アレ?ブレーキ掛けるとフロント回りがガタガタ、ガクガクと振動してるっぽい。なんだかブルブルと振動してるんだけど・・・ 前は無かった気がするんだよね。。。 何か不具合なのか・・・これってほっといても大丈夫?
こんにちは!@Andyです。
ブレーキを握るとなんだが振動する?? 原因は何なの?? めっちゃ不安なんだけど!! と感じた経験があるライダーも少数居ると思います。
今後も一定程度起こるトラブルの一つなので可能性の高い原因をシェアしたいと思います。
記事の目次
1. ブレーキディスクの部品名称
- キャリパピストン・・油圧を受けてパッドをディスクに押付ける
- ブレーキパッド・・ピストンから押されディスクと摩擦熱を生む
- ブレーキディスク・・ホイールと共に回転しパッドと摩擦熱を生む
- フローディングピン・・ディスクの熱影響をハブに伝えにくくする
おおまかにこのような構成になっています。
2. フロントブレーキを握ると振動する場合
最も可能性の高い原因は、”ブレーキディスクの振れ・曲がり”です。 振れ・曲がり等によってブレーキを握ると振動する事象を”ブレーキジャダー”と言います。
巷ではジャダーが出た、ジャダるなどと言ったりしますが意味は同じです。
振れている(曲がっている)部分がパッドと摺動(こすれる)すると、ディスクとパッドが強くこすれます。 ホイールが一回転すると1回ブレーキが強く握られているのと同じ状況が作られます。
ホイール1回転につき、ブレーキの強弱が1回作られる事によって振動が発生します。
- ブレーキを強く握る程、振動が増大
- 軽く握ると振動しない若しくは小さい
- 高速域で握ると振動がはっきりする
- ブレーキを握らなければ、無振動
ブレーキディスクが振れ・曲がる原因とは?
なんで自分のバイクのブレーキディスクが曲がるの?? 不思議ですよね。
多くの場合はタイヤ交換の時に使用するタイヤチェンジャー、タイヤレバーなど交換作業の途中で曲げてしまう事が多いのです。
近年のスポーツモデルのブレーキはフローティングディスクと言う熱変形に強く軽量高性能な仕様になっています。
対するソリッドディスクは熱変形の影響を受けやすく、フローティングに比べ重くなります。 しかしコストが安いメリットがあります。
フローティングディスクはブレーキが掛かる力を受止める方向には高い強度を持っています。 しかし90度違う方向にはとても弱く、アルミ製のハブは非常に変形しやすい構造とも言えるのです。
また、タイヤ交換の他にもマンション駐輪場など他の物体がディスクに当てられてしまう事で、ディスクやハブが曲がってしまう事も考えられます。
街乗りバイクでサーキットを走っても、熱容量には十分余裕があり熱変形する事はありません。 その殆どは外力によって曲げられてしまうのです。
タイヤ交換や、駐輪場などオーナーが気づかないところでガッつり当てられてしまうと・・・・・ω・
また、サーキット走行専用のバイクは更にシビアです。
ブレーキ入力も高く、高速度域で使用され発生熱量も非常に大きい。 街乗りでは気にならないレベルがサーキットでは大きな振動になってしまいます。
レーシングサービスへタイヤ交換をしてもらう、手伝いに来てくれたメカニックにタイヤレバーで交換してもらう場合など、ディスクを外してタイヤ交換作業する事を徹底してください。
全日本や8耐のパドックに居ると分かりますがトップチームはディスクを外して運搬しています。
予防手法
まず自分でできる事は、
- 駐車時、当てられない工夫をする
- タイヤ交換後、ディスクにキズや打痕が無いか確認
- タイヤ交換後、今までにない振動が無いかすぐに確認
特にディスクの傷や打痕は、暫く走行するとパッドとディスクがこすれて証拠となるキズ消えてしまい、お店に話をしても「当ててません、キズなど見当たりません」と言われてしまいます。
良いショップさんであれば、タイヤ交換後のチェックで先に教えてくれますが、中には当てたことすら気づけないメカニックもいるので要注意。
ディスクが曲がった時の対策手法
ズバリ! 新品交換以外にありません!!
ブレーキディスクの純正品を新品購入するとかなり高額です。
しかし振れを直す事ができないので良品と交換する以外に方法にないんです・・・"(-""-)"
※一部モンキーレンチ等でディスクを挟み込み、力技で元に戻すことをやっている人を見かけますが、おススメしません。 ソリッドディスク且つ振れが極小、しかも自己責任に納得できるのであれば良いと思いますが、 お金を受け取って行う行整備ではないというのがAndy自論です。
3. 速度が上がると振動が大きくなる場合
ブレーキを握っていない状態で振動が大きくなる場合は、ホイールアンバランスが原因である可能性大です。
特にハイグリップタイヤを履いてガンガンサーキットを攻めると、リムとタイヤが少しづつズレてしまう場合があります。→するとバランスが崩れ振動が発生。
街乗りで多いのはバランスウェイトの脱落によって、アンバランスになり振動が発生するパターン。 純正はカシメウェイトと言って、物理的に取れにくい構造です。
しかしタイヤ交換すると、純正ウェイトを外す必要があり、ホイールにほぼ必ずキズが入ってしまいます。 なのでバイクショップはクレームを恐れ両面テープの「貼付けウェイト」を選ぶ事がほとんどです。
もちろん交換してしばらくは問題ないのですが、数年もすると粘着力が弱まり走行中の遠心力でポロっと取れてしまう事があるんです。 そうなるともちろんアンバランスとなり振動が発生します。
- 車速が速いほど振動が大きくなる
- ブレーキ掛ける掛けないに関係なく振動する
- タイヤ交換してから1年以上経過した
- 貼付けウェイトがリムに一つも見当たらない
※サーキットなど速度域とブレーキ入力が高い状況では、稀にブレーキングの時だけホイールアンバランスによって振動する場合があります。
振動原因1. ホイールウェイトが脱落した
一番多い原因です。
純正のホイールバランスウェイトは”カシメタイプ”と言って遠心力が作用しても外れにくい構造になっています。
対する、バイク用品店や街のバイクショップでタイヤ交換した後は”貼付けタイプ”のバランスウェイトを使います。(レースも貼付けタイプ)
ホイールの張付け面をキチンと脱脂して確実に貼ればまず脱落する事はありません。 しかし年数とともに洗車や様々な走行シチュエーションによって、ポロっと取れてしまう事があります。
そうなるとバランスが崩れて振動がする事があります。
Andyの経験値から言うと、フロントホイールバランス20gのズレで、150㎞/h以上出すと明確に振動を感じます。
Rrタイヤの場合は1000CCクラスで40g以下なら振動を感じる事はありませんでした。
Rrは超絶重たいドライブチェーンやハブダンパが変形する事で振動を吸収する機構を積んでいる事と、もともとアンバランス要素がたくさんあるのでFrほどにシビアではありません。
振動原因2. タイヤとリムの位置がズレた
主にサーキットをハイグリップタイヤでガンガン攻めると起こる事があります。(発生頻度は稀)
強烈なグリップと空気圧が低めのセッティングでタイヤが部分的にシワが寄るようにたわんで、少しずつ部分的にズレていきます。
一気に全周がズルッ!とズレる事はありません。 接地面のやや後方から部分的にシワ寄せしながらズレるイメージです。(蛇が進むようなイメージ)
街乗りバイクでは起こる事はありません。 よっぽどの超低空気圧でハードブレーキングすると起こ・・・らないね(*^^*)
対策手法
基本的にもう一度バランスを取り直すしかありません。 交換してもらったお店に事情を説明して、やり直してもらう他ありません。
タイヤ交換して数ヶ月であれば、脱脂不足など整備の不足も考えられますが、基本的にホイール脱着の工賃が必要と思うのが賢明です。
また、タイヤ交換直後はK点(軽点)マークがエアバルブにきています。 国産メーカーなどはK点マークを頼りにすることも可能です。(海外製タイヤはK点が無い物が多い)
4. ブレーキ握った瞬間1回だけカクンとなる場合
走行中は分かりにくいのですが、バイクを押している状態でブレーキを握ると大きくカクン、カクンと振動やガタを感じる場合があります。
ブレーキを握った状態でハンドルを持って車体を前後にゆすった時、カクンカクンと振動(小さな衝撃振動)があればほぼステムですね。
このパターンはステムベアリングが損傷している可能性が高いと言えます。
ステムにガタがある場合、本来隙間があってはならない部位に隙間が生まれているので、すぐに整備が必要です。
稀に横マウントのキャリパボルトが緩んでいると同じような事象が起こる車種もあります。
ステムの不具合は年式が新しいバイクでは起こりにくく、中古車や年式が古いバイクで頻発します。 特にボールベアリングタイプは耐久性が低いので、ノーメンテ5年×雨の日もガンガン乗る通勤快速仕様の場合は要注意。
原因|ステムベアリングに不具合
レースが段付き摩耗している、ボールの径が小さくなってしまったかのどちらかです。
本来はガタが発生するようなクリアランス設定になっていません。 しかし経年と共にグリスも切れ、それでも走行を続けるとレースとボールの金属同士が直接擦れて摩耗し、痩せていきます。
いつしかガタがはっきり分かるくらい痩せ細ってガタガタになるパターン。
対策手法
これはレースとベアリングをセットで交換するしかありません。
とくにレースの方は圧入が必要なので、それなりの知識と設備が必要です。 また、人気車種はレースなど部品を入手できますがマニアックな車種の場合、欠品している事もしばしば。
そう言う時ほど詳しいショップさんは互換性のある部品を知っている事があります。 その車種に強いショップさんを知っておくと便利ですね!
5. ブレーキディスクが曲がると振動するメカニズム
先に記した振動原因の内、最も発生頻度の高いディスクが曲がると振動するメカニズムについて詳細に解説していきます。
振動原因:ブレーキディスク一回転の中で、ブレーキ効力が一定でないから振動が発生する。
言い換えれば、ディスク(ホイール)1回転すると、一瞬急ブレーキが掛かる→ 通常ブレーキ→ 一瞬急ブレーキ→ 通常ブレーキ・・・とサイクルを繰返す事で振動しています。
1. 振動原因をおさらい
ディスクが外力により曲がったり振れたりした事が原因で振動が起こる。
特にブレーキ入力の増減に比例して振動も増減する事が最大の特徴である。
2. 正常で振れのないディスク
振れの無い正常なディスクは、パッドとの接触圧が常に一定であり、制動力も一定と言える。
3. 曲がったディスクで何が起こるのか
➀ディスクに振れ、曲がりがあると、不具合部分がパッドとこすれる時、一時的に面圧が高くなる。(ブレーキ圧が高いのと同じ)
↓
➁振れ部分→正常なディスク面へと移行すると面圧が元に戻る
↓
➀へ戻る
このようなサイクルを繰返すことで、ホイール1回転につき1回の振動が発生します。
(ホイール一回につき瞬間的にブレーキを強く握る→リリースを繰返すのと全く同じ)
その結果、ライダーのブレーキレバー入力は一定なのに高速でブレーキ液圧が変化し、液圧変化に伴って効力が変化→ 振動が生まれます。
絵ではディスクの曲げを強調して描きましたが実際にあんなピンポイントで曲がりません!! もっと全体的に曲がったり斜めになったりしますので、誤解なきようお願いいたします。
6. ディスクが変形し振動した事例
事例1. GPZ1000
ブレーキジャダーの原因はステムとローター(ディスク)だった!!
振動解決の為、キャリパーやマスターのオーバーホールにもTRYされたようです。
事例2. NINJA1000 サンスターローター
ローターのスリットが原因ではないか? とスタッフさんからのアドバイス。
約5000㎞で発生したとの事で、丁度5000kmでタイヤ交換をしていないかな・・?? というポイントが気になります。 もし一致していたとすると、チェンジャーやレバーで・・・
事例3. SR400 中古で買ったらブレーキがカクカクする
事例4. シグナスX ブレーキが不快・・
リンク➀→ カスタムブレーキディスクに交換!!
リンク➁→ パッド交換したらガクガクブレーキが治った・・・?
リンク➂→ 検証した結果、ガクガクの犯人判明!!
最初から曲がっている事は少なくないと思います。
事例5. ANDY ZRX1200も実はガックンガックン
かく言うAndyもZRXを購入した直後、ヤフオクでArashiの新品ウェーブディスクに殺(ヤ)られてますww
ノーマルディスク↓↓
次にヤンちゃ仕様に憧れて・・↓
新品で購入したんだけど、ディスクが振れまくっていて全く使い物にならなかった・・・ で、外したノーマルディスクは既にアップガレージの店頭に並んでいたので
安定のサンスター↓
ディスクを交換して1っ発目のブレーキですぐに違いが分かりますww 安物買いの銭失いとは正にこの事だと痛感したのでした"(-""-)"
7. ブレーキ掛けたら振動する原因のまとめ
ブレーキを掛けた時にガタガタする、振動する、ブレーキレバーにも振動が起こる場合の原因は80%以上の確率でブレーキディスクが振れ・曲がっています。
もちろん、ピストンの固着やマスター不具合など他の理由も考えられますが、確率からいくとブレーキディスクを疑う事がもっとも原因への近道と言えます。
基本的にスリックタイヤでもはかない限り、一般公道を攻めて熱変形が原因で曲がったり反ったりすることはまず無いと考えて良いでしょう。
もし熱で反ったとするなら、ブレーキの引きずりなど不具合が考えられます。
最も可能性が高いのは何度も言うように「タイヤ交換の時、ディスクを当ててしまった」事による曲がりです。 特に中古車を購入した場合、不具合があれば直ぐに販売店に連絡して見てもらいましょう。
ブレーキが振動して困っているライダーのお役に立てれば幸いです。
Let's Fun! Ride! Run!
Andy