、全ての機能が掲載されていましたよね。 でもiPhoneが起こしたスマホ革命によってケータイは比較にならないほど高性能&高機能化しまいた。

でも取説はありません。

ガラケーに比べたら超高性能になったスマホなのに、誰でも簡単に使えるように進化した結果、多くの人々に受け入れられていると思います。

バイクもTCS、TBW、ABS、ウィリー制御など一気に高機能化が進みました。 今はまだ分厚い説明書があると思いますが、今後は学習機能も積んで自動で最適なセッティングの提案をバイクがしてくれる! なんて機能に期待したい!

自分で理解しているベテランは無視してOK。(勝手にやってるから) 大事なのは初心者とガチ勢じゃない大勢の街乗りライダーだと思います。

高機能と高性能を簡単に使えてこそ、真の技術でしょう! 良い技術でも使いにくくて埋もれては意味がない!

初心者フレンドリ−なセッティングチャートになっている事に期待したいですね♪♪

Andy

 

 

 

 

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