これでバイク用エンジンオイルの粘度指数は迷わない!

エンジンオイル交換って作業は何をするのか?? そしてナゼ交換が必要なのか?? ライダーであれば知ってい事と思います。 Oilを決める時、何を基準にしていますか??  銘柄? パッケージ? バイクブループの中の評判? お店スタッフのオススメ!なんてパターンも多いんじゃないでしょうか。

オイルを決める時の要素として大きなウェイトを占めるのは、「ブランド」「粘度指数」ではないでしょうか。 今回は、その二つのうちの「粘度指数」の決め方についてです。 「ブランド」については後日記す事にします♪

結論! 先ず高温側の粘度指数を決める→次に低温側の粘度指数を決める。

順を追って説明していきます。

まず、エンジンオイルの作用をおさらいしておきます。6つの作用です。

  1. 減摩作用・・メタルやシリンダーなどを流体摩擦に変える。
  2. 冷却作用・・エンジンの熱を移動、交換させる。
  3. 緩衝作用・・局部的な応力を減らし衝撃を吸収する。(メカノイズが減る)
  4. 防錆作用・・サビからエンジン内部を守る。
  5. 密封作用・・シリンダーとピストン(リング)を密封させる。
  6. 清浄作用・・各部の汚れを集めて、フィルターに貯める。

この中で、特に粘度指数の影響を受けるのが、「1番の潤滑」と、「5番の密封」です。 なぜ影響を受けるのか?? その理由がわかると、必要な粘度指数というのがだんだん見えてきます。

CRE556(クレ556)とか、ラスペネとか、WD40などは潤滑スプレーとか、潤滑剤って呼びますよね。 そのスプレーを使うと、キコキコ言ってたネジがクルクルっとスムースに回ったり、サビた部品が動くようになったり。 潤って滑らかに動く時に使う言葉です。 潤う=液体が存在するので、業界用語で”WET”なんて言ったりします。 その対義語で、このネジは”DRY”締め付けで! なんて言う事もあります。まさにエンジンオイルという液体を使って、エンジンを滑らかに動かす訳ですから、潤滑オイルですね! (あたり前すぎて何言ってんだ!) この液体という形態がクセ者で、解りにくい要因の一つです。

粘度指数は、粘度ではない。

粘度指数というのは、「0w−30」とか「10w−40」とか「15w−50」などとオイルのパッケージに記載されているあの数字です。この数字の覚え方として一番多いのは、低温指数の「数字」が小さいほど「柔らかい。」気温が低い時もサラサラしている。 高温指数の「数字」が高いほど「硬い。」気温が高くても油膜を保持してくれるのだ!!_φ( ̄ー ̄ ) と、まあこんな感じに捉えているライダーが多いのではないでしょうか?  でも正確ではありません。

1、低温側粘度指数は、なにを表しているの??

低温側の粘度指数は「エンジンの冷間始動可能な外気温の目安を指しています。 

外気温の目安。つまりオイルの粘度ではありません。 始動可能温度との相関は下記の通りです。

  • 0w = −35℃
  • 5w = −30℃
  • 10w= −25℃
  • 15w= −20℃
  • 20w= −15℃

どうでしょうか?? このブログをご覧頂いているライダーで、気温−15℃の時にバイクのエンジン掛けるゾ!! って方はまず居ないと思いますw 北海道の郵便カブは雪道をチェーン巻いて走るから0wがいるかw!

つまり、この低温粘度指数というのは、「エンジン始動のとき、オイル6つの作用を保証できる、最も低い外気温」を示しています。 なぜこんな事を記載する必要があるのか? それはアメリカがこの規格を作ったからです。 アメリカは温度の単位が℃でなく、℉で表します。 外気温20℃は、68℉です。アメリカ国内だけの流通なら粘度指数表示を止めて、直接保証温度を記載するのもアリだと思います。 しかし輸出するとなると、相手国によって単位がバラバラでは分かりにくい!  オイルと名のつく物は温度によって粘度が変化するから、統一した規格を作ろうじゃないか! となりアメリアカの粘度指数表示が世界的に普及しました。 SAE規格=Society of Automotive Engineers(アメリカ自動車技術協会)

なぜエンジン始動の時なのか?  その昔、クルマの性能があまり良くなかった頃は、オイルの機能、性能もあまり良くありませんでした。 広大なアメリカを南北に縦断すると、灼熱の地極寒の地が同じ国内に存在します。 暑い地域でちょうど良いオイル粘度のまま寒い地域に行ったとします。 行き先でエンジンが完全に冷えると、外気温にともなってオイルも硬くなります。 用事も済んだことだし、さあこれから暖かい地元へ帰ろう! とエンジンを始動しました。エンジンは掛かりましたが、極寒の地は寒く、オイルが硬くドロドロになっています。オイルポンプが硬〜いオイルを送る事ができずに、エンジンが焼き付いてしまう! トラブルが多発していた歴史から来ています。 鉱物油しか無かった時代はドライバーが気温の変化を気にしないとオイルを送りこむ事ができず、エンジンを壊してしまう! 事から、表記が必要になったという訳です。

バイクのエンジンはクルマに比べ油路の距離が短いので、その分エンジンの隅々までオイルが行き渡る時間も短くですみます。仮にも低温側20wの粘度指数を入れても、始動可能温度は-15℃ですから、なんら問題無いことはお分かり頂けるでしょうか。 でも、オイル交換の時、同じオイルブランドと銘柄で指数だけを変えて見ると「差」を体感できます。 特に真冬のエンジン始動直後のアイドリングなんかは、差がでやすいので冬にオイル交換するのも面白いかもしれません!

低温側粘度指数のまとめはこうです。

「エンジンを冷間始動する時の、エンジンオイル機能・性能を保証する外気温の目安

エンジンオイルはエンジン始動後、温度が上昇し、粘度は柔らかくなりサラサラして行きます。 つまりエンジンの暖気完了後にはもう参考にならない数字と言うことです。よって、エンジンが温まった状態での始動は、高温側の粘度指数を見なければいけません。 最近のクルマのトレンドは、低温側指数を下げ、流動性を上げる(よりサラサラにする)事で各部へオイルを早く運び、エンジンの耐久性向上をを狙っているようです。

2、高温側粘度指数は何を表しているの??

オイル温度100℃における、動粘度を示しています。*油膜の切れにくさと捉えてもOK
言い換えると、エンジンオイルの本領発揮すべき温度での油膜の切れにくさ=動粘度です。   動粘度の測定方法は、細い管の中に規定量のオイルを入れ自重落下させた時に、全てなくなるまでに要した時間を元に計算します。 バイクに例えるなら、シリンダーにオイルを10cc付着させた時、全てのオイルがオイルパンに落下するのに要した時間です。 硬いオイル(ドロっとした)ほど、落下するのに時間が掛かります。 つまり油膜が厚い分、それだけ切れにくいと言う事を意味します。 高温側指数30よりも、40の方が油膜が強固であると言う理解で間違いありません。

ここで油膜が強固である=硬いオイル=燃費の悪化 と考える方が多いと思います。 しかし全てのエンジンがそうなる訳ではありません。 それは、油膜が強固であると言う事は、シリンダー、ピストン、ピストンリングの密閉も強固になり、燃焼圧力のロスが減り燃費が向上する要素になるからです。粘度が低いと、燃焼圧力はブローバイガスとなってクランクケースに流出し、エネルギーをロスしています。 このロスを減らすには、強固な油膜を作って密閉させるほかありません。 つまり硬いオイルが必要なのです。 しかし硬いオイルというのは、オイルポンプを駆動する為に余計なエネルギーが必要になります。 硬いオイル、柔らかいオイル、どちらの方がメリットを見出せるのか?  それはユーザーの乗り方やエンジンコンディションによって決まります。。

SS車で高回転バンバン! 峠道やサーキットを楽しく走りたい! 高回転を使ってパワーが欲しいよ!と言う使い方なら、硬いオイルの方が出力向上のメリットを生かせると思います。
ツーリング重視!高速道路が多く一定の回転数で走る事が多い!と言う使い方なら、柔らかめのオイルの方が燃費向上の恩恵をより多く受けられると思います。
ピストン〜リング〜シリンダーなど、エンジン内部のクリアランスの大きい旧車オーナーは、硬いオイルの方が燃費が良くなります。更に耐久性UP&エンジンノイズも低減できます!

また最近のオイルで化学合成且つ高温側指数40番以上の物は、ポリマーが多く含まれています。 粘度を上げる事なく、高い油膜を形成してくれる凄いヤツなんです☆  しかし、この凄いポリマー君はあまり耐久性がありません。 熱に弱く、性能をキープするには少し早めのオイル交換が必要です。

私と同じGPZ系エンジンにお乗りのZRX、ZZRオーナーの方は、全員4番イン側カムが「カジる」( ;∀;)と言う持病を抱えていますので、ポリマー系40番以上のオイルが絶対! と言っても過言ではありません。

最近のバイクは、水冷エンジンが多く水温計が装備されていると思います。 エンジンオイルの温度目安は、水温+10〜15℃と言われています。 一番性能を発揮させたい水温+15がエンジンオイルの美味しい温度になるように、粘度を選定してあげると、ベストなオイルが選べる事は間違いありません。 油温計を装備すればオイル選びは最強ですね!

3、よくある勘違い

0w-30のオイルは、「0w」のオイルと「30」のオイルを混ぜて作るんでしょ!? と勘違いされている方もいます。 表記は低温側、高温側の二つですが、中身は一種類です コーラとオレンジジュースを混ぜて2つの味を楽しむ事ができないのと同じです。するとこんな疑問が浮かびます。

・「0w-30」

・「5w-30」 ってどっちがいいの??

「高温側の指数はどちらも同じだから、低温始動性の良い0w-30じゃない!?」

半分正解! 半分間違い! ですw  この場合、0w-30の方が温度によるオイル粘度の変化率が少ない事がわかります。 そして同じ30なのに、粘度は[5w-30]よりも[0w-30]の方が高いのです。 これは実際に計算する時にグラフを書くとわかるのですが、ココでは割愛します! そう言うもんと覚えてください。 「高温側指数が同じ場合、低温側指数が低いほど温度による粘度変化が起きにくい良いオイル」です。

では次の場合は、どちらのオイルが性能が良いでしょうか?

・「10w-30」

・「15w-50」

正解は、高温側&低温側の変化が少ない「15w-50」です。この粘度指数の低温側と高温側の差が大きいほど、オイルが温度による粘度変化を起こしにくい事を意味します。逆に、粘度指数の差があまりない(例えば20w-30とか)オイルは、冷間始動の時はドロドロっとしていて、高温側はシャバシャバしている。と言う事が言えます。

ここまでをおさらいしておきます。

  1. 低温側粘度指数=エンジン冷間始動時の参考外気温を意味する。
  2. 高温側粘度指数=エンジン高温時の油膜の切れにくさを表す。
  3. 高温側ー低温側粘度指数の差=差が大きい方が、温度によって粘度変化が少ない高性能なオイル。

と言う事です。

4、ピッタリな粘度は、こんな順序で決める!

1、高温側の粘度指数を決める。

  • 基本は純正の指定。
  • 走行距離が多い場合は、エンジン内部の各部クリアランスが広がっているので、ワンランク高い高温側粘度指数を選ぶ。特に旧車の場合は2ランクでもOK。
  • パワーが欲しい! 時には、ロスの少ない高分子ポリマーが入ったワンランク高い粘度指数のオイルを選ぶ。
  • KawasakiのGPZ系エンジンの場合、持病を持っている為、粘土指数は最低40以上を選ぶ。個人的には50がオススメ!

2、高温側と低温側粘土指数の差を見て、低温側粘土指数を決める。

  • あくまで冷間始動の指数ですので、15wでも問題はありません。
  • 温度依存が少ないかどうか?を図る事のできる数値と思ってください。

いかがでしたでしょうか? オイルの粘度指数と、粘度の関係性からオイル選びの楽しさが増して頂けたらウレシいです!(^^)

よく、オイル交換後、「ノイズが減った!やった!」的な感覚があると思います。これは低温側粘度指数が高い物に交換すると、冷間時にはオイル油膜が厚く、緩衝作用によってノイズが減ったように感じます。  でも、、、エンジンが温まってしまえばノイズはまた大きくなります。
いいオイルは、冷間時と暖気後に変化はあまりありません。 実はこんなカラクリがあったりしますw^ ^

私ANDYのオススメオイルは、Motulの300v 15w-50です。CBR1000RRと、ZRX1200R両方に入れています。300Vの特徴としてKawasakiオーナーが喜びそうなくらいの、蛍光ライムグリーン色です。お陰で劣化するとオイルの色がだんだんと茶色→黒へと変化していきますので分かり易いです。

まず高温側粘度指数50を選んでいる理由は、エンジンの耐久性を重視している為、厚い油膜をキープしたいからです。 この先も売るつもりなく一生乗る予定なので、なるべくエンジンの磨耗を抑えたい。 ポリマーがたくさん入っているので劣化は早いが強い油膜と低粘度を両立してくれます。

低温側粘度指数15wは、あまり頻繁に乗らないので、オイルが下に落ちにくい事が理由です。 ZRXの場合は特に4番IN側カムに付着してくれていたオイルが、しばらく乗らないとタレて居なくなってしまいます。 そこで冷えた時の流動性を考えると、高い指数の方がオイルがカムに付着したまま残ってくれます。 越冬してw春にエンジンを掛ける時、油路にオイルは無く供給されるまでの数秒間がノンオイル!!! その時だけは、残留オイルだけが頼りなんです!  CBRは純正指定で心配無用ですが、ZRXは純正指定で大きいに心配!!w

こんな感じで、常に油圧と水温の関係性をモニタリングしています♪♪

オイルの粘度指数を疑問に思っているライダーの疑問解決のお手伝いができれば幸いです。

Let’S Fun! Ride! Run!
Andy

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ABOUTこの記事をかいた人

バイク歴18年、名古屋在住34歳で愛機はZRX1200Rと、CBR1000RRです。
ツーリングも大好きですがサーキットも大好きで鈴鹿8時間耐久ロードレースにライダーとして参戦しています。2017年は29位で完走する事ができました!^ ^
  
本田技術研究所で二輪の開発業務に10年間従事し、そのうち5年間をレーサー開発のテストライドグループで操縦安定性や空力性能のテスト、評価を担当。 この時の経験を生かしバイク工学のブログ発信を2017年5月からスタートしました。 高品質な二輪情報を発信しライダーのバイクライフを充実させる事を目的としてサイトを運営しています。 どうぞ宜しくお願い致します☆