こんにちは! Moto-Ace-Bolgerの@Andyです。
皆さんも大好きMoto-GPレース。今年は最終戦までマルケスとドビのチャンピオン争いから目が離せない展開でハラハラドキドキさせられる非常に面白いレースばかりでした。 来年もこんな面白いレースが観たいですね!!
さて、そんなGPマシンのエンジンですがよーく観てみると、YamahaをのぞいたすべてのメーカーはV型4気筒エンジンを搭載しています。 なぜこれほどにまでV4なのか!? V2でもいいんじゃないの? V5は? ヤマハはなぜ直4なのか? ひも解いて行きたいと思います。*SUZUKIのマシンも直4です!
Moto-GPマシンのエンジンはレースに勝利するスペックである事。
目的がハッキリしているので、目指すべきベクトルがブレる事はありません。 仮に低速トルクが無くても、その分ピークパワーがあって、勝利につながるのであらばそれでOKです。 逆に、ピークパワーが無くても、低速トルクがある事でライダーが扱いやすく操縦性の良さがに繋がり、ストレートで置いて行かれても勝利できるのなら、良いエンジンと言えます。 とにかく勝利できるエンジンでなければなりません。 高出力=良いエンジンとならないのが面白いところです。
各社、勝利へと導くエンジンの研究と開発を続けています。 今日はエンジンにフォーカスして書きたいと思います。
記事の目次
1. エンジンに関係するMoto-GPレギュレーション抜粋
このようなレギュレーションがエンジンに適用されています。*抜粋です。
- 使用可能なエンジン数は年間7機
- 使用できるガソリンの量は22リットル/1レース
- 4ストロークエンジンのみ ※2stはNG
- 自然吸気エンジンのみ ※ターボエンジンはNG
- ガソリンの流量は毎分50L以下。
- 燃料圧力は10気圧以下。
- ピストンの最大ボア径は81mm以下。
- シリンダー数は最大4気筒。
- ピストン形状は円形に限る。 ※楕円ピストン禁止
- 使用するセンサーは公認の物でなければならない。
- ニューマチックは使用可能。
- 中空コンロッドは禁止。
- 排気量が800cc以下の場合、最低重量は150kg以上
- 排気量が801cc〜1000cの場合、最低重量は157kg以上
- ECUおよびソフトウェアは共通とする。
と、上記のようなレギュレーションの中で、各メーカーのエンジニアが知恵を絞り、馬力も絞り出しています。
特に、燃料量、最大ボア、気筒数、総排気量が決まってくると、かなりエンジンの骨格が決まります。 各社のエンジン開発エンジニアにとってはライバルがどのようなスペックのエンジンを持っているのか? およそ見当がついているのではないでしょうか。
2. エンジンパワーは回転数で決まる
1. エンジンパワーを求める公式
トルク × 回転数 ÷ 716.2 = エンジンパワー(PS)
(トルク×角速度=仕事率)
となります。 この式は結構便利なんです。
例えばライバルのマシンのパワーを知りたい! と思ったとしましょう。 もちろんエンジンスペックの詳細は各社トップシークレットですが、回転数は分かってしまいます。
それはマイクでエンジン音を収音し、気筒数から分析すると正確なエンジン回転数を把握する事ができます。
そして最高速も各サーキットが公表しています。 計測地点までの距離とエンジン回転数、初速、最高速、マシン重量、これらを元に計算すれば、何馬力のマシンでどのくらいの空力性能を有しているのか、かなり精度高く予測する事ができます。
エンジンパワーを上げる為には
前述した式を見て分かる通り、「トルクを増やす」か、「回転数を上げる」、このどちらかが達成できればエンジンパワーは上がることになります。
例えば、エンジン内部のフリクションロス(摩擦の損失)を低減する手法は、「トルクを増加させる」分類になります。
使用可能なエンジン回転数を上げる事ができれば、やはりパワーが上がる事になります。
このどちらかを向上させるしかパワーをエンジン出力を向上させる手法は有りません。
エンジントルクアップの一例、DLCコーティング
エンジンの回転動力を発生させるクランクシャフトに、フリクションロス(摩擦損失)低減のコーティングを施すとエンジントルクを増加させる事ができる。*DLCコーティング。Diamond Like Carbonの略
給油させづらいピストンピンにもDLCは効果抜群! エンジンオイルとの相性も良いコーディングなのでフリクションロスを大幅に低減できます。
エンジン回転数UPはサンデーメカニックに難しい!
全くできない訳では有りませんが、ECUソフトウェアの変更と、回転数アップに伴う動弁系のリスクをしっかりと対策できるエンジニアしか行うことのできない高度なチューニングと言えます。
流石に街乗りバイクでそこまで求めるライダーはごくごく少数なのではないでしょうか。 レーシングバイクや、そのマシンをチューニングするショップなど可能なショップもたくさんあります。
が、エンジンの耐久性を犠牲にするパターンがほとんどなので、街乗りバイクのパワーアップ手法としてはオススメできません。
3. レーシングエンジンの回転数を上げるデバイス
各社特徴を持った様々なデバイスを装備しています。 主に回転数を上げた時にメリットを発揮してエンジンパワーを得ています。
デバイス1. 街乗り用バイクの場合は金属製バルブスプリング
回転数を上げる事はパワーに直結しますから、どんなエンジニアもまず考えます。 しかし回転数を上げると、バルブスプリングの動きを制御する事が難しくなってきます。 バルブスプリングは、バルブがカムプロフィールに沿った位置を保持させるエネルギー源です。
回転数をどんどん上げていくと、バルブスプリングはこんな困った動きになってしまいます。
- 素早くバルブを閉じれなくなる → バルブとピストンが当たって砕け散る。
- バルブを開く慣性スピードに負ける → バルブが必要以上に開き、ピストンと当たって砕け散る
- バルブスプリングがヒップホップを踊りだす → ラリっているので、勝手にバルブが開きやはり砕け散る
*三番目はサージングといって、バネがもつ固有振動数と、開閉タイミングが共振してしまい、もはや勝手にバネが伸び縮みしている状態なので、カムシャフトのプロファイルは関係なくなってしまい意味がありません。
回転数を上げていくと、主にこの3つの問題と直面してきます。 もちろん、解決する方法はあります。 それは、バルブスプリングのバネ力を上げる事です。 言ってみれば硬〜いバネに変えてやればOKです。
でも…せっかく回転数を上げてパワーを出しても、硬いバネを縮める事にパワーを食われ、更にリフターとカムとの摩擦も増大しトルクを失い… ン? 一体目的はなんだったの?? となってしまいます。
バルブスプリング仕様のエンジンで回転数を上げると、
- 回転数が上がり、パワーも得られる。
- バルブ駆動の信頼性が落ちるので、バネ反力の高いスプリングに交換しなければならない。
- 結果、得られたパワーと、失うトルクを天秤に掛けると、取り代が少ない。
こんなジレンマに陥ります。 その為MotoGPエンジンは、これらを両立させるデバイスを積んでいます!! ↓
デバイス2. Pneumatic Valve Spring (PVS, PVRS)
ピーニューマチックバルブスプリングと読みます。PVSとか、ニューマチックなどと呼ばれています。
量産エンジンに使われている金属のコイルスプリングの代わりに、「圧縮空気バネ」を使用しています。
これを世界で最初にレーシングエンジとして搭載したのはルノーF1チームです。当時は高回転化ではなく、金属スプリングの折損対策として採用されていたようです。
今ではF1エンジン、Moto-GPエンジンのほとんどがこのPVSシステムを使用しています。
このPVSシステムはこんなメリットがあります。
- 高回転化で必要な高いバルブ反力は、エア圧を上昇させるだけで得られる為、省スペースである
- エア反力なので、固有振動数がなくバルブサージングを気にしなくても良い
- 金属スプリングではないので、往復運動部品が軽く、慣性重量が小さい
- 往復運動部品が軽いので、カムプロファイル、回転数が同じなら、フリクションロス(摩擦ロス)を低減できる。→トルクアップ
この中でも慣性重量が小さい事がさらなる相乗効果を引き出します。それはカムプロファイルを決める自由度が増えること。
バルブはガバっと一気に最大リフトまで開いて、しばらく開いたまま、今度は一気にバゴっと閉じたい生き物です。
しかしその理想を叶えたカムプロファイルにすると、加速度が大きくなり過ぎてしまい、ブレーキが間に合いません。
- バルブは開き始めると加速を開始!
- 最大リフト手前で急減速!
- 最大リフト地点で停止!
- 最大リスト地点からマイナス方向(戻る方向)へ急加速!
- バルブが閉じる手前で急減速!
- バルブが閉じて停止!
バルブが開いて、閉じるまでになんと急加速と急減速をそれぞれ2回も繰り返しているのです。 この加減速を正確に行うには、往復運動を行う部品をトコトン軽量化してやる必要があります。
その意味に置いても、大きな金属ばねを往復させるのと、空気を往復させるのでは雲泥の差がある事がイメージできます。
圧縮空気の漏れを防ぐシール部品が存在するので、ただ空気だけが往復している訳ではありませんが、それでも軽量化のメリットは大きいのです。
デバイス3. デスモドロミック機構 (DUCATI)
PVSシステムをMoto-GPで始めて採用したのは2002年、アプリリアのマシンでした。対してデスモドロミックバルブはもっと以前からDUCATIがレース用、市販用として技術を確立し、開発してきた技術です。 この構造が考え出されたのは1920年頃だそうです。
青色が吸気、赤色が排気ポートです。オープンカムと、クローズカムがあります。
4バルブエンジンなので、1気筒あたり、8個のロッカーアームが必要になります。
バルブを開く為のカムプロファイルと、バルブを閉じる為のカムプロファイルの2つが存在します。 一般的にあるバルブを閉じる為のスプリングがないことが最も大きな特徴です。
ですから、コイルスプリングにしてもPVSにしても、バルブを開く時には、バネ反力に打ち勝って開かなければならず、出力をロスします。 しかし強制開閉の場合、バネ反力はありません。その意味で出力ロスは小さいと言えるでしょう。
しかしロッカーアームが1気筒あたり8個もあり、4気筒エンジンであれば32個のロッカーアームを駆動しなければならず、摩擦ロスを引き起こす摺動面も32箇所存在します。またロッカーアームそれぞれにクリアランス調整が必要になり、正確なバルブ作動を保証するにはかなりの調整と手前が必要になります。
PVSは圧力関係に複雑なシステムと確認を要します。 デスモドロミックはロッカーアームなどの動弁系に複雑なシステムがあります。 現在は、どちらのシステムに優位性があるか、明確に判断しづらい時期と言えます。
しかし…
デスモドロミックの場合は、多少コストが高いですが、市販車に技術を展開できる!という点はとても優れています。
Moto-GPの開発現場で培った技術を一般のライダーと共有できる喜びはデスモにしかありません。 PVSシステムを搭載した場合には、バイクの車体価格が◯千万円、200km走行毎にエアタンクをチャージしなければなりません。 とても実現不可能な技術です。
4. クランクピンとクランクジャーナルの関係
ここがV4エンジンと、直4エンジンとの決定的な大きな違いです。先ほどの、「トルク×回転数÷716」の式を頭の片隅に置きながら読んで下さい。
関係1. YZR-M1のクランクジャーナルは5つ
Moto-GPマシンで直列4気筒エンジンを採用しているYamaha YZRーM1のクランクシャフトはこのようなイメージです。
クランクシャフトの回転中心である、クランクジャーナルが必ず5箇所存在します。*赤色矢印で示している箇所がクランクジャーナルです。
関係2. V型4気筒エンジンのクランクジャーナルは3つ
V型4気筒エンジンの場合、クランクピンを共有できるので、ジャーナルの数を5→3箇所へ少なくする事が可能です。
ポイント!先ほどの式を思い出して下さい。エンジンパワーを向上させるにはトルクを増加させる事が有効な手法です。 クランクシャフトは常にグルグルと高速回転しており、 しかも燃焼圧力を受け大きなトルク変動を受けながら、ピストンの往復運動を回転運動へと変換するすごいやつです。
その回転力を支えているのがクランクジャーナルです。クランクジャーナル数が多いと、摩擦損失部位も多い事を意味します。 当然少ない方が、多くの燃焼エネルギーを取り出すことが可能になります。
もちろんV4にもデメリットは存在します。 クランクジャーナルに限っては良いことばかりですが、シリンダーヘッドが2箇所に存在するので、前バンクと後ろバンクの2箇所へ動弁系の駆動力を分配しなければなりません。
レーシングエンジンなのでギヤ駆動ですが直4エンジンの2倍の数のギヤが必要になり、フリクションロスが大きいです。
しかし、クランクジャーナルの数によるフリクションロスと、動弁系への動力伝達ロスを総合的に天秤に掛けた時、V4の方がフリクションロスは少なくする事ができます。
5. V型2気筒エンジンはどうなの?
レギュレーション上は、VツインエンジンでMoto-GPクラスへ参戦する事は可能です。 クランクジャーナルはV4エンジンより更に1つ少ない2ヶ所でフリクションロスも低減できる! お!?なんだか良いカモ・・・・? 残念!パワーが出せないので採用されません・・・。
なんでパワー出ないの・・・!? その理由は??
ズバリ、回転数を上げられないからです。
んじゃ、なぜ回転数を上げられないのか?→ それは、「平均ピストンスピード」が大きく関係しています。 この4ストロークエンジンの作動模型を見て下さい。
4ストロークエンジンの作動をおさらい
- 吸気行程・・・「ガソリンの気体」と「空気」を混ぜた混合気を吸い込む 図の黄色部分。
- 圧縮行程・・・混合気をムギュムギュ!!と小さく圧縮する。
- 燃焼行程・・・スパークプラグで着火して混合気を燃やす。
- 排気行程・・・燃えた排気ガスをエンジンの外に排出する。
各工程の度に、ピストンは上昇と下降を繰り返しています。 この時、「上昇→下降」若しくは、「下降→上昇」へと動く方向が切り替わる瞬間は速度がゼロになります。
レシプロエンジンの構造上避ける事のできない現象です。 この事が回転数を上げる上で大きなネックになるのです。
ピストンのスピードが0になる場所は、動く方向が切り替わる時です。
1つ目は最もピストンの位置が高い時。ここを上死点(T.D.C)と言います。
2つ目は最もピストンの位置が下がった時。ここを下死点(B.D.C)と言います。
この2箇所ではとても大きな慣性力が働きます。 クルマに例えるなら、スーパー急ブレーキを掛けたと思ったら今度はアクセル全開でバックを開始!! と思ったらまたしてもスーパー急ブレーキ!! と思ったら再びアクセル全開で急発進!!
こんな状態にピストンは置かれています。 いくら金属で作られているピストンでも、物理的な急ブレーキに耐えられる限界が存在します。 その耐えられる限界を決める指標として、「平均ピストンスピード」があります。
平均ピストンスピードの比較
ピストンは常に加速と減速を繰り返しながら運動しているので、一定の速度で動く事ができません。
そこで、ピストンが動いた距離と回転数から速さを求めてやると、どのくらいの平均速度で運動しているかが分かります。 この平均速度が速ければ速いほど、より急加速、より急減速を強いられる事になります。
最大ボアはΦ81mmとレギュレーションで決められていますから、平均ピストンスピードを比較してみましょう!
エンジン回転数は15000rpmと仮定します。
4気筒エンジンの平均ピストンスピード
ストロークを求めます。シリンダー1つ辺りの排気量は250ccです。公式「πr2h」ですから
3.14x4.1x4.1xh=250
h=4.736㎝ つまりストロークは約47.36mmです。
平均ピストンスピード=47.36x2x15000÷1000÷60ですから
平均ピストンスピードは23.68m/sとなります。 *SUZUKI GSX-R1000はこのくらいです
2気筒エンジンの平均ピストンスピード
3.14x4.1x4.1xh=500
h=9.472㎝
ストロークは約94.72mmです。 平均ピストンスピード=94.72x2x15000÷1000÷60
平均ピストンスピードは47.36m/sです。
F1エンジンが3000cc V型10気筒、回転数制限無しの時代の平均ピストンスピードは26~30m/sの間にあったのではないか?と言われています。そんな中、V型2気筒エンジンではたった15000rpm回しただけで47m/sになってしまいます。 30を超えたら慣性力に各部品が耐えられず、エンジンはバラバラになってしまいます。
*VTR1000 SP-1&2はシリンダーボアがΦ81より大きいので、平均ピストンスピードはもっと低く抑えてありますので上記式は当てはまりません!
平均ピストンスピードのまとめ
少し難しかったかもしれませんが、この事を覚えて下さい。
同じ排気量なら、多気筒の方が平均ピストンスピードを下げる事ができるため、高回転まで回しても壊れないエンジンを創る事ができる。
エンジン出力の公式「トルクx回転数 ÷ 716」より、回転数を上げられる多気筒エンジンの方がパワーを得る事ができる。
*ここではエンジンパワーだけの話です。パワーが勝ったとしても、勝てるエンジンとはなりません。
6. エンジンレイアウトと空力の関係
Moto-GPマシンは市販車より最高速が圧倒的に速い事は周知の事実です。 その要因は大きく2つあって、一つは圧倒的なエンジンパワーです。 お金を掛け、必要最低限の耐久性を満足した圧倒的なパワーをエンジンが生みだします。
そしてもう一つの大きな要素が、マシンの空力性能です。
速度の二乗に比例して空気抵抗が大きくなりますから、エンジンパワーを効率よく生かすには、空力性能がとてもとても大きなファクターとなります。 空力性能には大きく分けて2つに分類する事ができます。
「前面投影面積」と、「空気抵抗係数」です。
空力1. 空気抵抗を求める公式
空気抵抗(D)= 1/2 × 空気密度(P) × 効力係数(Cd) × 前面投影面積(A) × 速度の二乗(v)
D=1/2 P Cd A v²
この式を見れば、空気抵抗は速度の二乗に比例して大きくなるし、前面投影面積が大きいとやはり空気抵抗が大きくなる事がわかります。 とりあえずココだけ抑えればOKです。
空力2. 前面投影面積と、クランクシャフトの関係
前面投影面積を小さくするには、エンジン、フレームをコンパクトに設計します。 しかし、レギュレーションにあったシリンダーボアは最大81mmです。
直4エンジンの場合は、内径81mm のシリンダーが真横に4個並びます。
対するV4エンジンは内径81mmのシリンダーが真横に2個並びます。(実際にはコンロッド厚み分オフセットをプラスしますが、とりあえず無視)
単純に、マシンを前から見たときに、シリンダー2個(本)分、細く設計する事ができるのがV4エンジンです。
VTR1000SP-1(2)や、Ducatiオーナーは体験しているのでわかると思いますが、とても1000ccとは思えないようなスリムなバイクに感じると思います。 それはエンジン幅が絶対的に小さいので付随する部品レイアウトもスリムに配置する事ができるのです。*タンク容量を確保しなければならないので、車体設計担当はカナリ!の苦労がありますw
上記写真は、撮影距離、角度が異なるので、同じような幅に見えますが、実際には、V4エンジンを搭載したマシンの方が前から見たときに細身になっています。 仮に同じエンジンパワーだとしたら、時速300㌖以上の速度レンジでは、空力性能が良い方がスピードを稼ぐ事ができます。
つまり、前から見たときの面積をいかに小さくするか? との問いには
- 上下方向の高さを低くする
- 左右方向の幅を小さくする
この2点の方法があります。 上下方向の高さはガソリンタンクをシート下にレイアウトしたり、ライダーのシッティングポジションを低くしたりして対応していますが、大幅に低くする事はできません。
左右方向は、エンジン幅が支配的なので、エンジン幅にならうしかありません。そのエンジンは限りなく幅を抑えたレイアウトがサーキットに置いて戦闘力を発揮できるエンジンと言えます。
空力3. ウィングレット時代、直4はさらに空力的に不利な状況!
ストレートスピードに限って言えば、空気抵抗が増加するウィングレットは百害あって一利なしです。
ウィングを装着すると必ず空気抵抗は増えるので、ストレートは遅くなります。 元々エンジン幅が広い所に、更にウィングで幅を広げてしまうとダブルパンチでストレートスピードをロスします。
7. 結論
<その理由>
- クランクジャーナル数が少なくフリクションロスが小さい事。
- クランク幅が短い為、車体幅を小さくでき空力性能が良い事。
ただし、サーキットにおけるラップタイムの短縮へ直接的に結びつきません。 なぜなら、アクセル全開にできる区間はサーキット1周のほんの数十%しかなく、しかもトップスピードが上がった分、ブレーキング時間も長くなる為ストレートだけで短縮できるタイム幅はごくごく僅か。
YAMAHAエンジニアはもちろんその事は100も承知の上で、直4エンジンを研究&開発している事は間違いありません。
ライダーの扱いやすさを追求した結果、逆転クランクをいち早く採用したり、クロスプレーンクランクにて不等間隔の燃焼タイミングを先駆けて開発したりと直4の技術は間違いなく世界最高のソレがYAMAHAにはあると思います。
それを市販車であるYZFーR1へ惜しみなくフィードバックし、その技術力の高さは8耐4連覇という偉業が十分過ぎるほど証明しています。(もはや見せつけられている!?)
その強敵R1を打ち破る相手は、やはり技術を持って対抗するHONDA CBRの姿をみたいですね〜! 元古巣に居るメンバーには頑張って頂きたい!! と勝手にプレッシャーを掛けておきますw
長文、最後までご覧頂きありがとうございました!!
Let's Fun! Ride! Run!
Andy